前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性
のある新たな事項又は重要な変更として当社が認識しているものは以下のとおりです。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、本四半期報告書提出日現在において判断したものです。
なお、以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」の項目番号に対応するものです。
当社グループは、各種のリスクシナリオが顕在化した場合の影響度と蓋然性に基づき、その重要性を判定しており、今後約1年間で最も注意すべきリスク事象をトップリスクとして特定しています。2023年7月の当社リスク委員会において特定されたトップリスクのうち、主要なものは以下のとおりです。当社グループでは、トップリスクを特定することで、それに対しあらかじめ必要な対策を講じて可能な範囲でリスクを制御するとともに、リスクが顕在化した場合にも機動的な対応が可能となるように管理を行っています。また、経営層を交えてトップリスクに関し議論することで、リスク認識を共有した上で実効的対策を講じるように努めています。
※リスク事象:2023年7月の当社リスク委員会での審議を経て、取締役会に報告されたものの一例です。一般的に起こり得る事象で、当社固有でない情報も含まれます。
当社グループでは、デリバティブ、貸出、債券、証券化商品等、従来多数の取引において、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)及び関連する各種金利指標(以下、「LIBOR等」)を参照していました。LIBOR運営機関であるICE Benchmark Administrationは、パネル行の呈示レートに基づき算出するLIBORについて、2021年12月末に日本円・英ポンド・ユーロ・スイスフランの全テナー並びに米ドル1週間物及び2ヶ月物の公表を、2023年6月末には米ドルの残り全てのテナーの公表をそれぞれ停止しています。
当社グループでは、これまでLIBORの公表停止に備え、LIBOR等の金利指標の改革や代替金利指標への移行対応を進めてきており、2021年12月末に公表停止となったLIBORの各テナー及び関連する各種金利指標を参照する取引の対応には目途がつきました。2023年6月末に公表停止となった米ドルLIBORの各テナー及び関連する各種金利指標を参照する取引についても、代替金利指標への移行が大きく進展しましたが、一部の移行が困難な取引については立法的救済措置を適用しつつ、残る取引について引き続き代替金利指標への移行対応を進めております。
但し、引き続きLIBOR等から代替金利指標への移行は、これらの代替金利指標に係る経済的な特性・成果、市場動向、また会計・規制上の取扱いを含め、複雑かつ不確実な要素があり、これによって、以下の事由を含め、当社の事業、財務状況及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
・ 当社グループの金融資産及び負債に含まれるLIBOR等を参照するローンやデリバティブを含む幅広い金融商品の価格、流動性、収益性及び取引可能性に悪影響を及ぼす可能性
・ 既存のLIBOR等を参照する契約の参照金利をLIBOR等から代替金利指標に変更するための契約修正等が想定通りに完了しない可能性
・ 顧客、取引相手方等との間で、金利指標の改革や代替金利指標への移行に伴う、契約の解釈、代替金利指標との価値調整等に係る紛争が生じる、あるいは顧客との取引における不適切な取引慣行及び優越的地位の濫用等に関する紛争に繋がる可能性
・ LIBOR等の改革や代替金利指標への移行に関する規制当局への対応が必要となる可能性
・ LIBOR等の改革や代替金利指標への移行に対応するための事務やリスク管理に係るシステムが十分に機能しない可能性
グローバルな金融サービス提供者として、当社グループの事業は国内外の法律、規則、政策、会計基準、実務慣行及び解釈、並びに国際的な金融規制等の継続的な変更のリスクにさらされております。主要な金融機関は、新技術、地政学上の変化、環境・社会・ガバナンス上の懸念、及び国際金融セクターに関するその他の懸念事項を背景とする、より厳しい法律、規制及び基準等への対応を迫られています。また、金融業界における不祥事やリスク管理の不備、金融機関の破綻に関する事案を受け、社内のコンプライアンス・リスク管理体制の強化を求める動きも強まっています。当社グループに適用される法律、規制及び基準等は複雑で、多くの場合、これらを当社グループのビジネスに適用するに際しては、解釈を伴う決定が必要となります。