第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当行が判断したものであります。

 

(1) 経営方針

わが国は少子高齢化や人口減少等の課題を抱え、世界的にも低成長が常態化しつつあります。また、環境・社会課題への意識の高まりや、デジタル技術進展に伴う異業種の金融事業への新規参入の継続、足元ではインフレ率の高止まりや再加速の懸念、地政学リスクの高まり、欧州や米国を中心とした金融市場・金融システムの不安定化等、当行を取り巻く経営環境は大きく変化しています。

当行では、こうした変化を正しく読み解いたうえでそれを飛躍のチャンスに変え、新しい時代において社会をリードする存在でありたいと考えています。2021年4月に「世界が進むチカラになる。」をMUFGの存在意義(パーパス)として設定し、2021年度からの3年間を対象とした中期経営計画では「企業変革」、「成長戦略」、「構造改革」を主要戦略の3本柱として掲げ、2021年度に引続き、2022年度もこれら戦略をMUFGグループ一丸で推進し、成果を挙げることができました。

2023年も、環境変化に応じたビジネスモデルを作り上げ、また、その結果として収益力向上及びROEの改善を実現することを通じて、お客さま・行員をはじめとする全てのステークホルダーの期待に応えてまいります。

中期経営計画では、めざす姿として「金融とデジタルの力で未来を切り拓くNo.1ビジネスパートナー」を掲げています。そこには変化の激しい時代において、「全てのステークホルダーが次へ、前へ進むためのチカラになりたい」という思いを込めております。「デジタル」、「サステナビリティ経営」、「挑戦・スピード」をテーマに変革を進め、お客さまと社会の課題に徹底的に向き合い、課題解決に努めてまいります。

また、持続的成長・企業価値向上の為には、MUFGの事業ポートフォリオを収益性がさらに高く安定的なものにすることが重要であり、その実現に向けては、成長領域に対する戦略出資が重要な手段だと考えています。加えて、行員が活き活きと働ける会社を目指し、新たな価値を生み出す成功体験、また挑戦している行員の可視化を通じ、パーパス起点での挑戦が広がる好循環の構築を目指します。

これらの取組みを通じた経営方針のキーワードは三つ、「デジタルトランスフォーメーション」、「強靭性」、「エンゲージメント」です。

一つ目は、「会社のあり方をデジタル化する」。実際にはリアルとのバランスではありますが、社会のデジタルシフトに対応するために、第一に掲げました。

二つ目は、「事業としての強靭性の重視」です。今回の危機で、MUFGはどんな環境においても信頼され続ける存在でなければならないと、改めて考えさせられました。金融機関としての健全性を確保して、経営資源をMUFGグループの有する強みのある領域へと重点配置いたします。

最後が、「エンゲージメント重視の経営」です。これは、大きな変化が会社ひいては行員一人ひとりに求められるなか、変革の方向性に対する共感性を大切にし、行員間や組織間、お客さまとの間、また社会とも共感できる、皆が参画意識を感じられる、魅力的な会社にしていきたいと考えるものです。

 

(2) 経営環境

当年度の金融経済環境でありますが、世界経済は、コロナ禍に起因する各種の供給制約やウクライナ紛争によるエネルギー価格高騰が招いた世界的なインフレの高進、それを受けた各国での大幅な金融引き締めが景気を下押ししたものの、「ウィズコロナ」を前提に経済活動の正常化が進んだことで、全体としては緩やかながら回復を続けました。もっとも、ウクライナ紛争は長期化の様相を呈しているほか、これまでの金融引き締めの累積的な効果により世界経済への下押し圧力は一段と強まってきており、昨年末以降、景気の減速基調が明確化してきています。また、3月以降に発生した欧米の金融システム不安については、今後、実体経済への影響が顕在化してくるリスクも否定できません。わが国では、昨年3月にまん延防止等重点措置が解除されて以降、経済活動の正常化とコロナ対策の両立が着実に進展しており、景気は緩やかな回復を続けています。

      金融市場に目を転じますと、株価は、ウクライナ紛争など地政学リスクを巡る緊張が高まり、さらに各国中銀が

    金融引き締め姿勢を強める中で値を下げる局面もありましたが、概ね高値圏で推移しました。金利については、欧

    米での急速な利上げを受け、年後半にかけて市中金利は上昇基調で推移しましたが、その後は、途中上下しつ

  つも、徐々に水準を切り下げてきています。わが国では、短期金利は低水準での推移が続きましたが、長期金利  

  は、昨年12月の日銀によるイールドカーブ・コントロールの一部見直しによりやや上昇しました。ドル円相場

  は、昨年10月には32年ぶりに151円台まで円安が進行しました。その後は政府・日銀の為替介入や米国の利上げ

  ペース鈍化、日銀の政策見直しなどにより、円安進行には歯止めが掛かり、円高・ドル安方向にやや水準調整され

  た形で推移しています。

 

(3) 対処すべき課題

主たる戦略の柱として掲げている「企業変革」、「成長戦略」、「構造改革」をMUFGグループの各事業会社、事業本部、コーポレートセンターが一体で推進しています。

「企業変革」では、会社のありようを変える、変革を進めていくという観点から、「デジタルトランスフォーメーション」、「環境・社会課題への貢献」に取り組むとともに、スピードと挑戦をキーワードに「カルチャー改革」を推進します。

 

「成長戦略」では、収益力を強化すべく、「ウェルスマネジメント」、「経営課題解決型アプローチ」、「アジアビジネス」、「GCIB & Global Markets」、「グローバルAM(アセットマネジメント)/IS(インベスターサービス)」を推進します。

「構造改革」では、強靭性の確保に向け、「経費・RWAコントロール」、「基盤・プラットフォーム改革」及び低採算事業の見直しや新規ビジネスへの挑戦といった「事業ポートフォリオ見直し」を推進します。

MUFGグループは、お客さま、株主等、社員等、ステークホルダーの安全確保を最優先とし、社会機能の維持に不可欠な金融インフラとして、事業者の資金繰り支援等の施策を通じ、お客さま・社員・株主をはじめとする全てのステークホルダーの皆さまの期待に応えてまいります。

 


 

(A)  企業変革

① デジタルトランスフォーメーション(DX)

あらゆるお客さまに対するデジタルサービス接点の強化、商品・サービスのデジタル化を推進します。デジタルを活用した業務量削減に取り組んでまいります。

 

 

② 環境・社会課題への貢献

環境・社会課題解決と経営戦略の一本化をより一層強化するため、優先10課題を起点にした事業戦略、リスク管理、社会貢献施策を展開します。

 

③ カルチャー改革(スピード・挑戦する文化)

存在意義(パーパス)起点での行動を促し、自由闊達な企業風土を醸成し、戦略のスピードアップや社員の自律的な挑戦を促進します。

 

(B)  成長戦略

④ ウェルスマネジメント

総合的な資産運用を支援するためのインフラ整備や人材投入、法人オーナーへのソリューション提供を通じてビジネスを強化してまいります。

 

⑤ 経営課題解決型アプローチ

日系大企業のお客さまの経営課題に向き合い、リスクテイク力を強化し、グループ一体で課題解決に取り組んでまいります。

 

⑥ アジアビジネス

連結子会社のBank of Ayudhya Public Company Limited(タイ)、PT Bank Danamon Indonesia, Tbk.(インドネシア)を中心に、アジアを面で捉え成長を取込みつつ、デジタル化を推進します。

 

⑦ GCIB & Global Markets

機関投資家へのリバランスを含むポートフォリオの最適化を推進。GCIB・市場本部の一体運営を通じ、資産回転・クロスセルを強化してまいります。

 

⑧ グローバルAM/IS

業界成長が望める海外資産運用・管理領域において、MUFGグループの強みを活かした受託ビジネスを推進します。

 

(C)  構造改革

⑨ 経費・RWAコントロール

成長に必要な投資は行いつつ、ベース経費の削減を徹底します。低採算案件から高採算案件へのシフトによりRWAをコントロールします。

 

⑩ 基盤・プラットフォーム改革

デジタルシフトに必要な投資を効率的・効果的に実施します。改革に必要な手続・ルールの簡素化、意思決定プロセスの見直しに取り組んでまいります。

 

⑪ 事業ポートフォリオ見直し

低採算事業への資源配分を見直しに取り組んでまいります。他社との連携他、新規事業への取り組みを強化します。

 

 

(4) 目標とする経営指標

当行の親会社である三菱UFJフィナンシャル・グループの本中期経営計画では、中期経営計画の最終年度である2023年度の財務目標の水準を以下の通り設定しております(2021年5月公表)。

 

〔ROE目標・資本運営のターゲット〕

 


 

〔ROE目標達成に向けての3つのドライバー〕

 


 

*1 バーゼルⅢ規制見直しの最終化によるリスク・アセット増加影響を反映させた試算値。その他有価証券評価差額金を除く

*2 親会社株主に帰属する当期純利益

*3 中長期の経費率目標(60%程度)は不変

 

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当行が判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

① サステナビリティ

サステナビリティに関する課題は、取締役会の監督のもと、経営会議がその傘下に様々な委員会を設置して管理しています。サステナビリティ委員会は、経営会議傘下の委員会で、Chief Sustainability Officerが委員長を務めています。サステナビリティ委員会ではサステナビリティに関するリスクや機会を含めたサステナビリティに関する課題への取り組み方針を定期的に審議するとともに、MUFGグループの取り組みの進捗状況をモニタリングしています。サステナビリティ委員会は、経営会議へ報告を行い、必要に応じて取締役会へも報告を行っています。

業務執行の意思決定機関として経営会議を設置し、取締役会の決定した基本方針に基づき、経営に関する全般的重要事項を協議決定しています。

取締役会は、事業戦略、リスク管理、財務監視に沿って、サステナビリティに関する事項の管理を監督します。監督は、PDCAサイクルに基づいて行われます。取締役会は、気候変動を含むサステナビリティに関連する事項を最優先事項と位置づけ、年次計画に基づき定期的に、又は必要に応じて、議論・審議を行っています。

MUFGグループのサステナビリティへの幅広い取り組みを客観的に評価する観点から、2021年度より株式報酬の業績連動指標にESG評価機関5社(MSCI、FTSE Russell、Sustainalytics、S&P Dow Jones、CDP)による外部評価の改善度を導入しています。また、2022年度からは、インクルージョン&ダイバーシティのさらなる浸透・推進に向けて、役員賞与の職務遂行状況(定性評価)の中に、インクルージョン&ダイバーシティに関する目標を追加しています。

 

② 気候変動

MUFGグループでは、持続可能な社会の実現に貢献するため、優先的に取り組む環境・社会課題の一つに「気候変動対応・環境保全」を掲げています。

MUFGグループは、PCAF(Partnership for Carbon Accounting Financials)、NZBA(Net Zero Banking Alliance)及びGFANZ(Glasgow Financial Alliance for Net Zero)をはじめとする、気候変動に対処するためのさまざまなイニシアティブに参画しています。また、金融安定理事会(FSB)によって設立された、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures : TCFD)の提言を支持しています。

グループ・グローバルベースでのプロジェクトチームであるカーボンニュートラル推進PTを立ち上げ、各取り組みについては、グループCEOをはじめとする主要なマネジメントが参加するステアリングコミッティで議論するほか、サステナビリティ委員会で審議します。

MUFGグループでは、気候変動に関するリスクをトップリスクと位置づけており、経営会議傘下の委員会である投融資委員会、与信委員会、リスク管理委員会において、それぞれの専門性を踏まえた検討を行っています。これらの各委員会の審議内容は、経営会議へ報告しています。

また、取締役会傘下委員会であるリスク委員会においても気候変動を含むグループ全体のリスク管理に関する事項及びトップリスクに関する事項について審議・報告を行っています。

ガバナンス体制の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照してください。

 

(2) 戦略

① サステナビリティ

MUFGグループは、持続可能な環境・社会の実現に向けて、「世界が進むチカラになる。」を起点に課題の抽出を行い、世の中からの期待と、MUFGグループの事業領域との親和性の両面から、MUFGグループとして優先的に取り組む10課題を特定しています。「優先10課題」に対する「MUFGの認識」を機会・リスクの観点から整理し、さまざまな取り組みを推進しています。

 

優先10課題

MUFGの認識

気候変動対応・環境保全



 


脱炭素化がもたらす世界的な産業構造の変化は、MUFGとお客さま双方において、事業継続上のリスク、成長機会の両面の意味合いを持つ。脱炭素社会へのスムーズな移行、環境と経済の好循環による持続可能な社会の実現をめざすことが重要


環境対応については、気候変動に加えて、生物多様性等にも焦点が拡大する方向

少子・高齢化社会への対応



 


少子・高齢化がもたらす社会構造の変化、これによる顧客ニーズの変化・多様化の中では、総合金融サービス力の発揮が重要


少子・高齢化による経済の活力低下や潜在成長力の低下は、資金需要の減退や利ざやの縮小を通じて、特に伝統的な商業銀行業務に負の影響を与える可能性

インクルージョン&ダイバーシティ



 


多様な人材が相互に刺激しあうことで生まれる新しい発想やアイデア・行動様式が、企業カルチャーの変革や、社会・お客さまの期待を超える新しい価値を生み出すとともに、多様な人々のインクルージョンにも寄与


変化の時代にしなやかに対応するには、多様な人材・価値観を活かしたレジリエントな組織・社会であることが必要

社会インフラ整備




 


国内外のインフラの老朽化対策や途上国を中心とした社会インフラ整備はサステナブルな社会実現の基盤


社会インフラである金融において、安心・安全の脅威への対応は信頼・信用の大前提。情報資産のセキュリティを強化し、複雑化・巧妙化する金融犯罪に対応することが不可欠

産業育成・イノベーション支援



 


経済の牽引役である成長産業の勃興や活力あるベンチャー企業の育成を支援することは、経済の停滞を回避し、持続的成長を達成するうえで必要。そこではリスクマネーの供給をはじめとする金融機能の役割が重要

金融サービスへの平等なアクセス確保


 


より多くのお客さま層に金融サービスへアクセスする機会や投資機会を提供することは、経済の成長力向上への貢献に加え、MUFGの成長基盤拡充にも寄与

働き方改革の推進


 


価値観・社会構造変化に順応した働き方、ワークライフバランスに配慮した柔軟な働き方の機会提供は、人口減少社会において、人材を有効活用し会社の成長を支える基盤。コロナにより、その重要性は一段と増大


