第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

 

(金融経済環境)

当連結会計年度の金融・経済環境は、原油価格が急落するなど不透明感が強まる場面もみられましたが、概ね緩やかな回復基調で推移しました。米国は、雇用環境の改善等を背景に内需を中心に回復を続け、株価も概ね上昇基調で推移しました。欧州は、足元では持ち直しの動きもみられますが、財政・金融面等に構造的な問題を抱え、景気は低調な推移を続けました。アジアでは、中国は減速基調となりましたが、ASEAN(東南アジア諸国連合)は堅調な消費に支えられ底堅く推移し、全体としては安定した成長が続きました。こうしたなか、我が国の経済は、消費税率引き上げによるマイナスの影響を受けつつも、総じてみれば緩やかな回復基調を維持しました。個人消費は、消費税率引き上げの影響等で年度前半にもたつきがみられましたが、足元では持ち直しの動きが徐々にはっきりしてきました。また、設備投資については、円安等を受けた企業業績の改善等を背景に、前向きな動きがみられました。

金融情勢に目を転じますと、米国は政策金利を過去最低の水準で維持しつつ、資産買入れ策を終了しました。一方、ユーロ圏ではデフレに対する懸念等から、政策金利の引き下げや各銀行が中央銀行に置く超過準備等へのマイナス金利適用、更には国債を含む資産買入れ策も導入されました。我が国においては、日本銀行が、消費者物価の前年比上昇率2%という「物価安定の目標」を達成すべく、10月に「量的・質的金融緩和」を拡大しました。こうしたなか、長期金利は低水準で推移し、1月には新発10年物国債利回りが一時、過去最低となる0.1%台を付けました。為替市場は年度半ば頃からドル高円安基調が強まり、株価も企業業績の改善や米国株価の上昇等を受けて概ね堅調に推移し、日経平均株価は1万9,000円台まで上昇しました。

 

(経営方針)

当行は、「世界に選ばれる、信頼のグローバル金融グループ」を目指し、お客さまをはじめとする関係者の皆さまのご期待・ご信頼にお応えしていくために、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、「MUFG」といいます。)や、MUFGグループ各社とも協力して、以下のような実績を上げることができました。

リテール部門では、運用商品販売やコンシューマーファイナンス業務が好調に推移したほか、法人部門では、貸出残高の増加に加えて、投資銀行業務で大きな成果を上げました。また、国際部門では、欧州は経済情勢の影響もありましたが、中国や米州は堅調に推移したほか、市場部門では、順調な国内セールスに加えて、外部環境を捉えた機動的な運営により投資運用収益が好調でした。

このほか、当行は、MUFGグループの経営ビジョンを実践する上で役職員の判断・行動基準となる「行動規範」を定め、お客さまや社会に貢献すべく、従業員一人ひとりに「お客さまに対する姿勢」、「社会に対する責任」、「職場における心構え」の考え方を徹底しているほか、コールセンターや、各営業拠点のロビー等に設置した「お客さまの声ハガキ」等で収集したご意見、ご要望に迅速にお応えすることで、お客さま満足度の向上に努めております。

また、CSR(企業の社会的責任)重視の経営を実践すべく、本業である金融の分野では、お客さまに環境面の対応をサポートする商品・サービスをご提供することに加え、各種の社会貢献活動にも積極的に取り組んでまいりました。

さらに、経営管理態勢、内部管理態勢及び法令等遵守態勢についても、お客さまから一層信頼を寄せて頂けるよう、引続き充実・強化に努めております。

 

 

(当連結会計年度の業績)

当連結会計年度の業績につきましては、以下のとおりとなりました。
 資産の部につきましては、当連結会計年度中17兆6,985億円増加して、当連結会計年度末残高は219兆3,132億円と
なりました。主な内訳は、貸出金97兆6,161億円、有価証券54兆1,699億円となっております。負債の部につきましては、当連結会計年度中16兆2,381億円増加して、当連結会計年度末残高は206兆1,114億円となりました。主な内訳は、預金・譲渡性預金152兆2,104億円となっております。

損益につきましては、経常収益は前連結会計年度比4,295億円増加して4兆289億円となり、経常費用は前連結会計年度比4,258億円増加して2兆8,077億円となりました。以上の結果、経常利益は前連結会計年度比36億円増加して1兆2,212億円となり、当期純利益は前連結会計年度比227億円減少して7,316億円となりました。

なお、報告セグメントの業績は次のとおりであります。

1 リテール部門

営業純益は前連結会計年度比6億円増加して1,382億円となりました。

2 法人部門

営業純益は前連結会計年度比229億円増加して3,885億円となりました。

3 国際部門

営業純益は前連結会計年度比908億円増加して4,633億円となりました。

4 アユタヤ銀行

  営業純益は1,166億円となりました。

5 市場部門

営業純益は前連結会計年度比467億円増加して3,423億円となりました。

6 その他部門

営業純益は前連結会計年度比799億円減少して△2,167億円となりました。

 

(キャッシュ・フローの状況)

キャッシュ・フローにつきましては、営業活動においては、前連結会計年度比1兆3,472億円支出が増加して、6兆6,310億円の支出となる一方、投資活動においては、前連結会計年度比9,795億円収入が増加して7兆2,373億円の収入となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度比1,434億円支出が増加して、1兆614億円の支出となりました。

現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末比2,862億円減少して3兆7,123億円となりました。

 

国際統一基準による連結総自己資本比率は15.61%となりました。

 

 

(1) 国内・海外別収支

国内・海外別収支の内訳は次のとおりであります。

当連結会計年度の資金運用収支・役務取引等収支・特定取引収支・その他業務収支の合計は2兆9,969億円で前年度比4,594億円の増益となりました。国内・海外の別では国内が1兆7,236億円で前年度比857億円の増益、海外が1兆4,217億円で前年度比4,347億円の増益となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

913,211

666,523

△14,881

1,564,852

当連結会計年度

962,321

961,602

△51,063

1,872,860

 うち資金運用収益

前連結会計年度

1,053,261

1,009,965

△101,224

1,962,002

当連結会計年度

1,090,799

1,434,973

△140,844

2,384,928

 うち資金調達費用

前連結会計年度

140,049

343,442

△86,342

397,149

当連結会計年度

128,478

473,370

△89,781

512,067

役務取引等収支

前連結会計年度

464,103

203,608

△68,943

598,768

当連結会計年度

492,856

333,451

△93,503

732,803

 うち役務取引等収益

前連結会計年度

608,076

219,029

△94,587

732,518

当連結会計年度

636,812

385,255

△137,244

884,823

 うち役務取引等費用

前連結会計年度

143,973

15,420

△25,644

133,750

当連結会計年度

143,955

51,804

△43,740

152,019

特定取引収支

前連結会計年度

91,551

33,718

△880

124,390

当連結会計年度

107,481

42,653

△822

149,311

 うち特定取引収益

前連結会計年度

92,873

33,935

△2,418

124,390

当連結会計年度

107,481

48,323

△6,493

149,311

 うち特定取引費用

前連結会計年度

1,321

216

△1,538

当連結会計年度

5,670

△5,670

その他業務収支

前連結会計年度

169,084

83,200

△2,841

249,443

当連結会計年度

161,011

84,085

△3,164

241,932

 うちその他業務収益

前連結会計年度

313,920

157,137

△57,715

413,342

当連結会計年度

260,867

253,126

△160,287

353,706

 うちその他業務費用

前連結会計年度

144,836

73,936

△54,873

163,899

当連結会計年度

99,855

169,040

△157,122

111,774

 

(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内に本店を有する連結子会社(以下、「国内連結子会社」という。)であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外に本店を有する連結子会社(以下、「海外連結子会社」という。)であります。

2 資金調達費用は金銭の信託運用見合費用を控除して表示しております。

3 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

 

 

(2) 国内・海外別資金運用/調達の状況

① 国内

国内における資金運用/調達の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度の資金運用勘定平均残高は前年度比2兆6,532億円増加して130兆1,157億円となりました。利回りは0.01%上昇して0.83%となり、受取利息合計は1兆907億円で前年度比375億円の増加となりました。資金調達勘定平均残高は前年度比1兆6,574億円増加して124兆933億円となりました。利回りは0.01%低下して0.10%となり、支払利息合計は1,284億円で前年度比115億円の減少となりました。

 

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

127,462,569

1,053,261

0.82

当連結会計年度

130,115,789

1,090,799

0.83

 うち貸出金

前連結会計年度

57,876,083

635,620

1.09

当連結会計年度

59,150,606

599,624

1.01

 うち有価証券

前連結会計年度

56,117,133

355,476

0.63

当連結会計年度

48,100,257

412,418

0.85

 うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

78,819

160

0.20

当連結会計年度

85,333

169

0.19

 うち買現先勘定

前連結会計年度

29,857

17

0.05

当連結会計年度

24,595

9

0.03

 うち債券貸借取引支払保証金

前連結会計年度

624,696

2,680

0.42

当連結会計年度

307,705

3,340

1.08

 うち預け金

前連結会計年度

9,044,132

8,707

0.09

当連結会計年度

18,216,210

17,715

0.09

資金調達勘定

前連結会計年度

122,435,942

140,049

0.11

当連結会計年度

124,093,378

128,478

0.10

 うち預金

前連結会計年度

99,663,658

46,660

0.04

当連結会計年度

102,871,993

45,858

0.04

 うち譲渡性預金

前連結会計年度

2,680,416

2,709

0.10

当連結会計年度

2,794,418

2,505

0.08

 うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

2,986,248

3,148

0.10

当連結会計年度

3,262,809

3,376

0.10

 うち売現先勘定

前連結会計年度

11,038,372

19,281

0.17

当連結会計年度

7,737,460

13,422

0.17

 うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

345,586

1,462

0.42

当連結会計年度

1,508,701

2,323

0.15

 うちコマーシャル・ペーパー

前連結会計年度

当連結会計年度

 うち借用金

前連結会計年度

8,886,284

86,879

0.97

当連結会計年度

10,501,238

83,765

0.79

 

(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の子会社については、月末毎の残高等に基づく平均残高を利用しております。

2 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。

3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。

 

 

② 海外

海外における資金運用/調達の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度の資金運用勘定平均残高は前年度比12兆3,977億円増加して59兆9,976億円となりました。利回りは0.27%上昇して2.39%となり、受取利息合計は1兆4,349億円で前年度比4,250億円の増加となりました。資金調達勘定平均残高は前年度比12兆125億円増加して57兆8,293億円となりました。利回りは0.07%上昇して0.81%となり、支払利息合計は4,733億円で前年度比1,299億円の増加となりました。

