文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。
当社および当社グループ各社は、MUFGグループの中核企業の一つとして、MUFGグループの事業戦略を通じて信託銀行の機能を発揮し、総合金融グループとしてのシナジーを追求しております。MUFGグループは、2021年4月からの中期経営計画(2021年度版)のスタートに合わせ、次のとおり「MUFG Way」を制定し、当社も全ての活動の最も基本的な指針となるものとして、これを採択しております。
また、当社においても、2021年4月より現在の中期経営計画(2021年度版)をスタートさせておりますが、この中では「「安心・豊かな社会」を創り出す信託銀行」をサステナビリティ活動指針として掲げ、以下の4つの事業戦略を策定し、それを支える事業基盤を「人財育成・エンゲージメント」、「業務基盤・社会への貢献」として、お客さま、社会および株主等の全てのステークホルダーから評価をいただける信託銀行を目指して、経営に当たっております。
当社がサステナビリティ活動指針として掲げております「「安心・豊かな社会」を創り出す信託銀行」とは、当社が、様々な社会課題の解決を通じて、社会やお客さまの持続的な成長のためにたゆまぬ活動を続けていくことを意味しております。具体的には、当社が持つ「人財」、「ノウハウ・ナレッジ」、「アセット」を活用し、新しい商品やサービスを開発・提供していく事業活動と、社会貢献活動を通して、社会課題を解決していくことにより、「安心・豊かな社会」を創り出していきたいと考えております。
当連結会計年度の金融経済環境でありますが、世界経済は、コロナ禍に起因する各種の供給制約やウクライナ紛争によるエネルギー価格高騰が招いた世界的なインフレの高進、それを受けた各国での大幅な金融引き締めが景気を下押ししたものの、「ウィズコロナ」を前提に経済活動の正常化が進んだことで、全体としては緩やかながら回復を続けました。もっとも、ウクライナ紛争は長期化の様相を呈しているほか、これまでの金融引き締めの累積的な効果により世界経済への下押し圧力は一段と強まってきており、昨年末以降、景気の減速基調が明確化してきています。また、3月以降に発生した欧米の金融システム不安については、今後、実体経済への影響が顕在化してくるリスクも否定できません。わが国では、昨年3月にまん延防止等重点措置が解除されて以降、経済活動の正常化とコロナ対策の両立が着実に進展しており、景気は緩やかな回復を続けています。
金融市場に目を転じますと、株価は、ウクライナ紛争など地政学リスクを巡る緊張が高まり、さらに各国中銀が金融引き締め姿勢を強める中で値を下げる局面もありましたが、概ね高値圏で推移しました。金利については、米欧での急速な利上げを受け、年後半にかけて市中金利は上昇基調で推移しましたが、その後は、途中上下しつつも、徐々に水準を切り下げてきています。わが国では、短期金利は低水準での推移が続きましたが、長期金利は、昨年12月の日銀によるイールドカーブ・コントロールの一部見直しによりやや上昇しました。円の対ドル相場は、昨年10月には32年ぶりに151円台まで円安が進行しました。その後は政府・日銀の為替介入や米国の利上げペース鈍化、日銀の政策見直しなどにより、円安進行には歯止めが掛かり、円高・ドル安方向にやや水準調整された形で推移しています。
(3)対処すべき課題
当社は、高い専門性とMUFGグループの広大な顧客基盤を融合し、相続業務および不動産、年金、証券代行等に軸足を置いた信託型の「コンサルティング&ソリューションビジネス」を引き続き展開していくとともに、重要な成長領域である国内外のアセットマネジメント事業およびインべスターサービス事業にも一層注力し、お客さま、社会および株主等の全てのステークホルダーから評価をいただける信託銀行を引き続き目指してまいります。
① 各事業部門における課題
(リテール部門)
高齢化や認知症の社会問題化等に伴う不安に対して、お客さまの大切な財産を「増やす」「守る」「使う」「継承する」ことができる安心感を提供するために、多様なソリューションをワンストップで提供するパートナーでありたいと考えております。そのためには、お客さまの資産全体と向き合ってコンサルティングを提供する、総資産コンサルティングをさらに深めていくことが必要であり、そのための人財の育成が重要と考えております。
(法人マーケット部門)
法人のお客さまに対して、主に取り組むべき社会課題は、「お取引先企業の成長サポートを通じた日本経済発展への貢献」と「社会インフラの整備」と考えております。1点目につきましては、証券代行事業を通じたコーポレートガバナンス強化への対応をメインとして、企業年金制度の運営サポートや、信託の仕組みを使った資金調達の支援にも引き続き取り組んでまいります。2点目につきましては、不動産事業を通じて社会とその持続的発展を支える基盤づくりに貢献してまいりたいと考えております。
(受託財産部門)
少子高齢化を背景に、DB(確定給付企業年金)やDC(確定拠出年金)による資産形成の重要性が一層増してきている中で、時代の流れに合わせた商品開発を行い、運用会社として、また運用会社をサポートするサービスプロバイダーとして年金制度を支えていくことが最大のミッションであると考えております。アセットマネジメント事業では、商品ラインナップと運用力の強化を図ってまいります。国内法人のお客さま向けのオルタナティブ商品の拡充や、個人のお客さまのニーズに合ったご提案ができるような運用商品の拡充も推進し、さらに、ESG商品の提供や、投資先評価にESG目線を盛り込んだ投資判断を実行してまいります。また、インベスターサービス事業においては、国民の資産運用や経済活動、世界の資本市場のサステナビリティを支えるため、不測の事態にも耐えうる強固な業務基盤を維持することが重要であると考えております。
(市場部門)
市場・金融規制に加え、市場参加者に対する社会からの目線の高まりなど、市場部門に係る事業環境は国内外で大きく変化しております。当社は、さらなるグローバル分散投資の進化・拡大や、機関投資家向けビジネスの拡大を図ることにより、安定した資金収益の確保に努めるとともに、資産運用会社等のお客さま向けの為替マネジメントサービス等アウトソースニーズに応えるサービス提供を引き続き行ってまいります。
上記の各部門における取組みに加え、さらに当社は、信託ビジネスのイノベーションへの取組みとして、シルバー金融ビジネス、インフラビジネス、データ信託を柱とした新商品・新サービスの創出、デジタル技術を活用したお客さまの課題解決にも挑戦してまいります。
② 業務効率化・業務スタイル変革
経費のモニタリング、商品や事業の新陳代謝の仕組み化、手続きのオンライン化や内部事務のペーパーレス化・自動化、働き方に応じたオフィスの見直し、新しいコミュニケーション手段の導入等により、業務効率化と業務スタイルの変革に取り組んでまいります。
③ 当社を支える基盤となる取組みと持続可能な社会実現への貢献
当社は、国内外の各種法令・制度改正への厳格な対応等、コンプライアンスの徹底とリスク管理の一層の高度化を引き続き推進するとともに、信託銀行として求められる高度な企業倫理を果たすべく、当社役職員に求められる思考様式・行動様式を制定した「三菱UFJ信託銀行のFiduciary Duty」の更なる浸透を図ってまいります。
また、サステナビリティ活動指針として掲げております「「安心・豊かな社会」を創り出す信託銀行」として、事業活動や社会貢献活動を通じて、さまざまな社会課題を解決し、当社が持つ「人財」「ノウハウ・ナレッジ」「アセット」を活用して、新しい商品、新しいサービスの提供など、具体的なアクションを続けてまいります。
加えて、お客さま本位の業務運営の更なる高度化を図るために、その取組みを定期的に公表・見直しするとともに、引き続きお客さまの利益に適う商品・サービスの提供に努めてまいります。
また、運用機関としての一層のガバナンス強化を図るために、取締役会傘下の第三者機関である「スチュワードシップ委員会」による当社のスチュワードシップ活動についての定期的なモニタリングの実施、利益相反管理の強化や議決権行使結果の公表の充実等、運用機関としてのスチュワードシップ活動の実効性を更に高めるための施策を引き続き実行してまいります。
当社の親会社である株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの中期経営計画では、中期経営計画の最終年度である2023年度の財務目標の水準を以下のとおり設定しております(2021年5月公表)。
[ROE目標・資本運営のターゲット]
[ROE目標達成に向けての3つのドライバー]
*1.バーゼルⅢ規制見直しの最終化によるリスク・アセット増加影響を反映させた試算値。その他有価証券評
価差額金を除く
*2.親会社株主に帰属する当期純利益
*3.中長期の経費率目標(60%程度)は不変
①サステナビリティ全般
当社は、持続可能な環境・社会の実現とMUFGの持続的成長のための当社の環境・社会への取組みについて審議することを目的に、経営会議の傘下にサステナビリティ委員会を設置し、同委員会を中心としたサステナビリティ推進体制を構築しております。サステナビリティ委員会は、Chief Sustainability Officerが委員長を務め、経営戦略と一体でサステナビリティの取組みを推進しております。