社会インフラである金融の業務効率化は、自社のみならず、社会全体の生産性向上にも寄与

貧困問題への対応


 


貧困は、社会の安定(健康・衛生・治安等)、人権(衣食住の確保等)、持続的な経済成長(含む教育問題)等、さまざまな面での重大な脅威

教育格差の是正


 


次世代を担う学生は、将来の基盤であり、仲間にもなりうる重要な存在


教育は安定した社会の礎、かつ持続的な経済成長の源泉。貧富・教育の格差が世代を超えて繋がる負の連鎖、経済的事情による教育の制約等は大きな社会課題

健康への脅威の克服


 


ヘルスケアセクターのイノベーションは社会・経済のレジリエンス向上に寄与


新型ウイルス等に対する予防力(ワクチン開発等)、パンデミック発生時の対応力(医療技術・体制)を強化し、さらなる高齢化社会の進展に向けた社会機能の維持・向上を図ることは、持続的な経済活動の大前提

 

 

② 気候変動

「気候変動対応・環境保全」への取り組みは経営の最重要課題の一つであり、リスク管理とビジネス機会の両面から対応しています。

MUFGグループは、TCFDの提言を踏まえ、金融機関としての気候変動関連のリスクを二つのカテゴリーに分類し、取り組みを進めています。一つは、異常な暴風雨や洪水などの悪天候事象の深刻化や頻度の増加、気温や海面水位の上昇、降水量や降水分布の変化などの気候パターンの長期的な変化などによる物理的損害から生じるリスクであり、「物理的リスク」と分類されます。もう一つは、脱炭素社会への移行に関連して生じるリスクであり、規制、市場の選好、技術の変化などから生じるリスクであり、「移行リスク」と分類されます。

MUFGグループは、地球温暖化問題に取り組むグローバル金融機関としての責任を認識し、お客さまに提供する商品・サービスや、事業活動に伴う環境負荷を低減するための施策を通じて、脱炭素社会への移行に向けた取り組みを支援していきます。

 

③ 人的資本

MUFGグループでは、社員の挑戦を後押ししつつ、重点領域の育成・採用、女性マネジメント比率向上などの人的資本拡充への取り組みを強化しています。

 

(ア) 人材育成方針

MUFGグループでは、MUFG Wayに相応しい人事マネジメントを実現するための基本的な考え方として「MUFG人事プリンシプル」を策定しています。

人材育成に関しては、「従業員一人ひとりが知識や専門性のみならず、見識や価値観を高められる教育機会を提供し、MUFG Wayを実現できる人材を育成すること」を基本理念としています。

事業環境が大きく変化する中で、変化をチャンスに変えていくために、中期経営計画においては「『挑戦と変革の3年間』を支える人材戦略」を主要方針に掲げており、自律的に判断・行動する社員を育成し、社員の自己革新を促進することを目指しています。

 

(イ) 社内環境整備方針

MUFGグループのパーパスである「世界が進むチカラになる。」の実現に向けて、「インクルージョン&ダイバーシティ」「働き方改革の推進」をサステナビリティ経営の優先10課題として取り組みを進めています。多様な価値観やバックグラウンド、就業意識を持つ社員が互いに尊重・切磋琢磨し、一人ひとりが成長・活躍できる組織・カルチャーの醸成を通じてダイバーシティ・エクイティ・インクルージョンを推進するとともに、リモートワークやペーパーレス化等のインフラ整備や勤務ルールの柔軟化を通じて働き方改革を推進しています。

人材を惹きつけ、社員が持てる力を最大限発揮するための人事制度を構築するとともに、他社比競争力のある処遇を提供しています。社員の人権を尊重するとともに、事業を展開する各国・地域の法令遵守、労働環境、労働時間の定期的なモニタリング及び改善、財産形成貯蓄制度、企業年金、持株会等を通じた社員の安定的な資産形成、Financial Wellnessの向上を通じて、社員の心身の健康促進・私生活の充実に取り組んでいます。

 

(3) リスク管理

① サステナビリティ

MUFGグループでは、「MUFG環境方針」、「MUFG人権方針」のもと、ファイナンス(※)において、環境・社会に係るリスクを管理する枠組みとして、「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」を制定しています。環境・社会への影響が懸念される特定のセクターについては、ファイナンスにおけるポリシーを定めるとともに、ファイナンスの対象となる事業の環境・社会に対するリスク又は影響を特定し、評価するためのデューデリジェンスのプロセスを導入しています。

 

※MUFGの主要子会社である銀行、信託及び三菱UFJ証券ホールディングスの法人のお客さま向けの与信及び債券・株式引受を指します。

 

MUFGグループがファイナンスの対象とする事業の環境・社会に対するリスクの特定・評価は、お客さまと直接接点を持つ部署が「標準デューデリジェンス」を行います。これにより、対象事業が特に留意が必要と判断された場合、「強化デューデリジェンス」を実施し、ファイナンスの実行の可否を決定します。

対象事業の環境・社会に対するリスクが重大であり、MUFGグループの企業価値の毀損に繋がりうる、評判リスクに発展する可能性がある事業については経営階層が参加する枠組みにおいて対応の協議を行っています。また、銀行では大規模なプロジェクトによる環境・社会に対するリスクと影響を特定、評価、管理するための枠組みである赤道原則を採択し、ガイドラインに沿ったリスクアセスメントを行っています。

環境・社会にかかる機会及びリスクへの対応方針・取り組み状況は、テーマに応じてリスク管理委員会や投融資委員会、与信委員会においても審議・報告を行っています。各委員会の審議内容は経営会議への報告後、取締役会において報告・審議され、取締役会が環境・社会課題に関するリスクを監督する態勢としています。

 

<ファイナンス対象事業の環境・社会に対するリスクまたは影響を特定・評価するプロセス>

 


 

② 気候変動

気候変動に関するリスクへの対応の強化に向けて、グループ全体の視点で、気候変動に関するリスクとその潜在的なポートフォリオ、事業、財務への影響をより的確に把握、測定、低減することを目的として、リスク管理枠組みに統合しています。MUFGグループのリスク管理フレームワークは、物理的リスクと移行リスクに対処することを意図しています。

前述の「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」では、石炭火力発電や鉱業(石炭)、石油・ガス等、気候変動への影響が懸念される特定のセクターについては、ファイナンスにおけるポリシーを定めるとともに、ファイナンスの対象となる事業の環境・社会に対するリスク又は影響を特定し、評価するためのデューデリジェンスのプロセスを導入しています。

 

気候変動に関するリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」を、リスク管理フレームについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照してください。

 

(4) 指標と目標

① サステナビリティ

MUFGグループは、環境・社会課題の解決に向けた具体的な指標・目標を設定し、モニタリングしています。2019年度から2030年度までに累計実行額35兆円(うち環境18兆円)のサステナブルファイナンス目標を設定しています。2022年度までの累計実行額は24.6兆円(概算値)と順調に推移しています。

 

② 気候変動

MUFGグループでは、2021年5月に「MUFGカーボンニュートラル宣言」を公表し、2050年末までに投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量をネットゼロに、2030年末までにMUFGグループ自らの温室効果ガス排出量をネットゼロにするという目標を発表しました。これらの目標は、パリ協定の合意事項を支持するとともに、MUFGグループにとって気候変動に関連するリスクと機会を最優先課題として認識していることを示しています。

 

投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量ネットゼロの実現のために、各セクターやMUFGのポートフォリオの特性も踏まえて、以下のように中間目標の設定を行っています。

 

<各セクターの中間目標、実績>

 

単位等

基準(基準年)

2021年度実績

2030年中間目標

電力(排出原単位)

gCO2e/kWh

328(2019)

299

156-192

石油・ガス(排出量削減率)

MtCO2e

84(2019)

76

▲15-▲28%

不動産

(排出原単位)

商業用

kgCO2e/㎡

65(2020)

 

44-47

居住用

kgCO2e/㎡

27(2020)

 

23

鉄鋼(排出量削減率)

MtCO2e

22(2019)

 

▲22%

船舶

PCAスコア※

PCA+0.6%(2021)

 

PCA≦0%

 

※船舶に関する投融資ポートフォリオ全体での要求水準との差分を示す整合度指標。ファイナンス提供をしている個々の船舶の気候変動整合度(VCA)を融資ポートフォリオ上の割合で加重平均して算出

 

③ 人的資本

MUFGグループでは、人的資本を最重要資本の一つとして位置付けており、人的資本の拡充を通じて、社員がさらなる成長や挑戦、自己革新できる環境を整えています。2023年度は、三菱UFJ銀行において、社員への教育研修費として30億円の投資をする予定です。また、外部への教育研修費以外にも、役職員が講師となる各社及びMUFG共通の研修を通じて、役職員に対し多様な教育の機会を提供していきます。

多様な社員一人ひとりが持てる力を最大限に発揮できる職場づくりに取り組んでいます。特に、女性のマネジメント比率向上は喫緊の課題であるとの認識のもと、MUFGグループ並びに三菱UFJ銀行では、中長期的な数値目標を設定し、トップのコミットメントのもと女性の育成・登用を推進しています。銀行・信託・証券ホールディングスの3社では、2024年3月末までに日本国内の女性のマジメント比率を22%にする合同数値目標を設定しており、三菱UFJ銀行においては27.5%を目標としています。2022年度末時点(※)における三菱UFJ銀行の実績は25.2%となっています。

※2022年度中に発令等確定した人事異動は反映しています。

 

 

3 【事業等のリスク】

 

当行は、各種のリスクシナリオが顕在化した場合の影響度と蓋然性に基づき、その重要性を判定しており、今後約1年間で最も注意すべきリスク事象をトップリスクとして特定しています。2023年3月の当行リスク管理委員会において特定されたトップリスクのうち、主要なものは以下のとおりです。当行では、トップリスクを特定することで、それに対しあらかじめ必要な対策を講じて可能な範囲でリスクを制御するとともに、リスクが顕在化した場合にも機動的な対応が可能となるように管理を行っています。また、経営層を交えてトップリスクに関し議論することで、リスク認識を共有した上で実効的対策を講じるように努めています。

 

 主要なトップリスク

リスク事象

リスクシナリオ(例)

資本余力低下/リスクアセット増加

・ グローバルな金利上昇を受けた債券評価損の拡大等による資本運営への影響。

外貨流動性リスク

・ 市況悪化による外貨流動性の枯渇又はコストの大幅な増加。

与信費用増加

・ グローバルベースで実体経済が急速に失速することに伴う与信費用増加。

・ 与信集中業種等における信用悪化に伴う与信費用増加。

ITリスク

・ サイバー攻撃による顧客情報の流出、サービス停止及び評判悪化等。

・ システム障害発生による補償費用支払及び評判悪化等。

気候変動に関するリスク

・ 気候変動に関するリスクへの対応や開示が不十分であると見做されることによる当行の企業価値の毀損。

・ 取引先への影響を通じた当行与信ポートフォリオ管理・運営への影響。

 

※リスク事象:2023年3月の当行リスク管理委員会での審議を経て、取締役会に報告されたものの一例です。一般的に起こり得る事象で、当行固有でない情報も含まれます。

 

当行及び当行グループの事業その他に関するリスクについて、上記トップリスクに係る分析を踏まえ、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項は、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当行は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

 

 

外部環境等に関するリスク

1.本邦及び世界の経済の悪化のリスク

本邦及び世界の経済は、世界的なインフレの動向、主要国における金融政策や財政政策の変更及び主要国の財政状態、為替レートの急速かつ大幅な変動、金融機関に対する不安や懸念及び金融業界の動向、米国政権の動向、米中対立の懸念、世界的な地政学リスク、国際的な商品供給や貿易活動の停滞、世界各地域における政治的混乱等の要因から先行き不透明な状況です。本邦及び世界経済が悪化した場合、当行には、保有する有価証券等の市場価格の下落による損失、取引先の業績悪化等による不良債権及び与信関係費用の増加、市場取引の相手先の信用力低下等による収益減少、外貨資金流動性の悪化、外貨資金調達コストの増加、リスクアセットの増加等が生じる可能性があります。また、各国の中央銀行の金融政策の変更によるグローバルな金利上昇を受けた外貨調達コスト増加等に伴う資金収益力の低下等により、当行の収益力が低下する可能性があります。更に、経済活動の停滞による企業の新規投資や商取引の減少、個人消費の落ち込み、先行き不透明な金融市場での投資意欲減退、お客様の預かり資産減少などが生じる可能性があります。

また、債券・株式市場や外国為替相場の大幅な変動により金融市場の混乱・低迷、世界的な金融危機が生じた場合等には、当行が保有する金融商品の価値が下落し、適切な価格を参照できない状況が生じ、又は金融市場の機能不全が生じ、当行が保有する金融商品において減損若しくは評価損が生じる可能性があります。

これらにより、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

2.外的要因(紛争・テロ・自然災害等)に関するリスク

紛争(深刻な政情不安を含みます。)、テロ、国家間対立やこれに起因する経済制裁、地震・風水害・感染症の流行等の自然災害等の外的要因により、社会インフラに障害が発生し、当行の店舗、ATM、システムセンターその他の施設が被災し、又は業務の遂行に必要な人的資源の損失、又はその他正常な業務遂行を困難とする状況が発生することで、当行の業務の全部又は一部が停止又は遅延するおそれ、あるいは事業戦略上の施策や市場・規制環境の変化への対応が計画どおり実施できないおそれがあります。また、これらの事象に対応するため、予防的なものも含めた追加の費用等が発生するおそれがあります。加えて、これらの事象により当行や取引先が事業を行っている市場に混乱が生じるおそれがあります。これらにより、当行の財政状態や経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

また、当行は、自然災害のなかでも特に地震による災害リスクにさらされており、首都圏等当行の事業基盤が集中している地域において大規模な地震が発生した場合には、当行の財政状態や経営成績に悪影響が生じる可能性があります。当行では、このような災害等のリスクに対し、各国当局の規制等を踏まえた業務継続態勢を整備し、訓練等を通じた検証を行うことにより、常にオペレーショナル・レジリエンス(紛争、テロ(含むサイバーテロ)、自然災害等の事象が発生しても、重要な業務を継続できる総合的な能力)の強化を図っておりますが、必ずしもあらゆる事態に対応できるとは限りません。

 