法律、規則、政策、会計基準、実務慣行、解釈の変更及びその影響は、より多くの経営資源の投入のみならず、経営にも影響を与え、場合によっては経営戦略を変更せざるを得なくなるおそれがあります。第三者への委託により実施するものを含むコンプライアンスのプログラムやシステムについては、必要な強化を計画通りに実施できなくなる可能性も出てきます。また、当社グループに適用される法律や規制への対応が不十分な場合、罰金、警告、レピュテーションの悪化、業務改善およびその他の行政命令、営業の強制的停止、将来の戦略的イニシアチブに規制当局から承認が得られないこと、深刻な場合としては営業認可の取消を受ける場合等、当社グループの財政状況及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
以下の記載における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであり、リスクと不確実性を内包しているため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意ください。
当第1四半期連結累計期間の業績につきましては、以下のとおりとなりました。
当第1四半期連結累計期間の連結業務粗利益は、前第1四半期連結累計期間に計上した投信解約益の剥落や、MUFG Union Bank, N.A.(以下、MUB)株式譲渡影響により資金利益が減少した一方、国債等債券関係損益の改善や特定取引利益の増加により、前第1四半期連結累計期間比1,164億円増加して12,413億円となりました。
営業費は、前第1四半期連結累計期間比149億円減少して6,846億円となり、連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前、信託勘定償却前)は、前第1四半期連結累計期間比1,314億円増加して5,566億円となりました。
与信関係費用総額は、前第1四半期連結累計期間比323億円費用が減少し、株式等関係損益は、前第1四半期連結累計期間における保有株式の減損損失剥落を主因に、前第1四半期連結累計期間比247億円増加しました。
このほか、モルガン・スタンレーの持分法適用決算期変更影響を主因に、持分法による投資損益が前第1四半期連結累計期間比768億円増加しました。また、前第1四半期連結累計期間における、MUB株式の譲渡契約締結に伴い発生した売却対象の有価証券に係る公正価値評価による損失の剥落により、その他の臨時損益が前第1四半期連結累計期間比1,972億円増加しました。
以上の結果、経常利益は前第1四半期連結累計期間比4,626億円増加して7,255億円となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前第1四半期連結累計期間比4,447億円増加して5,583億円となりました。
財政状態につきましては、総資産が前連結会計年度末比6,527億円増加して3,874,522億円、純資産は前連結会計年度末比9,054億円増加して191,782億円となりました。
主要な勘定残高といたしましては、資産の部では、貸出金が前連結会計年度末比30,063億円増加して1,121,526億円、有価証券が前連結会計年度末比46,573億円減少して820,895億円となりました。負債の部では、預金が前連結会計年度末比29,783億円増加して2,165,878億円となりました。
なお、銀行法及び再生法に基づく不良債権比率は、前連結会計年度末比0.02ポイント低下の1.24%となりました。
当第1四半期連結累計期間における主な項目の分析は、以下のとおりであります。
* 与信関係費用(信託勘定)+一般貸倒引当金繰入額+与信関係費用(臨時損益)+貸倒引当金戻入益
+偶発損失引当金戻入益(与信関連)+償却債権取立益
(i)貸出金(含む信託勘定)
貸出金(含む信託勘定)は、国内店が減少するも、海外店や海外子会社が増加し、前連結会計年度末比29,099億円増加して1,133,340億円となりました。
* 持株会社、MUFG Americas Holdings Corporation、並びにクルンシイ(アユタヤ銀行)向け貸出金を除いております。
○銀行法及び再生法に基づく債権
銀行法及び再生法に基づく不良債権比率は、前連結会計年度末比0.02ポイント低下の1.24%となりました。
銀行法及び再生法に基づく債権の状況 部分直接償却後
(ⅱ)預金(2行合算)
預金(2行合算)は、国内法人預金その他が減少するも、国内個人預金や海外店が増加し、前連結会計年度末比23,894億円増加して2,057,345億円となりました。
(注) 1 「2行合算」とは、株式会社三菱UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行株式会社の単体数値の単純合計を示しております。