 

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

47,599,935

1,009,965

2.12

当連結会計年度

59,997,685

1,434,973

2.39

 うち貸出金

前連結会計年度

31,136,180

763,818

2.45

当連結会計年度

39,671,140

1,039,421

2.62

 うち有価証券

前連結会計年度

5,779,745

124,669

2.15

当連結会計年度

6,469,780

145,940

2.25

 うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

449,089

10,008

2.22

当連結会計年度

576,305

11,370

1.97

 うち買現先勘定

前連結会計年度

1,025,965

35,629

3.47

当連結会計年度

1,082,683

39,205

3.62

 うち債券貸借取引支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

 うち預け金

前連結会計年度

7,029,137

39,530

0.56

当連結会計年度

8,171,762

51,569

0.63

資金調達勘定

前連結会計年度

45,816,737

343,442

0.74

当連結会計年度

57,829,327

473,370

0.81

 うち預金

前連結会計年度

25,476,128

131,480

0.51

当連結会計年度

33,061,527

231,482

0.70

 うち譲渡性預金

前連結会計年度

7,756,503

27,388

0.35

当連結会計年度

8,297,958

32,515

0.39

 うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

324,114

2,357

0.72

当連結会計年度

291,459

1,753

0.60

 うち売現先勘定

前連結会計年度

551,035

3,522

0.63

当連結会計年度

773,355

8,424

1.08

 うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

当連結会計年度

 うちコマーシャル・ペーパー

前連結会計年度

1,066,138

2,040

0.19

当連結会計年度

1,374,853

2,439

0.17

 うち借用金

前連結会計年度

1,313,575

23,065

1.75

当連結会計年度

1,771,571

27,217

1.53

 

(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の子会社については、月末毎の残高等に基づく平均残高を利用しております。

2 「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。

 

 

③ 合計

 

種類

期別

平均残高(百万円)

利息(百万円)

利回り(%)

小計

相殺消去額

合計

小計

相殺消去額

合計

資金運用勘定

前連結会計年度

175,062,505

△6,047,910

169,014,594

2,063,226

△101,224

1,962,002

1.16

当連結会計年度

190,113,475

△8,404,830

181,708,644

2,525,772

△140,844

2,384,928

1.31

 うち貸出金

前連結会計年度

89,012,263

△2,408,143

86,604,119

1,399,439

△73,678

1,325,761

1.53

当連結会計年度

98,821,747

△2,512,038

96,309,709

1,639,045

△72,189

1,566,856

1.62

 うち有価証券

前連結会計年度

61,896,878

△2,076,023

59,820,855

480,145

△18,424

461,720

0.77

当連結会計年度

54,570,037

△2,652,297

51,917,740

558,358

△53,942

504,416

0.97

 うちコールローン
 及び買入手形

前連結会計年度

527,909

△30,158

497,750

10,169

△81

10,087

2.02

当連結会計年度

661,639

△20,800

640,839

11,540

△58

11,482

1.79

 うち買現先勘定

前連結会計年度

1,055,823

1,055,823

35,647

35,647

3.37

当連結会計年度

1,107,278

1,107,278

39,215

39,215

3.54

 うち債券貸借取引
 支払保証金

前連結会計年度

624,696

624,696

2,680

2,680

0.42

当連結会計年度

307,705

307,705

3,340

3,340

1.08

 うち預け金

前連結会計年度

16,073,270

△1,473,292

14,599,977

48,238

△5,813

42,424

0.29

当連結会計年度

26,387,972

△3,127,454

23,260,518

69,284

△11,360

57,924

0.24

資金調達勘定

前連結会計年度

168,252,680

△4,120,541

164,132,138

483,492

△86,342

397,149

0.24

当連結会計年度

181,922,706

△4,611,017

177,311,688

601,848

△89,781

512,067

0.28

 うち預金

前連結会計年度

125,139,786

△1,044,506

124,095,279

178,141

△3,772

174,368

0.14

当連結会計年度

135,933,521

△1,163,156

134,770,364

277,341

△7,546

269,794

0.20

 うち譲渡性預金

前連結会計年度

10,436,920

△136,120

10,300,799

30,098

△35

30,062

0.29

当連結会計年度

11,092,376

11,092,376

35,020

35,020

0.31

 うちコールマネー
 及び売渡手形

前連結会計年度

3,310,362

△123,075

3,187,286

5,505

△317

5,188

0.16

当連結会計年度

3,554,268

△88,268

3,465,999

5,129

△237

4,891

0.14

 うち売現先勘定

前連結会計年度

11,589,407

11,589,407

22,804

22,804

0.19

当連結会計年度

8,510,815

8,510,815

21,846

21,846

0.25

 うち債券貸借取引
 受入担保金

前連結会計年度

345,586

345,586

1,462

1,462

0.42

当連結会計年度

1,508,701

1,508,701

2,323

2,323

0.15

 うちコマーシャル
 ・ペーパー

前連結会計年度

1,066,138

1,066,138

2,040

2,040

0.19

当連結会計年度

1,374,853

1,374,853

2,439

2,439

0.17

 うち借用金

前連結会計年度

10,199,860

△2,655,016

7,544,843

109,944

△74,399

35,544

0.47

当連結会計年度

12,272,810

△2,998,266

9,274,543

110,983

△73,599

37,384

0.40

 

(注) 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

 

 

(3) 国内・海外別役務取引の状況

国内及び海外の役務取引等収支の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度の国内の役務取引は、役務取引等収益が6,368億円で前年度比287億円増収、役務取引等費用が1,439億円で前年度比0億円減少した結果、役務取引等収支では前年度比287億円増加して4,928億円となりました。海外の役務取引は、役務取引等収益が3,852億円で前年度比1,662億円増収、役務取引等費用が518億円で前年度比363億円増加した結果、役務取引等収支では前年度比1,298億円増加して3,334億円となりました。

この結果、役務取引等収支合計では、前年度比1,340億円増加して7,328億円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

608,076

219,029

△94,587

732,518

当連結会計年度

636,812

385,255

△137,244

884,823

 うち為替業務

前連結会計年度

150,707

9,974

△333

160,349

当連結会計年度

153,656

14,462

△369

167,750

 うちその他
 商業銀行業務

前連結会計年度

253,538

200,068

△2,642

450,964

当連結会計年度

280,894

274,944

△2,628

553,209

 うち保証業務

前連結会計年度

56,558

16,679

△18,228

55,008

当連結会計年度

53,571

26,566

△17,688

62,449

 うち証券関連業務

前連結会計年度

49,731

1,352

△64

51,019

当連結会計年度

52,390

2,626

△63

54,953

役務取引等費用

前連結会計年度

143,973

15,420

△25,644

133,750

当連結会計年度

143,955

51,804

△43,740

152,019

 うち為替業務

前連結会計年度

33,580

591

△343

33,828

当連結会計年度

34,024

7,230

△242

41,012

 

(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

2 「その他商業銀行業務」には、預金・貸出業務、代理業務、保護預り・貸金庫業務、信託関連業務等を含んでおります。

3 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

 

 

(4) 国内・海外別特定取引の状況

① 特定取引収益・費用の内訳

国内及び海外の特定取引収支の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度の国内の特定取引収益は1,074億円で前年度比146億円増収、特定取引費用は前年度比13億円減少した結果、特定取引収支では前年度比159億円増加して1,074億円となりました。海外の特定取引収益は483億円で前年度比143億円増収、特定取引費用は56億円で前年度比54億円増加した結果、特定取引収支では前年度比89億円増加して426億円となりました。

この結果、特定取引収支合計では前年度比249億円増加して1,493億円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引収益

前連結会計年度

92,873

33,935

△2,418

124,390

当連結会計年度

107,481

48,323

△6,493

149,311

 うち商品有価証券収益

前連結会計年度

15

3,074

△1,442

1,647

当連結会計年度

2,631

4,810

△202

7,238

 うち特定取引有価証券
 収益

前連結会計年度

1,102

△760

△79

261

当連結会計年度

4,337

△401

△132

3,803

 うち特定金融派生商品
 収益

前連結会計年度

89,130

31,621

△880

119,871

当連結会計年度

98,028

43,915

△6,154

135,788

 うちその他の特定取引
 収益

前連結会計年度

2,624

△15

2,609

当連結会計年度

2,483

△2

2,481

特定取引費用

前連結会計年度

1,321

216

△1,538

当連結会計年度

5,670

△5,670

 うち商品有価証券費用

前連結会計年度

1,321

121

△1,442

当連結会計年度

202

△202

 うち特定取引有価証券
 費用

前連結会計年度

79

△79

当連結会計年度

132

△132

 うち特定金融派生商品
 費用

前連結会計年度

当連結会計年度

5,332

△5,332

 うちその他の特定取引
 費用

前連結会計年度

15

△15

当連結会計年度

2

△2

 

(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

 

 

② 特定取引資産・負債の内訳(末残)

国内及び海外の特定取引の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度末の国内の特定取引資産は前年度比2,861億円増加して4兆1,537億円、特定取引負債は前年度比5,235億円増加して2兆9,599億円となりました。海外の特定取引資産は前年度比7,935億円増加して2兆123億円、特定取引負債は前年度比6,001億円増加して1兆6,913億円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引資産

前連結会計年度

3,867,609

1,218,742

△21,966

5,064,384

当連結会計年度

4,153,747

2,012,304

△36,583

6,129,468

 うち商品有価証券

前連結会計年度

53,511

47,444

100,956

当連結会計年度

10,914

93,412

104,326

 うち商品有価証券
 派生商品

前連結会計年度

103

103

当連結会計年度

139

139

 うち特定取引有価証券

前連結会計年度

42,884

42,884

当連結会計年度

53,685

53,685

 うち特定取引有価証券
 派生商品

前連結会計年度

277

75

353

当連結会計年度

157

49

206

 うち特定金融派生商品

前連結会計年度

2,547,278

1,112,413

△21,966

3,637,725

当連結会計年度

2,591,204

1,863,604

△36,583

4,418,225

 うちその他の特定取引
 資産

前連結会計年度

1,266,437

15,924

1,282,361

当連結会計年度

1,551,331

1,551

1,552,883

特定取引負債

前連結会計年度

2,436,411

1,091,137

△25,414

3,502,134

当連結会計年度

2,959,984

1,691,316

△40,960

4,610,339

 うち売付商品債券

前連結会計年度

1,102

1,102

当連結会計年度

7,360

7,360

 うち商品有価証券
 派生商品

前連結会計年度

208

208

当連結会計年度

6

6

 うち特定取引売付債券

前連結会計年度

8,965

8,965

当連結会計年度

4,539

4,539

 うち特定取引有価証券
 派生商品

前連結会計年度

297

37

335

当連結会計年度

109

22

132

 うち特定金融派生商品

前連結会計年度

2,435,905

1,080,885

△25,414

3,491,376

当連結会計年度

2,959,867

1,673,108

△40,960

4,592,015

 うちその他の特定取引
 負債

前連結会計年度

146

146

当連結会計年度

6,285

6,285

 