3. LIBOR等の金利指標の改革に係るリスク

当行では、デリバティブ、貸出、債券、証券化商品等、引き続き多数の取引においてロンドン銀行間取引金利(LIBOR)等の金利指標を参照しております。LIBOR運営機関であるICE Benchmark Administrationは、パネル行の呈示レートに基づき算出するLIBORについて、2021年12月末に日本円・英ポンド・ユーロ・スイスフランの全テナー並びに米ドル1週間物及び2ヶ月物の公表を停止しました。また、同運営機関は、2023年6月末に米ドルの残り全てのテナーの公表を停止予定です。

当行では、これまでLIBOR公表停止に備え、LIBOR等の金利指標の改革や代替金利指標への移行対応を進めてきており、2021年末に公表停止となったLIBORの各テナーを参照する取引の対応には目途がつきました。2023年6月末に公表停止予定の米ドルLIBORの各テナーを参照する取引については、移行が困難な契約を救済するための立法措置の整備が進められていますが、引き続き2023年6月末の米ドルLIBORの各テナーの公表停止を踏まえた代替金利指標への移行対応は必要です。LIBOR等からの代替金利指標への移行は、これらの代替金利指標に係る経済的な特性・成果、市場動向、また会計・規制上の取扱いを含め、複雑かつ不確実な要素があり、これによって、以下の事由を含め、当行の事業、財務状況及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

・ 当行の金融資産及び負債に含まれるLIBOR等を参照するローンやデリバティブを含む幅広い金融商品の価格、流動性、収益性及び取引可能性に悪影響を及ぼす可能性

・ 既存のLIBOR等を参照する契約の参照金利をLIBOR等から代替金利指標に変更するための契約修正等がLIBOR等の公表停止時期までに完了しない可能性

・ 顧客、取引相手方等との間で、金利指標の改革や代替金利指標への移行に伴う、契約の解釈、代替金利指標との価値調整等に係る紛争が生じる、あるいは顧客との取引における不適切な取引慣行及び優越的地位の濫用等に関する紛争に繋がる可能性

・ LIBOR等の改革や代替金利指標への移行に関する規制当局への対応が必要となる可能性

・ LIBOR等の改革や代替金利指標への移行に対応するための事務やリスク管理に係るシステムが十分に機能しない可能性

 

4. 気候変動に関するリスク

気候変動に伴う自然災害や異常気象の増加等によってもたらされる物理的な被害、並びに気候関連の規制強化及び政策の多様化、脱炭素技術への対応といった脱炭素社会への移行により、当行の事業活動が直接的に影響を受け、又は、当行の取引先の事業や財務状況に影響を及ぼし、取引先への影響を通じて当行の与信ポートフォリオ管理・運営に影響を与える等により、当行の経営成績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

当行は、TCFDが策定した気候変動関連財務情報開示に関する提言を支持するとともに、TCFDに沿ったリスクの把握・評価や情報開示の拡充に取り組んでおり、また、気候変動対策や脱炭素社会への移行をサポートする取り組みも進めておりますが、気候変動に関するリスクへの取り組みや情報開示が不十分であった場合、気候変動対策や脱炭素社会への移行をサポートするための当行の戦略が想定通り進捗しない場合、気候変動に関するリスク管理が想定通り機能しない場合、若しくは気候関連の規制強化や政策の多様化に十分に対応できない場合、又はそのように見做され、社会に対する責任を十分に果たしていないと見做された場合などには、当行の企業価値の毀損に繋がるおそれがあり、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

戦略及び出資先に関するリスク

5.競争、ビジネス戦略等に関するリスク

金融業界では、新たな技術の進展や規制緩和等に伴い、電子決済領域など、他業種から金融業界への参入が加速しており、今後も競争環境は益々厳しさを増す可能性があります。

また、当行は、収益力増強のためにグローバルベースで様々なビジネス戦略を実施しておりますが、競合相手である他のグローバル金融機関による統合・買収・戦略的提携の進展等に伴い、競争が激化してきております。

そうした中、以下に述べるものをはじめとする様々な要因が生じた場合には、これら戦略が功を奏しない、当初想定していた結果をもたらさない、又は変更を余儀なくされ、こうした競争的な事業環境において競争優位を得られない場合、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

・ 取引先への貸出ボリュームの維持・増大が想定通りに進まないこと。

・ 既存の貸出についての利鞘拡大が想定通りに進まないこと。

・ 本邦における長短金利操作付き量的・質的金融緩和の長期化、又はマイナス金利幅の更なる拡大により、貸出利鞘の縮小が進行すること。

・ 当行が目指している手数料収入の増大が想定通りに進まないこと。

・ デジタルトランスフォーメーション戦略の遅れ等により次世代の金融サービス提供が想定通りに進まないこと。

・ 効率化を図る戦略が想定通りに進まないこと。

・ 現在実施中又は今後実施する事業ポートフォリオの見直し、システム統合及び効率化戦略等が想定通り進捗せず、顧客やビジネスチャンスの逸失若しくは想定を上回る費用が生じること。

・ 必要な人材を確保・育成できないこと。

・ 必要な外貨流動性を確保できないこと。

・ 本邦及び諸外国の法規制により、金融機関以外の事業者への投資の機動性や積極性が制限されること。

・ 当行や、業界全体に対する信用不安の高まりによる預金流出で流動性が不足すること。

 

6.業務範囲拡大・海外事業展開に伴うリスク

当行は、業務範囲の拡大や海外事業の展開を行っており、これらに伴う新しくかつ複雑なリスクにさらされる場合があります。当行では、かかるリスクに対応するために内部統制システム及びリスク管理システムや法規制対応体制の構築、必要な人材の確保・育成に努めておりますが、必ずしもあらゆる事態に対応できるとは限らず、当行の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

また、当行は、世界に選ばれる、信頼のグローバル金融を目指し、その戦略的施策の一環として、グローバルベースで買収・出資・資本提携等を実施しており、今後も買収・出資・資本提携等を行う可能性があります。既存の重要な海外子会社としては、Bank of Ayudhya Public Company Limited及びPT Bank Danamon Indonesia, Tbk.があります。しかしながら、政治や社会情勢の不安定化、経済の停滞、金融市場の変動、監督当局の不承認、法令・会計基準の変更、当行の意図とは異なる相手先の戦略や財務状況の変化、相手先の属する地域特性・業界・経営環境の想定外の変化等により、買収・出資・資本提携等が当行の想定通り進展せず、若しくは変更・解消され、又は想定通りのシナジーその他の効果を得られない可能性や、買収・出資・資本提携等に際して取得した株式や買収・出資・資本提携等により生じたのれん等の無形固定資産の価値が毀損する可能性があります。これらの結果、当行の事業戦略、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。買収・出資に伴う当行ののれん等の無形固定資産の状況については、本有価証券報告書の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」をご参照下さい。

更に業務範囲の拡大が予想通りに進展しない場合、当行の業務範囲拡大への取組みが奏功しないおそれがあります。

 

自己資本に関するリスク

7.自己資本比率等に関するリスク

(1) 自己資本比率等の規制及び悪化要因

当行には、バーゼルⅢに基づく自己資本比率及びレバレッジ比率に関する規制が適用されております。また、2022年4月28日に金融庁は、自己資本比率規制に関する告示の一部改正を公布し、最終化されたバーゼルⅢの国際統一基準行に対する実施時期を2024年3月末とすることを公表しております。レバレッジ比率に関する規制について、2022年11月11日に金融庁は、日本銀行に対する預け金の額を総エクスポージャーの額から除外する現在の時限的措置を存置した上で、2024年4月から要求水準を引き上げることを公表しております。また、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、「三菱UFJフィナンシャル・グループ」といいます。)は、金融安定理事会(FSB)によりグローバルなシステム上重要な金融機関(G-SIB)に指定されており、2023年3月末より、三菱UFJフィナンシャル・グループを含むG-SIBsを対象に、レバレッジ比率の要求水準に対する上乗せ措置が導入されています。

当行の自己資本比率及びレバレッジ比率が各種資本バッファーを含め要求される水準を下回った場合、金融庁から社外流出額の制限、業務の停止等を含む様々な命令を受ける可能性があります。

また、当行には、米国を含む諸外国において、現地における自己資本比率等の規制が適用されており、要求される水準を下回った場合には、現地当局から様々な命令を受けることになります。

当行の自己資本比率及びレバレッジ比率に影響を与える要因には以下のものが含まれます。

・ 債務者及び株式・債券の発行体の信用力の悪化に際して生じうるポートフォリオの変動

・ 調達している資本調達手段の償還・満期等に際して、これらを同等の条件で借り換え又は発行することの困難性

・ 有価証券ポートフォリオの価値の低下

・ 為替レートの不利益な変動

・ 自己資本比率等の規制の不利益な改正

・ 繰延税金資産計上額の減額

・ その他の不利益な事象の発生

 

(2) グローバルなシステム上重要な金融機関(G-SIBs)に対する規制

三菱UFJフィナンシャル・グループを含むG-SIBsは、他の金融機関より高い資本水準が求められていますが、今後更に高い資本水準を求められるおそれがあります。

 

(3) 破綻時における総損失吸収力(TLAC)規制

FSBが2015年11月に公表した「グローバルなシステム上重要な銀行の破綻時の損失吸収及び資本再構築に係る原則」及び2017年7月に公表した「グローバルなシステム上重要な銀行の内部総損失吸収力に係る指導原則」を踏まえ、本邦では2019年3月期より三菱UFJフィナンシャル・グループを含むG-SIBsに対して一定比率以上の損失吸収力等を有すると認められる資本・負債(以下、「外部TLAC」といいます。)を確保することが求められ、また、確保した外部TLACは内の主要な子会社に一定額以上を配賦すること(以下、「内部TLAC」といいます。)になっています。また、規制で要求される水準は2022年3月期から引き上げられました。三菱UFJフィナンシャル・グループ内では、当行、三菱UFJ信託銀行株式会社(以下、「三菱UFJ信託銀行」といいます。)、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社及びMUFG Americas Holdingsが主要な子会社として指定されています。三菱UFJフィナンシャル・グループは、外部TLAC比率又は本邦における主要な子会社に係る内部TLAC額として要求される水準を下回った場合、金融庁から社外流出額の制限を含め、様々な命令を受ける可能性があります。外部TLAC比率及び内部TLAC額は、自己資本比率等の規制に係る上記(1)~(2)に記載する様々な要因により影響を受けます。三菱UFJフィナンシャル・グループは、要求されるTLACの確保のため、適格な調達手段の発行を進めておりますが、TLACとして適格な調達手段の発行及び借り換えができない場合には、外部TLAC比率及び内部TLAC額として要求される水準を満たせない可能性があります。

また、当行グループ内の米国の一部銀行子会社であるMUFG Americas Holdingsは、現地におけるTLAC規制が適用されており、要求される水準を下回った場合には、現地当局から様々な命令を受けることになります。

 

8.為替リスク

当行はグローバルにビジネスを展開しており、外貨建ての金融資産及び負債を保有しています。為替レートの変動により、それらの資産及び負債の円貨換算額も変動します。当行では、通貨毎の資産と負債の額の調整やヘッジを行っておりますが、変動を相殺できない場合、当行の自己資本比率、財政状態及び経営成績は、為替レートの変動により、悪影響を受ける可能性があります。海外における保有資産及び負債の状況については、本有価証券報告書の「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご覧下さい。

 

信用リスク(信用供与先の財務状況悪化等により損失を被るリスク)

 

9.貸出業務に関するリスク

貸出業務は当行の主要業務の一つとなっています。当行は、担保や保証、クレジットデリバティブ等を用いて信用リスクの削減に取り組んでおりますが、借り手が期待通りに返済できない場合、又は当行が借り手の返済能力の悪化に対して、又はその可能性を予測して講じた措置が不適切又は不十分である場合には、将来、追加的な与信関係費用が発生する可能性があります。その結果、当行の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼし、自己資本の減少につながる可能性があります。なお、与信関係費用、銀行法及び金融再生法に基づく開示債権の状況については、本有価証券報告書の「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」、クレジットデリバティブ取引については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (デリバティブ取引関係)」をご参照下さい。当行の与信関係費用及び不良債権は、新興国を含む国内外の景気の悪化、資源価格等の物価の変動、不動産価格や株価の下落、新興国通貨安、金利上昇、貸出先の業界内の競争激化等による業績不振等により増加する可能性があります。

 

(1) 貸倒引当金の状況

当行は、貸出先の状況、担保の価値及び経済全体に関する前提及び見積りに基づいて、貸倒引当金を計上しておりますが、経済情勢全般の悪化や個別貸出先の業績悪化等により追加の貸倒引当金を計上せざるを得なくなったり、担保の価値又は流動性が低下したり、実際の貸倒れが貸倒引当金を上回ることにより、追加的な与信関係費用が発生したりする可能性があります。また、貸倒引当金の計上に関する規制や指針が変更され、貸倒引当金の計上の際に用いる評価方法に変更が生じた結果として、貸倒引当金を追加で計上しなければならなくなる可能性もあります。2023年3月末基準における当行の連結貸借対照表上の貸倒引当金額は1兆1,230億円でした。貸倒引当金の計上については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照下さい。

 

(2) 特定業種等への貸出その他の与信の集中

当行は、貸出その他の与信に際しては、特定の業種、特定の与信先への偏りを排除すべくポートフォリオ分散に努めておりますが、不動産業種向けの与信は、相対的に割合が高い状況にあり、これらの業種等の業績悪化の影響を受けやすい状況にあります。個々の与信先の状況や、業界特有の動向、新興国を含む各国の国情については継続的にモニタリング・管理を実施しておりますが、国内外の景気動向(気候変動や感染症の流行、ロシア・ウクライナ情勢が与える影響を含みます。)や不動産・資源価格・外国為替の動向等によっては、想定を上回る信用力の悪化が生じる可能性があります。

 

(3) 貸出先への対応

当行は、回収の効率・実効性その他の観点から、貸出先に債務不履行等が生じた場合においても、当行が債権者として有する法的な権利の全てを必ずしも実行しない場合がありえます。

また、当行は、それが合理的と判断される場合には、貸出先に対して債権放棄又は追加貸出や追加出資を行って支援をすることもありえます。かかる貸出先に対する支援を行った場合は、当行の貸出残高が大きく増加し、与信関係費用が増加する可能性や追加出資に係る株価下落リスクが発生する可能性もあります。