2 譲渡性預金、特別国際金融取引勘定分、並びに2行間の一部預金を除いております。
(ⅲ)その他有価証券評価差額
その他有価証券評価差額は、外国債券等を含むその他は減少しましたが、国内株式、国内債券が増加したため、前連結会計年度末比1,746億円増加の15,948億円となりました。
当第1四半期連結累計期間における主な報告セグメントの営業純益は、デジタルサービス事業本部で前第1四半期連結累計期間比16億円増加して562億円、法人・リテール事業本部で前第1四半期連結累計期間比107億円増加して319億円、コーポレートバンキング事業本部で前第1四半期連結累計期間比639億円増加して1,408億円、グローバルコマーシャルバンキング事業本部で前第1四半期連結累計期間比36億円減少して608億円、受託財産事業本部で前第1四半期連結累計期間比5億円減少して262億円、グローバルCIB事業本部で前第1四半期連結累計期間比390億円増加して1,193億円、市場事業本部で前第1四半期連結累計期間比116億円増加して1,702億円となりました。
また、当第1四半期連結会計期間において、事業本部間の粗利益・経費の配賦方法を変更しており、前第1四半期連結累計期間のセグメント情報は、変更後の算定方法に基づいた数値で比較をしております。
国内・海外別収支の内訳は次のとおりであります。
当第1四半期連結累計期間の資金運用収支・信託報酬・役務取引等収支・特定取引収支・その他業務収支の合計は国内が9,854億円で前年同期比406億円の増益、海外が6,297億円で前年同期比467億円の増益となり、合計では12,413億円で前年同期比1,164億円の増益となりました。
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内に本店を有する連結子会社(海外店を除く。以下、「国内連結子会社」という。)であります。
「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外に本店を有する連結子会社(以下、「海外連結子会社」という。)であります。
2 「資金調達費用」は金銭の信託運用見合費用を控除して表示しております。
3 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
国内及び海外の役務取引等収支の状況は次のとおりであります。
当第1四半期連結累計期間の国内の役務取引は、役務取引等収益が3,267億円で前年同期比251億円の増収、役務取引等費用が955億円で前年同期比97億円増加した結果、役務取引等収支では、前年同期比154億円増加して2,311億円となりました。海外の役務取引は、役務取引等収益が2,215億円で前年同期比15億円の減収、役務取引等費用が400億円で前年同期比29億円増加した結果、役務取引等収支では、前年同期比45億円減少して1,815億円となりました。
この結果、役務取引等収支合計では前年同期比345億円増加して3,682億円となりました。
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2 「その他商業銀行業務」には、預金・貸出業務、代理業務、保護預り・貸金庫業務等を含んでおります。
3 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
国内及び海外の特定取引収支の状況は次のとおりであります。
当第1四半期連結累計期間の国内の特定取引は、特定取引収益が662億円で前年同期比155億円の増収、特定取引費用が169億円で前年同期比230億円減少した結果、特定取引収支では、前年同期比385億円増加して493億円となりました。海外の特定取引は、特定取引収益が1,015億円で前年同期比159億円の増収、特定取引費用が368億円で前年同期比178億円減少した結果、特定取引収支では、前年同期比338億円増加して646億円となりました。
この結果、特定取引収支合計では前年同期比735億円増加して1,091億円となりました。
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
3 定期性預金=定期預金+定期積金
4 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
(注) 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。
「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
(2) 主要な設備