(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

 

 

(5) 国内・海外別預金残高の状況

○ 預金の種類別残高(末残)

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

103,697,866

30,127,916

△1,093,931

132,731,852

当連結会計年度

106,783,494

35,517,686

△1,346,484

140,954,695

 うち流動性預金

前連結会計年度

68,412,846

13,976,555

△608,174

81,781,227

当連結会計年度

71,954,686

18,110,263

△569,678

89,495,271

 うち定期性預金

前連結会計年度

29,867,559

15,991,413

△421,053

45,437,919

当連結会計年度

28,696,228

17,269,980

△731,960

45,234,248

 うちその他

前連結会計年度

5,417,461

159,947

△64,703

5,512,705

当連結会計年度

6,132,578

137,442

△44,845

6,225,175

譲渡性預金

前連結会計年度

2,673,035

8,093,028

10,766,064

当連結会計年度

3,206,773

8,048,996

11,255,770

総合計

前連結会計年度

106,370,902

38,220,945

△1,093,931

143,497,916

当連結会計年度

109,990,267

43,566,683

△1,346,484

152,210,466

 

(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

3 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金

4 定期性預金=定期預金+定期積金

 

 

(6) 国内・海外別貸出金残高の状況

① 業種別貸出状況(末残・構成比)

 

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内(除く特別国際金融取引勘定分)

58,611,310

100.00

58,922,049

100.00

 製造業

7,489,447

12.78

8,055,533

13.67

 建設業

730,078

1.24

727,686

1.23

 卸売業、小売業

5,666,447

9.67

5,668,317

9.62

 金融業、保険業

6,052,461

10.33

5,848,247

9.93

 不動産業、物品賃貸業

8,039,876

13.72

7,897,547

13.40

 各種サービス業

2,499,908

4.26

2,484,575

4.22

 その他

28,133,090

48.00

28,240,143

47.93

海外及び特別国際金融取引勘定分

32,416,440

100.00

38,694,144

100.00

 政府等

681,744

2.10

811,868

2.10

 金融機関

6,237,922

19.24

7,828,221

20.23

 その他

25,496,772

78.66

30,054,054

77.67

合計

91,027,750

97,616,193

 

(注)  「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

 

② 特定海外債権等残高

 

期別

国別

金額(百万円)

前連結会計年度

パキスタン

4,594

エジプト

4,542

モルディブ

3,913

アルゼンチン

224

エクアドル

2

合計

13,277

(資産の総額に対する割合)

(0.00%)

当連結会計年度

パキスタン

4,740

エジプト

3,959

エクアドル

2

アルゼンチン

0

合計

8,702

(資産の総額に対する割合)

(0.00%)

 

(注) 特定海外債権等は、当行の特定海外債権引当勘定の引当対象とされる債権、並びに当該引当勘定の引当対象国に対する海外子会社の債権のうち、当該引当勘定の引当対象に準ずる債権であります。

 

 

(7) 国内・海外別有価証券の状況

○ 有価証券残高(末残)

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

33,857,011

33,857,011

当連結会計年度

28,955,892

28,955,892

地方債

前連結会計年度

197,725

197,725

当連結会計年度

188,152

188,152

社債

前連結会計年度

2,123,017

2,123,017

当連結会計年度

1,926,550

1,926,550

株式

前連結会計年度

3,923,998

△118,927

3,805,071

当連結会計年度

5,035,410

△103,435

4,931,975

その他の証券

前連結会計年度

14,076,795

5,766,593

△2,403,844

17,439,543

当連結会計年度

14,473,883

6,355,022

△2,661,575

18,167,330

合計

前連結会計年度

54,178,550

5,766,593

△2,522,771

57,422,371

当連結会計年度

50,579,889

6,355,022

△2,765,011

54,169,900

 

(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

3 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

 

 

(自己資本比率の状況)

 

(参考)

自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号。以下、「告示」という。)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

なお、当行は、国際統一基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては先進的内部格付手法、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては先進的計測手法を採用するとともに、マーケット・リスク規制を導入しております。

 

連結自己資本比率(国際統一基準)

 

(単位:億円、%)

 

平成27年3月31日

1. 連結総自己資本比率(4/7)

15.61

2. 連結Tier1比率(5/7)

12.33

3. 連結普通株式等Tier1比率(6/7)

10.88

4. 連結における総自己資本の額

137,307

5. 連結におけるTier1資本の額

108,488

6. 連結における普通株式等Tier1資本の額

95,718

7. リスク・アセットの額

879,321

8. 連結総所要自己資本額

70,345

 

 

 

単体自己資本比率(国際統一基準)

 

(単位:億円、%)

 

平成27年3月31日

1. 単体総自己資本比率(4/7)

17.23

2. 単体Tier1比率(5/7)

13.54

3. 単体普通株式等Tier1比率(6/7)

11.90

4. 単体における総自己資本の額

124,669

5. 単体におけるTier1資本の額

97,918

6. 単体における普通株式等Tier1資本の額

86,112

7. リスク・アセットの額

723,167

8. 単体総所要自己資本額

57,853

 

 

 

(資産の査定)

 

(参考)

資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権

破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
 

2.危険債権

危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
 

3.要管理債権

要管理債権とは、3ヵ月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
 

4.正常債権

正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
 

資産の査定の額

債権の区分

平成26年3月31日

平成27年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

915

879

危険債権

8,224

5,496

要管理債権

4,582

5,393

正常債権

869,063

911,170

 

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

「生産、受注及び販売の状況」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

3 【対処すべき課題】

平成26年度は、国内では、安倍政権発足以降、円安・株高の進行に加えて、企業収益や雇用、そして所得環境の好転と、いわゆる、経済再生・デフレ脱却に向けた機運が徐々に高まりつつあることを感じさせる1年でした。一方、海外は、米国経済こそ底堅く推移してきましたが、アジアは減速、また地政学リスクが高まるなか、欧州は停滞感が一段と強まる状況となっています。こうしたなか、当行は、平成24年度にスタートさせた中期経営計画の仕上げの年として、一段の収益成長や自己資本の充実などに取組んでまいりました。

平成27年度からは、3年間を計画の期間とする新しい中期経営計画をスタートさせました。日本経済成長への金融としての貢献を果たしつつ、内外のお客さまの信頼とご期待に応え、「世界に選ばれる、信頼のグローバル金融グループ」を目指し、以下を重点課題として取り組んでまいります。

 

(成長戦略)

当行は、MUFGグループの中核をなす銀行として、激しい環境変化のなか、ますます多様化・高度化するお客さまの金融ニーズに対し、邦銀随一の国内・海外拠点ネットワークを活かしつつ、グループ各社との協働をさらに進め、グループ総合力を発揮することで、これまで以上にハイクオリティのサービスを的確かつ迅速にご提供してまいります。具体的には、個人のお客さまには、信託や証券などMUFGグループ各社の機能を最大限活用することで、お客さまのライフステージに合わせた資産運用、借入れなどの様々なニーズにお応えするサービスを提供し、「基盤・業容・収益」バランスの取れた取引を推進してまいります。また、法人のお客さまには、明日の成長企業から国内外の大企業に至るまで、お客さまの課題解決に向けた積極的な提案活動を通じて、シンジケートローンを始めとする各種ソリューション・プロダクト、さらにはトランザクションバンキングや市場関連サービスなどを提供してまいります。また、アジアではBank of Ayudhya Public Company LimitedやVietnam Joint Stock Commercial Bank for Industry and Tradeとの協働、米州ではMUFG Americas Holdings Corporationとの統合効果を高めていくなど、引き続きグローバル事業基盤の強化を進めてまいります。

 

(経営基盤の強化)

経営基盤の強化についても、引き続きしっかりと進めてまいります。

自己資本規制を始めとする世界的な金融規制強化に対処するため、資本の有効活用を含めた自己資本の適切な管理・運営などに取り組むとともに、海外事業の拡大にあわせ、海外の地域におけるガバナンス態勢の強化もさらに進めてまいります。また、生産性やリスクリターン、費用対効果といった観点からも業務戦略の高度化を進めてまいります。

競争力の源泉である人材については、専門性の向上やグローバル化に向けて一段と力を入れてまいります。一方、コンプライアンス面を含めた内部管理態勢についても、環境変化やビジネスモデルの変革に応じ、継続的なレベルアップに努めてまいります。

 

(CSR経営の推進・MUFGブランドの強化)

当行はMUFGグループの一員として、MUFGならではのサービスの提供によりお客さま満足度の向上を図るとともに、CSR(企業の社会的責任)を重視した経営を実践してまいります。

CSR活動については、「お客さま本位の品質追求」、「コミュニティへの貢献」、及び「持続可能な環境・社会の実現」の3つを重点領域と定めています。「お客さま本位の品質追求」では、お客さまの多様なニーズやご意見・ご要望をいち早くとらえ、商品・サービスに反映させる取組みを継続することで、お客さまから選ばれ、お客さまとの永い関係を築いていきます。「コミュニティへの貢献」では、地域との繋がりを強化して、お客さまのみならず、国内外の地域社会からの信頼と信用の構築に努めることで、MUFGの企業価値向上を図っていきます。そして「持続可能な環境・社会の実現」では、常に変化する社会の課題に対して、環境・社会に配慮した企業の資金調達支援等により、持続可能な環境・社会の実現に貢献していきます。

 

また、東日本大震災への対応につきましては、本業と社会貢献活動の両面から、引き続き被災地の復興支援につながる取り組みに力を入れてまいります。当行は、公益社団法人日本ユネスコ協会連盟と共同で「MUFG・ユネスコ協会 東日本大震災復興育英基金」を創設し、中長期的な復興支援に取り組んでおります。本基金は学校を基点とし、東日本大震災により親を亡くされた小学生・中学生・高校生を対象とする「奨学金プログラム」を中心に、様々な活動を行っております。

