第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当行が判断したものであります。

 

(1) 経営方針

わが国は少子高齢化や人口減少等の構造的課題を抱え、世界的にも低成長が常態化しつつあります。また、約3年間にわたるコロナ禍を経て、AIを始めとしたデジタル技術の発展と日常への浸透、クリーンエネルギーを中心とした社会・経済構造への転換、人々の働き方や価値観の多様化といったメガトレンドは加速しています。加えて、地政学リスクやグローバル化の揺り戻しといった「分断」も顕在化する等、当社を取り巻く経営環境は大きく変化しています。

当行は、こうした変化を正しく読み解いたうえで、MUFGの広範なネットワークや多様なソリューションが持つ「つなぐ」機能を最大限発揮し、新しい時代において社会をリードする存在でありたいと考えています。今年度からの3年間を対象とした新中期経営計画を、当行を取り巻く経営環境が大きく変わる機会を捉えて「成長」を取りにいく3年間と位置付け、その結果として収益力向上やROEの改善、そしてMUFGのパーパスである「世界が進むチカラになる。」を実現することを通じて、お客さま・行員を始めとする全てのステークホルダーの期待に応えてまいります。

新中期経営計画では、昨年度までの中期経営計画における取り組みを発展させ、成長戦略を進化させながら、社会課題解決への貢献にも取り組むとともに、それらを支える企業変革を加速させてまいります。

地政学リスクやグローバル化の揺り戻しといった分断が顕在化する時代において、MUFGの広範なネットワークや多様なソリューションが持つ「つなぐ」機能を最大限発揮することで、経済的価値のみならず社会的価値も追求し、パーパス(世界が進むチカラになる。)の実現をめざします。

 


 

(2) 経営環境

当年度の金融経済環境でありますが、世界経済は、各国の金融引き締めによる累積的な影響が景気を下押ししたものの、コロナ禍以降の財政支援や堅調な労働市場等にも支えられ、全体としては緩やかな回復を続けました。もっとも、コロナ禍で生じた繰り越し需要の一巡や財政支援の漸進的な縮小等、各国が平時モードへ回帰していく中での反動に加え、中国の不動産問題の顕在化や長期化するウクライナ紛争、ガザ情勢といった実体経済への影響を見定めることの難しい出来事も多く、不確実性の高い状況が続きました。わが国では、物価高が消費の重石となったものの、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う経済活動の正常化や、インバウンド需要の拡大、円安等による企業業績の改善にも支えられ、景気は緩やかな回復を続けました。

金融市場に目を転じますと、株価は、地政学リスクを巡る緊張が高まり、さらに各国中銀が金融引き締め    姿勢を続ける中で調整する局面もありましたが、年度を通じ上昇基調で推移しました。金利については、欧米では、急速な利上げに伴い、年度前半に市中金利は上昇しましたが、金融引き締め局面の終了等が意識される中で年度後半にかけて低下しました。わが国では、短期金利は日銀が3月にマイナス金利を解除した後に小幅に上昇しましたが、総じて低位で推移しました。長期金利は、日銀による昨年7・10月の長短金利操作の柔軟化により、年度半ばにかけてやや上昇しましたが、その後は概ね横ばい圏内で推移しました。ドル円相場は、日米の金融政策の方向性の違い等が意識され、昨年11月には151円台まで円安が進行しました。その後は米国の利下げ転換時期の模索や日銀のマイナス金利解除等により、円安進行には一定の歯止めが掛かり、振れを伴いながらも横ばい圏で推移しました。

 

(3) 対処すべき課題

新中期経営計画を「成長」を取りにいく3年間とするために、中期経営計画の3本柱のうち、「成長戦略の進化」と「企業変革の加速」において、7+4の主要戦略を策定いたしました。

「成長戦略の進化」は、国内ではリテール顧客基盤の強化によりLife Time Valueの最大化を図るとともに、法人×WMビジネスモデルを通じて承継ビジネスを強化いたします。海外では、GCIB・市場一体ビジネスモデルの進化による収益力向上、Partner Bankとの連携強化によるアジア成長の取り込みに取り組んでまいります。加えて、資産運用立国実現への貢献に向けた取り組みやGX起点でのバリューチェーン支援を通じて経済的価値・社会的価値の双方を追求するとともに、中長期的な成長に向けて新たな事業ポートフォリオ構築にも挑戦してまいります。

「企業変革の加速」は、スピード改革を始めとするカルチャー改革の加速や、人的資本の拡充、システム開発リソースの増強、AI・データ基盤の強化といった経営基盤の強化に取り組んでまいります。

なお、中期経営計画の3本柱の残る「社会課題の解決」については、本有価証券報告書の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)戦略」をご参照下さい。

MUFGグループは、お客さま、社員、株主等、ステークホルダーの安全確保を最優先とし、社会機能の維持に不可欠な金融インフラとして、事業者の資金繰り支援等の施策を通じ、お客さま・社員・株主をはじめとする全てのステークホルダーの皆さまの期待に応えてまいります。

 

(A) 成長戦略の進化

主要戦略

主な取組内容

国内リテール顧客基盤の強化

・ カスタマーエクスペリエンスの進化を通じて、お客さま満足度を改善。長きにわたる関係を構築し、Life Time Valueの最大化をめざす

法人×WMビジネス強化

・ 法人起点・個人起点の双方からのアプローチにより、多様なソリューションを提供していく

GCIB・市場一体ビジネスモデルの強化

・ プライマリー機能とセールス&トレーディング機能の相互連携、クロスセル、ディストリビューションの強化を通じて、GCIB・市場一体で資本効率の高いビジネスモデルを推進する

アジアプラットフォームの強靭化

・ Partner Bankとの連携強化、「アジア×デジタル」の取り組み拡大等を通じて、第2のマザーマーケットであるアジアに強靭なプラットフォームを構築する

資産運用立国実現への貢献

・ インベストメントチェーン全体でお客さまの資産形成支援に取り組み、資産運用立国の実現に貢献する

GX起点でのバリューチェーン支援

・ GXプロジェクトの共創やトランジション支援等、ファイナンスに留まらない経営課題解決型ソリューションを提供し、お客さまのGX投資を促進していく

新たな事業ポートへの挑戦

・ お客さま・社会の課題や新技術の進展を踏まえた新規ビジネス開発により、新事業セグメント、次世代ビジネスモデルに取り組み、高成長・高採算ポートフォリオを創出する

 

 

(B) 企業変革の加速

主要戦略

主な取組内容

スピード改革の加速

・ 変化をリードするために自ら考え、決断し、直ちに行動に移していくカルチャーの浸透・定着をめざす

人的資本の拡充

・ 事業戦略との同期を加速し、行員一人ひとりがプロ度を高め、活き活きと活躍し、お客さま・社会に貢献するグローバル金融グループをめざす

システム開発リソースの増強

・ システム投資額の引き上げに向けたリソース増強に取り組むとともに、戦略的な案件への投資金額・比率の上昇を図る

AI・データ基盤の強化

・ AI推進機能やBusiness Intelligenceの強化等を通じて、データ利活用を推進する

・ 生成AI等の新技術活用やインテリジェンスの向上により、技術探索を強化していく

 

 

(組織改編)

2024年4月1日付けで現在のデジタルサービス部門と法人・リテール部門を、個人のお客さま(WMを除く)を所管するリテール・デジタル部門、事業法人とWMのお客さまを所管する法人・ウェルスマネジメント部門に再編いたしました。これらの部門に、コーポレートバンキング部門、グローバルCIB部門、グローバルコマーシャルバンキング部門、市場部門を加えた6部門体制にて、新中期経営計画を着実に推進してまいります。

 

 

(4) 目標とする経営指標

当行の親会社である三菱UFJフィナンシャル・グループの本中期経営計画では、中期経営計画の最終年度である2026年度の財務目標の水準を以下のとおり設定しております(2024年5月公表)。

 

〔ROE目標・資本運営ターゲット〕

 


 

〔ROE目標達成に向けた3つのドライバー〕

 


 

*1 Morgan Stanleyの持分法適用決算期の変更影響額除き

*2 バーゼルⅢ規制最終化(完全実施)により2029年3月末に適用される規制に基づく試算値。その他有価証券評価差額金を除く

*3 親会社株主に帰属する当期純利益

*4 リスク・アセット

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当行が判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

① サステナビリティ

サステナビリティに関する課題は、取締役会の監督のもと、経営会議がその傘下に様々な委員会を設置して管理しています。サステナビリティ委員会は、経営会議傘下の委員会で、Chief Sustainability Officerが委員長を務めています。サステナビリティ委員会ではサステナビリティに関するリスクや機会を含めたサステナビリティに関する課題への取り組み方針を定期的に審議するとともに、MUFGグループの取り組みの進捗状況をモニタリングしています。サステナビリティ委員会は、経営会議へ報告を行い、必要に応じて取締役会へも報告を行っています。

業務執行の意思決定機関として経営会議を設置し、取締役会の決定した基本方針に基づき、経営に関する全般的重要事項を協議決定しています。

取締役会は、事業戦略、リスク管理、財務監視に沿って、サステナビリティに関する事項の管理を監督します。監督は、PDCAサイクルに基づいて行われます。取締役会は、気候変動を含むサステナビリティに関連する事項を最優先事項と位置づけ、年次計画に基づき定期的に、又は必要に応じて、議論・審議を行っています。

MUFGグループのサステナビリティへの幅広い取り組みを客観的に評価する観点から、株式報酬の業績連動係数に「ESG評価」の指標を設けています。主要ESG評価機関5社(CDP、FTSE、MSCI、S&PDJ、Sustainalytics)による外部評価の改善度(相対評価)に加え、サステナビリティ経営のさらなる進化を後押しするため、グループ・グローバルGHG自社排出量の削減、従業員エンゲージメントサーベイスコアの改善並びに女性マネジメント比率の向上をESG独自評価指標として新設します。

 

② 気候変動

MUFGグループでは、持続可能な社会の実現に貢献するため、優先的に取り組む課題の一つに「カーボンニュートラル社会の実現」を掲げています。

MUFGグループは、NZBA(Net-Zero Banking Alliance)及びGFANZ(Glasgow Financial Alliance for Net Zero)をはじめとする、気候変動に対処するためのさまざまなイニシアティブに参画しています。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures : TCFD)の提言を支持しています。

グループ・グローバルベースでのプロジェクトチームであるカーボンニュートラル推進PTを立ち上げ、各取り組みについては、グループCEOをはじめとする主要なマネジメントが参加するステアリングコミッティで議論するほか、サステナビリティ委員会で審議します。

MUFGグループでは、気候変動に関するリスクをトップリスクと位置づけており、経営会議傘下の委員会である投融資委員会、与信委員会、リスク管理委員会において、それぞれの専門性を踏まえた検討を行っています。これらの各委員会の審議内容は、経営会議へ報告しています。

また、取締役会傘下委員会であるリスク委員会においても気候変動を含むグループ全体のリスク管理に関する事項及びトップリスクに関する事項について審議・報告を行っています。

 

ガバナンス体制の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照してください。
 
③ 人的資本

 MUFGでは、人事に係る基本方針や重要戦略は、グループCEOやグループCHROをはじめとする主要なマネジメントが参加する人事運営会議やサステナビリティ委員会で審議しています。MUFGグループ各社においては、MUFGで決定された基本方針や重要戦略に基づき、人事担当役員のもと、具体的な人事施策や取組の検討がなされています。
  また、各取組の進捗状況等については、取締役会による監督に基づき、人事運営会議、サステナビリティ委員会や経営会議等を通じて報告・審議・決議を実施しております。人材の流出・喪失等や士気の低下等により損失を被るリスク及びこれに類するリスク(人材リスク)を管理するためのガバナンスについては、「(3) リスク管理 ③人的資本」を参照してください。
  

ガバナンス体制の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照してください。
 

(2) 戦略

① サステナビリティ

MUFGグループは、社会課題解決への貢献を経営戦略と一体化させ、これを中計の3本柱の1つと位置づけ、取り組みを一層強化していきます。持続可能な環境・社会の実現に向け、サステナビリティ経営において優先的に取り組む課題(以下優先課題)の見直しを行いました。

 

優先課題の見直しにおいては、サステナビリティ開示基準、ESG評価機関の評価項目、投資家の期待等、ステークホルダーにおける重要性と、機会とリスクを踏まえたMUFGの事業における重要性を考慮しています。これらの二つの重要性を踏まえて、社外アドバイザーや投資家、社員等の意見も取り入れ、優先課題の特定を行いました。

主な取り組みについては、経営計画委員会やサステナビリティ委員会でモニタリングを行います。

 

目指す社会

優先課題

主な取り組み

持続可能な

社会

1. カーボンニュートラル社会の実現

エンゲージメント、トランジション支援の加速

2. 自然資本・生物多様性の再生

自然依存・影響低減に向けたソリューション提供

3. 循環型経済の促進

循環型経済への移行に向けた技術や投資の支援

活力溢れる

社会

4. 産業育成、イノベーション支援

成長資金の供給と運用対象の拡大

5. 少子高齢化への対応

資産・事業承継サポート、投資・資産形成促進

6. 金融サービスへのアクセス拡大

生活に根ざすサービス提供、金融包摂への貢献

7. 人的資本重視の経営

社員が活き活きと活躍できる環境の提供

強靭な

社会

8. 人権尊重

サプライチェーン全体の人権デューデリジェンス強化

9. 安心・安全なサービスの提供

サイバー対策、オペレーショナルレジリエンス強化

10. 強固な企業ガバナンスの発揮

お客さまの最善の利益に資する業務運営の徹底

 

 