 

10.他の金融機関との取引

国内外の金融機関(銀行、ノンバンク、証券会社及び保険会社等を含みます。)の中には、資産内容の劣化及びその他の財務上の問題が存在している可能性があり、今後悪化する可能性やこれらの問題が新たに発生する可能性もあります。このような問題は最近、欧米で相次いで起きた金融機関の経営危機によって顕在化しました。こうした金融機関の財政的困難が継続、悪化又は発生すると、それらの金融機関の流動性及び支払能力に問題が生じるだけでなく、金融システムに問題が生じ金融業や経済全般へ波及するおそれもあります。また、以下の理由により当行に悪影響を及ぼす可能性があります。

・ 当行は、一部の金融機関へ信用を供与しております。

・ 当行は、一部の金融機関の株式を保有しております。

・ 問題の生じた金融機関が貸出先に対して財政支援を打ち切る又は減少させるかもしれません。その結果、当該貸出先の破綻や、当該貸出先に対して貸出をしている当行の不良債権の増加を招くかもしれません。

・ 経営破綻に陥った金融機関に対する支援に当行が参加を要請されるおそれがあります。

・ 政府が経営を支配する金融機関の資本増強や、収益拡大等のために、規制上、税務上、資金調達上又はその他の特典を当該金融機関に供与するような事態が生じた場合、当行は競争上の不利益を被るかもしれません。

・ 預金保険の基金が不十分であることが判明した場合、当行の支払うべき預金保険の保険料が引き上げられるおそれがあります。

・ 金融機関の破綻又は政府による金融機関の経営権取得により、金融機関に対する預金者及び投資家の信任が全般的に低下する、又は金融機関を取巻く全般的環境に悪影響を及ぼすおそれがあります。

・ 金融業及び金融システムに対する否定的・懐疑的なマスコミ報道(内容の真偽、当否を問いません。)により当行の評判、信任等が低下するおそれがあります。

 

政策投資株式リスク(保有する株式の株価下落により損失を被るリスク)

 

11.保有株式に係るリスク

当行は政策投資目的で保有するものを含め市場性のある株式を大量に保有しており、2023年3月末基準の保有時価合計は約3.5兆円、その簿価は約1.3兆円となっています。当行では、株価変動リスクの抑制の観点も踏まえ、「政策保有に関する方針」において、政策保有株式の削減を基本方針とし、保有意義・経済合理性を検証したうえで、保有の妥当性が認められない場合には、取引先の十分な理解を得た上で、売却を進めております。また、政策保有株式に対しては、トータル・リターン・スワップ等をヘッジ手段として部分的にヘッジを行うことで、株価変動リスクの削減に努めております。

しかしながら、株価が下落した場合には、保有株式に減損又は評価損が発生若しくは拡大する可能性があります。また、自己資本の算出にあたり、保有株式の含み損益を勘案していることから、株価が下落した場合には、自己資本比率等の低下を招くおそれがあります。その結果、当行の財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

市場リスク(金利、有価証券の価格、為替などの変動により損失を被るリスク)

 

12.市場業務に伴うリスク

当行は、デリバティブを含む様々な金融商品を取り扱う広範な市場業務を行っており、大量の金融商品を保有しています。これにより、例えば、国内外の金融政策の変更等により内外金利が低下した場合、当行が保有する国債等の再投資利回りが低下する可能性があります。また、長短金利差が縮小する場合、資金利益が減少する可能性があります。一方、内外金利が上昇した場合、当行の保有する大量の国債等に売却損や評価損が生じる可能性があります。また、円高となった場合は、当行の外貨建て投資の財務諸表上の価値が減少し、売却損や評価損が発生する可能性があります。加えて、株価が下落した場合、当行が保有する株式等の価値が減少し、売却損や評価損が発生する可能性があります。当行では、このような内外金利、為替レート、有価証券等の様々な市場の変動により損失が発生するリスクを市場リスクとして管理しておりますが、計算された市場リスク量は、その性質上、実際のリスクを常に正確に反映できるわけではなく、またこのように示されたリスク量を上回る損失が実現する可能性もあります。

なお、当行が保有する有価証券残高の状況については、本有価証券報告書の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(有価証券関係)」をご参照下さい。

 

資金流動性リスク(資金繰りがつかなくなる、又は通常より高い金利での調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク)

 

13.当行の格下げ、外部要因に伴うリスク

当行では、資金流動性リスク管理上の指標を設ける等、適正な資金流動性の確保に努めておりますが、格付機関による当行の格下げや金融システム不安、金融市場混乱等の外部要因により、調達コストの増加、調達余力の減少、担保の追加拠出、又は顧客からの信用低下等を起因に一定の取引を行うことができなくなる等の悪影響を受けるおそれがあり、その結果、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

例えば、2023年3月末時点のデリバティブ取引及び信用格付に基づいて、当行の格付が1段階格下げされたと仮定した場合約1,791億円、2段階格下げされたと仮定した場合約2,081億円の追加担保を当行が提供する必要があったと推定されます。

 

オペレーショナルリスク(内部管理上の問題や外部要因により損失が発生するリスク)

14.不公正・不適切な取引その他の行為が存在したとの指摘や、これらに伴う処分等を受けるリスク

当行は、事業を行っている本邦及び海外における法令、規則、政策、自主規制等を遵守する必要があり、国内外の規制当局による検査、調査等の対象となっております。当行はコンプライアンス・リスク管理態勢及びプログラムの強化に継続して取り組んでおりますが、かかる取組みが全ての法令等に抵触することを完全に防止する効果を持たない可能性があります。

当行が、マネー・ローンダリング、経済制裁への対応、贈収賄・汚職防止、金融犯罪その他の不公正・不適切な取引に関するものを含む、適用ある法令及び規則を遵守できない場合、あるいは、社会規範・市場慣行・商習慣に反するものとされ、顧客視点の欠如等があったものとされる場合には、罰金、課徴金、懲戒、評価の低下、業務改善命令、業務停止命令、許認可の取消しを受ける可能性があります。また、当行が顧客やマーケット等の信頼を失い、当行の経営成績及び財政状況に悪影響が生じる可能性があります。将来、当行が戦略的な活動を実施する場面で当局の許認可を取得する際にも、悪影響を及ぼすおそれがあります。

2019年2月に、当行は、米国通貨監督庁(Office of the Comptroller of the Currency。以下「OCC」といいます。)との間で、当行のニューヨーク支店、ロスアンゼルス支店及びシカゴ支店において、米国の銀行秘密法に基づくマネー・ローンダリング防止に関する内部管理態勢等が不十分であるとのOCCからの指摘に関し、改善措置等を講じることで合意しました。当行は、上述の事象に関連する事項について必要な対応を行い、OCCは2022年12月に当行の銀行秘密法に基づくマネー・ローンダリング防止に関する内部管理態勢に係る当該合意を解除しました。

また、当行は、当行を含むパネル行が各種銀行間指標金利の算出機関に呈示した内容等を調査している各国の政府当局から、情報提供命令等を受けておりました。また為替業務に関しても、当局から同様の情報提供要請を受けており、一部の当局との間では制裁金の支払いに合意しました。当行は、これらの調査に対して協力を行い、独自の調査等を実施しております。上記に関連して、当行は、指標金利であれば他のパネル行、為替業務であればその他金融機関とともに、米国におけるクラスアクションを含む、複数の民事訴訟の被告となっております。

今後、関係当局より更なる制裁金支払の処分等を受け、又は関係当局との間で新たな和解金の支払合意を行うなどの可能性を含め、新たな展開又は類似の事象により、当行に重大な財務上その他の悪影響が生じる可能性があります。

 

15.情報紛失・漏洩に係るリスク

当行は、国内外の法規制に基づき、顧客情報や個人情報を適切に取り扱うことが求められております。当行では、顧客情報や個人情報を多く保有しており、当行は、情報の保管・取扱いに関する規程類の整備、システム整備を実施し、管理態勢高度化に取組んでおりますが、不適切な管理、外部からのサイバー攻撃その他の不正なアクセス、若しくはコンピュータウイルスへの感染等により、顧客情報や個人情報等の紛失・漏洩を完全には防止できない可能性があります。その場合、罰則や行政処分の対象となるほか、顧客に対する損害賠償等、直接的な損失が発生する可能性があります。加えて、顧客の信頼を失う等により当行の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性、並びにこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があります。

 

16.システム、サイバー攻撃等に関するリスク

当行のシステム(業務委託先等の第三者のシステムを含みます。)は、事業を行う上で非常に重要な要素の一つであり、リモートワークや非対面チャネルを通じた業務の拡大やデジタル戦略を推進している中で特に重要性が高まっており、適切な設計やテストの実施等によりシステム障害等を未然に防止し、セキュリティ面に配慮したシステムの導入に努めていますが、システム障害やサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス感染、人為的ミス、機器の故障、通信事業者等の第三者の役務提供の瑕疵、新技術、新たなシステムや手段への不十分な対応等を完全には防止できない可能性があります。また、全てのビジネス要件や金融機関に対する規制強化の高まりからくる規制要件に対応するシステムの機能強化への要請を十分に満たせない可能性や、市場や規制の要請に応えるために必要なシステム構築や更新がその作業自体の複雑性等から計画どおりに完了しない可能性があります。その場合、情報通信システムの不具合や不備が生じ、取引処理の誤りや遅延等の障害、情報の流出等が生じ、業務の停止及びそれに伴う損害賠償の負担その他の損失が発生する可能性、当行の信頼が損なわれ又は評判が低下する可能性、行政処分の対象となる可能性、並びにこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があります。

 

17.テロ支援国家との取引に係るリスク

当行は、イラン・イスラム共和国(以下、「イラン」といいます。)等、米国国務省が「テロ支援国家」と指定している国における法主体又はこれらの国と関連する法主体との間の取引を実施しております。また、当行はイランに駐在員事務所を設置しております。

米国法は、米国人が当該国家と取引を行うことを、一般的に禁止又は制限しております。更に、米国政府及び年金基金をはじめとする米国の機関投資家が、イラン等のテロ支援国家と事業を実施する者との間で取引や投資を行うことを規制する動きがあるものと認識しております。このような動きによって、当行が米国政府及び年金基金をはじめとする機関投資家、あるいは規制の対象となる者を、当行の顧客又は投資家として獲得、維持できない結果となる可能性があります。加えて、社会的・政治的な状況に照らして、上記国家との関係が存在することによって、当行の評判が低下することも考えられます。上記状況は、当行の財政状態、経営成績及び当行の株価に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、米国政府による対イラン制裁措置により、米国人の関与するイランとの取引の禁止などが実施されています。更に、2018年5月の米国によるイランに関する包括的共同行動計画(Joint Comprehensive Plan of Action)からの離脱後に発令された大統領令により、広範なイラン関連取引や活動について、関与した非米国人に対して二次制裁を適用し得るものとされています。当行では、二次制裁を含む米国による措置が適用されるリスクの増加を受けて、今後とも当該リスクのモニタリングと対応策を実施してまいります。

更に、米国証券取引所に登録している企業(米国外企業を含みます。)には、特定のイラン関連の取引の開示が引き続き義務づけられています。本邦においても、イランの拡散上機微な核活動・核兵器運搬手段開発に関与する者に対する資産凍結等の措置が実施されています。当行では、これらの規制を遵守するための態勢の改善に努めています。しかしながら、かかる態勢が適用される規制に十分対応できていないと政府当局に判断された場合には、何らかの規制上の措置の対象となる可能性があります。なお、これに関連する処分等については、「14.不公正・不適切な取引その他の行為が存在したとの指摘や、これらに伴う処分等を受けるリスク」をご参照下さい。

 

18.規制変更のリスク

グローバルな金融サービス提供者として、当行の事業は国内外の法律、規則、政策、会計基準、実務慣行及び解釈、並びに国際的な金融規制等の継続的な変更のリスクにさらされております。主要な金融機関は、新技術、地政学上の変化、環境・社会・ガバナンス上の懸念、及び国際金融セクターに関するその他の懸念事項を背景とする、より厳しい法律、規制及び基準等への対応を迫られています。また、金融業界における不祥事やリスク管理の不備に関する事案を受け、社内のコンプライアンス・リスク管理体制の強化を求める動きも強まっています。当行に適用される法律、規制及び基準等は複雑で、多くの場合、これらを当行のビジネスに適用するに際しては、解釈を伴う決定が必要となります。法律、規則、政策、会計基準、実務慣行、解釈の変更及びその影響は、より多くの経営資源の投入のみならず、経営にも影響を与え、場合によっては経営戦略を変更せざるを得なくなるおそれがあります。第三者への委託により実施するものを含むコンプライアンスのプログラムやシステムについては、必要な強化を計画通りに実施できなくなる可能性も出てきます。また、当行に適用される法律や規制への対応が不十分な場合、罰金、警告、レピュテーションの悪化、業務改善及びその他の行政命令、営業の強制的停止、将来の戦略的イニシアチブに規制当局から承認が得られないこと、深刻な場合としては営業認可の取消を受ける場合等、当行の財政状況及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

19. 消費者金融業務に係るリスク

当行は、消費者金融業に従事する子会社や関連会社を有すると同時に消費者金融業者に対する貸出金を保有しており、消費者金融業における事業環境や規制環境の変化により、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。消費者金融業に関しては、いわゆるみなし弁済を厳格に解するものを含め、過払利息の返還請求をより容易にする一連の判例が出され、これらに伴い過払利息の返還を求める訴訟が引き続き発生しております。当行では、消費者金融業に従事する子会社や関連会社における過払利息の返還による費用負担のほか、当行が貸出金を保有する消費者金融業者の業績悪化による追加的な与信費用が発生する可能性があり、消費者金融業に不利な新たな司法上の判断や規制強化がある場合には追加的な費用負担が発生する可能性もあります。

 

20.評判に関するリスク

三菱UFJフィナンシャル・グループは、本邦及び国際金融市場においてG-SIBに指定されており、世界に選ばれる、信頼のグローバル金融を目指しております。当行のビジネスはお客さまのみならず、地域社会、国際社会等からの信頼と信用の下に成り立っています。そのため、当行の評判は、お客さま、投資家、監督官庁、及び社会との関係を維持する上で極めて重要です。MUFG Wayや行動規範等を踏まえ、評判リスクの適切な管理に努めておりますが、特に、人権、環境、健康、安全等の社会的責任への懸念が生じる取引や各種法令等(アンチマネー・ローンダリング、経済制裁、競争法、暴力団排除条例等)の趣旨に反するおそれのある取引などを防止できず、又はこれらに適切に対処することができなかった場合で、大規模な報道に繋がり得るなど世論の注目が高いときや規制当局の関心が高いときなどにおいて、当行は、現在又は将来のお客さま及び投資家を失うこととなり、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があり、企業価値を毀損する可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

