独立監査人の監査報告書
三菱UFJ信託銀行株式会社
監査意見
当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている三菱UFJ信託銀行株式会社の2019年4月1日から2020年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。
当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、三菱UFJ信託銀行株式会社及び連結子会社の2020年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠
当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
監査上の主要な検討事項
監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
当監査法人は、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、以下の事項を監査上の主要な検討事項とした。
Colonial First State Group Limitedの主要完全子会社の取得により計上した無形固定資産に係る公正価値評価について
会社は、アセットマネジメント事業における戦略的施策の一環として買収・出資等を実施し、その業務範囲はグローバルベースで拡大している。海外企業の取得により生じた無形固定資産の評価は、こうしたグローバルベースで拡大している業務の成果と関連しており、連結財務諸表の利用者による連結財務諸表の理解にとって重要である。
会社は、2019年8月2日付でColonial First State Group Limitedの主要完全子会社(取得後にその商号をColonial First State Group LimitedからFirst Sentier Investorsに変更。以下、「FSI」という。)の株式を100%取得した。当該企業結合取引の結果として、会社が連結財務諸表に計上した無形固定資産には、「顧客関連資産」(企業結合日の時価1,008億円)が含まれている。なお、当該企業結合取引の詳細は、連結財務諸表の注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)「1.連結の範囲に関する事項」(1)連結子会社 (連結の範囲の変更)、及び、(企業結合等関係)「Colonial First State Group Limitedの主要子会社の株式取得による子会社化」に記載されている。
監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由
「顧客関連資産」の企業結合日における時価は、FSIが運用する既存のファンドに係る顧客との契約関係から得られる将来キャッシュ・フローの現在価値として算定されているが、その算定プロセスには各種の見積りや仮定が考慮されている。具体的には、将来キャッシュ・フローの見積りの重要な要素として、市場の成長予測を反映した預り資産残高の増加率、及び、過去実績に基づく既存顧客の剥落率が考慮されている。また、将来キャッシュ・フローがその見積値から乖離するリスクについては割引率に反映されている。
これらの重要な見積りや仮定には、企業価値評価に係る専門的な知識が要求されるとともに、主として市場や顧客等の状況といった外部要因により変動するものであるため、不確実性及び経営者の主観的な判断の程度が高い。
上記の無形固定資産の時価を算定するために用いた重要な見積りや当該見積りに用いた仮定が適切でない場合には、結果として、企業結合時の無形固定資産の取得原価が適切に測定されないリスクが潜在的に存在している。したがって、これらの重要な見積りや見積りに用いた仮定を含む無形固定資産の時価評価の妥当性は、当監査法人の監査上の主要な検討事項である。
監査上の対応
当該監査上の主要な検討事項に対して当監査法人は、主に、会社による無形固定資産の時価評価に係る内部統制の有効性を評価し、また、会社による時価評価の結果を入手し、その妥当性を評価した。
将来キャッシュ・フローの見積りに適用された、市場の成長予測を反映した預り資産残高の増加率及び過去実績に基づく既存顧客の剥落率並びに割引率が、適切に決定されることを確保するための社内における査閲と承認に係る内部統制の有効性を評価した。また、当該内部統制において利用される重要な基礎データについては、正確性と網羅性を確保するための内部統制の有効性を評価した。
さらに、将来キャッシュ・フローの見積りに適用された市場の成長予測を反映した預り資産残高の増加率及び過去実績に基づく既存顧客の剥落率並びに割引率が、企業に固有の事情を反映して適切に見積られているかどうかについて、企業価値評価に係る内部専門家を利用し、利用可能な企業外部の情報との比較を含め、その妥当性を評価した。
連結財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任
経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。
連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。
監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
連結財務諸表監査における監査人の責任
監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。
・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。
・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。
・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。
・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。
・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。
監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。
監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。
利害関係
会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。
以 上