② 気候変動

「カーボンニュートラル社会の実現」への取り組みは経営の最重要課題の一つであり、リスク管理とビジネス機会の両面から対応しています。

MUFGグループは、TCFDの提言を踏まえ、金融機関としての気候変動関連のリスクを二つのカテゴリーに分類し、取り組みを進めています。一つは、異常な暴風雨や洪水などの悪天候事象の深刻化や頻度の増加、気温や海面水位の上昇、降水量や降水分布の変化などの気候パターンの長期的な変化などによる物理的損害から生じるリスクであり、「物理的リスク」と分類されます。もう一つは、脱炭素社会への移行に関連して生じるリスクで、これは規制、市場の選好、技術の変化などから発生するもので、「移行リスク」と分類されます。

MUFGグループは、地球温暖化問題に取り組むグローバル金融機関としての責任を認識し、お客さまに提供する商品・サービスや、事業活動に伴う環境負荷を低減するための施策を通じて、脱炭素社会への移行に向けた取り組みを支援していきます。

 

  ③ 人的資本

人的資本経営のめざす姿と考えている「社員一人ひとりが活き活きと活躍し、社会・お客さまに貢献するグローバル金融グループ」の実現には、最重要資本の一つである人的資本の拡充が必要と考えています。価値創造の源泉である社員のウェルビーイングを高め、個人・組織の持続的な成長を促し、世界が進むチカラになるよう、人的資本経営に取り組んでいます。

 

(ⅰ) 人材育成方針

MUFGでは、MUFG Wayに相応しい人的資本経営を実現するための基本的な考え方として「MUFG人事プリンシプル」を策定しています。
 人材育成に関しては、「社員一人ひとりが知識や専門性のみならず、見識や倫理観を高められる教育機会を提供し、社員の自律的キャリア形成を支援すると同時に、MUFG Wayを体現できる多様なプロフェッショナル人材を育成すること」を基本理念としています。
 社会やお客さまの期待を超える価値を提供するため、経営・事業戦略と人事戦略の同期を加速し、社員一人ひとりがスキル・専門性を高めることを促進していきます。
 

(ⅱ) 社内環境整備方針

MUFGのパーパスである「世界が進むチカラになる。」の実現に向けて、「人的資本重視の経営」をサステナビリティ経営において優先的に取り組む課題(優先課題)として取り組みを進めています。信頼のグローバル金融グループとして、その特徴を最大限活かし、社員一人ひとりが活き活きと活躍できる職場環境を提供します。また、心身の健康とDEI(ダイバーシティ・エクイティ & インクルージョン)の浸透を通じて社員が最大限の能力を発揮することを支援するとともに、全世界の社員がプロフェッショナルとして成長、活躍できる職場環境を提供することで、社員のウェルビーイング(幸せ)、即ち中長期な人生の充実を実現します。
 人材を惹きつけ、社員が持てる力を最大限発揮するための人事制度を構築するとともに、他社比競争力のある処遇を提供しています。三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行及び三菱UFJモルガン・スタンレー証券の3社において一定の要件を満たす管理職に対しては、2024年7月より、インセンティブプランとして株式交付制度を導入します。また、社員の人権を尊重するとともに、事業を展開する各国・地域の法令遵守、労働環境、労働時間の定期的なモニタリング及び改善、財産形成貯蓄制度、企業年金、持株会等を通じた社員の安定的な資産形成、Financial Wellnessの向上を通じて、社員の心身の健康促進・私生活の充実に取り組んでいます。
 

(3) リスク管理

① サステナビリティ

MUFGグループでは、「MUFG環境方針」、「MUFG人権方針」のもと、ファイナンス(※)において、環境・社会に係るリスクを管理する枠組みとして、「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」を制定しています。環境・社会への影響が懸念される特定のセクターについては、ファイナンスにおけるポリシーを定めるとともに、ファイナンスの対象となる事業の環境・社会に対するリスク又は影響を特定し、評価するためのデューデリジェンスのプロセスを導入しています。

 

※MUFGの主要子会社である銀行、信託及び三菱UFJ証券ホールディングスの法人のお客さま向けの与信及び債券・株式引受を指します。

 

MUFGグループがファイナンスの対象とする事業の環境・社会に対するリスクの特定・評価は、お客さまと直接接点を持つ部署が「標準デューデリジェンス」を行います。これにより、対象事業が特に留意が必要と判断された場合、「強化デューデリジェンス」を実施し、ファイナンスの実行の可否を決定します。

対象事業の環境・社会に対するリスクが重大であり、MUFGグループの企業価値の毀損に繋がりうる、評判リスクに発展する可能性がある事業については経営階層が参加する枠組みにおいて対応の協議を行っています。また、銀行では大規模なプロジェクトによる環境・社会に対するリスクと影響を特定、評価、管理するための枠組みである赤道原則を採択し、ガイドラインに沿ったリスクアセスメントを行っています。

環境・社会にかかる機会及びリスクへの対応方針・取り組み状況は、テーマに応じてリスク管理委員会や投融資委員会、与信委員会においても審議・報告を行っています。各委員会の審議内容は経営会議への報告後、取締役会において報告・審議され、取締役会が環境・社会課題に関するリスクを監督する態勢としています。

 

<ファイナンス対象事業の環境・社会に対するリスク又は影響を特定・評価するプロセス>

 


 

② 気候変動

気候変動に関するリスクへの対応の強化に向けて、グループ全体の視点で、気候変動に関するリスクとその潜在的なポートフォリオ、事業、財務への影響をより的確に把握、測定、低減することを目的として、リスク管理枠組みに統合しています。MUFGグループのリスク管理フレームワークは、物理的リスクと移行リスクに対処することを意図しています。

前述の「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」では、石炭火力発電や鉱業(石炭)、石油・ガス等、気候変動への影響が懸念される特定のセクターについては、ファイナンスにおけるポリシーを定めるとともに、ファイナンスの対象となる事業の環境・社会に対するリスク又は影響を特定し、評価するためのデューデリジェンスのプロセスを導入しています。

 

気候変動に関するリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」を、リスク管理フレームについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照してください。 
 
③ 人的資本
  MUFGでは、人材リスクをオペレーショナルリスクの一つとして定義の上、管理しております。人材リスクを含む各種オペレーショナルリスクについては、それぞれリスク評価を実施し、リスク委員会やリスク管理委員会、経営会議において、報告・審議を行っております。

 

リスク管理体制の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照してください。
 

(4) 指標と目標

① サステナビリティ

MUFGグループは、環境・社会課題の解決に向けた具体的な指標・目標を設定し、モニタリングしています。これまでの順調な実績進捗や資金需要の高まりを受け、2030年までのサステナブルファイナンス目標を35兆円から100兆円に引き上げました。2023年度までの累計実行額は33.5兆円(概算値)です。

 

② 気候変動

MUFGグループでは、2021年5月に「MUFGカーボンニュートラル宣言」を公表し、2050年末までに投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量をネットゼロに、2030年末までにMUFGグループ自らの温室効果ガス排出量をネットゼロにするという目標を発表しました。これらの目標は、パリ協定の合意事項を支持するとともに、MUFGグループにとって気候変動に関連するリスクと機会を最優先課題として認識していることを示しています。

投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量ネットゼロの実現のために、各セクターやMUFGのポートフォリオの特性も踏まえて、以下のように中間目標の設定を行っています。

 

<各セクターの中間目標、実績>

 

単位等

基準(基準年)

2022年度実績

2030年中間目標

電力(排出原単位)

gCO2e/kWh

328(2019)

313

156-192

石油・ガス(排出量削減率)

MtCO2e

84(2019)

81

▲15-▲28%

不動産

(排出原単位)

商業用

kgCO2e/㎡

65(2020)

56*1

44-47

居住用

kgCO2e/㎡

27(2020)

25*1

23

鉄鋼(排出量削減率)

MtCO2e

22(2019)

16

▲22%

船舶

PCAスコア*2

PCA0.6%(2021)

Minimum 26.2%

Striving 30.9%

PCA≦0%

自動車(排出原単位)

gCO2/vkm

169(2021)

 

▲23-▲46%

航空(排出原単位)

gCO2/RPK*3

130(2021)

 

71

石炭(与信残高)*4

億円

約30(2022)

(非OECD諸国は約120)

 

ゼロ

(非OECD諸国は2040年度)

 

 

*1 不動産建物別・年度別係数のデータは、2021年度データを使用

*2 船舶に関する投融資ポートフォリオ全体での要求水準との差分を示す整合度指標。ファイナンス提供をしている個々の船舶の気候変動整合度(VCA)を融資ポートフォリオ上の割合で加重平均して算出。2022年度からポセイドン原則により要求水準が引き上げられ、MinimumとStrivingの二つの新基準に変更。両方とも2050年ネットゼロをめざす基準だが、2030年と2040年時点の削減目安が異なる。Minimum基準は2008年比で2030年までに排出量を最低20%削減、2040年までに最低70%削減。Striving基準は2008年比で2030年までに排出量を30%削減、2040年までに80%削減

*3 RPK:Revenue Passenger Kilometers(有償旅客キロ)のことで、有償旅客数に輸送距離を乗じて算出した航空会社の旅客輸送実績を示す指標

*4 発電事業用の一般炭採掘を主たる事業とする事業者への法人融資額(含むコミットメント未使用額)を対象。ただし、脱炭素社会への移行に向けた取り組みに資する案件は除外

 

③ 人的資本

 (ⅰ) DEI

MUFGでは、多様な社員一人ひとりが持てる力を最大限に発揮できる職場づくりに取り組んでいます。特に、女性の管理職比率向上は喫緊の課題であるとの認識のもと、MUFGでは、中長期的な数値目標を設定し、トップのコミットメントのもと女性の育成・登用を推進しています。MUFGの主要な子会社である三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行及び三菱UFJモルガン・スタンレー証券の3社では、2023年度末までに日本国内の女性の管理職比率を22.0%にする合同数値目標を設定し、実績(※)は22.3%と目標を達成しました。2024年度から始まる中期経営計画では、2026年度末までに27.0%にする目標を設定しております。

 

※当事業年度に発令等確定した人事異動を反映しています。

 

(ⅱ) 社員のウェルビーイング

持続的な企業価値向上には、エンゲージメントの向上が必要不可欠という認識のもと、毎年「従業員エンゲージメントサーベイ」を通じて、社員エンゲージメントの状況(エンゲージメントスコア)を確認し、さまざまな施策の検討・実施に活用してきました。2024年度から始まる中期経営計画では、海外も含むMUFGグループのエンゲージメントスコア目標として「現状比改善」を設定し、エンゲージメントの向上に、グループ一丸で取り組みます。なお、2023年度の実績は73%(※)となっています。

 

※エンゲージメントに関する5つの設問に対する好意的回答割合の平均

 

3 【事業等のリスク】

 

当行は、各種のリスクシナリオが顕在化した場合の影響度と蓋然性に基づき、その重要性を判定しており、今後約1年間で最も注意すべきリスク事象をトップリスクとして特定しています。2024年3月の当行リスク管理委員会において特定されたトップリスクのうち、主要なものは以下のとおりです。当行では、トップリスクを特定することで、それに対しあらかじめ必要な対策を講じて可能な範囲でリスクを制御するとともに、リスクが顕在化した場合にも機動的な対応が可能となるように管理を行っています。また、経営層を交えてトップリスクに関し議論することで、リスク認識を共有した上で実効的対策を講じるように努めています。

 

 主要なトップリスク

リスク事象

リスクシナリオ(例)

資本余力低下/リスクアセット増加

・ グローバルな金利上昇を受けた債券評価損の拡大等による資本運営への影響。

外貨流動性リスク

・ 市況悪化による外貨流動性の枯渇又はコストの大幅な増加。

与信費用増加

・ グローバルベースで実体経済が急速に失速することに伴う与信費用増加。

・ 与信集中業種等における信用悪化に伴う与信費用増加。

ITリスク

・ サイバー攻撃による顧客情報の流出、サービス停止及び評判悪化等。

・ システム障害発生による補償費用支払及び評判悪化等。

気候変動に関するリスク

・ 気候変動に関するリスクへの対応や開示が不十分であると見做されることによる当行の企業価値の毀損。

・ 取引先への影響を通じた当行与信ポートフォリオ管理・運営への影響。

 

 ※リスク事象:2024年3月の当行リスク管理委員会での審議を経て、取締役会に報告されたものの一例です。一般的に起こり得る事象で、当行固有でない情報も含まれます。

 

当行及び当行グループの事業その他に関するリスクについて、上記トップリスクに係る分析を踏まえ、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項は、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当行は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

 

 

外部環境等に関するリスク

1.本邦及び世界の経済の悪化のリスク

本邦及び世界の経済は、主要国における金融政策や財政政策の変更及び主要国の財政状態、為替レートの急速かつ大幅な変動、世界的なインフレや不動産市況の動向、金融機関に対する不安や懸念及び金融業界の動向、米国政権の動向、米中対立の懸念、世界的な地政学リスク、国際的な商品供給や貿易活動の停滞、世界各地域における政治的混乱等の要因から先行き不透明な状況です。本邦及び世界経済が悪化した場合、当行には、保有する有価証券等の市場価格の下落による損失、取引先の業績悪化等による不良債権及び与信関係費用の増加、市場取引の相手先の信用力低下等による収益減少、外貨資金流動性の悪化、外貨資金調達コストの増加、リスクアセットの増加等が生じる可能性があります。また、各国の中央銀行の金融政策の変更によるグローバルな金利上昇を受けた外貨調達コスト増加等に伴う資金収益力の低下等により、当行の収益力が低下する可能性があります。更に、経済活動の停滞による企業の新規投資や商取引の減少、個人消費の落ち込み、先行き不透明な金融市場での投資意欲減退、お客様の預かり資産減少などが生じる可能性があります。