株式会社三菱UFJ銀行及び三菱UFJ信託銀行株式会社は固定資産をセグメントに配分しておりますが、その他の子会社は固定資産をセグメントに配分していないため、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。
(㈱三菱UFJ銀行)
a 重要な設備計画の新設等
(ⅰ) 新設等
(注) 上記設備計画の記載金額には、消費税及び地方消費税を含んでおりません。
(ⅱ) 除却等
(注) 上記設備計画の記載金額には、消費税及び地方消費税を含んでおりません。
(1) HC Consumer Finance Philippines, Inc.及びPT Home Credit Indonesiaの買収における株式売買契約
当社の連結子会社である株式会社三菱UFJ銀行(以下、「三菱UFJ銀行」という。)及びBank of Ayudhya Public Company Limited(以下、「クルンシィ(アユタヤ銀行)」という。)並びにPT Adira Dinamika Multi Finance Tbk(以下、「ADMF」という。)は、2022年11月24日付で、Home Credit社(以下、「HC」という。)の子会社であるHC Consumer Finance Philippines, Inc.(以下、「HCフィリピン」という。)の全株式及びPT Home Credit Indonesia(以下、「HCインドネシア」という。)の株式85%を買収する株式売買契約を締結いたしました。HCフィリピン株式の取得は、2023年6月1日に完了し、三菱UFJ銀行及びクルンシィ(アユタヤ銀行)は、当該取得の対価として約393百万ユーロ*1を支払いました。HCインドネシアは、関係当局の承認等を前提に、2023年中を目途に株式を取得予定であり、当該取得にかかる金額は総額185百万ユーロを見込んでおります。なお、本件後の議決権所有割合は、HCフィリピンがクルンシィ(アユタヤ銀行)75%・三菱UFJ銀行25%、HCインドネシアがクルンシィ(アユタヤ銀行)75%・ADMF10%となります。
*1 今後、契約に基づく価格調整あり
① PT Adira Dinamika Multi Finance Tbkの概要
(ⅰ) 名称 PT Adira Dinamika Multi Finance Tbk
(ⅱ) 所在地 Millennium Centennial Center IFI. 53rd-61st, JI. Jenderal Sudirman
Kav. 25, Jakarta 12920
(ⅲ) 代表者の役職・氏名 I Dewa Made Susila, President Director
(ⅳ) 事業内容 オートローンの提供等
(ⅴ) 資本金 1,000億ルピア(2023年6月30日現在)
(ⅵ) 設立年月日 1990年11月13日
ADMFは、PT Bank Danamon Indonesia, Tbk.(以下、「ダナモン銀行」という。)の子会社で、オートローンを中心に事業を展開しております。当社及び三菱UFJ銀行は、ダナモン銀行とADMFを2019年4月に連結子会社化いたしました。
② HC Consumer Finance Philippines, Inc.の概要
(ⅰ) 名称 HC Consumer Finance Philippines, Inc.
(ⅱ) 所在地 15th Floor Ore Central, 31st Street corner 9th Avenue, Bonifacio
Global City, Taguig, Philippines
(ⅲ) 代表者の役職・氏名 David Minol, CEO
(ⅳ) 事業内容 耐久財購入時の個人向けPOSローン*2等
(ⅴ) 資本金 7,625,000,700ペソ(2023年6月30日現在)
(ⅵ) 設立年月日 2013年1月25日
③ PT Home Credit Indonesiaの概要
(ⅰ) 名称 PT Home Credit Indonesia
(ⅱ) 所在地 Plaza Oleos 8th Floor, Jl. T.B Simatupang No. 53A, Pasar Minggu,
Jakarta Selatan, Indonesia
(ⅲ) 代表者の役職・氏名 Animesh Narang, CEO
(ⅳ) 事業内容 耐久財購入時の個人向けPOSローン*2等
(ⅴ) 資本金 6,000億ルピア(2023年6月30日現在)
(ⅵ) 設立年月日 2012年1月30日
HCフィリピン及びHCインドネシアは、POSローン*2やキャッシュローン等の金融サービスを提供するコンシューマーファイナンスカンパニーです。当社及び三菱UFJ銀行は、HCフィリピンを2023年6月に連結子会社化いたしました。
*2 Point of Saleローンの略。耐久財(自動車や家電施肥品等)の販売店等での商品購入時に提供する割賦ローン