(財政状態及び経営成績の状況)

当連結会計年度の業績につきましては、以下のとおりとなりました。
 資産の部につきましては、当連結会計年度中142,382億円増加して、当連結会計年度末残高は3,138,492億円
なりました。主な内訳は、貸出金1,064,741億円、現金預け金920,166億円、有価証券722,395億円となっております。負債の部につきましては、当連結会計年度中142,225億円増加して、当連結会計年度末残高は3,015,906億円となりました。主な内訳は、預金・譲渡性預金2,112,910億円となっております。

損益につきましては、経常収益は前連結会計年度比25,789億円増加して66,298億円となり、経常費用は前連結会計年度比31,168億円増加して63,428億円となりました。以上の結果、経常利益は前連結会計年度比5,378億円減少して2,869億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比990億円増加して6,020億円となりました。

なお、MUFG Union Bank, N.A.(以下、MUB)株式の譲渡契約の締結に伴い、米国財務会計基準審議会会計基準コーディフィケーション(ASC)326「金融商品-信用損失」、ASC310「債権」等に従い発生した総額9,525億円の損失のうち、主なものとして売却対象の有価証券に係る公正価値評価による損失5,554億円を臨時損益に、売却対象の貸出金に係る公正価値評価による損失4,005億円を貸出金償却に含めております。

なお、報告セグメントの業績は次のとおりであります。

1 デジタルサービス部門

営業純益は前年同期比326億円増加して506億円となりました。

2 法人・リテール部門

営業純益は前年同期比752億円増加して1,034億円となりました。

3 コーポレートバンキング部門

営業純益は前年同期比1,748億円増加して4,117億円となりました。

4 グローバルコマーシャルバンキング部門

営業純益は前年同期比466億円増加して2,902億円となりました。

5 グローバルCIB部門

営業純益は前年同期比1,395億円増加して3,763億円となりました。

6 市場部門

営業純益は前年同期比184億円減少して893億円となりました。

7 その他部門

営業純益は前年同期比414億円減少して△1,036億円となりました。

 

なお、当連結会計年度より、部門間の収益・経費の配賦方法の変更に伴い、報告セグメントの利益の算定方法を変
更しております。

変更後の算定方法に基づき作成した前連結会計年度のセグメント情報については、「第5 経理の状況」中、
1「連結財務諸表等」(1)「連結財務諸表」「注記事項」(セグメント情報等)に記載しております。

 

(キャッシュ・フローの状況)

キャッシュ・フローにつきましては、営業活動においては、前連結会計年度比105,014億円収入が増加して、126,168億円の収入となる一方、投資活動においては、前連結会計年度比117,192億円支出が増加して122,523億円の支出となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度比17,035億円収入が増加して、15,249億円の収入となりました。

現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末比26,226億円増加して920,166億円となりました。

 

国際統一基準による連結総自己資本比率は12.58%となりました。

 

 

① 国内・海外別収支

国内・海外別収支の内訳は次のとおりであります。

当連結会計年度の資金運用収支・役務取引等収支・特定取引収支・その他業務収支の合計は32,280億円で前年度比5,434億円の増益となりました。国内・海外の別では国内が12,025億円で前年度比787億円の増益、海外が22,514億円で前年度比4,803億円の増益となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

702,568

1,075,736

△28,824

1,749,480

当連結会計年度

1,065,555

1,388,756

△65,992

2,388,320

 うち資金運用収益

前連結会計年度

902,496

1,380,248

△48,885

2,233,858

当連結会計年度

1,497,969

2,971,085

△173,720

4,295,333

 うち資金調達費用

前連結会計年度

199,927

304,511

△20,060

484,378

当連結会計年度

432,413

1,582,328

△107,728

1,907,013

役務取引等収支

前連結会計年度

393,128

527,837

△181,268

739,697

当連結会計年度

404,112

649,787

△159,489

894,410

 うち役務取引等収益

前連結会計年度

539,408

600,764

△223,942

916,231

当連結会計年度

553,887

734,472

△216,558

1,071,800

 うち役務取引等費用

前連結会計年度

146,280

72,927

△42,674

176,533

当連結会計年度

149,774

84,685

△57,068

177,390

特定取引収支

前連結会計年度

17,492

63,408

△1,304

79,596

当連結会計年度

16,790

112,453

1,326

130,570

 うち特定取引収益

前連結会計年度

17,427

139,229

△76,569

80,088

当連結会計年度

18,397

251,094

△64,313

205,179

 うち特定取引費用

前連結会計年度

△65

75,820

△75,264

491

当連結会計年度

1,607

138,641

△65,639

74,608

その他業務収支

前連結会計年度

10,646

104,126

1,076

115,850

当連結会計年度

△283,876

100,462

△1,791

△185,205

 うちその他業務収益

前連結会計年度

212,354

192,245

△68,036

336,563

当連結会計年度

351,926

313,356

△172,400

492,882

 うちその他業務費用

前連結会計年度

201,707

88,118

△69,113

220,712

当連結会計年度

635,803

212,893

△170,608

678,088

 

(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内に本店を有する連結子会社(以下、「国内連結子会社」という。)であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外に本店を有する連結子会社(以下、「海外連結子会社」という。)であります。

2 資金調達費用は金銭の信託運用見合費用を控除して表示しております。

3 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

 

 

② 国内・海外別資金運用/調達の状況

(ⅰ) 国内

国内における資金運用/調達の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度の資金運用勘定平均残高は前年度比13,087億円増加して1,597,121億円となりました。利回りは0.36%上昇して0.93%となり、受取利息合計は14,979億円で前年度比5,954億円の増加となりました。資金調達勘定平均残高は前年度比38,296億円増加して1,998,371億円となりました。利回りは0.11%上昇して0.21%となり、支払利息合計は4,324億円で前年度比2,324億円の増加となりました。

 

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

158,403,365

902,496

0.56

当連結会計年度

159,712,137

1,497,969

0.93

 うち貸出金

前連結会計年度

65,636,133

494,922

0.75

当連結会計年度

67,660,084

697,001

1.03

 うち有価証券

前連結会計年度

56,949,792

291,008

0.51

当連結会計年度

60,287,377

730,774

1.21

 うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

661,439

△77

△0.01

当連結会計年度

681,309

2,145

0.31

 うち買現先勘定

前連結会計年度

646,140

550

0.08

当連結会計年度

1,089,351

16,349

1.50

 うち債券貸借取引支払保証金

前連結会計年度

当連結会計年度

710

0

0.00

 うち預け金

前連結会計年度

32,117,384

32,040

0.09

当連結会計年度

26,811,033

27,109

0.10

資金調達勘定

前連結会計年度

196,007,411

199,927

0.10

当連結会計年度

199,837,102

432,413

0.21

 うち預金

前連結会計年度

157,434,978

14,502

0.00

当連結会計年度

160,470,780

92,736

0.05

 うち譲渡性預金

前連結会計年度

1,233,871

208

0.01

当連結会計年度

1,266,014

218

0.01

 うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

117,706

△44

△0.03

当連結会計年度

447,680

71

0.01

 うち売現先勘定

前連結会計年度

7,214,803

14,877

0.20

当連結会計年度

14,376,044

212,860

1.48

 うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

当連結会計年度

30,232

3

0.00

 うちコマーシャル・ペーパー

前連結会計年度

当連結会計年度

 うち借用金

前連結会計年度

35,605,597

167,497

0.47

当連結会計年度

33,380,236

275,723

0.82

 

(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の連結子会社については、月末毎の残高等に基づく平均残高を利用しております。

2 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。

3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。

 

 

(ⅱ) 海外

海外における資金運用/調達の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度の資金運用勘定平均残高は前年度比116,088億円増加して840,560億円となりました。利回りは1.62%上昇して3.53%となり、受取利息合計は29,710億円で前年度比15,908億円の増加となりました。資金調達勘定平均残高は前年度比111,984億円増加して844,174億円となりました。利回りは1.45%上昇して1.87%となり、支払利息合計は15,823億円で前年度比12,778億円の増加となりました。

 

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

72,447,235

1,380,248

1.90

当連結会計年度

84,056,060

2,971,085

3.53

 うち貸出金

前連結会計年度

41,170,247

972,921

2.36

当連結会計年度

49,209,546

1,937,953

3.93

 うち有価証券

前連結会計年度

9,443,861

159,256

1.68

当連結会計年度

10,204,887

237,943

2.33

 うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

587,287

4,809

0.81

当連結会計年度

689,788

16,633

2.41

 うち買現先勘定

前連結会計年度

2,961,806

17,903

0.60

当連結会計年度

3,154,375

78,156

2.47

 うち債券貸借取引支払保証金

前連結会計年度

657,355

2,192

0.33

当連結会計年度

956,050

18,020

1.88

 うち預け金

前連結会計年度

12,016,391

27,636

0.22

当連結会計年度

13,334,644

307,547

2.30

資金調達勘定

前連結会計年度

73,219,035

304,511

0.41

当連結会計年度

84,417,471

1,582,328

1.87

 うち預金

前連結会計年度

50,072,209

172,258

0.34

当連結会計年度

52,206,359

792,951

1.51

 うち譲渡性預金

前連結会計年度

5,634,700

18,103

0.32

当連結会計年度

8,068,415

219,791

2.72

 うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

446,067

1,282

0.28

当連結会計年度

253,139

3,664

1.44

 うち売現先勘定

前連結会計年度

3,313,089

7,408

0.22

当連結会計年度

3,547,103

72,718

2.05

 うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

43,535

534

1.22

当連結会計年度

64,022

894

1.39

 うちコマーシャル・ペーパー

前連結会計年度

858,686

1,479

0.17

当連結会計年度

1,841,597

56,432

3.06

 うち借用金

前連結会計年度

1,421,896

20,777

1.46

当連結会計年度

1,795,770

40,133

2.23

 

(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の連結子会社については、月末毎の残高等に基づく平均残高を利用しております。

2 「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。

 

(ⅲ) 合計

 

種類

期別

平均残高(百万円)

利息(百万円)

利回り(%)

小計

相殺消去額

合計

小計

相殺消去額

合計

資金運用勘定

前連結会計年度

230,850,600

△6,641,661

224,208,938

2,282,744

△48,885

2,233,858

0.99

当連結会計年度

243,768,198

△7,788,737

235,979,460

4,469,054

△173,720

4,295,333

1.82

 うち貸出金

前連結会計年度

106,806,380

△1,353,053

105,453,326

1,467,844

△11,569

1,456,275

1.38

当連結会計年度

116,869,631

△1,477,977

115,391,653

2,634,955

△44,152

2,590,802

2.24

 うち有価証券

前連結会計年度

66,393,654

△3,185,622

63,208,031

450,264

△29,507

420,756

0.66

当連結会計年度

70,492,264

△3,341,760

67,150,503

968,717

△67,899

900,818

1.34

 うちコールローン
 及び買入手形

前連結会計年度

1,248,727

△25,132

1,223,594

4,732

△11

4,720

0.38

当連結会計年度

1,371,097

△34,299

1,336,798

18,779

△650

18,128

1.35

 うち買現先勘定

前連結会計年度

3,607,946

△8,969

3,598,976

18,454

17

18,472

0.51

当連結会計年度

4,243,726

4,243,726

94,505

3

94,508

2.22

 うち債券貸借取引
 支払保証金

前連結会計年度

657,355

657,355

2,192

2,192

0.33

当連結会計年度

956,761

956,761

18,020

18,020

1.88

 うち預け金

前連結会計年度

44,133,775

△1,431,896

42,701,878

59,676

△3,367

56,309

0.13

当連結会計年度

40,145,678

△2,565,677

37,580,001

334,656

△44,842

289,814

0.77

資金調達勘定

前連結会計年度

269,226,446

△3,481,476

265,744,969

504,439

△20,060

484,378

0.18

当連結会計年度

284,254,574

△4,247,706

280,006,867

2,014,742

△107,728

1,907,013

0.68

 うち預金

前連結会計年度

207,507,187

△1,205,894

206,301,293

186,761

△2,238

184,522

0.08

当連結会計年度

212,677,140

△2,146,274

210,530,866

885,687

△40,015

845,671

0.40

 うち譲渡性預金

前連結会計年度

6,868,571

6,868,571

18,311

18,311

0.26

当連結会計年度

9,334,430

9,334,430

220,010

220,010

2.35

 うちコールマネー
 及び売渡手形

前連結会計年度

563,774

△150,780

412,994

1,238

△412

825

0.19

当連結会計年度

700,820

△33,346

667,473

3,735

△253

3,481

0.52

 うち売現先勘定

前連結会計年度

10,527,893

△8,969

10,518,923

22,285

15

22,300

0.21

当連結会計年度

17,923,148

17,923,148

285,579

0

285,580

1.59

 うち債券貸借取引
 受入担保金

前連結会計年度

43,535

43,535

534

534

1.22

当連結会計年度

94,254

94,254

897

897

0.95

 うちコマーシャル
 ・ペーパー

前連結会計年度

858,686

858,686

1,479

1,479

0.17

当連結会計年度

1,841,597

1,841,597

56,432

56,432

3.06

 うち借用金

前連結会計年度

37,027,494

△706,799

36,320,694

188,275

△12,341

175,933

0.48

当連結会計年度

35,176,006

△956,248

34,219,757

315,857

△22,468

293,388

0.85

 

(注) 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

 

 

③ 国内・海外別役務取引の状況

国内及び海外の役務取引等収支の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度の国内の役務取引は、役務取引等収益が5,538億円で前年度比144億円増収、役務取引等費用が1,497億円で前年度比34億円増加した結果、役務取引等収支では前年度比109億円増加して4,041億円となりました。海外の役務取引は、役務取引等収益が7,344億円で前年度比1,337億円増収、役務取引等費用が846億円で前年度比117億円増加した結果、役務取引等収支では前年度比1,219億円増加して6,497億円となりました。