また、債券・株式市場や外国為替相場の大幅な変動により金融市場の混乱・低迷、世界的な金融危機が生じた場合等には、当行が保有する金融商品の価値が下落し、適切な価格を参照できない状況が生じ、又は金融市場の機能不全が生じ、当行が保有する金融商品において減損若しくは評価損が生じる可能性があります。

これらにより、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

2.外的要因(紛争・テロ・自然災害等)に関するリスク

紛争(深刻な政情不安を含みます。)、テロ、国家間対立やこれに起因する経済制裁、地震・風水害・感染症の流行等の自然災害等の外的要因により、社会インフラに障害が発生し、当行の店舗、ATM、システムセンターその他の施設が被災し、又は業務の遂行に必要な人的資源の損失、又はその他正常な業務遂行を困難とする状況が発生することで、当行の業務の全部又は一部が停止又は遅延するおそれ、あるいは事業戦略上の施策や市場・規制環境の変化への対応が計画どおり実施できないおそれがあります。また、これらの事象に対応するため、予防的なものも含めた追加の費用等が発生するおそれがあります。加えて、これらの事象により当行や取引先が事業を行っている市場に混乱が生じるおそれがあります。これらにより、当行の財政状態や経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

また、当行は、自然災害のなかでも特に地震による災害リスクにさらされており、首都圏等当行の事業基盤が集中している地域において大規模な地震が発生した場合には、当行の財政状態や経営成績に悪影響が生じる可能性があります。当行では、このような災害等のリスクに対し、各国当局の規制等を踏まえた業務継続態勢を整備し、訓練等を通じた検証を行うことにより、常にオペレーショナル・レジリエンス(紛争、テロ(含むサイバーテロ)、自然災害等の事象が発生しても、重要な業務を継続できる総合的な能力)の強化を図っておりますが、必ずしもあらゆる事態に対応できるとは限りません。

 

3. サステナビリティに関するリスク

昨今、環境・社会課題の顕在化や持続可能な環境・社会の実現に向けた取組みに対する認識の高まりに伴い、当行に対する社会的な期待は一層高まってきております。当行では、「MUFG環境方針」及び「MUFG人権方針」を定め、当行の法人のお客さま向け与信及び債券・株式引受において、「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」に基づき、環境・社会への影響が懸念される特定のセクターに対するポリシーを制定し、取引の対象となる事業の環境・社会に対するリスク及び影響を特定、評価するためのデューデリジェンスのプロセスを導入しています。当行は、気候変動について、TCFDが策定した気候変動関連財務情報開示に関する提言を支持するとともに、TCFDや適用ある法令に沿ったリスクの把握・評価や情報開示の拡充、ガバナンスの強化に取り組んでおり、また、気候変動対策や脱炭素社会への移行をサポートする取組み、持続可能な環境・社会の実現に向けた取組みを進めております。

しかしながら、上記の各取組みや情報開示が不十分であった場合、上記の各取組みが当行の想定通り進捗しない場合、規制強化や政策の多様化に十分に対応できない場合、又はそのように見做され、社会に対する責任を十分に果たしていないと見做された場合などには、当行の企業価値の毀損に繋がるおそれがあり、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。とりわけ、気候変動に関しては、脱炭素社会への移行に伴い、政策変更、技術革新、市場の嗜好変化等に起因する移行リスク、気候変動それ自体による資産に対する直接的な損傷や、サプライチェーンの寸断などに起因する物理的リスクが存在します。これらの気候変動に関するリスクにより、当行の事業活動が直接的に影響を受け、又は、当行のお客さまの事業や財務状況に影響を及ぼし、お客さまへの影響を通じて当行の与信ポートフォリオ管理・運営に影響を与える等により当行の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

戦略及び出資先に関するリスク

4.競争、ビジネス戦略等に関するリスク

金融業界では、新たな技術の進展や規制緩和等に伴い、電子決済領域など、他業種から金融業界への参入が加速しており、今後も競争環境は益々厳しさを増す可能性があります。

また、当行は、収益力増強のためにグローバルベースで様々なビジネス戦略を実施しておりますが、競合相手である他のグローバル金融機関による統合・買収・戦略的提携の進展等に伴い、競争が激化してきております。

そうした中、以下に述べるものをはじめとする様々な要因が生じた場合には、これら戦略が功を奏しない、当初想定していた結果をもたらさない、又は変更を余儀なくされ、こうした競争的な事業環境において競争優位を得られない場合、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

・ 取引先への貸出ボリュームの維持・増大が想定通りに進まないこと。

・ 貸出についての利鞘拡大が想定通りに進まないこと。

・ 当行が目指している手数料収入の増大が想定通りに進まないこと。

・ デジタルトランスフォーメーション戦略や新技術の採用の遅れ等により次世代の金融サービス提供が想定通りに進まないこと。

・ 効率化を図る戦略が想定通りに進まないこと。

・ 現在実施中又は今後実施する事業ポートフォリオの見直し、システム統合及び効率化戦略等が想定通り進捗せず、顧客やビジネスチャンスの逸失若しくは想定を上回る費用が生じること。

・ 必要な人材を確保・育成できないこと。

・ 必要な外貨流動性を確保できないこと。

・ 本邦及び諸外国の法規制により、金融機関以外の事業者への投資の機動性や積極性が制限されること。

・ 当行や、業界全体に対する信用不安の高まりによる預金流出で流動性が不足すること。

 

5.業務範囲拡大・海外事業展開に伴うリスク

当行は、業務範囲の拡大や海外事業の展開を行っており、これらに伴う新しくかつ複雑なリスクにさらされる場合があります。当行では、かかるリスクに対応するために内部統制システム及びリスク管理システムや法規制対応体制の構築、必要な人材の確保・育成に努めておりますが、必ずしもあらゆる事態に対応できるとは限らず、当行の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当行は、世界に選ばれる、信頼のグローバル金融を目指し、その戦略的施策の一環として、グローバルベースで買収・出資・資本提携等を実施しており、今後も買収・出資・資本提携等を行う可能性があります。既存の重要な海外子会社としては、Bank of Ayudhya Public Company Limited及びPT Bank Danamon Indonesia, Tbk.があります。しかしながら、政治や社会情勢の不安定化、経済の停滞、金融市場の変動、監督当局の不承認、法令・会計基準の変更、当行の意図とは異なる相手先の戦略や財務状況の変化、相手先の属する地域特性・業界・経営環境の想定外の変化等により、買収・出資・資本提携等が当行の想定通り進展せず、若しくは変更・解消され、又は想定通りのシナジーその他の効果を得られない可能性や、買収・出資・資本提携等に際して取得した株式や買収・出資・資本提携等により生じたのれん等の無形固定資産の価値が毀損する可能性があります。これらの結果、当行の事業戦略、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。買収・出資に伴う当行ののれん等の無形固定資産の状況については、本有価証券報告書の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」をご参照下さい。

更に業務範囲の拡大が予想通りに進展しない場合、当行の業務範囲拡大への取組みが奏功しないおそれがあります。

 

自己資本に関するリスク

6.自己資本比率等に関するリスク

(1) 自己資本比率等の規制及び悪化要因

当行には、バーゼルⅢに基づく自己資本比率及びレバレッジ比率に関する規制が適用されております。また、2022年4月28日に金融庁は、自己資本比率規制に関する告示の一部改正を公布し、当行には2024年3月末より最終化されたバーゼルⅢが適用されております。レバレッジ比率に関する規制について、2022年11月11日に金融庁は、日本銀行に対する預け金の額を総エクスポージャーの額から除外する現在の時限的措置を存置した上での要求水準の引き上げを公表し、2024年4月からその要求水準は引き上げられております。また、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、「三菱UFJフィナンシャル・グループ」という。)は、金融安定理事会(FSB)によりグローバルなシステム上重要な金融機関(G-SIB)に指定されており、2023年3月末より、三菱UFJフィナンシャル・グループを含むG-SIBsを対象に、レバレッジ比率の要求水準に対する上乗せ措置が導入されています。

当行の自己資本比率及びレバレッジ比率が各種資本バッファーを含め要求される水準を下回った場合、金融庁から社外流出額の制限、業務の停止等を含む様々な命令を受ける可能性があります。

また、当行には、米国を含む諸外国において、現地における自己資本比率等の規制が適用されており、要求される水準を下回った場合には、現地当局から様々な命令を受けることになります。

当行の自己資本比率及びレバレッジ比率に影響を与える要因には以下のものが含まれます。

・ 債務者及び株式・債券の発行体の信用力の悪化に際して生じうるポートフォリオの変動

・ 調達している資本調達手段の償還・満期等に際して、これらを同等の条件で借り換え又は発行することの困難性

・ 有価証券ポートフォリオの価値の低下

・ 為替レートの不利益な変動

・ 自己資本比率等の規制の不利益な改正

・ 繰延税金資産計上額の減額

・ その他の不利益な事象の発生

 

(2) グローバルなシステム上重要な金融機関(G-SIBs)に対する規制

三菱UFJフィナンシャル・グループを含むG-SIBsは、他の金融機関より高い資本水準が求められていますが、今後更に高い資本水準を求められる可能性があります。

 

(3) 破綻時における総損失吸収力(TLAC)規制

FSBが2015年11月に公表した「グローバルなシステム上重要な銀行の破綻時の損失吸収及び資本再構築に係る原則」及び2017年7月に公表した「グローバルなシステム上重要な銀行の内部総損失吸収力に係る指導原則」を踏まえ、本邦では2019年3月期より三菱UFJフィナンシャル・グループを含むG-SIBsに対して一定比率以上の損失吸収力等を有すると認められる資本・負債(以下、「外部TLAC」という。)を確保することが求められ、また、確保した外部TLACは内の主要な子会社に一定額以上を配賦すること(以下、「内部TLAC」という。)になっています。また、規制で要求される水準は2022年3月期から引き上げられており、2024年4月1日より総エクスポージャーべースの外部TLAC比率に係る水準も引き上げられました。三菱UFJフィナンシャル・グループ内では、当行、三菱UFJ信託銀行株式会社及び三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社(以下、三菱UFJモルガン・スタンレー証券」という。)が主要な子会社として指定されています。三菱UFJフィナンシャル・グループは、外部TLAC比率又は本邦における主要な子会社に係る内部TLAC額として要求される水準を下回った場合、金融庁から社外流出額の制限を含め、様々な命令を受ける可能性があります。外部TLAC比率及び内部TLAC額は、自己資本比率等の規制に係る上記(1)~(2)に記載する様々な要因により影響を受けます。三菱UFJフィナンシャル・グループは、要求されるTLACの確保のため、適格な調達手段の発行を進めておりますが、TLACとして適格な調達手段の発行及び借り換えができない場合には、外部TLAC比率及び内部TLAC額として要求される水準を満たせない可能性があります。

 

7.為替リスク

当行はグローバルにビジネスを展開しており、外貨建ての金融資産及び負債を保有しています。為替レートの変動により、それらの資産及び負債の円貨換算額も変動します。当行では、通貨毎の資産と負債の額の調整やヘッジを行っておりますが、変動を相殺できない場合、当行の自己資本比率、財政状態及び経営成績は、為替レートの変動により、悪影響を受ける可能性があります。海外における保有資産及び負債の状況については、本有価証券報告書の「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご覧下さい。

 

信用リスク(信用供与先の財務状況悪化等により損失を被るリスク)

 

8.貸出業務に関するリスク

貸出業務は当行の主要業務の一つとなっています。当行は、担保や保証、クレジットデリバティブ等を用いて信用リスクの削減に取り組んでおりますが、借り手が期待通りに返済できない場合、又は当行が借り手の返済能力の悪化に対して、又はその可能性を予測して講じた措置が不適切又は不十分である場合には、将来、追加的な与信関係費用が発生する可能性があります。その結果、当行の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼし、自己資本の減少につながる可能性があります。なお、与信関係費用、銀行法及び金融再生法に基づく開示債権の状況については、本有価証券報告書の「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」、クレジットデリバティブ取引については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (デリバティブ取引関係)」をご参照下さい。当行の与信関係費用及び不良債権は、新興国を含む国内外の景気の悪化、資源価格等の物価の変動、不動産価格や株価の下落、新興国通貨安、金利上昇、貸出先の業界内の競争激化等による業績不振等により増加する可能性があります。

 

(1) 貸倒引当金の状況

当行は、貸出先の状況、担保の価値及び経済全体に関する前提及び見積りに基づいて、貸倒引当金を計上しておりますが、経済情勢全般の悪化や個別貸出先の業績悪化等により追加の貸倒引当金を計上せざるを得なくなったり、担保の価値又は流動性が低下したり、実際の貸倒れが貸倒引当金を上回ることにより、追加的な与信関係費用が発生したりする可能性があります。また、貸倒引当金の計上に関する規制や指針が変更され、貸倒引当金の計上の際に用いる評価方法に変更が生じた結果として、貸倒引当金を追加で計上しなければならなくなる可能性もあります。2024年3月末基準における当行の連結貸借対照表上の貸倒引当金額は1兆4,010億円でした。貸倒引当金の計上については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照下さい。

 

(2) 特定業種等への貸出その他の与信の集中

当行は、貸出その他の与信に際しては、特定の業種、特定の与信先への偏りを排除すべくポートフォリオ分散に努めておりますが、不動産業種向けの与信は、相対的に割合が高い状況にあり、これらの業種等の業績悪化の影響を受けやすい状況にあります。個々の与信先の状況や、業界特有の動向、新興国を含む各国の国情については継続的にモニタリング・管理を実施しておりますが、国内外の景気動向(気候変動や地政学リスクによる影響を含みます。)や不動産・資源価格・外国為替の動向等によっては、想定を上回る信用力の悪化が生じる可能性があります。