サステナビリティ委員会では、サステナビリティ推進に係る調査・審議を行い、重要事項については経営会議および取締役会に付議・報告しております。またサステナビリティ委員会の傘下にはサステナブル投資検討部会を設置しており、同検討部会では、資産運用における重大なESG課題のレビュー結果やESG領域におけるグループ内の資産運用会社との協働状況などを審議・報告し、その内容はサステナビリティ委員会を通じて、経営会議・取締役会に付議・報告しております。
また取締役会は、グループレベルの課題を俯瞰し、審議を要する重要テーマを特定し、年次でPDCA管理を行っておりますが、「サステナビリティ経営」についても重要テーマとし、取締役会に加え、個別セッションも活用して活発な議論を行っております。
MUFGグループのサステナビリティへの幅広い取組みを客観的に評価する観点から、2021年度より株式報酬の業績連動指標にESG評価機関5社(MSCI、FTSE Russell、Sustainalytics、S&P Dow Jones、CDP)による外部評価の改善度を導入しています。またサステナビリティ活動を推進する枠組みの一つとして、役員賞与の職務遂行状況(定性評価)の中にサステナビリティ活動に関する関連目標を設けております。
②気候変動
MUFGでは、持続可能な社会の実現に貢献するため、優先的に取り組む環境・社会課題の一つに「気候変動対応・環境保全」を掲げており、金融安定理事会(FSB)によって設立された気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climaterelated Financial Disclosures:TCFD)が策定した提言を支持しております。当社もMUFGグループの一員として、「MUFG環境方針」他、環境・社会課題解決への取組みに係るMUFGの基本方針等を採択し、「気候変動対応・環境保全」についても取り組んでおります。
当社では、気候変動を含む環境・社会に係る機会およびリスクへの対応方針・取組み状況を経営会議傘下のサステナビリティ委員会で定期的に審議しております。また、気候変動に関するリスクを最も注意すべきリスクの一つと認識しており、同じく経営会議傘下のリスク管理委員会においても審議しております。
これら委員会での審議内容は、業務執行における重要事項について審議・決定を行う経営会議への報告後、必要に応じ、取締役会において報告・審議されます。このように、気候変動への取組みは、取締役会が監督する態勢としております。
①サステナビリティ全般
MUFGは、持続可能な環境・社会の実現に向けて、「世界が進むチカラになる。」を起点に課題の抽出を行い、世の中からの期待と、MUFGの事業領域との親和性の両面から、「少子・高齢化社会への対応」、「気候変動対応・環境保全」、「社会インフラ整備」他、MUFGとして優先的に取り組む10課題を特定しており、当社もその実現に向けたさまざまな取組みを推進しております。
例えば、当社は少子・高齢化社会への対応として、お客さまの財産を「増やす」「守る」「使う」「継承する」ための商品・サービスの拡充に取り組んでおり、また自己資金による匿名組合出資を通した日本各地の太陽光発電所、風力発電所への出資も拡大しております。
また、当社は、「「安心・豊かな社会」を創り出す信託銀行」をサステナビリティ活動指針として掲げ、当社自身が創出する事業や活動の結果から生じる社会的・環境的な変化、便益といった社会的インパクトを拡大すべく、全社でこの活動を推進しております。
当社としては、この目指す姿を実現する一つの形が「責任投資」であると考えており、日本における責任投資のパイオニアとして責任投資市場を牽引する存在でありたいと考えております。そのために「MUFG AM責任投資ポリシー」に基づき、運用資産におけるESGインテグレーションやエンゲージメント、議決権行使に取り組み、傘下の資産運用会社であるFirst Sentier Investorsと協働して「MUFGファースト・センティア サステナブル投資研究所」を設立するなど、資本市場における責任投資の普及に貢献しております。
②気候変動
当社は、日本銀行における気候変動対応を支援するための資金供給オペレーションの対象先として選定されているほか、機関投資家として、責任投資原則(Principles for Responsible Investment:PRI)の趣旨に賛同し、ESGの要素を考慮した投資に取り組んでおります。また、「気候変動に関するアジア投資家グループ(AIGCC)」のボードメンバーの一員として、アジア地域における気候変動問題への取組みの推進に貢献している他、運用会社のイニシアティブであるNet Zero Asset Managers initiative(NZAM)に加盟し、気候変動問題への取組みを加速しております。
当社は、お客さまに提供する商品・サービスや、事業活動に伴う環境負荷を低減するための施策を通じて、脱炭素社会への移行に向けた取組みを支援するとともに、責任ある投資家として、全ての運用資産において持続可能な社会の実現のみならず、中長期的なリターンの向上と市場全体の持続的な成長を目的として責任投資に取り組み、「安心・豊かな社会」の実現を目指してまいります。
③人的資本
MUFGでは、社員の挑戦を後押ししつつ、重点領域の育成・採用、女性マネジメント比率向上などの人的資本拡充への取組みを強化しています。
(ア)人材育成方針
MUFGでは、MUFG Wayに相応しい人事マネジメントを実現するための基本的な考え方として「MUFG人事プリンシプル」を策定しています。
人材育成に関しては、「従業員一人ひとりが知識や専門性のみならず、見識や価値観を高められる教育機会を提供し、MUFG Wayを実現できる人材を育成すること」を基本理念としています。
事業環境が大きく変化する中で、変化をチャンスに変えていくために、MUFGの中期経営計画においては「「挑戦と変革の3年間」を支える人材戦略」を主要方針に掲げており、自律的に判断・行動する社員を育成し、社員の自己革新を促進することを目指しています。
(イ)社内環境整備方針
MUFGのパーパスである「世界が進むチカラになる。」の実現に向けて、「インクルージョン&ダイバーシティ」「働き方改革の推進」をサステナビリティ経営の優先10課題として取組みを進めています。多様な価値観やバックグラウンド、就業意識を持つ社員が互いに尊重・切磋琢磨し、一人ひとりが成長・活躍できる組織・カルチャーの醸成を通じてダイバーシティ・エクイティ・インクルージョンを推進するとともに、リモートワークやペーパーレス化等のインフラ整備や勤務ルールの柔軟化を通じて働き方改革を推進しています。
人材を惹きつけ、社員が持てる力を最大限発揮するための人事制度を構築するとともに、他社比競争力のある処遇を提供しています。社員の人権を尊重するとともに、事業を展開する各国・地域の法令遵守、労働環境、労働時間の定期的なモニタリングおよび改善、財産形成貯蓄制度、企業年金、持株会等を通じた社員の安定的な資産形成、Financial Wellnessの向上を通じて、社員の心身の健康促進・私生活の充実に取り組んでいます。
①サステナビリティ全般
当社は、「サステナビリティ活動指針」に基づき事業戦略・財務計画を策定・実施するに当たり、適切なリスクをとり、リスクに見合う収益を確保し、想定外の損失を回避するため、計画・戦略実施に必要なリスクの種類と量(リスク・アペタイト)を適正に設定し、運営しております。
また、MUFGは、「MUFG環境方針」、「MUFG人権方針」のもと、ファイナンスにおいて、環境・社会に係るリスクを管理する枠組みとして、「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」を制定しており、当社もそれを採択しております。環境・社会への影響が懸念される特定のセクターについては、ファイナンスにおけるポリシーを定めるとともに、ファイナンスの対象となる事業の環境・社会に対するリスクまたは影響を特定し、評価するためのデューデリジェンスのプロセスを導入しております。
対象事業の環境・社会に対するリスクが重大であり、当社の企業価値の毀損に繋がりうる、評判リスクに発展する可能性がある事業については経営層が参加する枠組みにおいて対応の協議を行っております。
環境・社会にかかる機会およびリスクへの対応方針・取組み状況は、テーマに応じてリスク管理委員会やサステナビリティ委員会においても審議・報告を行っています。各委員会の審議内容は経営会議への報告後、取締役会において報告・審議され、取締役会が環境・社会課題に関するリスクを監督する態勢としております。
②気候変動
当社は、気候変動に関するリスクの把握・評価や、情報開示の重要性を認識し、経営層を交えて議論することで、リスク認識を共有した上でリスクコントロール策を講じております。
またMUFGは、ファイナンスにおいて、環境・社会に係るリスクを管理する枠組みとして、「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」を制定しており、当社もそれを採択しております。石炭火力発電や鉱業(石炭)、石油・ガス等、気候変動を含む環境・社会への影響が懸念される特定のセクターについては、ファイナンスにおけるポリシーを定めるとともに、ファイナンスの対象となる事業の環境・社会に対するリスクまたは影響を特定し、評価するためのデューデリジェンスのプロセスを導入しております。
①サステナビリティ全般