 

以上の取り組みを通じ、広く社会の皆さまから共感・ご支持をいただけるMUFGブランドの維持・向上に努めてまいります。

 

4 【事業等のリスク】

 

当行及び当行グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当行は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

1.保有株式に係るリスク

当行は政策投資目的で保有するものを含め市場性のある株式を大量に保有しております。世界的なリスク資産圧縮の加速、金融政策及び財政政策の動向、その他の全般的な経済動向や保有先の業績悪化等により株価が下落した場合には、保有株式に減損又は評価損が発生若しくは拡大し、当行の財政状態及び経営成績に悪影響を与えるとともに、自己資本比率の低下を招くおそれがあります。

 

2.貸出業務に関するリスク

(1) 不良債権及び与信関係費用の状況

当行の不良債権及び与信関係費用は、今後、国内外の景気の悪化、不動産価格及び株価の下落、当行の貸出先の経営状況及び世界の経済環境の変動等によっては、増加するおそれがあり、その結果、当行の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼし、自己資本の減少につながる可能性があります。

(2) 貸倒引当金の状況

当行は、貸出先の状況、差入れられた担保の価値及び経済全体に関する前提及び見積りに基づいて、貸倒引当金を計上しております。実際の貸倒れが貸倒引当金計上時点における前提及び見積りと乖離し、貸倒引当金を大幅に上回り、貸倒引当金が不十分となることもありえます。また、経済状態全般の悪化により、設定した前提及び見積りを変更せざるを得なくなり、担保価値の下落、又はその他の予期せざる理由により、当行は貸倒引当金の積み増しを行う可能性があります。

(3) 業績不振企業の状況

当行の貸出先の中には業績不振の先が見られます。これらの企業の中には、法的手続又は「事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)」などに沿って行われる債権放棄を含めた任意整理により、再建を行っている企業もあります。

このことは、当行の不良債権問題に悪影響を与えてきました。景気の悪化や業界内の競争激化、他の債権者からの支援の打ち切りや縮小等により、再建が奏功しない場合には、これらの企業の倒産が新たに発生するおそれがあります。これらの企業の経営不振その他の問題が続いたり拡大する場合や当行による債権放棄を余儀なくされた場合には、当行の与信関係費用が増大し、当行の不良債権問題が悪化するおそれがあります。

(4) 貸出先への対応

当行は、回収の効率・実効性その他の観点から、貸出先に債務不履行等が生じた場合においても、当行が債権者として有する法的な権利のすべてを必ずしも実行しない場合がありえます。

また、当行は、それが合理的と判断される場合には、貸出先に対して債権放棄又は追加貸出や追加出資を行って支援をすることもありえます。かかる貸出先に対する支援を行った場合は、当行の貸出残高が大きく増加し、与信関係費用が増加する可能性や追加出資に係る株価下落リスクが発生する可能性もあります。

(5) 権利行使の困難性

当行は、不動産市場における流動性の欠如又は価格の下落、有価証券の価格の下落等の事情により、担保権を設定した不動産若しくは有価証券を換金し、又は貸出先の保有するこれらの資産に対して強制執行することが事実上できない可能性があります。

 

(6) 不良債権問題等に影響しうる他の要因

① 将来、金利が上昇する局面では、日本国債等保有債券の価格下落、貸出スプレッドの変化、金利負担に耐えられなくなる貸出先の出現による不良債権の増加等により、当行の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

② 将来、為替が大幅に変動する局面では、これに伴うコスト上昇、売上の減少、為替系デリバティブ(通貨オプション等)の評価損発生に伴う財務負担等による与信先の業績悪化、及びこのようなデリバティブ取引の決済負担に耐えられなくなる与信先の出現による不良債権の増加等により、当行の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

③ 原油や鉄鋼等の原材料価格の高騰などによる仕入れや輸送などのコスト上昇を販売価格に十分に転嫁できない貸出先等を中心に不良債権が増加した場合、当行の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 本邦の金融機関(銀行、ノンバンク、証券会社及び保険会社等を含みます。)の中には、資産内容の劣化及びその他の財務上の問題が引き続き存在している可能性があり、今後一層悪化する可能性やこれらの問題が新たに発生する可能性もあります。こうした本邦金融機関の財政的困難が継続、悪化又は発生すると、それらの金融機関の流動性及び支払能力に問題が生じるおそれもあり、以下の理由により当行に悪影響を及ぼす可能性があります。

・問題の生じた金融機関が貸出先に対して財政支援を打ち切る又は減少させるかもしれません。その結果、当該貸出先の破綻や、当該貸出先に対して貸出をしている当行の不良債権の増加を招くかもしれません。

・経営破綻に陥った金融機関に対する支援に当行が参加を要請されるおそれがあります。

・当行は、一部の金融機関の株式を保有しております。

・政府が経営を支配する金融機関の資本増強や、収益拡大等のために、規制上、税務上、資金調達上又はその他の特典を当該金融機関に供与するような事態が生じた場合、当行は競争上の不利益を被るかもしれません。

・預金保険の基金が不十分であることが判明した場合、当行の支払うべき預金保険の保険料が引き上げられるおそれがあります。

・金融機関の破綻又は政府による金融機関の経営権取得により、金融機関に対する預金者の信任が全般的に低下する、又は金融機関を取巻く全般的環境に悪影響を及ぼすおそれがあります。

・銀行業に対する否定的・懐疑的なマスコミ報道(内容の真偽、当否を問いません。)により当行の評判、信任等が低下するおそれがあります。

 

3.市場業務に伴うリスク

当行は、デリバティブを含む様々な金融商品を取り扱う広範な市場業務を行っており、大量の金融商品を保有しています。従いまして、当行の財政状態及び経営成績は、かかる活動及び保有に伴うリスクにさらされております。かかるリスクとしては、特に、内外金利、為替レート、有価証券等の市場変動等が挙げられます。例えば、内外金利が上昇した場合、当行の保有する債券ポートフォリオの価値に悪影響を及ぼす可能性があります。このような上昇が生じるケースとしては、例えばデフレ脱却の進行による市場での量的・質的金融緩和(QQE)の解除観測、本邦財政及び日本国債への信認低下等から日本国債金利が上昇する場合、米国の金融政策の変更等により、米国債金利が上昇する場合などが想定しえます。これらを含む、何らかの理由により内外金利が上昇した場合、当行の保有する大量の国債等に売却損や評価損が生じる可能性があります。また、円高となった場合は、当行の外貨建て投資の財務諸表上の価値が減少し、売却損や評価損が発生する可能性があります。

当行では、このような内外金利、為替レート、有価証券等の様々な市場の変動により損失が発生するリスクを市場リスクとして、市場全体の変動による損失を被るリスクである「一般市場リスク」と、特定の債券・株式等の金融商品の価格が市場全体の変動と異なって変動することにより損失を被るリスクである「個別リスク」に区分して管理しております。これらのリスク計測には、過去の市場変動に基づきポートフォリオの市場価値が今後一定期間でどの程度減少し得るかを統計的に推計する手法を採用しており、この手法により計測した一般市場リスク量と個別リスク量の合算値を市場リスク量としております。ただし、このように計算された市場リスク量は、その性質上、実際のリスクを常に正確に反映できるわけではなく、またこのように示されたリスク量を上回る損失が実現する可能性もあります。

 

 

4.為替リスク

当行の業務は為替レートの変動の影響を受けます。為替レートの変動により、当行の重要な子会社であるMUFG Americas Holdings Corporation(その銀行子会社であるMUFG Union Bank, N.A.を含め、以下「MUAH」といいます。)及びBank of Ayudhya Public Company Limited(以下「アユタヤ銀行」といいます。)の資産及び負債の円貨換算額も変動することになります。さらに、当行の資産及び負債の一部は外貨建てであり、資産と負債の額が通貨毎に同額で為替レートによる変動の影響が相殺されない場合、又は適切にヘッジされていない場合、当行の自己資本比率、財政状態及び経営成績は、為替レートの変動により、悪影響を受ける可能性があります。

 

5.当行の格付低下等に伴う資金流動性等の悪化リスク

格付機関が当行の格付を引き下げた場合、当行の市場業務及びその他の業務は悪影響を受けるおそれがあります。当行の格付が引き下げられた場合、当行の市場業務では、取引において不利な条件を承諾せざるを得なくなる、又は一定の取引を行うことができなくなるおそれがあり、加えて当行の資本・資金調達にも悪影響を及ぼすことがあります。かかる事態が生じた場合には、当行の市場業務及び他の業務の収益性に悪影響を与え、当行の財政状態及び経営成績にも悪影響を与えます。

 

6.当行のビジネス戦略が奏功しないリスク

当行は、収益力増強のためにグローバルベースで様々なビジネス戦略を実施しております。しかしながら、以下に述べるものをはじめとする様々な要因が生じた場合には、これら戦略が功を奏しない、当初想定していた結果をもたらさない、又は変更を余儀なくされる可能性があります。

・優良取引先への貸出ボリュームの増大が想定通りに進まないこと。

・既存の貸出についての利鞘拡大が想定通りに進まないこと。

・当行が目指している手数料収入の増大が想定通りに進まないこと。

・海外事業の拡大等が想定通りに進まないこと。

・効率化を図る戦略が想定通りに進まないこと。

・現在実施中又は今後実施するグループ内の事業の統合・再編等の遅延により、顧客やビジネスチャンスの逸失若しくは想定を上回る費用が生じること、又は効率化戦略若しくはシステム統合において想定していた結果をもたらさないこと。

・当行の出資先が、財務上・業務上の困難に直面したり、戦略を変更したり、又は当行を魅力的な提携先ではないと判断した結果、かかる出資先が当行との提携を望まず、提携を縮小又は解消すること。また、当行の財政状態の悪化等により、出資先との提携を縮小又は解消せざるをえないこと。

 