 

(3) 貸出先への対応

当行は、回収の効率・実効性その他の観点から、貸出先に債務不履行等が生じた場合においても、当行が債権者として有する法的な権利の全てを必ずしも実行しない場合がありえます。

また、当行は、それが合理的と判断される場合には、貸出先に対して債権放棄又は追加貸出や追加出資を行って支援をすることもありえます。かかる貸出先に対する支援を行った場合は、当行の貸出残高が大きく増加し、与信関係費用が増加する可能性や追加出資に係る株価下落リスクが発生する可能性もあります。

 

9.他の金融機関との取引

国内外の金融機関(銀行、ノンバンク、証券会社及び保険会社等を含みます。)の中には、資産内容の劣化及びその他の財務上の問題が存在している可能性があり、今後悪化する可能性やこれらの問題が新たに発生する可能性もあります。このような問題は最近、欧米で相次いで起きた金融機関の経営危機によって顕在化しました。こうした金融機関の財政的困難が継続、悪化又は発生すると、それらの金融機関の流動性及び支払能力に問題が生じるだけでなく、金融システムに問題が生じ金融業や経済全般へ波及するおそれもあります。また、以下の理由により当行に悪影響を及ぼす可能性があります。

・ 当行は、一部の金融機関へ信用を供与しております。

・ 当行は、一部の金融機関の株式を保有しております。

・ 問題の生じた金融機関が貸出先に対して財政支援を打ち切る又は減少させるかもしれません。その結果、当該貸出先の破綻や、当該貸出先に対して貸出をしている当行の不良債権の増加を招くかもしれません。

・ 経営破綻に陥った金融機関に対する支援に当行が参加を要請されるおそれがあります。

・ 政府が経営を支配する金融機関の資本増強や、収益拡大等のために、規制上、税務上、資金調達上又はその他の特典を当該金融機関に供与するような事態が生じた場合、当行は競争上の不利益を被るかもしれません。

・ 預金保険の基金が不十分であることが判明した場合、当行の支払うべき預金保険の保険料が引き上げられるおそれがあります。

・ 金融機関の破綻又は政府による金融機関の経営権取得により、金融機関に対する預金者及び投資家の信任が全般的に低下する、又は金融機関を取巻く全般的環境に悪影響を及ぼすおそれがあります。

・ 金融業及び金融システムに対する否定的・懐疑的なマスコミ報道(内容の真偽、当否を問いません。)により当行の評判、信任等が低下するおそれがあります。

 

政策投資株式リスク(保有する株式の株価下落により損失を被るリスク)

 

10.保有株式に係るリスク

当行は政策投資目的で保有するものを含め市場性のある株式を大量に保有しており、2024年3月末基準の保有時価合計は約4.2兆円、その簿価は約1.2兆円となっています。当行では、株価変動リスクの抑制の観点も踏まえ、「政策保有に関する方針」において、政策保有株式の削減を基本方針とし、保有意義・経済合理性を検証したうえで、保有の妥当性が認められない場合には、取引先の十分な理解を得た上で、売却を進めております。また、政策保有株式に対しては、トータル・リターン・スワップ等をヘッジ手段として部分的にヘッジを行うことで、株価変動リスクの削減に努めております。

しかしながら、株価が下落した場合には、保有株式に減損又は評価損が発生若しくは拡大する可能性があります。また、自己資本の算出にあたり、保有株式の含み損益を勘案していることから、株価が下落した場合には、自己資本比率等の低下を招くおそれがあります。その結果、当行の財政状態及び経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

市場リスク(金利、有価証券の価格、為替などの変動により損失を被るリスク)

 

11.市場業務に伴うリスク

当行は、デリバティブを含む様々な金融商品を取り扱う広範な市場業務を行っており、大量の金融商品を保有しています。これにより、例えば、国内外の金融政策の変更等により内外金利が低下した場合、当行が保有する国債等の再投資利回りが低下する可能性があります。また、長短金利差が縮小する場合、資金利益が減少する可能性があります。一方、内外金利が上昇した場合、当行の保有する大量の国債等に売却損や評価損が発生したり、調達コストが増加する可能性があります。また、円高となった場合は、当行の外貨建て投資の財務諸表上の価値が減少し、売却損や評価損が発生する可能性があります。加えて、株価が下落した場合、当行が保有する株式等の価値が減少し、売却損や評価損が発生する可能性があります。当行では、このような内外金利、為替レート、有価証券等の様々な市場の変動により損失が発生するリスクを市場リスクとして管理しておりますが、計算された市場リスク量は、その性質上、実際のリスクを常に正確に反映できるわけではなく、またこのように示されたリスク量を上回る損失が実現する可能性もあります。

なお、当行が保有する有価証券残高の状況については、本有価証券報告書の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(有価証券関係)」をご参照下さい。

 

資金流動性リスク(資金繰りがつかなくなる、又は通常より高い金利での調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク)

 

12.当行の格下げ、外部要因に伴うリスク

当行では、資金流動性リスク管理上の指標を設ける等、適正な資金流動性の確保に努めておりますが、格付機関による当行の格下げや金融システム不安、金融市場混乱等の外部要因により、調達コストの増加、調達余力の減少、担保の追加拠出、又は顧客からの信用低下等を起因に一定の取引を行うことができなくなる等の悪影響を受けるおそれがあり、その結果、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

例えば、2024年3月末時点のデリバティブ取引及び信用格付に基づいて、当行の格付が1段階格下げされたと仮定した場合約462億円、2段階格下げされたと仮定した場合約949億円の追加担保を当行が提供する必要があったと推定されます。

 

オペレーショナルリスク(内部管理上の問題や外部要因により損失が発生するリスク)

13.不公正・不適切な取引その他の行為が存在したとの指摘や、これらに伴う処分等を受けるリスク

当行は、事業を行っている本邦及び海外における法令、規則、政策、自主規制等を遵守する必要があり、国内外の規制当局による検査、調査等の対象となっております。当行はコンプライアンス・リスク管理態勢及びプログラムの強化に継続して取り組んでおりますが、かかる取組みが全ての法令等に抵触することを完全に防止する効果を持たない可能性があります。

当行が、マネー・ローンダリング、経済制裁への対応、贈収賄・汚職防止、金融犯罪その他の不公正・不適切な取引に関するものを含む、適用ある法令及び規則を遵守できない場合、あるいは、社会規範・市場慣行・商習慣に反するものとされ、顧客視点の欠如等があったものとされる場合には、罰金、課徴金、懲戒、評価の低下、業務改善命令、業務停止命令、許認可の取消しを受ける可能性があります。また、当行が顧客やマーケット等の信頼を失い、当行の経営成績及び財政状況に悪影響が生じる可能性があります。将来、当行が戦略的な活動を実施する場面で当局の許認可を取得する際にも、悪影響を及ぼすおそれがあります。

また、当行は、当行を含むパネル行が各種銀行間指標金利の算出機関に呈示した内容等を調査している各国の政府当局から、情報提供命令等を受けておりました。また為替業務に関しても、当局から同様の情報提供要請を受けており、一部の当局との間では制裁金の支払いに合意しました。当行は、これらの調査に対して協力を行い、独自の調査等を実施しております。上記に関連して、当行は、指標金利であれば他のパネル行、為替業務であればその他金融機関とともに、複数の民事訴訟の被告となっております。

今後、関係当局より更なる制裁金支払の処分等を受け、又は関係当局との間で新たな和解金の支払合意を行うなどの可能性を含め、新たな展開又は類似の事象により、当行に重大な財務上その他の悪影響が生じる可能性があります。

加えて、当行に対して、三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の三菱UFJモルガン・スタンレー証券等との銀証連携ビジネス、法人関係情報の管理等において、不適切な顧客情報の共有や登録金融機関による有価証券関連業の禁止に反する不適切な勧誘等があったとして、2024年6月14日、証券取引等監視委員会は内閣総理大臣及び金融庁長官に対して行政処分の勧告・公表を行いました。これらに関し、同年6月24日、当行及び三菱UFJモルガン・スタンレー証券等に対して、金融商品取引法第51条の2・第51条に基づく業務改善命令、当行に対して、銀行法第52条の31・第24条に基づく報告徴求が、金融庁より発せられました。

 

14.情報紛失・漏洩に係るリスク

当行は、国内外の法規制に基づき、顧客情報や個人情報を適切に取り扱うことが求められております。当行では、顧客情報や個人情報を多く保有しており、情報の保管・取扱いに関する規程類の整備、システム整備を実施し、管理態勢高度化に取組んでおりますが、不適切な管理、外部からのサイバー攻撃その他の不正なアクセス、若しくはコンピュータウイルスへの感染等により、顧客情報や個人情報等の紛失・漏洩を完全には防止できない可能性があります。その場合、罰則や行政処分の対象となるほか、顧客に対する損害賠償等、直接的な損失が発生する可能性があります。加えて、顧客の信頼を失う等により当行の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性、並びにこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があります。

 

15.システム、サイバー攻撃等に関するリスク

当行のシステム(業務委託先等の第三者のシステムを含みます。)は、事業を行う上で非常に重要な要素の一つであり、リモートワークや非対面チャネルを通じた業務の拡大やデジタル戦略を推進している中で特に重要性が高まっており、適切な設計やテストの実施等によりシステム障害等を未然に防止し、セキュリティ面に配慮したシステムの導入に努めていますが、システム障害やサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス感染、人為的ミス、機器の故障、通信事業者等の第三者の役務提供の瑕疵、新技術、新たなシステムや手段への不十分な対応等を完全には防止できない可能性があります。また、すべてのビジネス要件や金融機関に対する規制強化の高まりからくる規制要件に対応するシステムの機能強化への要請を十分に満たせない可能性や、市場や規制の要請に応えるために必要なシステム構築や更新がその作業自体の複雑性等から計画どおりに完了しない可能性があります。そのほか、インシデント報告や第三者のサービスやシステムの使用に関連するリスク等を始めとする事象についての規制強化や市場の期待の高まりを受けて、当行のサイバーセキュリティリスクの管理に係るフレームワークやその実践が不十分であると見做される可能性もあります。これらの事由により、情報通信システムの不具合や不備が生じ、取引処理の誤りや遅延等の障害、情報の流出等が生じ、業務の停止及びそれに伴う損害賠償の負担その他の損失が発生する可能性、当行の信頼が損なわれ又は評判が低下する可能性、行政処分の対象となる可能性、並びにこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があります。

 

16.テロ支援国家との取引に係るリスク

当行は、イラン・イスラム共和国(以下、「イラン」という。)等、米国国務省が「テロ支援国家」と指定している国における法主体又はこれらの国と関連する法主体との間の取引を実施しております。また、当行はイランに駐在員事務所を設置しております。

米国法は、米国人が当該国家と取引を行うことを、一般的に禁止又は制限しております。更に、米国政府及び年金基金をはじめとする米国の機関投資家が、イラン等のテロ支援国家と事業を実施する者との間で取引や投資を行うことを規制する動きがあるものと認識しております。このような動きによって、当行が米国政府及び年金基金をはじめとする機関投資家、あるいは規制の対象となる者を、当行の顧客又は投資家として獲得、維持できない結果となる可能性があります。加えて、社会的・政治的な状況に照らして、上記国家との関係が存在することによって、当行の評判が低下することも考えられます。上記状況は、当行の財政状態、経営成績に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、米国政府による対イラン制裁措置により、米国人の関与するイランとの取引の禁止などが実施されています。更に、2018年5月の米国によるイランに関する包括的共同行動計画(Joint Comprehensive Plan of Action)からの離脱後に発令された大統領令により、広範なイラン関連取引や活動について、関与した非米国人に対して二次制裁を適用し得るものとされています。当行では、二次制裁を含む米国による措置が適用されるリスクの増加を受けて、今後とも当該リスクのモニタリングと対応策を実施してまいります。

更に、米国証券取引所に登録している企業(米国外企業を含みます。)には、特定のイラン関連の取引の開示が引き続き義務づけられています。本邦においても、イランの拡散上機微な核活動・核兵器運搬手段開発に関与する者に対する資産凍結等の措置が実施されています。当行では、これらの規制を遵守するための態勢の改善に努めています。しかしながら、かかる態勢が適用される規制に十分対応できていないと政府当局に判断された場合には、何らかの規制上の措置の対象となる可能性があります。なお、これに関連する処分等については、「14.不公正・不適切な取引その他の行為が存在したとの指摘や、これらに伴う処分等を受けるリスク」をご参照下さい。

 

17.規制変更のリスク

グローバルな金融サービス提供者として、当行の事業は国内外の法律、規則、政策、会計基準、実務慣行及び解釈、並びに国際的な金融規制等の継続的な変更のリスクにさらされております。主要な金融機関は、新技術、地政学上の変化、環境・社会・ガバナンス上の懸念、巧妙化する犯罪活動への対策の必要性、及び国際金融セクターに関するその他の懸念事項を背景とする、より厳しい法律、規制及び基準等への対応を迫られています。また、金融業界における不祥事やリスク管理の不備に関する事案を受け、社内のコンプライアンス・リスク管理体制の強化を求める動きも強まっています。当行に適用される法律、規制及び基準等は複雑で、多くの場合、これらを当行のビジネスに適用するに際しては、解釈を伴う決定が必要となります。法律、規則、政策、会計基準、実務慣行、解釈の変更及びその影響は、より多くの経営資源の投入のみならず、経営にも影響を与え、場合によっては経営戦略を変更せざるを得なくなるおそれがあります。第三者への委託により実施するものを含むコンプライアンスのプログラムやシステムについては、必要な強化を計画通りに実施できなくなる可能性も出てきます。また、当行に適用される法律や規制への対応が不十分な場合、罰金、警告、レピュテーションの悪化、業務改善及びその他の行政命令、営業の強制的停止、将来の戦略的イニシアチブに規制当局から承認が得られないこと、深刻な場合としては営業認可の取消を受ける場合等、当行の財政状況及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