MUFGは、環境・社会課題の解決に向けた具体的な指標・目標を設定し、モニタリングしており、2019年度から2030年度までの環境・社会課題の解決に向けた累計実行額をサステナブルファイナンス目標として設定しています。MUFGは、2019年度から2030年度までの累計実行額をサステナブルファイナンス目標として35兆円(うち環境18兆円)に設定しており、当社もMUFGグループの一員として、その実現に向けて取り組んでおります。
②気候変動
MUFGは2021年5月に、「MUFGカーボンニュートラル宣言」を発表し、2050年までに投融資ポートフォリオのGHG排出量のネットゼロ、2030年までに自らのGHG排出量のネットゼロを達成することを掲げており、当社もMUFGグループの一員として、その達成に向けて取り組んでおります。
また当社および傘下の資産運用会社である三菱UFJ国際投信株式会社、エム・ユー投資顧問株式会社、Mitsubishi UFJ Asset Management(UK)Ltdは、2050年までのGHG排出量のネット・ゼロ達成に向けて、運用資産のGHG排出量にかかる2030年の中間目標を設定いたしました。(運用資産の55%を対象とし、その経済的原単位あたりのGHG排出量を2019年対比で50%削減)
「MUFG環境方針」のもと、パリ協定の合意事項達成のため、事業を通じて脱炭素社会へのスムーズな移行を支援し、環境と経済の好循環による持続可能な社会の実現に積極的に貢献してまいります。
③人的資本
MUFGでは、人的資本を最重要資本の一つとして位置付けており、人的資本の拡充を通じて、社員がさらなる成長や挑戦、自己革新できる環境を整えています。当社では、国内において、2023年度に教育研修費として8億円投資予定です。また、外部への教育研修費以外にも、役職員が講師となる各社およびMUFG共通の研修を通じて、役職員に対し多様な教育の機会を提供してまいります。
多様な社員一人ひとりが持てる力を最大限に発揮できる職場づくりに取り組んでおります。特に、女性のマネジメント比率向上は喫緊の課題との認識のもと、MUFGでは、中長期的な数値目標を設定し、トップのコミットメントのもと女性の育成・登用に取り組んでおります。当社では、2024年3月末までに日本国内の女性のマネジメント比率を13.0%とする数値目標を設定しており、2022年度末時点における実績(注)は12.5%であります。
(注)2022年度中に発令等確定した人事異動は反映しております。
当社は、各種のリスクシナリオが顕在化した場合の影響度と蓋然性に基づき、その重要性を判定しており、今後約1年間で最も注意すべきリスク事象をトップリスクとして特定しております。2023年3月の当社リスク管理委員会において特定されたトップリスクのうち、主要なものは以下のとおりです。当社では、トップリスクを特定することで、それに対しあらかじめ必要な対策を講じて可能な範囲でリスクを制御するとともに、リスクが顕在化した場合にも機動的な対応が可能となるように管理を行っております。また、経営層を交えてトップリスクに関し議論することで、リスク認識を共有した上で実効的対策を講じるように努めております。
主要なトップリスク
(注)リスク事象:2023年3月の当社リスク管理委員会での調査審議を経て、取締役会に報告されたものの一例です。一般的に起こり得る事象で、当社固有でない情報も含まれます。
当社グループ(以下、当社という。)の事業その他に関するリスクについて、上記トップリスクに係る分析を踏まえ、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項は、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める所存です。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
1.外部環境等に関するリスク
(1)本邦および世界の経済の悪化のリスク
本邦および世界の経済は、世界的なインフレの動向、主要国における金融政策や財政政策の変更および主要国の財政状態、為替レートの急速かつ大幅な変動、金融機関に対する不安や懸念および金融業界の動向、米国政権の動向、米中対立の懸念、世界的な地政学リスク、国際的な商品供給や貿易活動の停滞、世界各地域における政治的混乱等の要因から先行き不透明な状況です。本邦および世界経済が悪化した場合、当社には、保有する有価証券等の市場価格の下落による損失、貸出先の業績悪化等による不良債権および与信関係費用の増加、外貨資金流動性の悪化、外貨資金調達コストの増加、リスクアセットの増加等が生じる可能性があります。また、各国の中央銀行の金融政策の変更によるグローバルな金利上昇を受けた外貨調達コスト増加等に伴う資金収益力の低下、お客さまの預かり資産減少等に伴う信託報酬や手数料収益の減少等により、当社の収益力が低下する可能性があります。さらに、経済活動の停滞による企業の新規投資や商取引の減少、個人消費の落ち込み、先行き不透明な金融市場での投資意欲減退、などが生じる可能性があります。
また、債券・株式市場や外国為替相場の大幅な変動により金融市場の混乱・低迷、世界的な金融危機が生じた場合等には、当社が保有する金融商品の価値が下落し、適切な価格を参照できない状況が生じ、または金融市場の機能不全が生じ、当社が保有する金融商品において減損もしくは評価損が生じる可能性があります。
これらにより、当社の事業、財政状態および経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。
(2)外的要因(紛争・テロ・自然災害等)に関するリスク
紛争(深刻な政情不安を含む。)、テロ、国家間対立やこれに起因する経済制裁、地震・風水害・感染症の流行等の自然災害等の外的要因により、社会インフラに障害が発生し、当社の店舗、ATM、システムセンターその他の施設が被災し、または業務の遂行に必要な人的資源の損失、またはその他正常な業務遂行を困難とする状況が発生することで、当社の業務の全部または一部が停止または遅延するおそれ、あるいは事業戦略上の施策や市場・規制環境の変化への対応が計画通り実施できないおそれがあります。また、これらの事象に対応するため、予防的なものも含めた追加の費用等が発生するおそれがあります。加えて、これらの事象により当社や取引先が事業を行っている市場に混乱が生じるおそれがあります。これらにより、当社の財政状態や経営成績に悪影響が生じるおそれがあります。
また、当社は、自然災害のなかでも特に地震による災害リスクにさらされており、首都圏等当社の事業基盤が集中している地域において大規模な地震が発生した場合には、当社の財政状態や経営成績に悪影響が生じるおそれがあります。当社では、このような災害等のリスクに対し、各国当局の規制等を踏まえた業務継続態勢を整備し、訓練等を通じた検証を行うことにより、常にオペレーショナル・レジリエンス(紛争、テロ(含むサイバーテロ)、自然災害等の事象が発生しても、重要な業務を継続できる総合的な能力)の強化を図っておりますが、必ずしもあらゆる事態に対応できるとは限りません。
(3)LIBOR等の金利指標の改革に係るリスク
当社では、デリバティブ、債券、証券化商品、貸出等、引き続き多数の取引においてロンドン銀行間取引金利(LIBOR)等の金利指標を参照しております。LIBOR運営機関であるICE Benchmark Administrationは、パネル行の呈示レートに基づき算出するLIBORについて、2021年12月末に日本円・英ポンド・ユーロ・スイスフランの全テナーならびに米ドル1週間物および2ヶ月物の公表を停止しました。また、同運営機関は、2023年6月末に米ドルの残り全てのテナーの公表を停止予定です。
当社では、これまでLIBOR公表停止に備え、LIBOR等の金利指標の改革や代替金利指標への移行対応を進めてきており、2021年末に公表停止となったLIBORを参照する取引の対応が完了致しました。2023年6月末に公表停止予定の米ドルLIBORの各テナーを参照する取引については、移行が困難な契約を救済するための立法措置の整備が進められていますが、引き続き2023年6月末の米ドルLIBORの各テナーの公表停止を踏まえた代替金利指標への移行対応が必要です。LIBOR等からの代替金利指標への移行は、これらの代替金利指標に係る経済的な特性・成果、市場動向、また会計・規則上の取扱いを含め、複雑かつ不確実な要素があり、これによって、以下の事由を含め、当社の事業、財務状況および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
・当社の金融資産および負債に含まれるLIBOR等を参照するデリバティブやローンを含む幅広い金融商品の価格、流動性、収益性および取引可能性に悪影響を及ぼす可能性
・既存のLIBOR等を参照する契約の参照金利をLIBOR等から代替金利指標に変更するための契約修正等がLIBOR等の公表停止時期までに完了しない可能性
・顧客、取引相手方等との間で、金利指標の改革や代替金利指標への移行に伴う、契約の解釈、代替金利指標との価値調整等に係る紛争が生じる、あるいは顧客との取引における不適切な取引慣行および優越的地位の濫用等に関する紛争に繋がる可能性
・LIBOR等の改革や代替金利指標への移行に関する規制当局への対応が必要となる可能性
・LIBOR等の改革や代替金利指標への移行に対応するための事務やリスク管理に係るシステムが十分に機能しない可能性