この結果、役務取引等収支合計では、前年度比1,547億円増加して8,944億円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

539,408

600,764

△223,942

916,231

当連結会計年度

553,887

734,472

△216,558

1,071,800

 うち為替業務

前連結会計年度

157,733

12,641

△987

169,387

当連結会計年度

151,020

14,155

△1,054

164,121

 うちその他
 商業銀行業務

前連結会計年度

216,372

297,567

△2,603

511,336

当連結会計年度

234,510

415,762

△4,966

645,306

 うち保証業務

前連結会計年度

41,529

34,049

△14,156

61,422

当連結会計年度

43,006

44,511

△16,766

70,751

 うち証券関連業務

前連結会計年度

13,603

84,076

△38

97,641

当連結会計年度

12,846

56,242

△41

69,047

役務取引等費用

前連結会計年度

146,280

72,927

△42,674

176,533

当連結会計年度

149,774

84,685

△57,068

177,390

 うち為替業務

前連結会計年度

25,664

12,360

△377

37,647

当連結会計年度

20,931

13,195

△411

33,715

 

(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

2 「その他商業銀行業務」には、預金・貸出業務、代理業務、保護預り・貸金庫業務、信託関連業務等を含んでおります。

3 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

 

 

④ 国内・海外別特定取引の状況

(ⅰ) 特定取引収益・費用の内訳

国内及び海外の特定取引収支の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度の国内の特定取引収益は183億円で前年度比9億円増収、特定取引費用は16億円で前年度比16億円増加した結果、特定取引収支では前年度比7億円減少して167億円となりました。海外の特定取引収益は2,510億円で前年度比1,118億円増収、特定取引費用は1,386億円で前年度比628億円増加した結果、特定取引収支では前年度比490億円増加して1,124億円となりました。

この結果、特定取引収支合計では前年度比509億円増加して1,305億円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引収益

前連結会計年度

17,427

139,229

△76,569

80,088

当連結会計年度

18,397

251,094

△64,313

205,179

 うち商品有価証券収益

前連結会計年度

60,348

△49,343

11,004

当連結会計年度

51,052

△51,052

 うち特定取引有価証券
 収益

前連結会計年度

11

△11

当連結会計年度

4,975

185

△122

5,038

 うち特定金融派生商品
 収益

前連結会計年度

16,597

78,868

△27,211

68,255

当連結会計年度

12,459

199,853

△13,138

199,174

 うちその他の特定取引
 収益

前連結会計年度

830

△2

828

当連結会計年度

962

3

966

特定取引費用

前連結会計年度

△65

75,820

△75,264

491

当連結会計年度

1,607

138,641

△65,639

74,608

 うち商品有価証券費用

前連結会計年度

2,154

47,189

△49,343

当連結会計年度

1,607

124,054

△51,052

74,608

 うち特定取引有価証券
 費用

前連結会計年度

△2,219

2,722

△11

491

当連結会計年度

122

△122

 うち特定金融派生商品
 費用

前連結会計年度

25,906

△25,906

当連結会計年度

14,464

△14,464

 うちその他の特定取引
 費用

前連結会計年度

2

△2

当連結会計年度

 

(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

 

 

(ⅱ) 特定取引資産・負債の内訳(末残)

国内及び海外の特定取引の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度末の国内の特定取引資産は前年度比13,173億円増加して51,210億円、特定取引負債は前年度比2,785億円減少して13,882億円となりました。海外の特定取引資産は前年度比633億円減少して23,547億円、特定取引負債は前年度比4,281億円増加して19,554億円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引資産

前連結会計年度

3,803,681

2,418,115

△66,496

6,155,300

当連結会計年度

5,121,044

2,354,767

△83,987

7,391,824

 うち商品有価証券

前連結会計年度

86,110

1,043,482

△400

1,129,191

当連結会計年度

83,045

1,024,557

△433

1,107,168

 うち商品有価証券
 派生商品

前連結会計年度

490

490

当連結会計年度

3,323

3,323

 うち特定取引有価証券

前連結会計年度

68,468

68,468

当連結会計年度

73,488

5,743

79,232

 うち特定取引有価証券
 派生商品

前連結会計年度

5,544

0

5,544

当連結会計年度

8,658

0

8,658

 うち特定金融派生商品

前連結会計年度

1,430,147

1,374,142

△66,095

2,738,195

当連結会計年度

1,399,848

1,307,437

△83,554

2,623,731

 うちその他の特定取引
 資産

前連結会計年度

2,213,410

2,213,410

当連結会計年度

3,556,003

13,705

3,569,709

特定取引負債

前連結会計年度

1,666,799

1,527,238

△56,334

3,137,703

当連結会計年度

1,388,211

1,955,427

△87,319

3,256,319

 うち売付商品債券

前連結会計年度

383,105

383,105

当連結会計年度

397,872

397,872

 うち商品有価証券
 派生商品

前連結会計年度

1,374

1,374

当連結会計年度

141

238

380

 うち特定取引売付債券

前連結会計年度

当連結会計年度

 うち特定取引有価証券
 派生商品

前連結会計年度

6,761

0

6,761

当連結会計年度

11,464

0

11,464

 うち特定金融派生商品

前連結会計年度

1,660,037

1,142,757

△56,334

2,746,461

当連結会計年度

1,376,605

1,557,316

△87,319

2,846,603

 うちその他の特定取引
 負債

前連結会計年度

当連結会計年度

 

(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

 

 

⑤ 国内・海外別預金残高の状況

○ 預金の種類別残高(末残)

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

158,977,184

47,170,422

△1,580,415

204,567,192

当連結会計年度

163,622,603

41,153,465

△2,457,365

202,318,702

うち流動性預金

前連結会計年度

126,039,807

29,884,755

△611,616

155,312,946

当連結会計年度

130,337,411

21,436,415

△1,396,495

150,377,331

うち定期性預金

前連結会計年度

24,567,241

17,227,495

△958,932

40,835,804

当連結会計年度

24,305,876

19,581,085

△1,030,386

42,856,575

うちその他

前連結会計年度

8,370,135

58,172

△9,866

8,418,441

当連結会計年度

8,979,315

135,964

△30,484

9,084,795

譲渡性預金

前連結会計年度

1,143,269

6,809,517

7,952,786

当連結会計年度

1,074,451

7,897,910

8,972,362

総合計

前連結会計年度

160,120,453

53,979,939

△1,580,415

212,519,978

当連結会計年度

164,697,054

49,051,375

△2,457,365

211,291,064

 

(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

3 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金

4 定期性預金=定期預金+定期積金

 

 

⑥ 国内・海外別貸出金残高の状況

(ⅰ) 業種別貸出状況(末残・構成比)

 

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内(除く特別国際金融取引勘定分)

64,708,207

100.00

65,870,358

100.00

 製造業

11,417,056

17.64

11,668,007

17.71

 建設業

727,522

1.12

832,820

1.26

 卸売業、小売業

6,804,770

10.52

6,498,286

9.87

 金融業、保険業

7,794,611

12.05

7,690,339

11.68

 不動産業、物品賃貸業

11,481,042

17.74

12,635,210

19.18

 各種サービス業

2,945,071

4.55

2,687,513

4.08

 その他

23,538,132

36.38

23,858,181

36.22

海外及び特別国際金融取引勘定分

42,642,413

100.00

40,603,805

100.00

 政府等

611,510

1.43

368,309

0.91

 金融機関

10,796,989

25.32

12,279,579

30.24

 その他

31,233,913

73.25

27,955,916

68.85

合計

107,350,620

106,474,163

 

(注)  「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

 

(ⅱ) 特定海外債権等残高

 

期別

国別

金額(百万円)

前連結会計年度

ロシア

116,681

ラオス

13,538

エチオピア

6,543

ミャンマー

4,422

モンゴル

263

アンゴラ

103

合計

141,552

(資産の総額に対する割合)

(0.04%)

当連結会計年度

ロシア

99,747

エジプト

13,166

ラオス

10,751

エチオピア

6,427

ミャンマー

3,639

合計

133,732

(資産の総額に対する割合)

(0.04%)

 

(注) 特定海外債権等は、当行の特定海外債権引当勘定の引当対象とされる債権、並びに当該引当勘定の引当対象国に対する海外子会社の債権のうち、当該引当勘定の引当対象に準ずる債権であります。

 

⑦ 国内・海外別有価証券の状況

○ 有価証券残高(末残)

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

30,886,392

853,701

31,740,093

当連結会計年度

34,326,735

1,418,349

35,745,084

地方債

前連結会計年度

4,123,027

4,123,027

当連結会計年度

3,708,494

3,708,494

社債

前連結会計年度

3,679,736

3,679,736

当連結会計年度

3,624,585

3,624,585

株式

前連結会計年度

4,162,563

△31,555

4,131,008

当連結会計年度

3,890,131

1,439

△53,246

3,838,324

その他の証券

前連結会計年度

14,826,067

8,608,008

△3,129,351

20,304,724

当連結会計年度

22,085,900

6,338,668

△3,101,554

25,323,014

合計

前連結会計年度

57,677,787

9,461,709

△3,160,907

63,978,590

当連結会計年度

67,635,845

7,758,457

△3,154,800

72,239,502

 

(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

3 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

 

 

(自己資本比率等の状況)

 

(参考)

自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

なお、当行は、国際統一基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては先進的内部格付手法、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては先進的計測手法を採用するとともに、マーケット・リスク規制を導入しております。

また、自己資本比率の補完的指標であるレバレッジ比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準(平成31年金融庁告示第11号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

 

連結自己資本比率(国際統一基準)

 

(単位:億円、%)

 

2023年3月31日

1. 連結総自己資本比率(4/7)

12.58

2. 連結Tier1比率(5/7)

11.04

3. 連結普通株式等Tier1比率(6/7)

9.89

4. 連結における総自己資本の額

142,078

5. 連結におけるTier1資本の額

124,692

6. 連結における普通株式等Tier1資本の額

111,721

7. リスク・アセットの額

1,128,704

8. 連結総所要自己資本額

90,296

 

 

連結レバレッジ比率(国際統一基準)

 

(単位:%)

 

2023年3月31日

連結レバレッジ比率

4.75

 

 

単体自己資本比率(国際統一基準)

 

(単位:億円、%)

 

2023年3月31日

1. 単体総自己資本比率(4/7)

10.71

2. 単体Tier1比率(5/7)

9.30

3. 単体普通株式等Tier1比率(6/7)

8.11

4. 単体における総自己資本の額

111,153

5. 単体におけるTier1資本の額

96,441

6. 単体における普通株式等Tier1資本の額

84,102

7. リスク・アセットの額

1,036,877

8. 単体総所要自己資本額

82,950

 

 

単体レバレッジ比率(国際統一基準)

 

(単位:%)

 

2023年3月31日

単体レバレッジ比率

4.02

 

 

(資産の査定)

 

(参考)

資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権

破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

 

2.危険債権

危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

 

3.要管理債権

要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

 

4.正常債権

正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

資産の査定の額

債権の区分

2022年3月31日

2023年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

1,057

743

危険債権

6,012

5,446

要管理債権

2,821

4,641

正常債権

994,727

1,071,031

 

 

 

 

(生産、受注及び販売の実績)

「生産、受注及び販売の実績」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 

当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループ(当行及び連結子会社)が判断したものであり、リスクと不確実性を内包しているため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性がありますので、ご留意ください。

 
 当連結会計年度の連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前)は、金利上昇局面で外国債券の売却損を計上したことによる国債等債券関係損益の減少や、円安による為替影響に伴う営業経費の増加もありましたが、貸出利ざやの改善、外貨預貸金収益の増加等もあり、前連結会計年度比4,156億円増益の12,361億円となりました。

 

与信関係費用総額は、MUFG Union Bank, N.A.(以下、「MUB」という。)の株式譲渡決定に伴う、売却対象の貸出金に係る公正価値評価による損失計上を主因に、前連結会計年度比3,329億円増加しました。また同じくMUBの株式譲渡決定に伴う、売却対象の有価証券に係る公正価値評価による損失計上もあり、経常利益は前連結会計年度比5,378億円の減益となりましたが、特別損益はMUB株式売却利益の計上を主因に、前連結会計年度比6,666億円増加しました。結果、親会社株主に帰属する当期純利益は同990億円増加して6,020億円となりました。

 

なお、MUB株式の譲渡契約の締結に伴い、米国財務会計基準審議会会計基準コーディフィケーション(ASC)326「金融商品-信用損失」、ASC310「債権」等に従い発生した総額9,525億円の損失のうち、主なものとして売却対象の有価証券に係る公正価値評価による損失5,554億円を臨時損益に、売却対象の貸出金に係る公正価値評価による損失4,005億円を貸出金償却に含めております。

 

当行の親会社である三菱UFJフィナンシャル・グループは、総合金融グループの強みを発揮するため、グループ各社が緊密な連携のもと、一元的に戦略を定め事業を推進する事業本部制を導入しています。各事業本部は、お客さまの幅広いニーズにお応えするため、グループ各社それぞれの強みを融合させた戦略の立案や施策の運営を行っています。

当連結会計年度における事業本部別の事業の取組みは次のとおりです。
 
 (デジタルサービス事業本部)
 コロナ禍からの回復も相まって、コンシューマーファイナンス等が堅調に実績を積み上げました。また、店舗統廃合や内部事務のデジタル化などに伴う経費削減も進め、結果、営業純益は増益となりました。引き続きオンラインを含むチャネル全体でお客さま接点を拡充します。また、外部事業者連携を通じた新サービス創出にも取り組んでいます

 
 (法人・リテール事業本部)
 米国金利上昇等の環境変化に対するニーズを捉え、預貸金・外国為替・デリバティブ業務を中心に増収となりました。また、店舗統廃合により人件費・物件費を抑制し、営業純益は増益となりました。引き続き、銀行・信託・証券一体でお客さまの課題にアプローチし、付加価値の高いサービス・ソリューションを提供します

 
 (コーポレートバンキング事業本部)
 リスクに対する適正なリターンの追求、米国金利上昇等の環境変化への機動的な対応により、預貸金収益を中心に拡大しました。営業純益は増益となり、2022年度の「階段経営」を実現しました。また、複雑化・多様化する環境・社会課題やお客さま経営課題の解決に向けて、お客さまとのエンゲージメント(対話)を深め、事業リスクを共にする取り組みも強化しています

 

 

 

 