18. 消費者金融業務に係るリスク

当行は、消費者金融業に従事する子会社や関連会社を有すると同時に消費者金融業者に対する貸出金を保有しており、消費者金融業における事業環境や規制環境の変化により、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。消費者金融業に関しては、いわゆるみなし弁済を厳格に解するものを含め、過払利息の返還請求をより容易にする一連の判例が出され、これらに伴い過払利息の返還を求める訴訟が引き続き発生しております。当行では、消費者金融業に従事する子会社や関連会社における過払利息の返還による費用負担のほか、当行が貸出金を保有する消費者金融業者の業績悪化による追加的な与信費用が発生する可能性があり、消費者金融業に不利な新たな司法上の判断や規制強化がある場合には追加的な費用負担が発生する可能性もあります。

 

19.評判に関するリスク

三菱UFJフィナンシャル・グループは、本邦及び国際金融市場においてG-SIBに指定されており、世界に選ばれる、信頼のグローバル金融を目指しております。当行のビジネスはお客さまのみならず、地域社会、国際社会等からの信頼と信用の下に成り立っています。そのため、当行の評判は、お客さま、投資家、監督官庁、及び社会との関係を維持する上で極めて重要です。MUFG Wayや行動規範等を踏まえ、評判リスクの適切な管理に努めておりますが、特に、人権、環境、健康、安全等の社会的責任への懸念が生じる取引や各種法令等(アンチマネー・ローンダリング、経済制裁、競争法、暴力団排除条例等)の趣旨に反するおそれのある取引などを防止できず、又はこれらに適切に対処することができなかった場合で、大規模な報道に繋がり得るなど世論の注目が高いときや規制当局の関心が高いときなどにおいて、当行は、現在又は将来のお客さま及び投資家を失うこととなり、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があり、企業価値を毀損する可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

(財政状態及び経営成績の状況)

当連結会計年度の業績につきましては、以下のとおりとなりました。
 資産の部につきましては、当連結会計年度中100,119億円増加して、当連結会計年度末残高は3,238,611億円
なりました。主な内訳は、貸出金1,143,112億円、現金預け金901,423億円、有価証券701,529億円となっております。負債の部につきましては、当連結会計年度中84,662億円増加して、当連結会計年度末残高は3,100,569億円となりました。主な内訳は、預金・譲渡性預金2,222,681億円となっております。

損益につきましては、経常収益は前連結会計年度比18,548億円増加して84,847億円となり、経常費用は前連結会計年度比7,915億円増加して71,344億円となりました。以上の結果、経常利益は前連結会計年度比10,633億円増加して13,502億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比3,426億円増加して9,447億円となりました。

なお、報告セグメントの業績は次のとおりであります。

1 デジタルサービス部門

営業純益は前年同期比39億円増加して608億円となりました。

2 法人・リテール部門

営業純益は前年同期比660億円増加して1,679億円となりました。

3 コーポレートバンキング部門

営業純益は前年同期比1,924億円増加して5,997億円となりました。

4 グローバルコマーシャルバンキング部門

営業純益は前年同期比118億円増加して3,021億円となりました。

5 グローバルCIB部門

営業純益は前年同期比1,188億円増加して4,970億円となりました。

6 市場部門

営業純益は前年同期比938億円減少して△65億円となりました。

7 その他部門

営業純益は前年同期比779億円減少して△1,815億円となりました。

 

なお、当連結会計年度より、部門間の収益・経費の配賦方法の変更に伴い、報告セグメントの利益の算定方法を変
更しております。

変更後の算定方法に基づき作成した前連結会計年度のセグメント情報については、「第5 経理の状況」中、
1「連結財務諸表等」(1)「連結財務諸表」「注記事項」(セグメント情報等)に記載しております。

 

(キャッシュ・フローの状況)

キャッシュ・フローにつきましては、営業活動においては、前連結会計年度比208,154億円支出が増加して、81,986億円の支出となる一方、投資活動においては、前連結会計年度比170,982億円収入が増加して48,459億円の収入となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度比18,190億円支出が増加して、2,940億円の支出となりました。

現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末比18,743億円減少して901,423億円となりました。

 

国際統一基準による連結総自己資本比率は18.11%となりました。

 

 

① 国内・海外別収支

国内・海外別収支の内訳は次のとおりであります。

当連結会計年度の資金運用収支・役務取引等収支・特定取引収支・その他業務収支の合計は33,605億円で前年度比1,325億円の増益となりました。国内・海外の別では国内が13,841億円で前年度比1,815億円の増益、海外が22,262億円で前年度比251億円の減益となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

1,065,555

1,388,756

△65,992

2,388,320

当連結会計年度

990,802

1,303,458

△149,211

2,145,049

 うち資金運用収益

前連結会計年度

1,497,969

2,971,085

△173,720

4,295,333

当連結会計年度

1,749,513

4,577,082

△319,410

6,007,186

 うち資金調達費用

前連結会計年度

432,413

1,582,328

△107,728

1,907,013

当連結会計年度

758,710

3,273,624

△170,198

3,862,136

役務取引等収支

前連結会計年度

404,112

649,787

△159,489

894,410

当連結会計年度

418,020

590,490

△94,220

914,290

 うち役務取引等収益

前連結会計年度

553,887

734,472

△216,558

1,071,800

当連結会計年度

574,408

684,453

△143,281

1,115,580

 うち役務取引等費用

前連結会計年度

149,774

84,685

△57,068

177,390

当連結会計年度

156,387

93,963

△49,061

201,289

特定取引収支

前連結会計年度

16,790

112,453

1,326

130,570

当連結会計年度

8,550

182,832

962

192,345

 うち特定取引収益

前連結会計年度

18,397

251,094

△64,313

205,179

当連結会計年度

9,767

222,782

△40,204

192,345

 うち特定取引費用

前連結会計年度

1,607

138,641

△65,639

74,608

当連結会計年度

1,217

39,950

△41,167

その他業務収支

前連結会計年度

△283,876

100,462

△1,791

△185,205

当連結会計年度

△33,268

149,516

△7,336

108,912

 うちその他業務収益

前連結会計年度

351,926

313,356

△172,400

492,882

当連結会計年度

421,022

236,828

△69,587

588,263

 うちその他業務費用

前連結会計年度

635,803

212,893

△170,608

678,088

当連結会計年度

454,290

87,312

△62,250

479,351

 

(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内に本店を有する連結子会社(以下、「国内連結子会社」という。)であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外に本店を有する連結子会社(以下、「海外連結子会社」という。)であります。

2 資金調達費用は金銭の信託運用見合費用を控除して表示しております。

3 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

 

 

② 国内・海外別資金運用/調達の状況

(ⅰ) 国内

国内における資金運用/調達の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度の資金運用勘定平均残高は前年度比35,877億円増加して1,632,998億円となりました。利回りは0.13%上昇して1.07%となり、受取利息合計は17,495億円で前年度比2,515億円の増加となりました。資金調達勘定平均残高は前年度比11,986億円増加して2,010,357億円となりました。利回りは0.16%上昇して0.37%となり、支払利息合計は7,587億円で前年度比3,262億円の増加となりました。

 

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

159,712,137

1,497,969

0.93

当連結会計年度

163,299,880

1,749,513

1.07

 うち貸出金

前連結会計年度

67,660,084

697,001

1.03

当連結会計年度

68,924,982

892,743

1.29

 うち有価証券

前連結会計年度

60,287,377

730,774

1.21

当連結会計年度

60,767,897

721,111

1.18

 うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

681,309

2,145

0.31

当連結会計年度

786,729

1,160

0.14

 うち買現先勘定

前連結会計年度

1,089,351

16,349

1.50

当連結会計年度

726,153

35,186

4.84

 うち債券貸借取引支払保証金

前連結会計年度

710

0

0.00

当連結会計年度

3,070

39

1.28

 うち預け金

前連結会計年度

26,811,033

27,109

0.10

当連結会計年度

28,415,282

26,444

0.09

資金調達勘定

前連結会計年度

199,837,102

432,413

0.21

当連結会計年度

201,035,772

758,710

0.37

 うち預金

前連結会計年度

160,470,780

92,736

0.05

当連結会計年度

164,929,704

238,944

0.14

 うち譲渡性預金

前連結会計年度

1,266,014

218

0.01

当連結会計年度

1,282,598

274

0.02

 うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

447,680

71

0.01

当連結会計年度

24,870

229

0.92

 うち売現先勘定

前連結会計年度

14,376,044

212,860

1.48

当連結会計年度

12,183,081

307,653

2.52

 うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

30,232

3

0.00

当連結会計年度

58,605

1,552

2.64

 うちコマーシャル・ペーパー

前連結会計年度

当連結会計年度

 うち借用金

前連結会計年度

33,380,236

275,723

0.82

当連結会計年度

34,635,015

391,766

1.13

 

(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の連結子会社については、月末毎の残高等に基づく平均残高を利用しております。

2 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。

3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。

 

 

(ⅱ) 海外

海外における資金運用/調達の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度の資金運用勘定平均残高は前年度比41,340億円減少して799,220億円となりました。利回りは2.19%上昇して5.72%となり、受取利息合計は45,770億円で前年度比16,059億円の増加となりました。資金調達勘定平均残高は前年度比22,366億円減少して821,808億円となりました。利回りは2.10%上昇して3.98%となり、支払利息合計は32,736億円で前年度比16,912億円の増加となりました。

 

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

84,056,060

2,971,085

3.53

当連結会計年度

79,922,010

4,577,082

5.72

 うち貸出金

前連結会計年度

49,209,546

1,937,953

3.93

当連結会計年度

46,279,535

2,850,125

6.15

 うち有価証券

前連結会計年度

10,204,887

237,943

2.33

当連結会計年度

8,475,458

274,247

3.23

 うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

689,788

16,633

2.41

当連結会計年度

798,226

31,716

3.97

 うち買現先勘定

前連結会計年度

3,154,375

78,156

2.47

当連結会計年度

4,037,867

238,438

5.90

 うち債券貸借取引支払保証金

前連結会計年度

956,050

18,020

1.88

当連結会計年度

1,154,241

51,620

4.47

 うち預け金

前連結会計年度

13,334,644

307,547

2.30

当連結会計年度

13,244,427

589,439

4.45

資金調達勘定

前連結会計年度

84,417,471

1,582,328

1.87

当連結会計年度

82,180,819

3,273,624

3.98

 うち預金

前連結会計年度

52,206,359

792,951

1.51

当連結会計年度

46,818,192

1,654,331

3.53

 うち譲渡性預金

前連結会計年度

8,068,415

219,791

2.72

当連結会計年度

9,088,473

469,696

5.16

 うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

253,139

3,664

1.44

当連結会計年度

38,220

1,870

4.89

 うち売現先勘定

前連結会計年度

3,547,103

72,718

2.05

当連結会計年度

4,319,313

256,790

5.94

 うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

64,022

894

1.39

当連結会計年度

181,197

1,304

0.71

 うちコマーシャル・ペーパー

前連結会計年度

1,841,597

56,432

3.06

当連結会計年度

2,631,692

145,698

5.53

 うち借用金

前連結会計年度

1,795,770

40,133

2.23

当連結会計年度

1,389,443

64,527

4.64

 

(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の連結子会社については、月末毎の残高等に基づく平均残高を利用しております。

2 「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。

 

(ⅲ) 合計

 

種類

期別

平均残高(百万円)

利息(百万円)

利回り(%)