気候変動に伴う自然災害や異常気象の増加等によってもたらされる物理的な被害、ならびに気候関連の規制強化および政策の多様化、脱炭素技術への対応といった脱炭素社会への移行により、当社の事業活動が直接的に影響を受け、または、当社の投融資先の事業や財務状況に影響を及ぼし、投融資先への影響を通じて当社および当社が顧客から管理・運用を委託された資金の投融資ポートフォリオの管理・運営に影響を与え、当社の経営成績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社は、TCFDが策定した気候変動関連財務情報開示に関する提言を支持するとともに、TCFDに沿ったリスクの把握・評価や情報開示の拡充に取り組んでおり、また、気候変動対策や脱炭素社会への移行をサポートする取組みも進めておりますが、気候変動に関するリスクへの取組みや情報開示が不十分であった場合、気候変動対策や脱炭素社会への移行をサポートするための当社の戦略が想定通り進捗しない場合、気候変動に関するリスク管理が想定通り機能しない場合、もしくは気候関連の規制強化や政策の多様化に十分に対応できない場合、またはそのように見做され、社会に対する責任を十分に果たしていないと見做された場合などには、当社の企業価値の毀損に繋がるおそれがあり、当社の事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
2.戦略に関するリスク
(1)競争、ビジネス戦略等に関するリスク
金融業界では、新たな技術の進展や規制緩和等に伴い、電子決済領域など、他業種からの参入が加速しており、今後も競争環境は益々厳しさを増す可能性があります。
また、当社は、収益力増強のためにグローバルベースで様々なビジネス戦略を実施しておりますが、競合相手である他のグローバル金融機関等による統合・買収・戦略的提携の進展等に伴い、競争が激化してきております。そうした中、以下に述べるものをはじめとする様々な要因が生じた場合には、これら戦略が功を奏しない、当初想定していた結果をもたらさない、または変更を余儀なくされ、こうした競争的な事業環境において競争優位を得られない場合、当社の事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
・当社が目指している手数料収入の増大が想定通りに進まないこと。
・デジタルトランスフォーメーション戦略の遅れ等により次世代の金融サービス提供が想定通りに進まないこと。
・本邦における長短金利操作付き量的・質的金融緩和の長期化、またはマイナス金利幅の更なる拡大により、受託財産における投資待機資金等の余裕資金が当社銀行勘定に流入することで、日本銀行当座預金へのマイナス金利に係る支払の増加や流動性規制比率の低下(短期安定資金確保を示す指標の悪化)を引き起こすおそれがあること。
・既存の貸出についての利鞘拡大が想定通りに進まないこと。
・現在実施中または今後実施する事業ポートフォリオの見直し、システム統合および効率化戦略等が想定通り進捗せず、顧客やビジネスチャンスの逸失もしくは想定を上回る費用が生じること。
・必要な人材を確保・育成できないこと。
・必要な外貨流動性を確保できないこと。
・本邦および諸外国の法規制により、金融機関以外の事業者への投資の機動性や積極性が制限されること。
・当社や、業界全体に対する信用不安の高まりによる預金流出で流動性が不足すること。
(2)業務範囲の拡大・海外事業展開に伴うリスク
当社は、業務範囲の拡大や海外事業の展開を行っており、これらに伴う新しくかつ複雑なリスクにさらされる場合があります。当社では、かかるリスクに対応するために内部統制システムおよびリスク管理システムや法規制対応体制の構築、必要な人材の確保・育成に努めておりますが、必ずしもあらゆる事態に対応できるとは限らず、当社の財政状態および経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
また、当社は、戦略的施策の一環として、グローバルベースで買収・出資・資本提携等を実施しており、今後も買収・出資・資本提携等を行う可能性があります。このような戦略的施策を踏まえ、当社では、買収・出資・資本提携後のPMI(Post Merger Integration)の着実な遂行や海外グループ会社の管理態勢高度化等に取り組んでおりますが、政治や社会情勢の不安定化、経済の停滞、金融市場の変動、監督当局の不承認、法令・会計基準の変更、当社の意図とは異なる相手先の戦略や財務状況の変化、相手先の属する地域特性・業界・経営環境の想定外の変化等により、買収・出資・資本提携等が当社の想定通り進展せず、もしくは変更・解消され、または想定通りのシナジーその他の効果を得られない可能性や、買収・出資・資本提携等に際して取得した株式や買収・出資・資本提携等により生じたのれん等の無形固定資産の価値が毀損する可能性があります。これらの結果、当社の事業戦略、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
買収・出資に伴う当社ののれん等の無形固定資産の状況については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」および「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照下さい。
さらに、業務範囲の拡大が予想通りに進展しない場合、当社の業務範囲拡大への取組みが奏功しないおそれがあります。
(1) 自己資本比率等に関するリスク
① 自己資本比率等の規制および悪化要因
当社には、バーゼルⅢに基づく自己資本比率およびレバレッジ比率に関する規制が適用されております。
また、2022年4月28日に金融庁は、自己資本比率規制に関する告示の一部改正を公布し、最終化されたバーゼルⅢの国際統一基準行に対する実施時期を2024年3月末とすることを公表しております。レバレッジ比率に関する規制について、2022年11月11日に金融庁は、日本銀行に対する預け金の額を総エクスポージャーの額から除外する現在の時限的措置を存置した上で、2024年4月から要求水準を引き上げることを公表しております。
当社またはMUFGグループの自己資本比率およびレバレッジ比率が各種資本バッファーを含め要求される水準を下回った場合、金融庁から社外流出額の制限、業務の停止等を含む様々な命令を受ける可能性があります。
また、MUFGグループ内の一部銀行子会社には、米国を含む諸外国において、現地における自己資本比率等の規制が適用されており、要求される水準を下回った場合には、現地当局から様々な命令を受けることになります。
当社の自己資本比率およびレバレッジ比率に影響を与える要因には以下のものが含まれます。
・債務者および株式・債券の発行体の信用力の悪化に際して生じうるポートフォリオの変動
・調達している資本調達手段の償還・満期等に際して、これらを同等の条件で借り換えまたは発行することの困難性
・有価証券ポートフォリオの価値の低下
・為替レートの不利益な変動
・自己資本比率等の規制の不利益な改正
・繰延税金資産計上額の減額
・その他の不利益な事象の発生
② グローバルなシステム上重要な金融機関(G-SIBs)に対する規制
G-SIBであるMUFGグループは、他の金融機関より高い資本水準が求められておりますが、今後更に高い資本水準を求められるおそれがあります。
③ 破綻時における総損失吸収力(TLAC)規制
FSBが2015年11月に公表した「グローバルなシステム上重要な銀行の破綻時の損失吸収及び資本再構築に係る原則」および2017年7月に公表した「グローバルなシステム上重要な銀行の内部総損失吸収力に係る指導原則」を踏まえ、本邦では2019年3月期よりMUFGグループを含むG-SIBsに対して一定比率以上の損失吸収力等を有すると認められる資本・負債(以下、外部TLACという。)を確保することが求められ、また、確保した外部TLACはグループ内の主要な子会社に一定額以上を配賦すること(以下、内部TLACという。)になっております。また、規制で要求される水準は2022年3月期から引き上げられました。MUFGグループ内では、当社、株式会社三菱UFJ銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社およびMUFG Americas Holdingsが主要な子会社として指定されております。MUFGグループは、外部TLAC比率または本邦における主要な子会社に係る内部TLAC額として要求される水準を下回った場合、金融庁から社外流出額の制限を含め、様々な命令を受ける可能性があります。外部TLAC比率および内部TLAC額は、自己資本比率等の規制に係る上記①、②に記載する様々な要因により影響を受けます。MUFGグループは、要求されるTLACの確保のため、適格な調達手段の発行を進めておりますが、TLACとして適格な調達手段の発行および借り換えができない場合には、外部TLAC比率および内部TLAC額として要求される水準を満たせない可能性があります。
また、MUFGグループ内の米国の一部銀行子会社であるMUFG Americas Holdingsは、現地におけるTLAC規制が適用されており、要求される水準を下回った場合には、現地当局から様々な命令を受けることになります。
(2)為替リスク
当社はグローバルにビジネスを展開しており、外貨建ての金融資産および負債を保有しております。為替レートの変動により、それらの資産および負債の円貨換算額も変動します。当社では、通貨毎の資産と負債の額の調整やヘッジを行っておりますが、変動を相殺できない場合、当社の自己資本比率、財政状態および経営成績は、為替レートの変動により、悪影響を受ける可能性があります。海外における保有資産および負債の状況については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照下さい。