7.業務範囲の拡大に伴うリスク

当行は、法令その他の条件の許す範囲内で、子会社及び関連会社も含めた業務範囲をグローバルベースで大幅に拡大しております。当行がこのように業務範囲を拡大していけばいくほど、新しくかつ複雑なリスクにさらされます。当行は、拡大した業務範囲に関するリスクについては全く経験を有していない、又は限定的な経験しか有していないことがあります。変動の大きい業務であれば、大きな利益を期待できる反面、大きな損失を被るリスクも伴います。当該業務に対して、適切な内部統制システム及びリスク管理システムを構築すると共に、リスクに見合った自己資本を有していなければ、当行の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。さらに業務範囲の拡大が予想通りに進展しない場合、又は熾烈な競争により当該業務の収益性が悪化した場合、当行の業務範囲拡大への取組みが奏功しないおそれがあります。

 

 

8.新興市場国に対するエクスポージャーに係るリスク

当行は支店や子会社のネットワークを通じてアジア、中南米、中東欧、中東等、新興市場地域でも活動を行っており、これらの国々に関係する様々な信用リスク及び市場リスクにさらされております。具体的には、これらの国の通貨がさらに下落した場合、当該国における当行の貸出先の信用に悪影響が及ぶおそれがあります。当行の新興市場国の貸出先への貸付の多くは米ドル、ユーロ又はその他の外国通貨建てです。かかる貸出先は、現地通貨の為替変動に対してヘッジをしていないことが多いため、現地通貨が下落すれば、当行を含めた貸出人に債務を弁済することが困難となるおそれがあります。さらに、これらの国は、国内金利を引き上げて、自国通貨の価値を支えようとする場合もあります。そうなった場合、貸出先は国内の債務を弁済するためにさらに多くの経営資源を投入せざるを得なくなり、当行を含めた外国の貸出人に対して債務を弁済する能力に悪影響が及ぶおそれがあります。さらに、かかる事態又はこれに関連して信用収縮が生じれば、経済に悪影響を与え、当該国の貸出先及び銀行の信用がさらに悪化し、当行に損失を生じさせるおそれがあります。

また、各地域、国に固有又は共通の要因により、様々なリスクがあり、それらが顕在化した場合には、当行においてそれに応じた損失その他の悪影響が発生するおそれがあります。

 

9.MUAHに関するリスク

当行の重要な子会社であるMUAHの事業又は経営の悪化により、当行の財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。MUAHの財政状態及び経営成績に悪影響を与える要因には、米国カリフォルニア州を中心とした米国の不動産・住宅業界その他の景気の悪化、カリフォルニア州を中心とした米国における銀行間の熾烈な競争、米国経済の不確実性、テロ攻撃の可能性、石油等の資源価格の変動、金利の上昇、米国金融制度上の制約、訴訟に伴う損失、貸出先の格付低下及び株価の低下、及びその結果生じる可能性のある企業の倒産等、並びにMUAH及びその子会社の内部統制及び法令等遵守態勢の不備に起因する費用の発生等が含まれます。

 

10.アユタヤ銀行に関するリスク

当行の重要な子会社であるアユタヤ銀行の事業又は経営の悪化により、当行の財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。アユタヤ銀行の財政状態及び経営成績に悪影響を与える要因には、タイを中心とした東南アジアの景気の悪化や銀行間の熾烈な競争、不安定な政治や社会情勢、洪水等を含む自然災害、テロや紛争等、金融制度や法律による制約、金利・為替・株価・商品市場の急激な変動、同地域に投資や進出をする企業の業績やそれらの企業が所在する国の景気・金融制度・法律・金融市場の状況、訴訟に伴う損失、貸出先の格付低下及び株価の低下、及びその結果生じる可能性のある企業の倒産、個人向け貸出の焦げ付き、他の大株主との協力関係の悪化等、並びにアユタヤ銀行及びその子会社の内部統制及び法令等遵守態勢の不備に起因する費用の発生等が含まれます。

 

11.消費者金融業務に係るリスク

当行は、消費者金融業に従事する関連会社等を有すると同時に消費者金融業者に対する貸出金を保有しております。消費者金融業に関しては、いわゆるみなし弁済を厳格に解するものを含め、過払利息の返還請求をより容易にする一連の判例が出され、これらに伴い過払利息の返還を求める訴訟が引き続き発生しております。さらに、平成19年12月より改正「貸金業法」が段階的に施行され、平成22年6月にはみなし弁済制度の廃止や総量規制の導入等の改正が施行されました。同時に、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」の改正の施行により、金銭消費貸借契約の上限金利が29.2%から20%に引き下げられました。このような中、業界大手を含む消費者金融業者に多数の破綻事例が生じたことから、消費者金融業を取り巻く環境は依然として注視していかなければならない状況であり、これらを含む要因により、消費者金融業に従事する当行の関連会社等が悪影響を受けた場合、当行の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、消費者金融業を営む当行の貸出先が悪影響を受けた場合、当行の消費者金融業者に対する貸出金の価値が毀損する可能性があります。

 

 

12.世界経済の悪化・金融危機の再発により損失を計上するリスク

世界経済は、米国による量的緩和解除後も緩やかな成長を見せているものの、欧州の景気低迷は長引いており、また中国における経済政策転換に伴う成長鈍化、また世界各地域における政治的混乱等の要因により、先行き不透明感が払拭された状況には至っておりません。再び状況が悪化すると、当行の一部の投資ポートフォリオや貸出に悪影響が出るおそれがあります。例えば、当行が保有する有価証券の市場価格が下落することにより損失が拡大する等の可能性があります。また、クレジット市場の環境変化が、当行の貸出先に財務上の問題や債務不履行を生じさせる要因となり、当行の不良債権及び与信関係費用が増加する可能性があります。さらに、有価証券の価格下落や資本市場での信用収縮の動きにより、国内外の金融機関の信用力が低下、資本不足や資金繰り悪化から破綻に追い込まれるケースが増加する可能性もあります。かかる問題により、これらの金融機関との間の取引により当行が損失を被り、当行の財政状態及び経営成績が悪影響を受ける可能性もあります。加えて、世界的な金融危機の再発が世界の債券・株式市場や外国為替相場の大幅な変動を招くことなどにより、市場の混乱が世界経済に長期的な影響を及ぼす場合には、当行への悪影響が深刻化する可能性があります。

加えて、当行の貸借対照表上の資産の多くは、時価で計上する金融商品からなっています。一般的に、当行は市場価格を参照してこれらの金融商品の時価を定めています。時価で計上される金融商品の価値が下落した場合、対応する減損等が損益計算書上認識される可能性があります。世界金融危機・同時不況が再発すること等により、金融商品の市場価格が大きく下落し、又は適切な価格を参照できない状況が発生する可能性があり、市場における大きな変動又は市場における機能不全は、当行が保有する金融商品の時価に悪影響を及ぼす可能性があります。

さらに、金融商品の時価に関する会計上の取扱いについて、国際的な会計基準設定団体による見直しの議論が続いているところでもあるため、今後、制度・基準等が見直された場合には、当行が保有する金融商品の時価に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

13.外的要因(紛争・テロ・自然災害等)に関するリスク

紛争(深刻な政情不安を含みます。)、テロ、地震・風水害・感染症の流行等の自然災害等の外的要因により、社会インフラに重大な障害が発生、又は当行の店舗、ATM、システムセンターその他の施設が直接被災、又はその他正常な業務遂行を困難とする状況が発生することで、当行の業務の全部又は一部が停止するおそれがあります。また、これらの事象に対応するため、追加の費用等が発生するおそれがあります。さらに、かかる要因に起因して、景気の悪化、当行の貸出先の経営状況の悪化、株価の下落等の事由が生じ、これにより、当行の不良債権及び与信関係費用が増加する、又は、保有する金融商品において減損若しくは評価損が生じるおそれがあります。 

上記の場合、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
当行は、自然災害の中でも特に地震による災害リスクにさらされております。例えば、当行の重要な機能並びに我が国の企業、金融市場等が集中する首都圏において首都直下地震が発生した場合、有形資産や人的資産の直接損失のほか、市場混乱、景気悪化、復興費用発生見込みによる国債格下げ又はこれらの懸念などが生じる可能性があります。

当行では、このような災害リスクに対し必要な業務継続計画を整備し、常にレベルアップを図っておりますが、必ずしもあらゆる事態に対応できるとは限りません。例えば、平成23年3月に発生した東日本大震災のような大規模災害に伴う津波、液状化現象、火災、計画停電や節電対応等により、当行の店舗、ATM、システムセンターその他の施設の運営が悪影響を受けるおそれがあります。なお、東日本大震災後の原子力発電所の運転停止等を原因とする電力供給の制限等により、本年度以降も、当行の店舗、ATMその他の施設の運営が悪影響を受けるおそれがあります。

 

14.システムに関するリスク

当行の事業において、情報通信システムは非常に重要な要素の一つであり、インターネット又はATMを通じた顧客サービスはもとより、当行の業務・勘定等の根幹をなしております。紛争(深刻な政情不安を含みます。)、テロ、地震・風水害・感染症の流行等の自然災害等の外的要因に加えて、人為的ミス、機器の故障、停電、通信事業者等の第三者の役務提供の瑕疵等により、情報通信システムの不具合が生じ、取引処理の誤りや遅延等の障害、情報の流出等が生じる可能性があります。この場合、その程度によっては、業務の停止及びそれに伴う損害賠償の負担その他の損失が発生し、また、行政処分の対象となる可能性、並びにこれらの事象に対応するため追加の費用等が発生する可能性があるほか、当行の信頼が損なわれ又は評判が低下し、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

 

15.サイバー攻撃等に関するリスク

当行の情報通信システムは、当行の業務・勘定等の根幹をなしており、外部からのサイバー攻撃その他の不正アクセス、コンピュータウィルス感染等により、情報の流出、情報通信システム機能の停止や誤作動等が生じる可能性があります。この場合、その程度によっては、業務の停止及びそれに伴う損害賠償の負担その他の損失が発生し、また、行政処分の対象となる可能性、並びにこれらの事象に対応するため追加の費用等が発生する可能性があるほか、当行の信頼が損なわれ又は評判が低下し、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

16.競争に伴うリスク

地域金融機関をはじめとした統合・再編の進展、日本郵政株式会社及びその金融子会社2社の上場に向けた動き等、国内における金融業界の競争環境は今後大きく変化し、益々その厳しさを増す可能性があります。他方、海外においても、欧米金融機関の競争力が回復する中、アジアの地場金融機関の成長もあり、競争環境の更なる激化が見込まれます。さらに、ICT(Information and Communication Technology)の進歩は、他業種から金融業界への参入など、新たな脅威をもたらす可能性もあります。また、金融機関に対する規制の枠組み変更がグローバルに進められており、これにより金融業界における競争環境が変化する可能性もあります。当行が、こうした競争的な事業環境において競争優位を得られない場合、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