小計

相殺消去額

合計

小計

相殺消去額

合計

資金運用勘定

前連結会計年度

243,768,198

△7,788,737

235,979,460

4,469,054

△173,720

4,295,333

1.82

当連結会計年度

243,221,891

△7,572,363

235,649,527

6,326,596

△319,410

6,007,186

2.54

 うち貸出金

前連結会計年度

116,869,631

△1,477,977

115,391,653

2,634,955

△44,152

2,590,802

2.24

当連結会計年度

115,204,518

△1,041,301

114,163,217

3,742,869

△46,048

3,696,820

3.23

 うち有価証券

前連結会計年度

70,492,264

△3,341,760

67,150,503

968,717

△67,899

900,818

1.34

当連結会計年度

69,243,356

△3,255,286

65,988,069

995,359

△151,949

843,410

1.27

 うちコールローン
 及び買入手形

前連結会計年度

1,371,097

△34,299

1,336,798

18,779

△650

18,128

1.35

当連結会計年度

1,584,956

△47,592

1,537,363

32,876

△1,356

31,519

2.05

 うち買現先勘定

前連結会計年度

4,243,726

4,243,726

94,505

3

94,508

2.22

当連結会計年度

4,764,021

4,764,021

273,625

273,625

5.74

 うち債券貸借取引
 支払保証金

前連結会計年度

956,761

956,761

18,020

18,020

1.88

当連結会計年度

1,157,311

1,157,311

51,659

51,659

4.46

 うち預け金

前連結会計年度

40,145,678

△2,565,677

37,580,001

334,656

△44,842

289,814

0.77

当連結会計年度

41,659,710

△2,927,285

38,732,424

615,884

△95,418

520,465

1.34

資金調達勘定

前連結会計年度

284,254,574

△4,247,706

280,006,867

2,014,742

△107,728

1,907,013

0.68

当連結会計年度

283,216,591

△4,176,046

279,040,545

4,032,335

△170,198

3,862,136

1.38

 うち預金

前連結会計年度

212,677,140

△2,146,274

210,530,866

885,687

△40,015

845,671

0.40

当連結会計年度

211,747,897

△2,610,574

209,137,322

1,893,275

△84,155

1,809,120

0.86

 うち譲渡性預金

前連結会計年度

9,334,430

9,334,430

220,010

220,010

2.35

当連結会計年度

10,371,071

10,371,071

469,971

469,971

4.53

 うちコールマネー
 及び売渡手形

前連結会計年度

700,820

△33,346

667,473

3,735

△253

3,481

0.52

当連結会計年度

63,091

△4,630

58,460

2,099

△82

2,017

3.45

 うち売現先勘定

前連結会計年度

17,923,148

17,923,148

285,579

0

285,580

1.59

当連結会計年度

16,502,395

16,502,395

564,443

564,443

3.42

 うち債券貸借取引
 受入担保金

前連結会計年度

94,254

94,254

897

897

0.95

当連結会計年度

239,803

239,803

2,857

2,857

1.19

 うちコマーシャル
 ・ペーパー

前連結会計年度

1,841,597

1,841,597

56,432

56,432

3.06

当連結会計年度

2,631,692

2,631,692

145,698

145,698

5.53

 うち借用金

前連結会計年度

35,176,006

△956,248

34,219,757

315,857

△22,468

293,388

0.85

当連結会計年度

36,024,458

△1,055,908

34,968,550

456,293

△44,409

411,884

1.17

 

(注) 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

 

 

③ 国内・海外別役務取引の状況

国内及び海外の役務取引等収支の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度の国内の役務取引は、役務取引等収益が5,744億円で前年度比205億円増収、役務取引等費用が1,563億円で前年度比66億円増加した結果、役務取引等収支では前年度比139億円増加して4,180億円となりました。海外の役務取引は、役務取引等収益が6,844億円で前年度比500億円減収、役務取引等費用が939億円で前年度比92億円増加した結果、役務取引等収支では前年度比592億円減少して5,904億円となりました。

この結果、役務取引等収支合計では、前年度比198億円増加して9,142億円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

553,887

734,472

△216,558

1,071,800

当連結会計年度

574,408

684,453

△143,281

1,115,580

 うち為替業務

前連結会計年度

151,020

14,155

△1,054

164,121

当連結会計年度

155,318

15,704

△1,119

169,903

 うちその他
 商業銀行業務

前連結会計年度

234,510

415,762

△4,966

645,306

当連結会計年度

245,391

480,484

△6,734

719,142

 うち保証業務

前連結会計年度

43,006

44,511

△16,766

70,751

当連結会計年度

39,747

52,098

△15,149

76,696

 うち証券関連業務

前連結会計年度

12,846

56,242

△41

69,047

当連結会計年度

13,924

53,181

△42

67,064

役務取引等費用

前連結会計年度

149,774

84,685

△57,068

177,390

当連結会計年度

156,387

93,963

△49,061

201,289

 うち為替業務

前連結会計年度

20,931

13,195

△411

33,715

当連結会計年度

22,011

15,336

△457

36,890

 

(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

2 「その他商業銀行業務」には、預金・貸出業務、代理業務、保護預り・貸金庫業務、信託関連業務等を含んでおります。

3 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

 

 

④ 国内・海外別特定取引の状況

(ⅰ) 特定取引収益・費用の内訳

国内及び海外の特定取引収支の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度の国内の特定取引収益は97億円で前年度比86億円減収、特定取引費用は12億円で前年度比3億円減少した結果、特定取引収支では前年度比82億円減少して85億円となりました。海外の特定取引収益は2,227億円で前年度比283億円減収、特定取引費用は399億円で前年度比986億円減少した結果、特定取引収支では前年度比703億円増加して1,828億円となりました。

この結果、特定取引収支合計では前年度比617億円増加して1,923億円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引収益

前連結会計年度

18,397

251,094

△64,313

205,179

当連結会計年度

9,767

222,782

△40,204

192,345

 うち商品有価証券収益

前連結会計年度

51,052

△51,052

当連結会計年度

78,095

△36,198

41,896

 うち特定取引有価証券
 収益

前連結会計年度

4,975

185

△122

5,038

当連結会計年度

2,529

1,675

△69

4,135

 うち特定金融派生商品
 収益

前連結会計年度

12,459

199,853

△13,138

199,174

当連結会計年度

6,233

143,004

△3,937

145,300

 うちその他の特定取引
 収益

前連結会計年度

962

3

966

当連結会計年度

1,005

7

1,013

特定取引費用

前連結会計年度

1,607

138,641

△65,639

74,608

当連結会計年度

1,217

39,950

△41,167

 うち商品有価証券費用

前連結会計年度

1,607

124,054

△51,052

74,608

当連結会計年度

1,217

34,980

△36,198

 うち特定取引有価証券
 費用

前連結会計年度

122

△122

当連結会計年度

69

△69

 うち特定金融派生商品
 費用

前連結会計年度

14,464

△14,464

当連結会計年度

4,899

△4,899

 うちその他の特定取引
 費用

前連結会計年度

当連結会計年度

 

(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

 

 

(ⅱ) 特定取引資産・負債の内訳(末残)

国内及び海外の特定取引の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度末の国内の特定取引資産は前年度比193億円増加して51,403億円、特定取引負債は前年度比3,877億円増加して17,759億円となりました。海外の特定取引資産は前年度比4,695億円増加して28,243億円、特定取引負債は前年度比2,448億円増加して22,003億円となりました。

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

特定取引資産

前連結会計年度

5,121,044

2,354,767

△83,987

7,391,824

当連結会計年度

5,140,368

2,824,340

△99,567

7,865,141

 うち商品有価証券

前連結会計年度

83,045

1,024,557

△433

1,107,168

当連結会計年度

57,615

1,532,238

1,589,854

 うち商品有価証券
 派生商品

前連結会計年度

3,323

3,323

当連結会計年度

9

5,787

5,796

 うち特定取引有価証券

前連結会計年度

73,488

5,743

79,232

当連結会計年度

99,649

99,649

 うち特定取引有価証券
 派生商品

前連結会計年度

8,658

0

8,658

当連結会計年度

11,564

0

11,564

 うち特定金融派生商品

前連結会計年度

1,399,848

1,307,437

△83,554

2,623,731

当連結会計年度

1,767,718

1,254,772

△99,567

2,922,923

 うちその他の特定取引
 資産

前連結会計年度

3,556,003

13,705

3,569,709

当連結会計年度

3,203,810

31,542

3,235,352

特定取引負債

前連結会計年度

1,388,211

1,955,427

△87,319

3,256,319

当連結会計年度

1,775,919

2,200,303

△104,691

3,871,531

 うち売付商品債券

前連結会計年度

397,872

397,872

当連結会計年度

507,088

507,088

 うち商品有価証券
 派生商品

前連結会計年度

141

238

380

当連結会計年度

2,568

2,568

 うち特定取引売付債券

前連結会計年度

当連結会計年度

 うち特定取引有価証券
 派生商品

前連結会計年度

11,464

0

11,464

当連結会計年度

21,893

21,893

 うち特定金融派生商品

前連結会計年度

1,376,605

1,557,316

△87,319

2,846,603

当連結会計年度

1,754,025

1,690,197

△104,691

3,339,531

 うちその他の特定取引
 負債

前連結会計年度

当連結会計年度

449

449

 

(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

 

 

⑤ 国内・海外別預金残高の状況

○ 預金の種類別残高(末残)

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

163,622,603

41,153,465

△2,457,365

202,318,702

当連結会計年度

165,874,410

47,753,182

△2,543,687

211,083,905

うち流動性預金

前連結会計年度

130,337,411

21,436,415

△1,396,495

150,377,331

当連結会計年度

133,742,064

23,079,854

△1,406,023

155,415,894

うち定期性預金

前連結会計年度

24,305,876

19,581,085

△1,030,386

42,856,575

当連結会計年度

23,238,979

24,554,035

△1,125,307

46,667,707

うちその他

前連結会計年度

8,979,315

135,964

△30,484

9,084,795

当連結会計年度

8,893,366

119,293

△12,356

9,000,303

譲渡性預金

前連結会計年度

1,074,451

7,897,910

8,972,362

当連結会計年度

1,399,083

9,785,196

11,184,279

総合計

前連結会計年度

164,697,054

49,051,375

△2,457,365

211,291,064

当連結会計年度

167,273,493

57,538,379

△2,543,687

222,268,185

 

(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

3 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金

4 定期性預金=定期預金+定期積金

 

 

⑥ 国内・海外別貸出金残高の状況

(ⅰ) 業種別貸出状況(末残・構成比)

 

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内(除く特別国際金融取引勘定分)

65,870,358

100.00

68,389,924

100.00

 製造業

11,668,007

17.71

11,600,429

16.96

 建設業

832,820

1.26

927,249

1.36

 卸売業、小売業

6,498,286

9.87

6,540,953

9.56

 金融業、保険業

7,690,339

11.68

8,062,708

11.79

 不動産業、物品賃貸業

12,635,210

19.18

13,344,611

19.51

 各種サービス業

2,687,513

4.08

2,749,182

4.02

 その他

23,858,181

36.22

25,164,789

36.80

海外及び特別国際金融取引勘定分

40,603,805

100.00

45,921,279

100.00

 政府等

368,309

0.91

422,595

0.92

 金融機関

12,279,579

30.24

14,724,549

32.06

 その他

27,955,916

68.85

30,774,134

67.02

合計

106,474,163

114,311,204

 

(注)  「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

 

(ⅱ) 特定海外債権等残高

 

期別

国別

金額(百万円)

前連結会計年度

ロシア

99,747

エジプト

13,166

ラオス

10,751

エチオピア

6,427

ミャンマー

3,639

合計

133,732

(資産の総額に対する割合)

(0.04%)

当連結会計年度

ロシア

64,017

ラオス

11,975

エジプト

4,041

ミャンマー

2,575

エチオピア

1,072

ケニア

158

合計

83,841

(資産の総額に対する割合)

(0.02%)

 

(注) 特定海外債権等は、当行の特定海外債権引当勘定の引当対象とされる債権、並びに当該引当勘定の引当対象国に対する海外子会社の債権のうち、当該引当勘定の引当対象に準ずる債権であります。

 

⑦ 国内・海外別有価証券の状況

○ 有価証券残高(末残)

 

種類

期別

国内

海外

相殺消去額

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

34,326,735

1,418,349

35,745,084

当連結会計年度

33,257,113

1,406,262

34,663,376

地方債

前連結会計年度

3,708,494

3,708,494

当連結会計年度

2,852,289

2,852,289

社債

前連結会計年度

3,624,585

3,624,585

当連結会計年度

3,112,758

3,112,758

株式

前連結会計年度

3,890,131

1,439

△53,246

3,838,324

当連結会計年度

4,665,282

1,731

△54,326

4,612,687

その他の証券

前連結会計年度

22,085,900

6,338,668

△3,101,554

25,323,014

当連結会計年度

21,035,047

7,030,978

△3,154,157

24,911,869

合計

前連結会計年度

67,635,845

7,758,457

△3,154,800

72,239,502

当連結会計年度

64,922,490

8,438,972

△3,208,483

70,152,979

 

(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。

2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。

3 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

 

 

(自己資本比率等の状況)

 

(参考)

自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

なお、当行は、国際統一基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては先進的内部格付手法、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては標準的計測手法を採用するとともに、マーケット・リスク相当額の算出においては標準的方式と簡易的方式を採用しております。

また、自己資本比率の補完的指標であるレバレッジ比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準(平成31年金融庁告示第11号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

 

連結自己資本比率(国際統一基準)

 

(単位:億円、%)

 

2024年3月31日

1. 連結総自己資本比率(4/7)

18.11

2. 連結Tier1比率(5/7)

16.11

3. 連結普通株式等Tier1比率(6/7)

13.80

4. 連結における総自己資本の額

159,150

5. 連結におけるTier1資本の額

141,536

6. 連結における普通株式等Tier1資本の額

121,264

7. リスク・アセットの額

878,330

8. 連結総所要自己資本額

70,266

 

 

連結レバレッジ比率(国際統一基準)

 

(単位:%)

 

2024年3月31日

連結レバレッジ比率

5.23

 

 

単体自己資本比率(国際統一基準)

 

(単位:億円、%)

 

2024年3月31日

1. 単体総自己資本比率(4/7)

16.29

2. 単体Tier1比率(5/7)

14.38

3. 単体普通株式等Tier1比率(6/7)

11.77

4. 単体における総自己資本の額

122,791

5. 単体におけるTier1資本の額

108,390

6. 単体における普通株式等Tier1資本の額

88,724

7. リスク・アセットの額

753,633

8. 単体総所要自己資本額

60,290

 

 

単体レバレッジ比率(国際統一基準)

 

(単位:%)

 

2024年3月31日

単体レバレッジ比率

4.50

 

 

(資産の査定)

 

(参考)

資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権

破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

 

2.危険債権

危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

 

3.要管理債権

要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

 

4.正常債権

正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

資産の査定の額

債権の区分

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

743

772

危険債権

5,446

9,027

要管理債権

4,641

4,783

正常債権

1,071,031

1,141,781

 

 

 

 

(生産、受注及び販売の実績)