4.信用リスク(信用供与先の財務状況悪化等により損失を被るリスク)
(1)貸出業務に関するリスク
当社は、担保等を用いて貸出業務の信用リスクの削減に取り組んでおりますが、借り手が期待通りに返済できない場合、または当社が借り手の返済能力の悪化に対して、またはその可能性を予測して講じた措置が不適切または不十分である場合には、将来、追加的な与信関係費用が発生する可能性があります。その結果、当社の財政状態および経営成績に悪影響を及ぼし、自己資本の減少につながる可能性があります。なお、与信関係費用、銀行法および金融再生法に基づく開示債権の状況については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」をご参照下さい。当社の与信関係費用および不良債権は、国内外の景気の悪化、金利上昇、貸出先の業績不振等により増加する可能性があります。
① 貸倒引当金の状況
当社は、貸出先の状況、担保の価値および経済全体に関する前提および見積りに基づいて、貸倒引当金を計上しておりますが、経済情勢全般の悪化や個別貸出先の業績悪化等により追加の貸倒引当金を計上せざるを得なくなったり、担保の価値または流動性が低下したり、実際の貸倒れが貸倒引当金を上回ることにより、追加的な与信関係費用が発生したりする可能性があります。また、貸倒引当金の計上に関する規制や指針が変更され、貸倒引当金の計上の際に用いる評価方法に変更が生じた結果として、貸倒引当金を追加で計上しなければならなくなる可能性もあります。2023年3月末基準における当社の連結貸借対照表上の貸倒引当金額は14億円でした。貸倒引当金の計上については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項 (6) 貸倒引当金の計上基準」をご参照ください。
(2)他の金融機関との取引
国内外の金融機関(銀行、ノンバンク、証券会社および保険会社等を含みます。)の中には、資産内容の劣化およびその他の財務上の問題が存在している可能性があり、今後悪化する可能性やこれらの問題が新たに発生する可能性もあります。このような問題は最近、欧米で相次いで起きた金融機関の経営危機によって顕在化しました。こうした金融機関の財政的困難が継続、悪化または発生すると、それらの金融機関の流動性および支払能力に問題が生じるだけでなく、金融システムに問題が生じ金融業や経済全般へ波及するおそれもあります。また、以下の理由により当社に悪影響を及ぼす可能性があります。
・当社は、一部の金融機関へ信用を供与しております。
・当社は、一部の金融機関の株式を保有しております。
・問題の生じた金融機関が貸出先に対して財政支援を打ち切るまたは減少させる可能性があります。その結果、当該貸出先の破綻や、当該貸出先に対して信用を供与している当社の不良債権の増加を招くおそれがあります。
・経営破綻に陥った金融機関に対する支援に当社が参加を要請されるおそれがあります。
・政府が経営を支配する金融機関の資本増強や、収益拡大等のために、規制上、税務上、資金調達上またはその 他の特典を当該金融機関に供与するような事態が生じた場合、当社は競争上の不利益を被るおそれがあります。
・預金保険の基金が不十分であることが判明した場合、当社の支払うべき預金保険の保険料が引き上げられるお それがあります。
・金融機関の破綻または政府による金融機関の経営権取得により、金融機関に対する預金者および投資家の信任が全般的に低下する、または金融機関を取巻く全般的環境に悪影響を及ぼすおそれがあります。
・金融業および金融システムに対する否定的・懐疑的なマスコミ報道(内容の真偽、当否を問いません。)により当社の評判、信任等が低下するおそれがあります。
5.政策投資株式リスク(保有する株式の時価下落により損失を被るリスク)
(1)保有株式に係るリスク
当社は政策投資目的で保有するものを含め市場性のある株式を大量に保有しており、2023年3月末基準の保有時価合計は約0.7兆円、その簿価は約0.3兆円となっております。当社では、株価変動リスクの抑制の観点も踏まえ、「政策保有に関する方針」において、政策保有株式の削減を基本方針とし、保有意義・経済合理性を検証した上で、保有の妥当性が認められない場合には、取引先の十分な理解を得た上で、売却を進めております。また、政策保有株式に対しては、ベア型投信の保有により部分的にヘッジを行うことで、株価変動リスクの削減に努めております。
しかしながら、株価が下落した場合には、保有株式に減損または評価損が発生もしくは拡大する可能性があります。また、自己資本の算出にあたり、保有株式の含み損益を勘案していることから、株価が下落した場合には、自己資本比率等の低下を招くおそれがあります。その結果、当社の財政状態および経営成績に悪影響を与える可能性があります。
6.市場リスク(金利、有価証券の価格、為替などの変動により損失を被るリスク)
(1)市場業務に伴うリスク
当社は、デリバティブを含む様々な金融商品を取り扱う広範な市場業務を行っており、大量の金融商品を保有し ております。これにより、例えば、国内外の金融政策の変更等により内外金利が低下した場合、当社が保有する国債等の再投資利回りが低下する可能性があります。また、長短金利差が縮小する場合、資金利益が減少する可能性があります。一方、内外金利が上昇した場合、当社の保有する大量の国債等に売却損や評価損が生じる可能性があります。また、円高となった場合は、当社の外貨建て投資の財務諸表上の価値が減少し、売却損や評価損が発生する可能性があります。加えて、株価が下落した場合やクレジットスプレッドが拡大した場合、当社が保有する株式・債券等の価値が減少し、売却損や評価損が発生する可能性があります。当社では、このような内外金利、為替レート、有価証券等の様々な市場の変動により損失が発生するリスクを市場リスクとして管理しておりますが、計算された市場リスク量は、その性質上、実際のリスクを常に正確に反映できるわけではなく、またこのように示されたリスク量を上回る損失が実現する可能性もあります。
なお、当社が保有する有価証券残高の状況については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(有価証券関係)」をご参照下さい。
7.資金流動性リスク(資金繰りがつかなくなる、または通常より高い金利での調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク)
(1)当社の格下げ、外部要因に伴うリスク
当社では、資金流動性リスク管理上の指標を設ける等、適正な資金流動性の確保に努めておりますが、格付機関による当社の格下げや金融システム不安、金融市場混乱等の外部要因により、調達コストの増加、調達余力の減少、担保の追加拠出、または顧客からの信用低下等を起因に一定の取引を行うことができなくなる等の悪影響を受けるおそれがあり、その結果、当社の事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
8.オペレーショナルリスク(内部管理上の問題や外部要因により損失が発生するリスク)
(1)不公正・不適切な取引その他の行為が存在したとの指摘や、これらに伴う処分等を受けるリスク
当社は、事業を行っている本邦および海外における法令、規制、政策、自主規制等を遵守する必要があり、国内外の規制当局による検査、調査等の対象となっております。当社はコンプライアンス・リスク管理態勢およびプログラムの強化に継続して取り組んでおりますが、かかる取組みが全ての法令等に抵触することを完全に防止する効果を持たない可能性があります。
当社が、マネー・ローンダリング、経済制裁への対応、贈収賄・汚職防止、金融犯罪その他の不公正・不適切な取引に関するものを含む、適用ある法令および規則を遵守できない場合、あるいは、社会規範・市場慣行・商習慣に反するものとされ、顧客視点の欠如等があったものとされる場合には、罰金、課徴金、懲戒、評価の低下、業務改善命令、業務停止命令、許認可の取消しを受ける可能性があります。また、当社が顧客やマーケット等の信頼を失い、当社の経営成績および財務状況に悪影響が生じる可能性があります。将来、当社が戦略的な活動を実施する場面で当局の許認可を取得する際にも、悪影響を及ぼすおそれがあります。
(2)情報紛失・漏洩に係るリスク
当社は、国内外の法規制に基づき、顧客情報や個人情報を適切に取り扱うことが求められております。
当社では、顧客情報や個人情報を多く保有しており、当社は、情報の保管・取扱いに関する規程類の整備、システム整備を実施し、管理態勢高度化に取り組んでおりますが、不適切な管理、外部からのサイバー攻撃その他の不正なアクセス、もしくはコンピュータウイルスへの感染等により、顧客情報や個人情報等の紛失・漏洩を完全には防止できない可能性があります。その場合、罰則や行政処分の対象となるほか、顧客に対する損害賠償等、直接的な損失が発生する可能性があります。加えて、顧客の信頼を失う等により当社の経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性、ならびにこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があります。
