独立監査人の監査報告書

 

 

2021年6月25日

 

三菱UFJ信託銀行株式会社

取 締 役 会  御 中

 

有限責任監査法人 トーマツ

 

 

東京事務所

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

玉    井    照   久

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

清  水  基  弘

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

下 飯 坂  武  志

 

 

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている三菱UFJ信託銀行株式会社の2020年4月1日から2021年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、三菱UFJ信託銀行株式会社及び連結子会社の2021年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

当監査法人は、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、以下の事項を監査上の主要な検討事項とした。

 

子会社First Sentier Investorsの取得により計上したのれんの評価

会社は、2019年8月2日付で資産運用会社であるFirst Sentier Investors(以下、「FSI」という。)の株式を100%取得した。会社が連結財務諸表に計上したのれんには、当該企業結合により計上したのれん1,777億円が含まれている。また、当該のれんについては、連結財務諸表の注記事項である(重要な会計上の見積り)FSIの取得により計上したのれんの評価に記載されているほか、(セグメント情報等)報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報において、受託財産部門ののれんの金額に含めて記載されている。

後述の「監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由」に記載の通り、当該のれんの評価は、経営者の主観性又は見積りの不確実性を伴い、連結財務諸表の監査において相対的に重要であることから、当連結会計年度の連結財務諸表の監査における監査上の主要な検討事項とした。

これに対し、前連結会計年度の連結財務諸表の監査において監査上の主要な検討事項としたFSIの取得により計上した無形固定資産に係る公正価値評価については、関連する無形固定資産の企業結合取引時における公正価値評価が前連結会計年度に完了していることから、当連結会計年度の連結財務諸表の監査における監査上の主要な検討事項としていない。

 

 

 

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

会社は戦略的施策の一環として、グローバルベースでの買収・出資・資本提携等を実施し、その業務範囲はグローバルベースで拡大している。このように業務範囲を拡大すれば、相手先の属する業界や相手先をとりまく経営環境の想定外の変化等により、新しくかつ複雑なリスクに晒される可能性がある。海外企業の取得により生じたのれんの評価は、こうしたグローバルベースで拡大している業務の成果と関連しており、連結財務諸表の利用者による連結財務諸表の理解にとって重要である。

のれんに減損の兆候がある場合には減損テストを実施することが求められるため、会社は、減損の兆候を把握するためにFSIの実情を踏まえた一定の判断基準を設けている。具体的には、FSIの最新の事業計画を考慮した将来の一定期間にわたる予想利益が、収益性の低下により投資の回収が見込めなくなる可能性を示す水準まで落ち込んでいないかどうかについて、一定の基準を定めて判断している。このほか会社は、のれん償却額を考慮したFSIの営業利益が2期連続で赤字となっていないかどうか、FSIに対する投資の回収可能性を著しく低下させる要因となり得る株式市場における株価指数の悪化の有無、FSIの預り資産残高の減少の有無及び主要なファンド・マネジャーの離職状況等について分析し、減損の兆候を把握している。

このうち以下の項目には、市場や顧客等の状況といった将来の不確実な外的要因に対する判断や、現在及び過去の事実あるいは業績を踏まえた将来予測を含んでおり、経営者の主観性又は見積りの不確実性が伴う。

・FSIの将来一定期間にわたる予想利益に係る見積り

・回収可能性を著しく低下させる要因の有無に係る判断

会社は現時点で減損の兆候を把握していないが、減損の兆候を把握するために会社が利用するFSIの将来一定期間にわたる予想利益に係る見積り及び回収可能性を著しく低下させる要因の有無に係る判断が適切でない場合には、のれんの減損の兆候を適時に把握できないリスクが潜在的に存在している。したがって、これらの重要な見積りや見積りに用いた仮定を含むのれんの評価は、連結財務諸表の監査において相対的に重要であり、当監査法人の監査上の主要な検討事項である。

 

監査上の対応

当該監査上の主要な検討事項に対して当監査法人は、FSIののれんの評価に係る会社の内部統制の有効性を評価し、また、減損の兆候の有無を検討するために、会社が減損の兆候が無いと判断した根拠資料を入手し、その妥当性を評価した。

減損の兆候を把握するために、FSIの予想利益を合理的に見積り、回収可能性を著しく低下させる要因を網羅的に把握し、適切に評価に反映することを確保するための社内における査閲と承認に係る内部統制の有効性を評価した。

さらに、経営者が減損の兆候を把握するために利用したFSIの将来一定期間にわたる予想利益に係る見積りが、FSIの最新の事業計画に基づいて、直近までの入手可能な事実を反映した最善の見通しとなっているかを評価した。また、回収可能性を著しく低下させる要因が生じていないことを確かめるため、会社の担当者への質問とともにその裏付けとなる内部資料及び外部資料を閲覧し、批判的に検討した。

 

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

連結財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

利害関係

会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以  上

 

 

(注)1 上記は独立監査人の監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものであり、その原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

 

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