「生産、受注及び販売の実績」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 

当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループ(当行及び連結子会社)が判断したものであり、リスクと不確実性を内包しているため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性がありますので、ご留意ください。

 
 当連結会計年度の連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前)は、前連結会計年度のポートフォリオ組み換えに伴う投信解約益の減少やMUFG Union Bank, N.A.(以下、「MUB」という。)売却の影響等があったものの、預貸金収益の増加や、海外の融資関連手数料増加、前連結会計年度のポートフォリオ組み換えに伴う国債等債券関係損益の反動などにより、前連結会計年度比2,293億円増益の14,654億円となりました。

 

与信関係費用総額は、前連結会計年度にMUB株式の譲渡契約の締結に伴い発生した、売却対象の貸出金に係る公正価値評価による損失の反動を主因に、前連結会計年度比1,965億円減少しました。また同じく前連結会計年度にMUB株式の譲渡契約の締結に伴い発生した、売却対象の有価証券に係る公正価値評価による損失の反動もあり、経常利益は同10,633億円の増益となりましたが、特別損益は前連結会計年度のMUB株式売却益の剥落を主因に、同6,057億円の減益となりました。結果、親会社株主に帰属する当期純利益は同3,426億円増益の9,447億円となりました。

 

当行の親会社である三菱UFJフィナンシャル・グループは、総合金融グループの強みを発揮するため、グループ各社が緊密な連携のもと、一元的に戦略を定め事業を推進する事業本部制を導入しています。各事業本部は、お客さまの幅広いニーズにお応えするため、グループ各社それぞれの強みを融合させた戦略の立案や施策の運営を行っています。

当連結会計年度における事業本部別の事業の取組みは次のとおりです。

 

(デジタルサービス事業本部)

お客さまのデジタルシフトが進展し、ダイレクトのユーザー数が1,000万人を超えました。また、コンシューマーファイナンスでは業容を着実に拡大し、コロナ禍以前の水準を超えたほか、金利上昇に伴う利ざや改善もあり、増益となりました。

 

(法人・リテール事業本部)

利ざや改善や法人向け貸出の残高増加に加え、LBO(Leveraged Buyout)を中心としたソリューションへの取り組み等により、資金収益や手数料収益が増加しました。また、市況回復に伴い資産運用ビジネスでの収益も増加しました。

 

(コーポレートバンキング事業本部)

リスクに対する適切なリターンの追求や、金利環境変化を捉えた活動に伴い、預貸金収益が増加しました。また、不動産ビジネス等におけるリスクテイク力の強化やグループ一体運営の進展に取り組みました。

 

(グローバルコマーシャルバンキング事業本部)

MUB株式譲渡による減益影響がありましたが、Bank of Ayudhya Public Company Limited(以下、「クルンシィ(アユタヤ銀行)」という。)での4社連結子会社化や利ざや改善、PT Bank Danamon Indonesia, Tbk.(以下、「ダナモン銀行」という。) でのオートローン好調推移等により、増益となりました。成長投資では、アジアのコンシューマーファイナンス2社、DMI Finance Private Limited(インド)及びPT Mandala Multifinance Tbk.(インドネシア)への出資を完了しました。

 

 

(受託財産事業本部)

資産運用事業は、オルタナ運用商品の提供や国内運用子会社における運用商品販売への取り組みが好調に推移しました。資産管理事業は、国内外における複合的なサービス提供への取り組みに加え、米国金利上昇等の外部環境の後押しもあり、資金収益が増加しました。また、年金事業は、確定拠出年金での投資信託への資金流入等により増益となりました。

 

(グローバルCIB事業本部)

効率的なバランスシート運営の徹底や機関投資家向けファイナンス等の推進により、貸出利鞘が大きく改善しました。また、市況変化がある中でも、強みであるストラクチャードファイナンス領域を中心とした手数料収益の増強や、グローバルCIB・市場セールス&トレーディング領域の一体運営を通じたクロスセルの強化に取り組みました。
 

(市場事業本部) 

顧客向けビジネスでは為替・デリバティブ等のフロー取引の増加を背景に、高水準の収益を確保しました。また、トレジャリー業務においては、含み損を抱えた債券を計画的に売却し、有価証券ポートフォリオの将来の利回り向上を図りました。

 

なお、リテール戦略の更なる強化のために、2024年4月1日付けで事業本部体制を変更しました。

デジタルサービス事業本部はリテール・デジタル事業本部となり、個人のお客さま(ウェルスマネジメントを除く)を一体で所管します。リアル・リモート・デジタルの各チャネルのベストミックスを通じてお客さまとの接点を広げ、「MUFGで良かった」と感じていただける顧客体験を届けることで、「お客さまへの生涯提供価値(Life Time Value)×顧客基盤」の最大化をめざします。

また、法人・リテール事業本部は法人・ウェルスマネジメント事業本部となり、事業法人とウェルスマネジメントのお客さまを所管します。有人でのソリューション提供力を高め、社会課題解決に資する事業承継・資産承継などを起点としたビジネスモデルを更に強化します。

 

事業本部体制の変更に伴い、2024年4月1日付けで当行の事業部門体制を変更しました。デジタルサービス部門はリテール・デジタル部門、法人・リテール部門は法人・ウェルスマネジメント部門となりました。

 

 

 

 

当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。

 

当連結会計年度の連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前)は、連結業務粗利益が前連結会計年度比1,202億円増加、営業経費は前連結会計年度比1,090億円減少し、前連結会計年度比2,293億円増加して14,654億円となりました。

また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比3,426億円増加して9,447億円となりました。

 

当連結会計年度における主な項目は、以下のとおりであります。

 

 

前連結会計年度
(億円)
(A)

当連結会計年度
(億円)
(B)

前連結会計年度比
(億円)
(B-A)

資金運用収益

42,953

60,071

17,118

資金調達費用(金銭の信託運用見合費用控除後)

19,070

38,621

19,551

信託報酬

122

△122

 うち信託勘定償却

役務取引等収益

10,718

11,155

437

役務取引等費用

1,773

2,012

238

特定取引収益

2,051

1,923

△128

特定取引費用

746

△746

その他業務収益

4,928

5,882

953

その他業務費用

6,780

4,793

△1,987

連結業務粗利益
(=①-②+③+⑤-⑥+⑦-⑧+⑨-⑩)

32,403

33,605

1,202

営業経費(臨時費用控除後)

20,042

18,951

△1,090

連結業務純益
(一般貸倒引当金繰入前=⑪+④-⑫)

 

12,361

14,654

2,293

その他経常費用(一般貸倒引当金繰入額)

346

△12

△359

連結業務純益(=⑪-⑫-⑬)

 

12,014

14,667

2,652

その他経常収益

5,513

5,813

299

 うち貸倒引当金戻入益

 

 うち償却債権取立益

 

717

758

41

 うち株式等売却益

 

2,591

3,630

1,039

資金調達費用(金銭の信託運用見合費用)

0

0

0

営業経費(臨時費用)

684

330

△354

その他経常費用(一般貸倒引当金繰入額控除後)

13,974

6,646

△7,327

 うち与信関係費用

 

6,467

4,787

△1,680

 うち株式等売却損

 

275

708

433

 うち株式等償却

 

129

68

△61

臨時損益(=⑭-⑮-⑯-⑰)

 

△9,144

△1,164

7,980

経常利益

 

2,869

13,502

10,633

特別損益

 

5,841

△216

△6,057

 うち減損損失

 

△69

△240

△171

税金等調整前当期純利益

 

8,710

13,285

4,575

法人税等合計

 

2,530

3,550

1,020

当期純利益

 

6,180

9,735

3,554

非支配株主に帰属する当期純利益

 

160

287

127

親会社株主に帰属する当期純利益

 

6,020

9,447

3,426

 

 

 

① 経営成績の分析

 

(ⅰ) 主な収支

連結業務粗利益は、前連結会計年度比1,202億円増加して33,605億円となりました。

資金運用収支は、預貸金収益が増加するも、前年の外国債券ベアファンド等の解約益が剥落し、前連結会計年度比2,432億円減少して21,450億円となりました。

役務取引等収支は、海外の融資関連手数料の増加により、前連結会計年度比198億円増加して9,142億円となりました。

特定取引収支は、前連結会計年度比617億円増加して1,923億円、その他業務収支は、ポートフォリオの組み換えに伴う円外債券損益計上があるも、前連結会計年度比では改善し、前連結会計年度比2,941億円増加して1,089億円となりました。

営業経費(臨時費用控除後)は、為替影響等による海外経費の増加があるも、MUB売却や国内経費の抑制を主因に、前連結会計年度比1,090億円減少して18,951億円となりました。この結果、連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前)は、前連結会計年度比2,293億円増加して14,654億円となりました。

 

 

 

前連結会計年度
(億円)
(A)

当連結会計年度
(億円)
(B)

前連結会計年度比
(億円)
(B-A)

資金運用収支

 

23,883

21,450

△2,432

 資金運用収益

42,953

60,071

17,118

 資金調達費用
 (金銭の信託運用見合費用控除後)

19,070

38,621

19,551

信託報酬

122

△122

 うち信託勘定償却

役務取引等収支

 

8,944

9,142

198

 役務取引等収益

10,718

11,155

437

 役務取引等費用

1,773

2,012

238

特定取引収支

 

1,305

1,923

617

 特定取引収益

2,051

1,923

△128

 特定取引費用

746

△746

その他業務収支

 

△1,852

1,089

2,941

 その他業務収益

4,928

5,882

953

 その他業務費用

6,780

4,793

△1,987

連結業務粗利益
(=①-②+③+⑤-⑥+⑦-⑧+⑨-⑩)

32,403

33,605

1,202

営業経費(臨時費用控除後)

20,042

18,951

△1,090

連結業務純益
(一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前)
(=⑪+④-⑫)

 

12,361

14,654

2,293

 

 

 

(ⅱ) 与信関係費用総額

与信関係費用総額は、海外の貸倒引当金繰入の増加等あるも、前連結会計年度に計上したMUB株式譲渡に伴うMUB保有貸出金の評価損の反動により、前連結会計年度比1,965億円減少して4,015億円となりました。

 

 

 

前連結会計年度
(億円)
(A)

当連結会計年度
(億円)
(B)

前連結会計年度比
(億円)
(B-A)

信託報酬のうち信託勘定償却

その他経常収益のうち貸倒引当金戻入益

その他経常収益のうち偶発損失引当金戻入益

115

△115

その他経常収益のうち償却債権取立益

717

758

41

その他経常費用のうち一般貸倒引当金繰入

346

△12

△359

その他経常費用のうち与信関係費用

6,467

4,787

△1,680

 貸出金償却

 

4,651

968

△3,682

 個別貸倒引当金繰入額

 

1,806

3,694

1,887

 その他の与信関係費用

 

10

124

114

与信関係費用総額
(=①-②-③-④+⑤+⑥)

 

5,981

4,015

△1,965

連結業務純益
(一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前)

 

12,361

14,654

2,293

連結業務純益(与信関係費用総額控除後)

 

6,379

10,638

4,258

 

 

 

 

(ⅲ) 株式等関係損益

株式等関係損益は、前連結会計年度比667億円増加して2,853億円となりました。

株式等売却益は前連結会計年度比1,039億円増加して3,630億円、株式等売却損は前連結会計年度比433億円増加して708億円、株式等償却は前連結会計年度比61億円減少して68億円となりました。

 

 

 

前連結会計年度
(億円)
(A)

当連結会計年度
(億円)
(B)

前連結会計年度比
(億円)
(B-A)

株式等関係損益

 

2,186

2,853

667

 その他経常収益のうち株式等売却益

 

2,591

3,630

1,039

 その他経常費用のうち株式等売却損

 

275

708

433

 その他経常費用のうち株式等償却

 

129

68

△61

 

 

 

② 財政状態の分析

 

(ⅰ) 貸出金

貸出金は、国内での増加と海外貸出の為替要因により、前連結会計年度末比78,370億円増加の1,143,112億円となりました。

 

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

貸出金残高(末残)

1,064,741

1,143,112

78,370

うち住宅ローン[単体]

139,176

135,973

△3,203

うち海外支店[単体]

304,637

347,935

43,297

うち海外子会社

〔クルンシィ(アユタヤ銀行)〕

56,778

63,362

6,584

うち海外子会社〔ダナモン銀行〕

10,818

14,166

3,348

うち海外子会社

〔MUFGバンク(ヨーロッパ)〕

11,803

12,409

606

 

 

(イ)銀行法及び再生法に基づく債権の状況

当行グループの銀行法及び再生法に基づく債権は、前連結会計年度末比4,385億円増加して18,166億円となりました。

不良債権の比率は、前連結会計年度末比0.26ポイント増加して1.41%となりました。

債権区分別では、破綻更生債権及びこれらに準ずる債権が前連結会計年度末比405億円増加、危険債権が前連結会計年度末比3,841億円増加、要管理債権が138億円増加、そのうち、三月以上延滞債権額が前連結会計年度末比20億円増加、貸出条件緩和債権額が前連結会計年度末比118億円増加しております。

 

部分直接償却後 

[連結]

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

1,908

2,313

405

危険債権

6,327

10,168

3,841

要管理債権

5,545

5,684

138

 三月以上延滞債権額

170

190

20

 貸出条件緩和債権額

5,375

5,493

118

小計

13,781

18,166

4,385

正常債権

1,175,059

1,262,787

87,728

債権合計

1,188,840

1,280,954

92,113

 

 

 

 

 

前連結会計年度末
(A)

当連結会計年度末
(B)

前連結会計年度末比
(B-A)

不良債権比率

1.15%

1.41%

0.26%

 