(3)システム、サイバー攻撃等に関するリスク
当社のシステム(業務委託先等の第三者のシステムを含みます。)は、事業を行う上で非常に重要な要素の一つであり、リモートワークや非対面チャネルを通じた業務の拡大やデジタル戦略を推進している中で特に重要性が高まっており、適切な設計やテストの実施等によりシステム障害等を未然に防止し、セキュリティ面に配慮したシステムの導入に努めておりますが、システム障害やサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス感染、人為的ミス、機器の故障、通信事業者等の第三者の役務提供の瑕疵、新技術、新たなシステムや手段への不十分な対応等を完全には防止できない可能性があります。また、全てのビジネス要件や金融機関に対する規制強化の高まりからくる規制要件に対応するシステムの機能強化への要請を十分に満たせない可能性や、市場や規制の要請に応えるために必要なシステム構築や更新がその作業自体の複雑性等から計画通りに完了しない可能性があります。その場合、情報通信システムの不具合や不備が生じ、取引処理の誤りや遅延等の障害、情報の流出等が生じ、業務の停止およびそれに伴う損害賠償の負担その他の損失が発生する可能性、当社の信頼が損なわれ、または評判が低下する可能性、行政処分の対象となる可能性、ならびにこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があります。
(4)テロ支援国家との取引に係るリスク
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの重要な子会社である株式会社三菱UFJ銀行は、イラン・イスラム共和国(以下、イランという。)等、米国国務省が「テロ支援国家」と指定している国における法主体またはこれらの国と関連する法主体との間の取引を実施しており、また、同行はイランに駐在員事務所を設置しております。
米国法は、米国人が当該国家と取引を行うことを、一般的に禁止または制限しております。さらに、米国政府および年金基金をはじめとする米国の機関投資家が、イラン等のテロ支援国家と事業を実施する者との間で取引や投資を行うことを規制する動きがあるものと認識しております。このような動きによって、当社を含むMUFGグループ各社が、米国政府および年金基金をはじめとする機関投資家、あるいは規制の対象となる者を、顧客または投資家として獲得、維持できない結果となる可能性があります。加えて、社会的・政治的な状況に照らして、上記国家との関係が存在することによって、MUFGグループの評判が低下することも考えられます。上記状況は、当社の財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、米国政府による対イラン制裁措置により、米国人の関与するイランとの取引の禁止などが実施されております。さらに、2018年5月の米国によるイランに関する包括的共同行動計画(Joint Comprehensive Plan of Action)からの離脱後に発令された大統領令により、広範なイラン関連取引や活動について、関与した非米国人に対して二次制裁を適用し得るものとされております。当社を含むMUFGグループでは、二次制裁を含む米国による措置が適用されるリスクの増加を受けて、今後とも当該リスクのモニタリングと対応策を実施してまいります。
さらに、米国証券取引所に登録している企業(米国外企業を含みます。)には、特定のイラン関連の取引の開示が引き続き義務づけられております。日本においても、イランの拡散上機微な核活動・核兵器運搬手段開発に関与する者に対する資産凍結等の措置が実施されております。MUFGグループでは、これらの規制を遵守するための態勢の改善に努めております。しかしながら、かかる態勢が適用される規制に十分対応できていないと政府当局に判断された場合には、何らかの規制上の措置の対象となる可能性があります。
(5)規制変更のリスク
グローバルな金融サービス提供者として、当社の事業は国内外の法律、規則、政策、会計基準、実務慣行および解釈、ならびに国際的な金融規制等の継続的な変更のリスクにさらされております。主要な金融機関は、新技術、地政学上の変化、環境・社会・ガバナンス上の懸念、および国際金融セクターに関するその他の懸念事項を背景とする、より厳しい法律、規制および基準等への対応を迫られております。また、金融業界における不祥事やリスク管理の不備に関する事案を受け、社内のコンプライアンス・リスク管理体制の強化を求める動きも強まっております。当社に適用される法律、規制および基準等は複雑で、多くの場合、これらを当社のビジネスに適用するに際しては、解釈を伴う決定が必要となります。法律、規則、政策、会計基準、実務慣行、解釈の変更およびその影響は、より多くの経営資源の投入のみならず、経営にも影響を与え、場合によっては経営戦略を変更せざるを得なくなるおそれがあります。第三者への委託により実施するものを含むコンプライアンスのプログラムやシステムについては、必要な強化を計画通りに実施できなくなる可能性も出てきます。また、当社に適用される法律や規制への対応が不十分な場合、罰金、警告、レピュテーションの悪化、業務改善およびその他の行政命令、営業の強制的停止、将来の戦略的イニシアチブに規制当局から承認が得られないこと、深刻な場合としては、営業認可の取消を受ける場合等、当社の財政状況および経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
(6)評判に関するリスク
当社のビジネスはお客さまのみならず、地域社会、国際社会等からの信頼と信用の下に成り立っております。そのため、当社の評判は、お客さま、投資家、監督官庁、および社会との関係を維持する上で極めて重要です。「MUFG Way」や「MUFGグループ行動規範」等を踏まえ、評判リスクの適切な管理に努めておりますが、特に、人権、環境、健康、安全等の社会的責任への懸念が生じる取引や各種法令等 (アンチマネー・ローンダリング、経済制裁、競争法、暴力団排除条例等)の趣旨に反するおそれのある取引などを防止できず、またはこれらに適切に対処することができなかった場合で、大規模な報道に繋がり得るなど世論の注目が高いときや規制当局の関心が高いときなどにおいて、当社は、現在または将来のお客さまおよび投資家を失うこととなり、当社の事業、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があり、企業価値を毀損する可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
(財政状態及び経営成績の状況)
当連結会計年度の業績につきましては、以下のとおりとなりました。
資産の部につきましては、有価証券の減少等により前連結会計年度比2兆9,487億円減少して、39兆8,812億円となりました。負債の部につきましては、譲渡性預金が増加した一方、借用金及び信託勘定借の減少等により2兆9,172億円減少して、37兆5,632億円となりました。純資産の部につきましては、利益剰余金が増加した一方、その他有価証券評価差額金の減少等により315億円減少して、2兆3,180億円となりました。
また、信託財産総額につきましては、包括信託及び投資信託の受託残高の増加等により13兆144億円増加して、452兆9,043億円となりました。
損益の状況につきましては、当社の本業の期間損益を示す連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前)は、前連結会計年度比510億円減少して1,498億円となりました。
セグメント別の内訳では、リテール部門が46億円(前連結会計年度比+33億円)、法人マーケット部門が721億円(同△12億円)、受託財産部門が1,028億円(同△33億円)、市場部門が△19億円(同△495億円)となりました。法人マーケット部門の各事業内訳は、不動産事業が347億円(同△27億円)、証券代行事業が304億円(同+2億円)、資産金融事業が69億円(同+12億円)であります。なお、当連結会計年度より、部門間の粗利益・経費の配賦方法を変更し、報告セグメントの利益の算定方法を変更しております。前連結会計年度比の増減額は、変更後の算定方法に基づき算出しております。
税金等調整前当期純利益は1,995億円となり、これに法人税等合計・非支配株主に帰属する当期純利益を加味した親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比242億円減少の1,400億円となりました。
当連結会計年度末の連結自己資本比率(バーゼルⅢ:国際統一基準)は、連結普通株式等Tier1比率16.41%、連結Tier1比率17.93%、連結総自己資本比率20.67%となりました。
(キャッシュ・フローの状況)
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、借用金(劣後特約付借入金を除く)、コールマネー等や信託勘定借の減少等により、2兆5,986億円の支出(前連結会計年度比支出が8兆2,903億円増加)となりました。また、投資活動によるキャッシュ・フローは、国内外の債券投資等による収入により、1兆7,402億円の収入(同収入が3兆7,125億円増加)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、劣後特約付借入の増加等に伴い収入が増加し、615億円の収入(同収入が2,017億円増加)となりました。この結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末比4,394億円減少して19兆4,867億円となりました。