17.不公正・不適切な取引その他の行為が存在したとの指摘や、これらに伴う処分等を受けるリスク

当行は、現行の規制及び規制に伴うコンプライアンス・リスク(当行が事業を営んでいる本邦及び海外市場における法令、政策、自主規制等の変更による影響を含みます。)のもとで事業を行っております。当行のコンプライアンス・リスク管理態勢及びプログラムは、全ての法令規則に抵触することを完全に防止する効果を持たない可能性があります。

当行が、マネーロンダリング、金融犯罪その他の不公正・不適切な取引に関するものを含む、適用ある法令及び規則の全てを遵守できない場合、罰金、課徴金、懲戒、評価の低下、業務改善命令、業務停止命令、さらに極端な場合には業務についての許認可の取消しを受けることが考えられ、また、これにより当行のレピュテーション・リスクが顕在化し、顧客やマーケット等の信頼を失うなど事業環境が悪化する可能性もあり、これらにより、当行の事業及び経営成績が悪影響を受けるおそれがあります。規制に関する事項はまた、当行が将来、戦略的な活動を実施する場面で当局の許認可を取得する際に悪影響を及ぼすおそれがあります。

なお、当行は、平成18年~平成19年の期間に米国の経済制裁規制に対する違反と見られ得る行為があったものとして、平成24年12月に米国財務省外国資産管理局(Office of Foreign Assets Control。以下、「OFAC」といいます。)との間で和解金を支払うことで合意し、また、平成14年~平成19年に取り扱ったイラン関連の米ドル建決済取引における適切性を欠いた事務処理があった等として、平成25年6月に米国ニューヨーク州金融サービス局(New York State Department of Financial Services。以下、「DFS」といいます。)との間で、和解金の支払と、当行の経済制裁対応に関する現状の内部管理態勢について当行が第三者機関に検証を委託すること等につき合意しました。さらに、当行が平成19年~平成20年に自主的に社内調査を実施した、米国の定める経済制裁国向けの決済取引に関する報告書の調査・作成過程において、委託先であるPricewaterhouseCoopers LLPに対して行った指示及びDFSに対する説明に関し、当行は、平成26年11月にDFSとの間で、①合意した金額の支払、②当時の関係者に対する対応、③米国のマネーロンダリング防止対策機能等(OFAC規制対応を含む)のニューヨークへの移転並びに、④第三者機関に委託中の米国の経済制裁対応に関する当行の内部管理態勢検証についてDFSが必要と認めた場合に期間延長を行うことを合意しました。なお、当行はその他の関係当局ともこれらの事象について緊密に報告・協働し、必要な対応を行っております。今後、新たな展開又は類似の事象が生じた場合には、関係当局より更なる処分等を受け、又は関係当局との間で新たな和解金の支払合意を行うなどの可能性があります。

また、当行は、当行を含むパネル行が各種銀行間指標金利の算出機関に呈示した内容等を調査している各国の政府当局から、情報提供命令等を受けております。当行は、これらの調査に対して協力を行い、独自の調査等を実施しております。上記に関連して、当行は、他のパネル行とともに、米国におけるクラスアクションを含む、複数の民事訴訟の被告となっております。

 

 

18.規制変更のリスク

当行は、現時点の規制(日本及び当行が事業を営むその他の地域における法律、規則、会計基準、政策、実務慣行及び解釈、並びに国際的な金融規制等を含みます。以下、本項において同じ。)に従って、また、規制の変更等によるリスクを伴って、業務を遂行しております。足許では、破綻時における総損失吸収力(TLAC)、銀行勘定における金利リスク(IRRBB)への資本賦課、リスク・ウェイト・アセット計測方法の見直し等、銀行経営に大きな影響を及ぼしうる規制の検討が国際的に進められており、将来における規制の変更及びそれらによって発生する事態が、当行の事業、財政状況及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。しかし、具体的にどのような影響が発生しうるかについては、最終的に決定される規制の内容によるため、現時点でその種類・内容・程度等を予測することは困難であるとともに、当行がコントロールしうるものではありません。

 

19.テロ支援国家との取引に係るリスク

当行は、イラン・イスラム共和国(以下「イラン」といいます。)等、米国国務省が「テロ支援国家」と指定している国における法主体又はこれらの国と関連する法主体との間の取引を実施しております。また、当行はイランに駐在員事務所を設置しております。

米国法は、米国人が当該国家と取引を行うことを、一般的に禁止又は制限しております。さらに、米国政府及び年金基金をはじめとする米国の機関投資家が、イラン等のテロ支援国家と事業を実施する者との間で取引や投資を行うことを規制する動きがあるものと認識しております。このような動きによって、当行が米国政府及び年金基金をはじめとする機関投資家、あるいは規制の対象となる者を、当行の顧客又は投資家として獲得、維持できない結果となる可能性があります。加えて、社会的・政治的な状況に照らして、上記国家との関係が存在することによって、当行の評判が低下することも考えられます。上記状況は、当行の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、米国は、平成22年7月に制定された包括イラン制裁法、平成23年12月に制定された国防授権法に加え、平成24年8月に制定されたイラン脅威削減・シリア人権法において、イランとの取引に係る規制をさらに強化するとともに、平成25年2月以降、米国証券取引所に登録している企業(米国外企業を含みます。)に対して特定のイラン関連の取引の開示を義務付けています。本邦においても、外国為替及び外国貿易法に基づき、イランの核活動等に寄与し得る銀行等に対する資産凍結等の措置がとられており、当行では、かかる規制に則った措置を講じております。しかし、かかる措置が米国における規制に十分対応できていないと米国政府に判断された場合には、米国政府による何らかの規制上の措置の対象となる可能性があります。なお、これに関連する処分等については、「17.不公正・不適切な取引その他の行為が存在したとの指摘や、これらに伴う処分等を受けるリスク」をご参照下さい。

 

20.自己資本比率に関するリスク

(1) 自己資本比率規制及び悪化要因

当行には、平成25年3月期より「バーゼルⅢ:より強靭な銀行および銀行システムのための世界的な規制の枠組み」(以下「バーゼルⅢ」といいます。)に基づく自己資本比率規制が適用されております。バーゼルⅢは、従前の自己資本比率規制(バーゼルⅡ)と比べ資本の質を重視するとともに、自己資本比率の最低水準の引き上げにより資本の水準を向上させ、また、自己資本比率が一定水準を下回った場合には配当等の社外流出が抑制される資本保全バッファーを導入することなどを内容とするものであり、平成25年3月期から段階的に適用されています。当行は、海外営業拠点を有しておりますので、連結自己資本比率及び単体自己資本比率は「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年金融庁告示第19号)に定められる国際統一基準が適用されます。

当行の自己資本比率が要求される水準を下回った場合には、金融庁から業務の全部又は一部の停止等を含む様々な命令を受けることとなります。

また、当行及び当行の一部銀行子会社には、米国を含む諸外国において、自己資本比率規制が適用されており、要求される水準を下回った場合には、現地当局から様々な命令を受けることになります。

 

当行の自己資本比率に影響を与える要因には以下のものが含まれます。

・債務者及び株式・債券の発行体の信用力の悪化に際して生じうるポートフォリオの変動による信用リスクアセット及び期待損失の増加

・調達している資本調達手段の償還・満期等に際して、これらを同等の条件で借り換え又は発行することの困難

・有価証券ポートフォリオの価値の低下

・為替レートの不利益な変動

・自己資本比率規制の不利益な改正

・繰延税金資産計上額の減額

・その他の不利益な展開

(2) 規制動向

平成26年11月に金融安定理事会(FSB)は、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループをグローバルにシステム上重要な銀行(G‐SIBs)として公表しました。G‐SIBsに対しては、平成28年度から段階的により高い資本水準が求められます。G‐SIBsに該当する金融機関のリスト及び追加的に求められる資本水準は毎年更新されることから、今後、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループに対して更に高い資本水準を求められるおそれがあります。

(3) 繰延税金資産

バーゼルⅢの適用開始に伴い改正された上記の告示においては、繰延税金資産は普通株式等Tier1資本の基礎項目並びに調整項目から計算される一定の基準額まで自己資本に算入することができます。この基準額を超過する場合には、その超過額が普通株式等Tier1資本に算入できなくなり、当行の自己資本比率が低下するおそれがあります。

(4) 資本調達

バーゼルⅢの適用開始に伴い改正された上記の告示には、平成25年3月以前に調達した資本調達手段(適格旧資本調達手段)の資本算入に関する経過措置が設けられており、当該経過措置の範囲内で自己資本に算入することができます。これらの資本調達手段については、自己資本への算入可能期限到来に際し、借り換え等が必要となる可能性がありますが、上記の告示では、普通株式等による場合を除き、新たに調達する資本調達手段について自己資本への算入が認められる要件として、その調達を行った金融機関が実質的な破綻状態にあると認められる場合等に、元本削減又は普通株式への転換が行われる旨の特約が定められていることが必要とされており、市場環境等の状況によっては、同等の条件で借り換え又は発行することができないおそれがあります。かかる場合、当行の自己資本の額は減少し、自己資本比率が低下することとなります。

 

21. 退職給付債務に係るリスク

当行の年金資産の時価及び運用利回りが下落・低下した場合、予定給付債務を計算する前提となる保険数理上の前提・仮定に変更があった場合、又は退職給付に係る会計基準が改正された場合には、損失が発生する可能性があります。また、年金制度の変更により未認識の過去勤務費用が発生する可能性があります。金利環境の変動その他の要因も年金の未積立債務及び年間積立額にマイナスの影響を与える可能性があります。これらの結果、当行の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

22.情報紛失・漏洩に係るリスク

当行は、銀行法や金融商品取引法等に基づき、顧客情報を適切に取り扱うことが求められております。また、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)に基づき、当行も個人情報取扱事業者として個人情報保護に係る義務等の遵守を求められております。

不適切な管理、外部からのサイバー攻撃その他の不正なアクセス、もしくはコンピュータウィルスへの感染等により、顧客情報や当行の機密情報が紛失・漏洩した場合、行政処分の対象となるほか、顧客の経済的・精神的損害に対する損害賠償等、直接的な損失が発生する可能性があります。加えて、かかる事件が報道され、当行のレピュテーション・リスクが顕在化し、顧客やマーケット等の信頼を失うなど事業環境が悪化することにより、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