 
 (グローバルコマーシャルバンキング事業本部)
 Bank of Ayudhya Public Company Limited(以下、「クルンシィ(アユタヤ銀行)」という。)の貸出残高増加、PT Bank Danamon Indonesia, Tbk.(以下、「ダナモン銀行」という。)の調達コスト抑制等により、営業純益は増益となりました。またデジタル関連投資ではHome Credit社のフィリピン・インドネシア子会社の買収、主にインドネシアでデジタル金融サービスを提供するフィンテック事業者Akulaku社への出資、新興企業への投資を目的としたインドネシア特化型のGarudaファンドの設立を決定しました。お客さまが“アジアで進むチカラ” になるべく、パートナーバンクとの協働強化に加え、更なるアジアの成長の取り込みに向けてデジタル関連投資を進めます。

 

(受託財産事業本部)

 資産運用事業は、三菱UFJ国際投信のETFを除いた公募株式投信残高が業界首位になりました。資産管理事業は、国内外で高付加価値サービスの複合提供が順調に進捗しました。年金事業は、確定拠出年金加入者向けアプリ「D-Canvas」の利用者が30万人を超え、確定拠出年金加入者の裾野が拡大しました。一方、営業純益は前年度に計上した成功報酬の減少や市況低迷でわずかに減益となりました。高度な専門性を発揮し更なる成長をめざします

 

(グローバルCIB事業本部)
 キャピタルマーケットの市況低迷により証券プライマリービジネスは減収も、プロジェクトファイナンス等のローン関連手数料や預貸金収益の増収により、営業純益は増益となりました。グローバルCIB・市場セールス&トレーディング領域一体で、金融市場における総合的な取引の獲得を進めると共に、スタートアップ向け融資事業の拡大や関連する新規事業への展開も続けています
 

(市場事業本部)
 相場のボラティリティが大幅に上昇する中、お客さまの課題・ニーズを捉える活動量の引き上げと機動的なポジション運営によってセールス&トレーディング業務が大幅増益となりました。トレジャリー業務は特に米国金利が大幅に上昇する難しい環境下、ヘッジ操作により外国債券ポートフォリオの評価損失を抑制したほか、新機軸投資にも挑戦し続けています
 

 

 

 

 

 

 

当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。

 

当連結会計年度の連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前)は、連結業務粗利益が前連結会計年度比5,437億円増加、営業経費は前連結会計年度比1,281億円増加し、前連結会計年度比4,156億円増加して12,361億円となりました。

また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比990億円増加して6,020億円となりました。

 

当連結会計年度における主な項目は、以下のとおりであります。

 

 

前連結会計年度
(億円)
(A)

当連結会計年度
(億円)
(B)

前連結会計年度比
(億円)
(B-A)

資金運用収益

22,338

42,953

20,614

資金調達費用(金銭の信託運用見合費用控除後)

4,843

19,070

14,226

信託報酬

119

122

2

 うち信託勘定償却

役務取引等収益

9,162

10,718

1,555

役務取引等費用

1,765

1,773

8

特定取引収益

800

2,051

1,250

特定取引費用

4

746

741

その他業務収益

3,365

4,928

1,563

その他業務費用

2,207

6,780

4,573

連結業務粗利益
(=①-②+③+⑤-⑥+⑦-⑧+⑨-⑩)

26,966

32,403

5,437

営業経費(臨時費用控除後)

18,761

20,042

1,281

連結業務純益
(一般貸倒引当金繰入前=⑪+④-⑫)

 

8,204

12,361

4,156

その他経常費用(一般貸倒引当金繰入額)

△641

346

987

連結業務純益(=⑪-⑫-⑬)

 

8,846

12,014

3,168

その他経常収益

4,721

5,513

792

 うち貸倒引当金戻入益

 

 うち償却債権取立益

 

642

717

74

 うち株式等売却益

 

3,154

2,591

△563

資金調達費用(金銭の信託運用見合費用)

0

0

△0

営業経費(臨時費用)

△23

684

708

その他経常費用(一般貸倒引当金繰入額控除後)

5,342

13,974

8,631

 うち与信関係費用

 

3,935

6,467

2,531

 うち株式等売却損

 

285

275

△10

 うち株式等償却

 

98

129

31

臨時損益(=⑭-⑮-⑯-⑰)

 

△597

△9,144

△8,547

経常利益

 

8,248

2,869

△5,378

特別損益

 

△825

5,841

6,666

 うち減損損失

 

△1,626

△69

1,557

税金等調整前当期純利益

 

7,422

8,710

1,287

法人税等合計

 

2,042

2,530

487

当期純利益

 

5,379

6,180

800

非支配株主に帰属する当期純利益

 

349

160

△189

親会社株主に帰属する当期純利益

 

5,030

6,020

990

 

 

 

① 経営成績の分析

 

(ⅰ) 主な収支

連結業務粗利益は、前連結会計年度比5,437億円増加して32,403億円となりました。

資金運用収支は、外貨金利上昇による資金運用収益の増加や、外国債券の売却損に対して売却した外国債券ベアファンド等の解約益の計上により、前連結会計年度比6,388億円増加して23,883億円となりました。

役務取引等収支は、国内外の融資関連手数料の増加により、前連結会計年度比1,547億円増加して8,944億円となりました。

特定取引収支は、前連結会計年度比509億円増加して1,305億円、その他業務収支は、外国債券売却損の計上を主因に、前連結会計年度比3,010億円減少して△1,852億円となりました。

営業経費(臨時費用控除後)は、国内は減少した一方、海外は増加し、前連結会計年度比1,281億円増加して20,042億円となりました。この結果、連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前)は、前連結会計年度比4,156億円増加して12,361億円となりました。

 

 

 

前連結会計年度
(億円)
(A)

当連結会計年度
(億円)
(B)

前連結会計年度比
(億円)
(B-A)

資金運用収支

 

17,494

23,883

6,388

 資金運用収益

22,338

42,953

20,614

 資金調達費用
 (金銭の信託運用見合費用控除後)

4,843

19,070

14,226

信託報酬

119

122

2

 うち信託勘定償却

役務取引等収支

 

7,396

8,944

1,547

 役務取引等収益

9,162

10,718

1,555

 役務取引等費用

1,765

1,773

8

特定取引収支

 

795

1,305

509

 特定取引収益

800

2,051

1,250

 特定取引費用

4

746

741

その他業務収支

 

1,158

△1,852

△3,010

 その他業務収益

3,365

4,928

1,563

 その他業務費用

2,207

6,780

4,573

連結業務粗利益
(=①-②+③+⑤-⑥+⑦-⑧+⑨-⑩)

26,966

32,403

5,437

営業経費(臨時費用控除後)

18,761

20,042

1,281

連結業務純益
(一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前)
(=⑪+④-⑫)

 

8,204

12,361

4,156

 

 

 

(ⅱ) 与信関係費用総額

与信関係費用総額は、MUB株式譲渡に伴い発生したMUB保有貸出金の評価損計上等による貸出金償却の増加を主因に、前連結会計年度比3,329億円増加して5,981億円となりました。

 

 

 

前連結会計年度
(億円)
(A)

当連結会計年度
(億円)
(B)

前連結会計年度比
(億円)
(B-A)

信託報酬のうち信託勘定償却

その他経常収益のうち貸倒引当金戻入益

その他経常収益のうち偶発損失引当金戻入益

115

115

その他経常収益のうち償却債権取立益

642

717

74

その他経常費用のうち一般貸倒引当金繰入

△641

346

987

その他経常費用のうち与信関係費用

3,935

6,467

2,531

 貸出金償却

 

820

4,651

3,830

 個別貸倒引当金繰入額

 

2,447

1,806

△641

 その他の与信関係費用

 

667

10

△657

与信関係費用総額
(=①-②-③-④+⑤+⑥)

 

2,651

5,981

3,329

連結業務純益
(一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前)

 

8,204

12,361

4,156

連結業務純益(与信関係費用総額控除後)

 

5,552

6,379

826

 

 

 

 

(ⅲ) 株式等関係損益

株式等関係損益は、前連結会計年度比584億円減少して2,186億円となりました。

株式等売却益は前連結会計年度比563億円減少して2,591億円、株式等売却損は前連結会計年度比10億円減少して275億円、株式等償却は前連結会計年度比31億円増加して129億円となりました。

 

 

 

前連結会計年度
(億円)
(A)

当連結会計年度
(億円)
(B)

前連結会計年度比
(億円)
(B-A)

株式等関係損益

 

2,770

2,186

△584

 その他経常収益のうち株式等売却益

 

3,154

2,591

△563

 その他経常費用のうち株式等売却損

 

285

275

△10

 その他経常費用のうち株式等償却

 

98

129

31

 

 

 

② 財政状態の分析

 

(ⅰ) 貸出金

貸出金は、海外での市場金利上昇を受けた調達需要により海外支店や海外子会社で増加するも、MUB株式譲渡により海外貸出残高が減少し、前連結会計年度末比8,764億円減少の1,064,741億円となりました。

 

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

貸出金残高(末残)

1,073,506

1,064,741

△8,764

うち住宅ローン[単体]

142,718

139,176

△3,541

うち海外支店[単体]

245,181

304,637

59,455

うち海外子会社

〔クルンシィ(アユタヤ銀行)〕

49,159

56,778

7,618

うち海外子会社

〔MUFGバンク(ヨーロッパ)〕

10,930

11,803

872

うち海外子会社〔ダナモン銀行〕

9,187

10,818

1,631

 

(注) MUB株式譲渡により、貸出金におけるMUFG Americas Holdings Corporation(以下、「MUAH」という。)重要性が無くなったため、当連結会計年度より「海外子会社〔MUAH〕」を計表上から除いております。なお、MUAHの前連結会計年度末の貸出金残高(末残)は91,026億円です。

 

(イ)銀行法及び再生法に基づく債権の状況

当行グループの銀行法及び再生法に基づく債権は、前連結会計年度末比818億円増加して13,781億円となりました。

不良債権の比率は、前連結会計年度末比0.07ポイント増加して1.15%となりました。

債権区分別では、破綻更生債権及びこれらに準ずる債権が前連結会計年度末比542億円減少、危険債権が前連結会計年度末比594億円減少、要管理債権が1,955億円増加、そのうち、三月以上延滞債権額が前連結会計年度末比105億円増加、貸出条件緩和債権額が前連結会計年度末比1,849億円増加しております。

 

部分直接償却後 

[連結]

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

2,450

1,908

△542

危険債権

6,921

6,327

△594

要管理債権

3,590

5,545

1,955

 三月以上延滞債権額

64

170

105

 貸出条件緩和債権額

3,525

5,375

1,849

小計

12,962

13,781

818

正常債権

1,178,511

1,175,059

△3,452

債権合計

1,191,474

1,188,840

△2,633

 

 

 

 

 

前連結会計年度末
(A)

当連結会計年度末
(B)

前連結会計年度末比
(B-A)

不良債権比率

1.08%

1.15%

0.07%

 

 

 

 (ロ)銀行法及び再生法に基づく債権のセグメント情報(正常債権を除く)

 地域別セグメント情報

 [連結]

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

国内

6,945

7,551

606

海外

6,017

6,229

212

 アジア

2,995

3,656

661

  インドネシア

406

404

△1

  シンガポール

396

250

△146

  タイ

1,608

2,272

663

  中国

0

0

△0

  その他

582

728

145

 米州

1,781

1,021

△760

 欧州、中近東他

1,240

1,552

311

合計

12,962

13,781

818

 

      (注) 「国内」「海外」は債務者の所在地により区分しております。

 

 業種別セグメント情報

 [連結]

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

国内

6,945

7,551

606

 製造業

2,583

3,554

970

 建設業

79

84

5

 卸売業、小売業

1,284

907

△377

 金融業、保険業

75

81

5

 不動産業、物品賃貸業

437

360

△76

 各種サービス業

1,347

992

△354

 その他

182

775

593

 消費者

954

793

△160

海外

6,017

6,229

212

 金融機関

103

26

△77

 商工業

4,799

5,023

223

 その他

1,113

1,180

67

合計

12,962

13,781

818

 

         (注) 「国内」「海外」は債務者の所在地により区分しております。

 

 

(ⅱ) 有価証券

有価証券は、前連結会計年度末比82,609億円増加して722,395億円となりました。地方債が4,145億円、社債が551億円、株式が2,926億円減少しましたが、国債が40,049億円、その他の証券が50,182億円増加しました。

 

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

有価証券

639,785

722,395

82,609

 国債

317,400

357,450

40,049

 地方債

41,230

37,084

△4,145

 社債

36,797

36,245

△551

 株式

41,310

38,383

△2,926

 その他の証券

203,047

253,230

50,182

 

(注) 「その他の証券」は、外国債券及び外国株式を含んでおります。

 

 

 

(ⅲ) 繰延税金資産

繰延税金資産の純額は、前連結会計年度末比3,964億円増加して3,206億円となりました。

 

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

繰延税金資産の純額

△757

3,206

3,964

 

(注) 連結財務諸表上の繰延税金資産から繰延税金負債を差し引いたものです。

 

発生原因別内訳(単体)

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

繰延税金資産

6,911

10,565

3,653

 貸倒引当金

2,518

2,465

△53

 有価証券有税償却

3,805

3,660

△144

 その他有価証券評価差額金

241

1,574

1,332

 退職給付引当金

864

819

△45

 偶発損失引当金

268

218

△49

減価償却費及び減損損失

795

835

39

土地合併減価調整

230

215

△15

繰延ヘッジ損益

585

2,140

1,554

 その他

1,655

2,583

928

 評価性引当額(△)

4,053

3,947

△106

繰延税金負債

6,539

6,579

39

 その他有価証券評価差額金

4,881

4,448

△432

 合併時有価証券時価引継

493

471

△21

 退職給付信託設定益

452

451

△0

 その他

712

1,207

494

繰延税金資産の純額

372

3,986

3,613

 

 

 

(ⅳ) 預金

預金は、MUB株式譲渡を主因に海外子会社で減少し、前連結会計年度末比22,484億円減少して2,023,187億円となりました。
 海外子会社を除いては、国内個人預金[単体]が26,653億円増加、国内法人預金その他[単体]が19,276億円増加、海外支店[単体]が42,699億円増加しました。

 

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

預金

2,045,671

2,023,187

△22,484

 うち国内個人預金[単体]

820,531

847,185

26,653

 うち国内法人預金その他[単体]