信託報酬は、前連結会計年度比37億円減少して1,288億円となりました。資金運用収支は、国内では2,090億円増加して3,480億円、海外では71億円減少して289億円となり、相殺消去額を控除した結果、合計で2,152億円増加の3,523億円となりました。また、役務取引等収支は、国内では2億円増加して1,748億円、海外では28億円減少して1,461億円となり、相殺消去額を控除した結果、合計で56億円減少の3,241億円となりました。
(注) 1.「国内」とは、当社(海外店を除く)及び国内に本店を有する連結子会社(以下、「国内連結子会社」とい
う。)であります。
「海外」とは、当社の海外店及び海外に本店を有する連結子会社(以下、「海外連結子会社」という。)
であります。
2.「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
3.「資金調達費用」は金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度152百万円、当連結会計年度104百万円)を
控除して表示しております。
資金運用勘定の平均残高は、国内・海外合計で有価証券を中心に前連結会計年度比1,752億円減少して28兆9,967億円となり、利回りは1.96ポイント増加して2.55%となりました。一方、資金調達勘定の平均残高は、譲渡性預金を中心に265億円増加して35兆1,937億円となり、利回りは1.00ポイント増加して1.10%となりました。
(注) 1.「国内」とは、当社(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。
2.平均残高は、当社については日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、国内連結子会社については 月末毎の残高等に基づく平均残高を利用しております。
3.平均残高及び利息は、当社と国内連結子会社を単純合算したものを表示しております。
4.「資金運用勘定」は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度6,616,697百万円、当連結会計年度 6,355,579百万円)を、「資金調達勘定」は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度174,133百万円、当連結会計年度182,376百万円)及び利息(前連結会計年度152百万円、当連結会計年度104百万円)をそれぞれ控除して表示しております。
(注) 1.「海外」とは、当社の海外店及び海外連結子会社であります。
2.平均残高は、当社については日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、海外連結子会社については 月末毎の残高等に基づく平均残高を利用しております。
3.平均残高及び利息は、当社と海外連結子会社を単純合算したものを表示しております。
4.「資金運用勘定」は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度188,105百万円、当連結会計年度319,888百万円)を控除して表示しております。
(注) 1.平均残高は、当社については日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については月末 毎の残高等に基づく平均残高を利用しております。
2.「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
3.「資金運用勘定」は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度6,623,273百万円、当連結会計年度6,513,009百万円)を、「資金調達勘定」は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度174,133百万円、当連結会計年度182,376百万円)及び利息(前連結会計年度152百万円、当連結会計年度104百万円)をそれぞれ控除して表示しております。
役務取引等収益は、国内・海外合計で投資信託委託・投資顧問業務を中心に前連結会計年度比18億円減少して4,245億円となりました。一方、役務取引等費用は、国内・海外合計で38億円増加して1,004億円となりました。
(注) 1.「国内」とは、当社(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。
「海外」とは、当社の海外店及び海外連結子会社であります。
2.「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む連結会社毎の信託財産額を合算しております。
(注) 1.上記残高表には、金銭評価の困難な信託および自己信託に係る分を除いております。
自己信託に係る信託財産残高 前連結会計年度末 485,019百万円
当連結会計年度末 280,332百万円
2.合算対象の連結子会社 前連結会計年度末 日本マスタートラスト信託銀行株式会社
当連結会計年度末 日本マスタートラスト信託銀行株式会社
3.共同信託他社管理財産 前連結会計年度末 230,578百万円
当連結会計年度末 223,136百万円
(注) 1.上記残高表には、金銭評価の困難な信託および自己信託に係る分を除いております。
なお、自己信託に係る信託財産残高は、前事業年度末485,019百万円、当事業年度末280,332百万円であります。
2.共同信託他社管理財産 前事業年度末86,000,294百万円、当事業年度末92,478,384百万円
3.元本補填契約のある信託の債権※ 前事業年度末4,730百万円のうち、危険債権額は1百万円、正常債権額は4,728百万円であります。
なお、破産更生債権及びこれらに準ずる債権額、三月以上延滞債権額並びに貸出条件緩和債権額は該当ありません。
4.元本補填契約のある信託の債権※ 当事業年度末3,939百万円のうち、正常債権額は3,939百万円であります。
なお、破産更生債権及びこれらに準ずる債権額、危険債権額、三月以上延滞債権額並びに貸出条件緩和債権額は該当ありません。
※社債(当該社債を有する信託業務を営む金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、未収利息、仮払金、支払承諾見返及び有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)をいう。
なお、前記(注)2.共同信託他社管理財産には、当社と日本マスタートラスト信託銀行株式会社が職務分担型共同受託方式により受託している信託財産(以下、「職務分担型共同受託財産」という。)が前事業年度末85,769,716百万円、当事業年度末92,255,248百万円含まれております。
前記信託財産残高表に職務分担型共同受託財産を合算した信託財産残高表は次のとおりであります。
信託財産残高表(職務分担型共同受託財産合算分)
金銭信託
(注) 1.信託財産の運用のため再信託された信託を含みます。
2.リスク管理債権の状況
前連結会計年度末 債権※4,730百万円のうち、危険債権額は1百万円、正常債権額は4,728百万円であります。
なお、破産更生債権及びこれらに準ずる債権額、三月以上延滞債権額並びに貸出条件緩和債権額は該当ありません。
当連結会計年度末 債権※3,939百万円のうち、正常債権額は3,939百万円であります。
なお、破産更生債権及びこれらに準ずる債権額、危険債権額、三月以上延滞債権額並びに貸出条件緩和債権額は該当ありません。
※社債(当該社債を有する信託業務を営む金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、未収利息、仮払金、支払承諾見返及び有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)をいう。
(参考)
資産の査定は、債権(社債(当該社債を有する信託業務を営む金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、未収利息、仮払金、支払承諾見返及び有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)をいう。)の各勘定について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2.危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3.要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4.正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
(注) 1.「国内」とは、当社(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。
「海外」とは、当社の海外店及び海外連結子会社であります。