 

23.風評に関するリスク

当行の評判は、顧客、投資家、監督官庁、及び社会との関係を維持する上で極めて重要です。当行の評判は、法令遵守違反、役職員の不正行為・不祥事、潜在的な利益相反に対する不適切な処理、訴訟、システム障害、当行の名称を騙った第三者による不正行為・犯罪、コントロールすることが困難又は不可能な顧客や相手方の行動、並びに顧客との取引における不適切な取引慣行及び優越的地位の濫用等の様々な原因により損なわれる可能性があります。これらを避けることができず、又は適切に対処することができなかった場合には、当行は、現在又は将来の顧客及び投資家を失うこととなり、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

24.人材確保に係るリスク

当行は、有能な人材の確保・育成に努めておりますが、必要な人材を確保・育成できない場合には、当行の業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

(1) 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループとの経営管理契約

当行は、平成18年1月1日付で、当行の親会社である株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループとの間で、経営管理契約を締結しております。

本契約は、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの子会社・関連会社を含むMUFGグループの健全且つ適切な業務運営の確保と当行の業務進展を図ることを目的としており、当行は株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループより、経営管理に関わる役務の提供を受けております。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。

 

当連結会計年度の連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前)は、連結業務粗利益が資金運用収益や役務取引等収益の伸長に加え、アユタヤ銀行の連結化の影響もあり、前連結会計年度比4,577億円増加した一方、営業経費も海外事業にかかる経費増加や消費税増加に加え、アユタヤ銀行の連結化を主因に、前連結会計年度比2,767億円増加したことにより、前連結会計年度比1,809億円増加して1兆2,285億円となりました。

また、連結当期純利益は、前連結会計年度比227億円減少して7,316億円となりました。

 

当連結会計年度における主な項目は、以下のとおりであります。

 

 

前連結会計年度
(億円)
(A)

当連結会計年度
(億円)
(B)

前連結会計年度比
(億円)
(B-A)

資金運用収益

19,620

23,849

4,229

資金調達費用(金銭の信託運用見合費用控除後)

3,971

5,120

1,149

信託報酬

142

125

△16

 うち信託勘定償却

役務取引等収益

7,325

8,848

1,523

役務取引等費用

1,337

1,520

182

特定取引収益

1,243

1,493

249

特定取引費用

その他業務収益

4,133

3,537

△596

その他業務費用

1,638

1,117

△521

連結業務粗利益
(=①-②+③+⑤-⑥+⑦-⑧+⑨-⑩)

25,516

30,094

4,577

営業経費(臨時費用控除後)

15,041

17,809

2,767

連結業務純益
(一般貸倒引当金繰入前=⑪+④-⑫)

 

10,475

12,285

1,809

その他経常費用(一般貸倒引当金繰入額)

831

831

連結業務純益(=⑪-⑫-⑬)

 

10,475

11,453

977

その他経常収益

3,529

2,436

△1,093

 うち貸倒引当金戻入益

 

745

△745

 うち償却債権取立益

 

408

439

30

 うち株式等売却益

 

1,339

772

△566

資金調達費用(金銭の信託運用見合費用)

0

1

0

営業経費(臨時費用)

282

267

△15

その他経常費用(一般貸倒引当金繰入額控除後)

1,545

1,408

△136

 うち与信関係費用

 

800

782

△18

 うち株式等売却損

 

87

114

26

 うち株式等償却

 

134

37

△97

臨時損益(=⑭-⑮-⑯-⑰)

 

1,700

758

△941

経常利益

 

12,175

12,212

36

特別損益

 

△207

△682

△475

 うち減損損失

 

△37

△42

△4

税金等調整前当期純利益

 

11,967

11,529

△438

法人税等合計

 

3,801

3,472

△328

少数株主利益

 

623

740

116

当期純利益

 

7,543

7,316

△227

 

 

 

1.経営成績の分析

 

(1) 主な収支

連結業務粗利益は、前連結会計年度比4,577億円増加して3兆94億円となりました。

資金運用収支は、海外の貸出金の増加及び有価証券利息配当金の増加に加え、アユタヤ銀行の連結化の影響もあり、前連結会計年度比3,080億円増加して1兆8,728億円となりました。

役務取引等収支は、国内外の融資関係手数料等の増加に加え、アユタヤ銀行の連結化の影響もあり、前連結会計年度比1,340億円増加して7,328億円となりました。

特定取引収支は、前連結会計年度比249億円増加して1,493億円、その他業務収支は、前連結会計年度比75億円減少して2,419億円となりました。

営業経費(臨時費用控除後)は、海外事業にかかる経費増加や消費税増加に加え、アユタヤ銀行の連結化の影響もあり、前連結会計年度比2,767億円増加して1兆7,809億円となりました。この結果、連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前)は、前連結会計年度比1,809億円増加して1兆2,285億円となりました。

 

 

 

前連結会計年度
(億円)
(A)

当連結会計年度
(億円)
(B)

前連結会計年度比
(億円)
(B-A)

資金運用収支

 

15,648

18,728

3,080

 資金運用収益

19,620

23,849

4,229

 資金調達費用
 (金銭の信託運用見合費用控除後)

3,971

5,120

1,149

信託報酬

142

125

△16

 うち信託勘定償却

役務取引等収支

 

5,987

7,328

1,340

 役務取引等収益

7,325

8,848

1,523

 役務取引等費用

1,337

1,520

182

特定取引収支

 

1,243

1,493

249

 特定取引収益

1,243

1,493

249

 特定取引費用

その他業務収支

 

2,494

2,419

△75

 その他業務収益

4,133

3,537

△596

 その他業務費用

1,638

1,117

△521

連結業務粗利益
(=①-②+③+⑤-⑥+⑦-⑧+⑨-⑩)

25,516

30,094

4,577

営業経費(臨時費用控除後)

15,041

17,809

2,767

連結業務純益
(一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前)
(=⑪+④-⑫)

 

10,475

12,285

1,809

 

 

 

(2) 与信関係費用

与信関係費用総額は、一般貸倒引当金が増加したことを主因に、前連結会計年度比1,517億円増加して1,164億円となりました。

 

 

 

前連結会計年度
(億円)
(A)

当連結会計年度
(億円)
(B)

前連結会計年度比
(億円)
(B-A)

信託報酬のうち信託勘定償却

その他経常収益のうち貸倒引当金戻入益

745

△745

その他経常収益のうち偶発損失引当金戻入益

10

10

その他経常収益のうち償却債権取立益

408

439

30

その他経常費用のうち一般貸倒引当金繰入

831

831

その他経常費用のうち与信関係費用

800

782

△18

 貸出金償却

 

722

909

186

 個別貸倒引当金繰入額

 

△267

△267

 その他の与信関係費用

 

78

140

62

与信関係費用総額
(=①-②-③-④+⑤+⑥)

 

△353

1,164

1,517

連結業務純益
(一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前)

 

10,475

12,285

1,809

連結業務純益(与信関係費用総額控除後)

 

10,828

11,120

291

 

 

 

 

(3) 株式等関係損益

株式等関係損益は、前連結会計年度比495億円減少して620億円となりました。

株式等売却益は前連結会計年度比566億円減少して772億円、株式等売却損は前連結会計年度比26億円増加して114億円、株式等償却は前連結会計年度比97億円減少して37億円となりました。

 

 

 

前連結会計年度
(億円)
(A)

当連結会計年度
(億円)
(B)

前連結会計年度比
(億円)
(B-A)

株式等関係損益

 

1,116

620

△495

 その他経常収益のうち株式等売却益

 

1,339

772

△566

 その他経常費用のうち株式等売却損

 

87

114

26

 その他経常費用のうち株式等償却

 

134

37

△97

 

 

 

2.財政状態の分析

 

(1) 貸出金

貸出金は、前連結会計年度末比6兆5,884億円増加して97兆6,161億円となりました。国内・海外とも貸出残高が増加いたしました。

 

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

貸出金残高(末残)

910,277

976,161

65,884

  うち住宅ローン[単体]

150,956

145,554

△5,402

  うち海外支店[単体]

209,158

238,774

29,616

  うち海外子会社
  (MUFG Americas Holdings Corporation)

71,068

91,501

20,433

 

 

 

○リスク管理債権の状況

当行グループのリスク管理債権(除く信託勘定)は、前連結会計年度末比1,642億円減少して1兆3,200億円となりました。

貸出金残高に対するリスク管理債権(除く信託勘定)の比率は、前連結会計年度末比0.27ポイント減少して1.35%となりました。

債権区分別では、破綻先債権額が前連結会計年度末比25億円減少、延滞債権額が前連結会計年度末比2,386億円減少、3ヵ月以上延滞債権額が前連結会計年度末比7億円増加、貸出条件緩和債権額が前連結会計年度末比762億円増加しております。

 

部分直接償却後 未収利息不計上基準(資産の自己査定基準)

[連結]

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

 

破綻先債権額

216

190

△25

 

延滞債権額

9,481

7,094

△2,386

リスク管理債権

3ヵ月以上延滞債権額

456

464

7

 

貸出条件緩和債権額

4,688

5,451

762

 

合計

14,843

13,200

△1,642

 

 

 

 

 

貸出金残高(末残)

910,277

976,161

65,884

 

 

 

前連結会計年度末
(A)

当連結会計年度末
(B)

前連結会計年度末比
(B-A)

 

破綻先債権額

0.02%

0.01%

△0.00%

 

延滞債権額

1.04%

0.72%

△0.31%

貸出金残高比率

3ヵ月以上延滞債権額

0.05%

0.04%

△0.00%

 

貸出条件緩和債権額

0.51%

0.55%

0.04%

 

合計

1.63%

1.35%

△0.27%

 

 

 

○リスク管理債権のセグメント情報

地域別セグメント情報

[連結]

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

国内

11,626

10,312

△1,313

海外

3,217

2,887

△329

 アジア

831

997

165

  インドネシア

24

28

4

  シンガポール

0

△0

  タイ

615

815

199

  香港

7

△7

  中国

1

1

△0

  その他

181

152

△29

 米州

1,149

1,007

△142

 欧州、中近東他

1,235

882

△353

合計

14,843

13,200

△1,642

 

 

 

業種別セグメント情報

[連結]