768,812

788,088

19,276

 うち海外支店[単体]

243,796

286,496

42,699

 

(注) 「国内個人預金[単体]」及び「国内法人預金その他[単体]」は、特別国際金融取引勘定分を除いております。

 

 

 

(ⅴ) 純資産の部

純資産の部合計は、前連結会計年度末比156億円増加して122,585億円となりました。
 その他有価証券評価差額金は、前連結会計年度末比4,865億円減少して7,436億円となりました。また、非支配株主持分は、前連結会計年度末比467億円増加して5,029億円となりました。

 

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

純資産の部合計

122,429

122,585

156

 うち資本金

17,119

17,119

 うち資本剰余金

36,692

36,622

△70

 うち利益剰余金

51,272

54,036

2,763

 うち自己株式

△6,457

△6,457

 うちその他有価証券評価差額金

12,301

7,436

△4,865

 うち非支配株主持分

4,561

5,029

467

 

 

 

③ 連結自己資本比率(国際統一基準)

 

総自己資本の額は、前連結会計年度末比1,309億円増加して142,078億円となりました。

リスク・アセットの額は、前連結会計年度末比41,176億円増加して1,128,704億円となりました。

この結果、総自己資本比率は、前連結会計年度末比0.35ポイント減少して12.58%、Tier1比率は、前連結会計年度末比0.07ポイント減少して11.04%、普通株式等Tier1比率は、前連結会計年度末比0.03ポイント増加して9.89%となりました。

 

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

総自己資本の額

140,768

142,078

1,309

Tier1資本の額

120,921

124,692

3,770

普通株式等Tier1資本の額

107,285

111,721

4,435

リスク・アセットの額

1,087,528

1,128,704

41,176

総自己資本比率

①/④

12.94

12.58

△0.35

Tier1比率

②/④

11.11

11.04

△0.07

普通株式等Tier1比率

③/④

9.86

9.89

0.03

 

(注) 総自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づく平成18年金融庁告示第19号に定められた算式に基づいて、国際統一基準を適用のうえ算出しております。

 

 

 

 

④ キャッシュ・フローの状況

 

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要(キャッシュ・フローの状況)」に記載しております。

 

⑤ 事業部門別収益

 

当連結会計年度の内部管理上の区分けを基準とした事業部門別収益状況は、次のとおりです。

 

[各事業部門の主な担当業務]

 

デジタルサービス部門

非対面取引中心の個人、法人に対する金融サービスの提供、全社的なデジタルトランスフォーメーションの推進

法人・リテール部門

国内の個人、法人に対する金融サービスの提供

コーポレートバンキング部門

国内外の日系大企業に対する金融サービスの提供

グローバルコマーシャルバンキング部門

海外の出資先商業銀行等における個人、中堅・中小企業に対する金融サービスの提供

グローバルCIB部門

非日系大企業に対する金融サービスの提供

市場部門

顧客に対する為替・資金・証券サービスの提供、市場取引及び流動性・資金繰り管理業務

その他部門

上記部門に属さない管理業務等

 

 

(億円)

デジタル

サービス

部門

法人・

リテール
部門

コーポレートバンキング部門

グローバルコマーシャルバンキング部門

グローバルCIB部門

顧客部門
小計

市場部門

その他
部門

(注2)

合計

業務粗利益

2,791

3,881

6,726

8,705

6,913

29,017

2,096

124

31,238

 

単体

2,513

3,597

5,771

350

5,319

17,552

1,092

△253

18,391

  

 

金利収支

2,153

1,874

3,534

357

2,602

10,523

3,996

269

14,789

  

 

非金利収支

359

1,722

2,237

△6

2,716

7,029

△2,903

△522

3,602

 

子会社

277

283

954

8,355

1,594

11,464

1,004

377

12,846

経費

2,285

2,846

2,609

5,803

3,150

16,693

1,202

1,161

19,057

営業純益(注1)

506

1,034

4,117

2,902

3,763

12,324

893

△1,036

12,181

 

(注) 1. 連結業務純益の内部取引消去等連結調整前の計数(子会社からの配当収入のみ消去)です。

 行内管理のために算出した損益であり、財務会計上の損益とは一致しません。

 2. その他部門の業務粗利益では、子会社からの配当収入、及び株式会社三菱UFJフィナンシャル・
 グループ宛貸出収益を控除しております。

 

(ⅰ) デジタルサービス部門

コンシューマーファイナンス・外為収益は回復するも、国内決済収益や住宅ローン資金収益の減少により、粗利益は前年を下回りました。

 

(ⅱ) 法人・リテール部門

米国金利上昇に伴う外貨資金収益の増加や相場変動を捉えた外為・デリバティブ収益の増加により、粗利益は前年を上回りました。

 

(ⅲ) コーポレートバンキング部門

米国金利上昇や利ざや改善による国内外預貸金収益の増加や相場変動を捉えた外為収益の増加により、粗利益は前年を上回りました

 

(ⅳ) グローバルコマーシャルバンキング部門

米国金利上昇に伴う金利収益の増加やタイでの好調な貸出、利ざやの改善等により、粗利益は前年を上回りました。

 

(ⅴ) グローバルCIB部門

 米国金利上昇や利ざやの改善による預貸金収益増加や手数料収益増加等により、粗利益は前年を上回りました。

 

(ⅵ) 市場部門

顧客ビジネスは相場変動を捉えたフロー取引増加で増収も、トレジャリーにおけるポートフォリオ組換えによる債券売却損計上により、粗利益は前年を下回りました。

 

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 

 当行が連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものに

ついては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) MUFG Union Bank, N.A.株式の譲渡及びU.S. Bancorp株式の取得完了

当行及び株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、「MUFG」という。)の連結子会社であるMUFG Americas Holdings Corporation(以下、「MUAH」という。)は、2021年9月21日、同社が保有するMUFG Union Bank, N.A.(以下、「MUB」という。)の全株式をU.S. Bancorp(以下、「USB」という。)に譲渡する株式譲渡(以下、「本株式譲渡」という。)契約を締結いたしました。本株式譲渡は、2022年12月1日に完了し、当行及びMUAHは、本株式譲渡の対価として55億米ドル及びUSB株式約44百万株(USBの発行済み株式の約3%)を受領いたしました。加えて本株式譲渡から5年以内にUSBから35億米ドルの金銭を受領する予定です。なお、本株式譲渡の実行前にMUBはMUAHに対して約46億米ドルの配当を実施しております

また、MUFGはUSBとの間で業務提携契約を締結しました。今後、MUFGとUSB双方の強みを生かせる分野や相互補完が可能な分野での提携施策の具体化・拡大を目指す予定です。

本株式譲渡後もMUFGにとって米国市場の重要性は不変であり、今後はMorgan Stanleyとの協働など当社の強みを生かせる法人取引に経営資源を集中するとともに、USBとの業務提携を通じて、新たな成長を実現することを目指してまいります。

 

① 本株式譲渡の背景・意義

当行及びMUFGは、かねてより米国におけるリージョナルバンク事業をグループ戦略における重要な事業と位置付けてまいりました。一方で、MUBを取り巻く事業環境は、デジタル化対応によるIT投資の必要性などにより、競争力の維持・強化には一定のスケールが求められる状況です。

こうした状況に鑑み、当行及びMUFGは、MUBをより強固な事業基盤を有する米国大手銀行USBに譲渡することが、お客さま及びコミュニティーに対してより質の高い金融サービスを提供することに繋がり、MUBの潜在的なフランチャイズ・バリューを実現するために最適な選択肢であると判断しました。また、当行及びMUFGにとって現中期経営計画で掲げている経営資源の最適配置の観点から、米国においては、MUBを売却し、法人取引を中心とした事業ポートフォリオへシフトすることが、資本効率を高め株主価値の最大化に資するとの結論にいたりました。

 

② 本株式譲渡に伴うお客さまとの取引の移管

当行及びMUFGがUSBに対して本株式譲渡を通じて譲渡したMUBの事業には、MUBが営んでいたグローバルCIB(以下、「GCIB」という。)事業(一部預金等の例外を除く。)、GCIBに関連する市場業務(対顧客・投資家取引)、及び一部のミドル・バックオフィス機能等に関する資産・負債等は含まず、これらの事業及び資産・負債等(これらの事業に属するお客さまとの取引を含みます)は、本株式譲渡に先立って、当行及びMUAHへ移管しました(本株式譲渡に加えて、これらの事業及び資産・負債等の当行及びMUAHへの移管を含めた一連の取引を以下、「本取引」という。)。

 

③ U.S. Bancorpの概要

(ⅰ) 名称             U.S. Bancorp

(ⅱ) 所在地            800 Nicollet Mall
Minneapolis, Minnesota

(ⅲ) 代表者の役職・氏名      Andrew Cecere, Chairman, President & Chief Executive Officer

(ⅳ) 事業内容           銀行持株会社

(ⅴ) 資本金            21百万米ドル(2023年3月31日現在)

(ⅵ) 設立年月日          1929年4月2日

 

 

④ 譲渡株式数、譲渡前後の所有株式数及び議決権所有割合の状況

(ⅰ) 異動前の所有株式数

40,305,115株

(議決権の数:40,305,115個)

(議決権所有割合:100%)

(ⅱ) 譲渡株式数

40,305,115株

(議決権の数:40,305,115個)

(ⅲ) 異動後の所有株式数

0株

(議決権の数:0個)

(議決権所有割合:0%)

 

 

⑤本取引の対象となる事業の概要

(ⅰ) 対象となる事業:MUBにおけるリテール及びコマーシャル・バンキング事業

(ⅱ) 対象とならない事業及び資産・負債:GCIB事業(一部預金等の例外を除く。)、GCIBに関連する市場業務(対顧客・投資家取引)、及び一部のミドル・バックオフィス機能等に関する資産・負債等

 

 

(2) HC Consumer Finance Philippines, Inc.及びPT Home Credit Indonesiaの買収における株式売買契約

当行及びBank of Ayudhya Public Company Limited(以下、「クルンシィ(アユタヤ銀行)」という。)並びにPT Adira Dinamika Multi Finance Tbk(以下、「ADMF」という。)は、2022年11月24日付で、Home Credit社(以下、「HC」という。)の子会社であるHC Consumer Finance Philippines, Inc.(以下、「HCフィリピン」という。)の全株式及びPT Home Credit Indonesia(以下、「HCインドネシア」という。)の株式85%を買収する株式売買契約を締結いたしました。関係当局の承認等を前提に、2023年中を目途に株式を取得(以下、「本取得」という。)する予定であり、本取得にかかる金額は総額596百万ユーロを見込んでおります。なお、本取得後の議決権所有割合は、HCフィリピンがクルンシィ(アユタヤ銀行)75%・当行25%、HCインドネシアがクルンシィ(アユタヤ銀行)75%・ADMF10%となります。

チェコにて設立され、オランダに本社を置くHCは、POSローン*1を中心に個人ローン事業を展開するコンシューマーファイナンスカンパニーです。お客さまはローン申請から実行、返済までの全プロセスを、UI/UX*2の優れたアプリ上でシームレスに完結することが可能です。また、HC社内外の多様なデータの活用と独自の審査モデルにより、精度高くスピーディな審査ができる点にも強みを有します。

中でもHCフィリピン、HCインドネシアは、高いブランド認知度と顧客満足度を有しており、アプリダウンロード数は両国計20百万件、累計貸出顧客数は13百万人に達し、それぞれ各国のPOSローン市場シェアでは首位に位置しております。MUFGは、フィリピン・インドネシアで、当行の持分法適用会社であるSecurity Bank Corporation及び連結子会社であるPT Bank Danamon Indonesia, Tbk.(以下、「ダナモン銀行」という。)への出資を通じ、現地コンシューマーファイナンス市場に一定のプレゼンスを既に有しておりますが、本取得を通じて両国リテール事業の更なる強化・拡大を図ってまいります。

当行は、東南アジアにおいて出資している各パートナーバンクと一体で、同地域のビジネスプラットフォームを構築し、事業を強化しており、今後も東南アジアの成長により一層貢献してまいります。

 

*1 Point of Saleローンの略。耐久財(自動車や家電施肥品等)の販売店等での商品購入時に提供する割賦ローン。

*2 ユーザーインターフェース(操作性)/ユーザーエクスペリエンス(顧客体験)の略。

 

 

① PT Adira Dinamika Multi Finance Tbkの概要

(ⅰ) 名称             PT Adira Dinamika Multi Finance Tbk

(ⅱ) 所在地            Millennium Centennial Center IFI. 53rd-61st, JI. Jenderal Sudirman
Kav. 25, Jakarta 12920

(ⅲ) 代表者の役職・氏名      I Dewa Made Susila, President Director

(ⅳ) 事業内容           オートローンの提供

(ⅴ) 資本金            1,000億ルピー(2023年3月31日現在)

(ⅵ) 設立年月日          1990年11月13日

 

ADMFは、ダナモン銀行の子会社で、オートローン事業を中心に展開しております。

当行は、ダナモン銀行とADMFを2019年4月に連結子会社化いたしました。

 

② HC Consumer Finance Philippines, Inc.の概要

(ⅰ) 名称             HC Consumer Finance Philippines, Inc.

(ⅱ) 所在地            15th Floor Ore Central, 31st Street corner 9th Avenue, Bonifacio
Global City, Taguig, Philippines

(ⅲ) 代表者の役職・氏名      David Minol, CEO

(ⅳ) 事業内容           耐久財購入時の個人向けPOSローン

(ⅴ) 資本金            7,420,241,126ペソ(2022年12月31日現在)

(ⅵ) 設立年月日          2013年1月25日

 

③ PT Home Credit Indonesiaの概要

(ⅰ) 名称             PT Home Credit Indonesia

(ⅱ) 所在地            Plaza Oleos 8th Floor, Jl. T.B Simatupang No. 53A, Pasar Minggu,
Jakarta Selatan, Indonesia

(ⅲ) 代表者の役職・氏名      Animesh Narang, CEO

(ⅳ) 事業内容           耐久財購入時の個人向けPOSローン

(ⅴ) 資本金            6,000億ルピア(2022年12月31日現在)

(ⅵ) 設立年月日          2012年1月30日

 

HCフィリピン及びHCインドネシアは、POSローンやキャッシュローン等の金融サービスを提供するコンシューマーファイナンスカンパニーです。 

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。