2.「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
3.流動性預金=当座預金+普通預金+通知預金
4.定期性預金=定期預金
(注) 1.「国内」とは、当社(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。
「海外」とは、当社の海外店及び海外連結子会社であります。
2.「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
3.「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
当社は、国際統一基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては先進的内部格付手法、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては先進的計測手法を採用するとともに、マーケット・リスク規制を導入しております。
また、自己資本比率の補完的指標であるレバレッジ比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準(平成31年金融庁告示第11号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
連結レバレッジ比率(国際統一基準)
単体レバレッジ比率(国際統一基準)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当社の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2.危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3.要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4.正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
(生産、受注及び販売の状況)
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
(リテール部門)
リテール部門では、多様化する個人のお客さまのニーズに対し、資産運用・ローン・不動産・資産管理・資産承継等に関する信託銀行ならではの商品・サービスをご提供し、お客さまからの評価向上に努めてまいりました。また、「つみたてNISA」の取扱いや、「代理出金機能付信託(つかえて安心)」、「教育資金贈与信託(まごよろこぶ)」、「代理出金口座付遺言信託(つづくほほえみ)」等に続き、世代をつなぐ長期分散投資を実現できる「つなげる投信(生前贈与型/資産承継型)」の取扱いを開始する等、信託商品の提供を通じた顧客基盤の拡大のための活動にも取り組んでまいりました。
以上の結果、当連結会計年度のリテール部門の連結実質業務純益は46億円(前連結会計年度比+33億円)となりました。
(法人マーケット部門)
法人マーケット部門のうち、不動産事業では、不動産に係る売買・賃貸借の仲介・管理業務・鑑定評価・コンサルティング業務等の多様な商品・サービスの提供に努めるとともに、お客さまの不動産に関するニーズに対応した提案を実施してまいりました。
証券代行事業では、株式に関する総合的なソリューションを提供するパートナーとして、株主総会運営サポート等の株主名簿管理業務をはじめ、株主との対話支援、ガバナンス関連支援などのサービスを提供・提案してまいりました。また、オンラインを活用した企業と株主を繋ぐ対話プラットフォームサービス「エンゲージメントポータル」を開発し、当社が株主名簿管理業務を受託している法人のお客さま向けにサービスを提供しています。
資産金融事業では、企業の保有資産を活用した資金調達ニーズと資金運用ニーズを繋ぐ信託機能の提供を目指し、企業への調達ソリューションの提案および法人・個人向け運用商品の開発・提供に注力してまいりました。また、信託が持つ資産運用の機能を幅広く提供するために、インターネットを通じた金銭信託の直接販売サービス「monefit(マネフィット)」の提供を開始しました。
以上の結果、当連結会計年度の法人マーケット部門の連結実質業務純益は721億円(前連結会計年度比△12億円)となりました。
(受託財産部門)
受託財産部門では、高度かつ専門的なノウハウを活用し、運用力や商品開発力の向上に取り組み、お客さまの多様なニーズにお応えすることに努めてまいりました。
アセットマネジメント事業においては、高い成長が見込めるグローバル市場において、傘下の資産運用会社First Sentier Investorsの多様な商品提供を通じ、豪州・欧州・米国のお客さまへのソリューション拡大を着実に進めました。更に、ニーズが高まっているオルタナティブ領域の新たな商品を提供することを目指し、関係当局等からの認可取得等を前提として、主に欧州プライベートクレジットを運用するオルタナティブ運用会社であるAlbaCore Capital Groupの取得にかかる売買契約を締結いたしました。
インベスターサービス事業においては、グローバル展開を重点戦略と位置付け、買収した海外のファンド管理会社を通じて専門性を高めながら、効率的・安定的なサービスを提供する態勢を整備し、事業の拡大を進めました。
年金受託事業においては、退職給付制度の設計・運営に関するコンサルティングや企業年金の資産運用・資産管理サービスの提供を進めるとともに、法人のお客さまの福利厚生に資するサービスの拡充に努めてまいりました。また、当社が運営管理機関を受託する企業型確定拠出年金制度の加入者向けに資産状況の確認から運用取引まで完結できるスマートフォンアプリ「D-Canvas」(2021年6月から提供開始)は30万ダウンロードを突破しました。優れた顧客体験を重視したデザインが評価され「2022年度グッドデザイン賞」(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞し、デジタルとデザインを活用したサービスの提供を進めております。
以上の結果、当連結会計年度の受託財産部門の連結実質業務純益は1,028億円(前連結会計年度比△33億円)となりました。
(市場部門)
市場部門では、証券投資・資金為替取引等の市場業務において、市場環境の変化に応じた適切なリスク管理や内外の金融規制への対応を行うとともに、グローバル分散投資の拡大や、機関投資家向けビジネスの拡大を図ることにより、安定的な収益確保に努めました。特に米国金利が大幅に上昇する難しい環境下、ヘッジ操作により外債ポートフォリオの評価損失を抑制したほか、評価損失を抱えた債券の売却等を通じてポートフォリオの組み換えを行いました。
以上の結果、当連結会計年度の市場部門の連結実質業務純益は△19億円(前連結会計年度比△495億円)となりました。
加えて、情報銀行サービス「Dprime」やブロックチェーン基盤「Progmat」を活用した資産裏付型セキュリティートークンの発行等、デジタルを通したサービス展開を行いました。
今後とも、当社グループの総合力強化と持続的な成長を図るべく、経営の効率化に努めるとともに強固な経営・財務基盤の構築を目指してまいります。
連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前)は、前連結会計年度比510億円減少して1,498億円となりました。
連結普通株式等Tier1比率は最低所要水準4.5%を上回る16.41%となりました。
当連結会計年度における主な項目は、次のとおりであります。
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 国内・海外別収支」をご参照ください。
前表をご参照ください。
前表をご参照ください。
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(有価証券関係)」をご参照ください。
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ⑤ 銀行業務の状況 (ⅰ) 国内・海外別預金残高の状況」をご参照ください。
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 ③ 連結株主資本等変動計算書」をご参照ください。
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 (自己資本比率等の状況)」に記載しております。
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 (キャッシュ・フローの状況)」に記載しております。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
First Sentier Investorsの取得により計上したのれんの評価
これらの詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
また、当社子会社であるFirst Sentier Investorsは、主に欧州プライベートクレジットを運用するオルタナティブ運用会社であるAlbaCore Capital Groupの取得を目的に、関係当局等からの認可取得等を前提として、2023年3月に株式売買契約を締結しました。
該当事項はありません。