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

国内

11,626

10,312

△1,313

 製造業

2,508

3,262

754

 建設業

371

261

△110

 卸売業、小売業

2,437

2,074

△362

 金融業、保険業

64

53

△10

 不動産業、物品賃貸業

1,821

1,111

△709

 各種サービス業

1,062

824

△237

 その他

645

440

△204

 消費者

2,716

2,283

△432

海外

3,217

2,887

△329

 金融機関

242

74

△168

 商工業

1,343

1,206

△136

 その他

1,631

1,607

△24

合計

14,843

13,200

△1,642

 

 

 

[ご参考]金融再生法開示債権の状況

金融再生法開示債権は、前連結会計年度末比1,953億円減少して1兆1,769億円となりました。

開示債権比率は、前連結会計年度末比0.28ポイント減少して1.27%となりました。

債権区分別では、破産更生債権及びこれらに準ずる債権が35億円減少、危険債権が2,727億円減少、要管理債権が810億円増加しております。

当連結会計年度末の開示債権の保全状況は、開示債権合計1兆1,769億円に対し、貸倒引当金による保全が3,084億円、担保・保証等による保全が5,971億円で、開示債権全体の保全率は76.94%となっております。

不良債権処理に関しましては、従来より重要課題として取り組んでおり、今後とも償却・売却等による最終処理、または再建可能な先の正常化を図ることで、不良債権残高を削減したいと考えております。

 

金融再生法開示債権

[単体]

債権区分

開示残高
 
(億円) 
(A)

貸倒引当金
 
(億円) 
(B)

うち担保・
保証等による
保全額
(億円)
(C)

非保全部分に
対する引当率
(B)
/[(A)-(C)]

保全率
[(B)+(C)]
/(A)

破産更生債権及び
これらに準ずる債権

879

(915)

11

(11)

867

(903)

100.00%

(100.00%)

100.00%

(100.00%)

危険債権

5,496

(8,224)

1,470

(2,445)

2,887

(3,896)

56.35%

(56.51%)

79.28%

(77.11%)

要管理債権

5,393

(4,582)

1,602

(1,200)

2,216

(2,232)

50.44%

(51.08%)

70.80%

(74.91%)

小計

11,769

(13,722)

3,084

(3,657)

5,971

(7,033)

53.20%

(54.67%)

76.94%

(77.90%)

正常債権

911,170

(869,063)

――

――

――

――

合計

922,939

(882,785)

――

――

――

――

開示債権比率

1.27%

(1.55%)

――

――

――

――

 

(注) 上段は当連結会計年度末の計数、下段(カッコ書き)は前連結会計年度末の計数を記載しております。

 

 

(2) 有価証券

有価証券は、前連結会計年度末比3兆2,524億円減少して54兆1,699億円となりました。株式が1兆1,269億円、その他の証券が7,277億円、それぞれ増加しましたが、国債が4兆9,011億円、社債が1,964億円、それぞれ減少しました。

 

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

有価証券

574,223

541,699

△32,524

 国債

338,570

289,558

△49,011

 地方債

1,977

1,881

△95

 社債

21,230

19,265

△1,964

 株式

38,050

49,319

11,269

 その他の証券

174,395

181,673

7,277

 

(注) 「その他の証券」は、外国債券及び外国株式を含んでおります。

 

 

 

(3) 繰延税金資産

繰延税金資産の純額は、前連結会計年度末比5,305億円減少して△6,337億円となりました。

当行単体の発生原因別では、繰延税金資産は、貸倒引当金や有価証券有税償却、その他有価証券評価差額金に係る繰延税金資産が取り崩される一方、評価性引当額が減少したことにより、前連結会計年度末比165億円減少して5,711億円となりました。また、繰延税金負債は、その他有価証券評価差額金の増加を主因に、前連結会計年度末比4,994億円増加して1兆1,565億円となりました。

 

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

繰延税金資産の純額

△1,031

△6,337

△5,305

 

(注) 連結財務諸表上の繰延税金資産から繰延税金負債を差し引いたものです。

 

発生原因別内訳(単体)

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

繰延税金資産

5,876

5,711

△165

 貸倒引当金

2,941

2,811

△129

 有価証券有税償却

1,292

960

△331

 その他有価証券評価差額金

272

133

△139

 退職給付引当金

944

1,053

108

 その他

2,259

2,058

△200

 評価性引当額(△)

1,833

1,305

△527

繰延税金負債

6,570

11,565

4,994

 その他有価証券評価差額金

4,707

9,252

4,545

 繰延ヘッジ損益

241

745

504

 合併時有価証券時価引継

706

696

△10

 退職給付信託設定益

580

526

△53

 その他

334

343

8

繰延税金資産の純額

△693

△5,853

△5,159

 

 

 

(4) 預金

預金は、前連結会計年度末比8兆2,228億円増加して140兆9,546億円となりました。
 国内個人預金[単体]が1兆6,256億円増加、国内法人預金その他[単体]が1兆5,819億円増加、海外支店[単体]が1兆8,687億円増加しました。

 

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

預金

1,327,318

1,409,546

82,228

 うち国内個人預金[単体]

605,684

621,940

16,256

 うち国内法人預金その他[単体]

426,828

442,647

15,819

 うち海外支店[単体]

159,386

178,074

18,687

 

(注) 「国内個人預金[単体]」及び「国内法人預金その他[単体]」は、特別国際金融取引勘定分を除いております。

 

 

 

(5) 純資産の部

純資産の部合計は、利益剰余金及びその他有価証券評価差額金の増加を主因に前連結会計年度末比1兆4,603億円増加して13兆2,018億円となりました。
 その他有価証券評価差額金は、前連結会計年度末比1兆2,472億円増加して2兆991億円となりました。また少数株主持分は、前連結会計年度末比629億円減少して1兆4,194億円となりました。

 

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

純資産の部合計

117,414

132,018

14,603

  うち資本金

17,119

17,119

  うち資本剰余金

38,782

36,576

△2,206

  うち利益剰余金

37,286

40,710

3,424

  うち自己株式

△2,557

△6,457

△3,900

  うちその他有価証券評価差額金

8,519

20,991

12,472

  うち少数株主持分

14,823

14,194

△629

 

 

 

3.連結自己資本比率(国際統一基準)

 

総自己資本の額は、当期純利益の積み上げに加え、その他有価証券評価差額金の増加等により、普通株式等Tier1資本の額が増加し、前連結会計年度末比1兆4,745億円増加の13兆7,307億円となりました。

リスク・アセットの額は、前連結会計年度末比9兆2,540億円増加して87兆9,321億円となりました。

この結果、連結総自己資本比率は、前連結会計年度末比0.03ポイント増加して15.61%、連結Tier1比率は、前連結会計年度末比0.12ポイント増加して12.33%、連結普通株式等Tier1比率は、前連結会計年度末比0.16ポイント減少して10.88%となりました。

 

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

総自己資本の額

122,561

137,307

14,745

Tier1資本の額

96,115

108,488

12,373

普通株式等Tier1資本の額

86,965

95,718

8,752

リスク・アセットの額

786,780

879,321

92,540

総自己資本比率

①/④

15.57%

15.61%

0.03%

Tier1比率

②/④

12.21%

12.33%

0.12%

普通株式等Tier1比率

③/④

11.05%

10.88%

△0.16%

 

(注) 総自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づく平成18年金融庁告示第19号に定められた算式に基づいて、国際統一基準を適用のうえ算出しております。

 

 

 

 

4.キャッシュ・フローの状況

 

「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (キャッシュ・フローの状況)」に記載しております。

 

 

5.事業部門別収益

 

当連結会計年度の内部管理上の区分けを基準とした事業部門別収益状況は、次のとおりです。

 

[各事業部門の主な担当業務]

 

リテール部門

国内の個人に対する金融サービスの提供

法人部門

国内の企業に対する金融サービスの提供

国際部門

海外の個人・企業に対する金融サービスの提供

 うちMUAH

MUFG Americas Holdings Corporation(その銀行子会社であるMUFG Union Bank, N.A.を含む)

アユタヤ銀行

タイの商業銀行

市場部門

為替・資金・証券の対顧客・対市場取引及び流動性管理・資金繰り管理

その他部門

決済・カストディ業務、出資金収支、部門間調整 等

 

 

 

 

リテール部門
(億円)

法人部門
(億円)

国際部門
(億円)

 

アユタヤ
銀行
(億円)
(注3)

市場部門
(億円)

その他部門(億円)
(注4)

合計
(億円)

MUAH
(億円)
(注2)

業務粗利益

5,877

7,166

10,892

4,423

2,403

4,108

△207

30,239

 

 単体

5,116

6,943

5,112

3,851

△24

20,999

 

 

 金利収益

3,549

3,134

2,656

1,643

1,305

12,289

 

 

 非金利収益

1,567

3,808

2,456

2,207

△1,330

8,709

 

 子会社

760

222

5,779

4,423

2,403

257

△183

9,240

経費

4,494

3,280

6,258

2,980

1,236

685

1,959

17,916

営業純益(注1)

1,382

3,885

4,633

1,443

1,166

3,423

△2,167

12,323

 

(注)1 連結業務純益の内部取引消去等連結調整前の計数(子会社からの配当収入のみ消去)です。

社内管理のために算出した損益であり、財務会計上の損益とは一致しません。

2 MUAHは、平成26年7月1日にUNBC(UnionBancal Corporation)から商号変更しております。

3 アユタヤ銀行の計数は、タイの会計基準に基づいて算出しております。

4 その他部門の業務粗利益では、子会社からの配当収入、及び株式会社三菱UFJフィナンシャル・
グループ宛貸出収益を控除しております。

 

(1) リテール部門

市場金利低下の影響で円預金収益が引き続き減少しましたが、運用商品販売収益やコンシューマーファイナンス収益が引き続き堅調を維持したほか、経費削減にも努めました。

(2) 法人部門

市場金利低下の影響で円預金収益が引き続き減少しましたが、ソリューション業務を含めた投資銀行業務収益が引き続き好調を維持しました。

(3) 国際部門

アジア、米州、欧州の各地域において、貸出資金収益やCIB収益等が増加したことにより、粗利益が引き続き伸張しました。

(4) アユタヤ銀行

政治情勢悪化等を背景とした市場環境の変化により非金利収益が減少しましたが、貸出の積み上げにより、粗利益は伸張しました。

(5) 市場部門

国債等債券関係損益は減少しましたが、外部環境の変化に対応した機動的な操作を行い、前年を上回る収益を確保しました。