 

 

 (ロ)銀行法及び再生法に基づく債権のセグメント情報(正常債権を除く)

 地域別セグメント情報

 [連結]

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

国内

7,551

6,282

△1,269

海外

6,229

11,884

5,654

 アジア

3,656

4,152

496

  インドネシア

404

501

96

  シンガポール

250

127

△123

  タイ

2,272

2,757

485

  中国

0

0

△0

  その他

728

766

38

 米州

1,021

6,015

4,993

 欧州、中近東他

1,552

1,715

163

合計

13,781

18,166

4,385

 

      (注) 「国内」「海外」は債務者の所在地により区分しております。

 

 業種別セグメント情報

 [連結]

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

国内

7,551

6,282

△1,269

 製造業

3,554

2,837

△716

 建設業

84

82

△2

 卸売業、小売業

907

877

△29

 金融業、保険業

81

141

59

 不動産業、物品賃貸業

360

373

12

 各種サービス業

992

807

△185

 その他

775

486

△288

 消費者

793

675

△118

海外

6,229

11,884

5,654

 金融機関

26

31

5

 商工業

5,023

10,210

5,187

 その他

1,180

1,642

461

合計

13,781

18,166

4,385

 

         (注) 「国内」「海外」は債務者の所在地により区分しております。

 

 

(ⅱ) 有価証券

有価証券は、前連結会計年度末比20,865億円減少して701,529億円となりました。国債が10,817億円、地方債が8,562億円、社債が5,118億円、その他の証券が4,111億円減少し、株式が7,743億円増加しました。

 

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

有価証券

722,395

701,529

△20,865

 国債

357,450

346,633

△10,817

 地方債

37,084

28,522

△8,562

 社債

36,245

31,127

△5,118

 株式

38,383

46,126

7,743

 その他の証券

253,230

249,118

△4,111

 

(注) 「その他の証券」は、外国債券及び外国株式を含んでおります。

 

 

 

(ⅲ) 繰延税金資産

繰延税金資産の純額は、前連結会計年度末比3,416億円減少して△210億円となりました。

 

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

繰延税金資産の純額

3,206

△210

△3,416

 

(注) 連結財務諸表上の繰延税金資産から繰延税金負債を差し引いたものです。

 

発生原因別内訳(単体)

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

繰延税金資産

10,565

12,216

1,651

 貸倒引当金

2,465

3,008

543

 有価証券有税償却

3,660

3,570

△90

 その他有価証券評価差額金

1,574

1,337

△236

 退職給付引当金

819

751

△67

 偶発損失引当金

218

223

5

減価償却費及び減損損失

835

850

15

土地合併減価調整

215

202

△13

繰延ヘッジ損益

2,140

3,607

1,466

 その他

2,583

2,503

△80

 評価性引当額(△)

3,947

3,840

△107

繰延税金負債

6,579

9,556

2,977

 その他有価証券評価差額金

4,448

7,479

3,030

 合併時有価証券時価引継

471

444

△27

 退職給付信託設定益

451

426

△24

 その他

1,207

1,206

△0

繰延税金資産の純額

3,986

2,659

△1,326

 

 

 

(ⅳ) 預金

預金は、国内は個人預金、法人預金ともに増加、海外預金も為替影響を主因に増加し、前連結会計年度末比87,652億円増加して2,110,839億円となりました。

 

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

預金

2,023,187

2,110,839

87,652

 うち国内個人預金[単体]

847,185

867,626

20,441

 うち国内法人預金その他[単体]

788,088

790,832

2,744

 うち海外支店[単体]

286,496

341,901

55,404

 

(注) 「国内個人預金[単体]」及び「国内法人預金その他[単体]」は、特別国際金融取引勘定分を除いております。

 

 

 

(ⅴ) 純資産の部

純資産の部合計は、前連結会計年度末比15,456億円増加して138,042億円となりました。
 その他有価証券評価差額金は、前連結会計年度末比6,271億円増加して13,708億円となりました。また、非支配株主持分は、前連結会計年度末比323億円増加して5,352億円となりました。

 

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

純資産の部合計

122,585

138,042

15,456

 うち資本金

17,119

17,119

 うち資本剰余金

36,622

36,609

△12

 うち利益剰余金

54,036

58,752

4,716

 うち自己株式

△6,457

△6,457

 うちその他有価証券評価差額金

7,436

13,708

6,271

 うち非支配株主持分

5,029

5,352

323

 

 

 

③ 連結自己資本比率(国際統一基準)

 

総自己資本の額は、前連結会計年度末比17,072億円増加して159,150億円となりました。

リスク・アセットの額は、前連結会計年度末比250,374億円減少して878,330億円となりました。

この結果、総自己資本比率は、前連結会計年度末比5.53ポイント増加して18.11%、Tier1比率は、前連結会計年度末比5.06ポイント増加して16.11%、普通株式等Tier1比率は、前連結会計年度末比3.90ポイント増加して13.80%となりました。

 

 

前連結会計年度末
(億円)
(A)

当連結会計年度末
(億円)
(B)

前連結会計年度末比
(億円)
(B-A)

総自己資本の額

142,078

159,150

17,072

Tier1資本の額

124,692

141,536

16,843

普通株式等Tier1資本の額

111,721

121,264

9,542

リスク・アセットの額

1,128,704

878,330

△250,374

総自己資本比率

①/④

12.58

18.11

5.53

Tier1比率

②/④

11.04

16.11

5.06

普通株式等Tier1比率

③/④

9.89

13.80

3.90

 

(注) 総自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づく平成18年金融庁告示第19号に定められた算式に基づいて、国際統一基準を適用のうえ算出しております。

 

 

 

 

④ キャッシュ・フローの状況

 

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要(キャッシュ・フローの状況)」に記載しております。

 

⑤ 事業部門別収益

 

当連結会計年度の内部管理上の区分けを基準とした事業部門別収益状況は、次のとおりです。

 

[各事業部門の主な担当業務]

 

デジタルサービス部門

非対面取引中心の個人、法人に対する金融サービスの提供、全社的なデジタルトランスフォーメーションの推進

法人・リテール部門

国内の個人、法人に対する金融サービスの提供

コーポレートバンキング部門

国内外の日系大企業に対する金融サービスの提供

グローバルコマーシャルバンキング部門

海外の出資先商業銀行等における個人、中堅・中小企業に対する金融サービスの提供

グローバルCIB部門

非日系大企業に対する金融サービスの提供

市場部門

顧客に対する為替・資金・証券サービスの提供、市場取引及び流動性・資金繰り管理業務

その他部門

上記部門に属さない管理業務等

 

 

(億円)

デジタル

サービス

部門

法人・

リテール
部門

コーポレートバンキング部門

グローバルコマーシャルバンキング部門

グローバルCIB部門

顧客部門
小計

市場部門

その他
部門

(注2)

合計

業務粗利益

2,789

4,499

8,673

6,849

8,340

31,153

1,276

△42

32,388

 

単体

2,531

4,194

7,585

292

7,810

22,413

272

94

22,780

  

 

金利収支

2,129

2,218

4,992

292

4,137

13,771

440

689

14,901

  

 

非金利収支

401

1,975

2,592

0

3,672

8,642

△168

△594

7,878

 

子会社

258

305

1,088

6,557

530

8,739

1,004

△136

9,607

経費

2,181

2,820

2,676

3,828

3,370

14,876

1,342

1,772

17,991

営業純益(注1)

608

1,679

5,997

3,021

4,970

16,276

△65

△1,815

14,396

 

(注) 1. 連結業務純益の内部取引消去等連結調整前の計数(子会社からの配当収入のみ消去)です。

 行内管理のために算出した損益であり、財務会計上の損益とは一致しません。

 2. その他部門の業務粗利益では、子会社からの配当収入、及び株式会社三菱UFJフィナンシャル・
 グループ宛貸出収益を控除しております。

 

(ⅰ) デジタルサービス部門

金利上昇に伴い預金収益は増加するも、住宅ローン資金収益や関係手数料等の減少により、粗利益は前年を下回りました。

 

(ⅱ) 法人・リテール部門

金利上昇や利ざや改善に伴う預貸金収益の増加、LBOを中心としたソリューション収益の増加により、粗利益は前年を上回りました。

 

(ⅲ) コーポレートバンキング部門

金利上昇や利ざや改善に伴う国内外の預貸金収益の増加により、粗利益は前年を上回りました

 

(ⅳ) グローバルコマーシャルバンキング部門

MUB株式譲渡の影響で部門全体では減収も、クルンシィ(アユタヤ銀行)・ダナモン銀行における貸出残高の積み上げ、政策金利上昇や利ざや改善による金利収益増加、クルンシィ(アユタヤ銀行)の連結子会社増加により、実質的な粗利益は前年を上回りました。

 

(ⅴ) グローバルCIB部門

規律あるバランスシート運営による利ざや改善に伴う資金収益の増加、ストラクチャードファイナンスやグローバルCIB部門・市場部門の一体運営を通じたクロスセル強化による手数料収益増加により、粗利益は前年を上回りました。

 

(ⅵ) 市場部門

顧客ビジネスは相場変動を捉え着実にフロー取引を獲得も、トレジャリーにおける外貨調達コスト増や、ポートフォリオ組換えの影響により、全体では粗利益は前年を下回りました。

 

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 

 当行が連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものに

ついては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) U.S. Bancorpの第三者割当増資引き受け及びMUFG Union Bank, N.A.株式の譲渡

当行は、2023年8月3日、U.S. Bancorp(以下、「USB」という。)の株式24,000,000株を第三者割当増資にて引き受け、約936百万米ドルを追加出資(以下、「本出資」という。)する契約をUSBとの間で締結いたしました。本出資後、当行のUSBへの出資比率は4.39%となります。また、外貨流動性の安定的な確保を目的として、USBの子会社であるU.S. Bank National Associationとの間で、米ドルの流動性補完を受ける取引に合意いたしました。

なお、当行及び株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、「MUFG」という。)の連結子会社であるMUFG Americas Holdings Corporationは、USBとの間で2021年9月21日に締結したMUFG Union Bank, N.A. (以下、「MUB」という。)株式の譲渡(以下、「本株式譲渡」という。)に係る契約において、USBが本株式譲渡の実行から5年以内に支払う35億米ドルの返済資金の一部として、USBより本出資と同額(約936百万米ドル)の資金を受領いたしました。MUFGは、2022年12月1日のMUB株式の譲渡以降、出資及び業務提携契約の締結を通じて、資産規模で米国金融機関第5位であるUSBとの提携関係の構築を進めております。

 

① U.S. Bancorpの概要

(ⅰ) 名称             U.S. Bancorp

(ⅱ) 所在地            800 Nicollet Mall
Minneapolis, Minnesota

(ⅲ) 代表者の役職・氏名      Andrew Cecere, Chairman, President & Chief Executive Officer

(ⅳ) 事業内容           銀行持株会社

(ⅴ) 資本金            21百万米ドル(2024年3月31日現在)

(ⅵ) 設立年月日          1929年4月2日

 

 

(2) HC Consumer Finance Philippines, Inc.及びPT Home Credit Indonesiaの買収における株式売買契約

当行及びBank of Ayudhya Public Company Limited(以下、「クルンシィ(アユタヤ銀行)」という。)並びにPT Adira Dinamika Multi Finance Tbk(以下、「ADMF」という。)は、2022年11月24日付で、Home Credit社(以下、「HC」という。)の子会社であるHC Consumer Finance Philippines, Inc.( 以下、「HCフィリピン」という。) の全株式及びPT Home Credit Indonesia(以下、「HCインドネシア」という。)の株式85%を買収する株式売買契約を締結いたしました。

当該契約に基づき、当行及びクルンシィ(アユタヤ銀行)は、HCフィリピンの株式取得の対価として、2023年度中に総額約468百万ユーロを支払いました。また、クルンシィ(アユタヤ銀行)及びADMFは、HCインドネシアの株式取得の対価として、2023年度中に総額約202百万ユーロを支払いました。なお、本件後の議決権所有割合は、HCフィリピンがクルンシィ(アユタヤ銀行)75%・当行25%、HCインドネシアがクルンシィ(アユタヤ銀行)80%・ADMF4.92%となりました。

 

① PT Adira Dinamika Multi Finance Tbkの概要

(ⅰ) 名称             PT Adira Dinamika Multi Finance Tbk

(ⅱ) 所在地            Millennium Centennial Center IFI. 53rd-61st, Jl. Jenderal Sudirman
Kav. 25, Jakarta 12920

(ⅲ) 代表者の役職・氏名      I Dewa Made Susila, President Director

(ⅳ) 事業内容           オートローンの提供

(ⅴ) 資本金            1,000億ルピア(2024年3月31日現在)

(ⅵ) 設立年月日          1990年11月13日

 

ADMFは、PT Bank Danamon Indonesia, Tbk.(以下、「ダナモン銀行」という。)の子会社で、オートローンを中心に事業を展開しております。当行は、ダナモン銀行とADMFを2019年4月に連結子会社化いたしました。

 

② HC Consumer Finance Philippines, Inc.の概要

(ⅰ) 名称             HC Consumer Finance Philippines, Inc.

(ⅱ) 所在地            15th Floor Ore Central, 31st Street corner 9th Avenue, Bonifacio
Global City, Taguig, Philippines

(ⅲ) 代表者の役職・氏名      David Minol, CEO

(ⅳ) 事業内容           耐久財購入時の個人向けPOSローン*

(ⅴ) 資本金            7,420,241,626.59ペソ(2024年3月31日現在)

(ⅵ) 設立年月日          2013年1月25日

 

③ PT Home Credit Indonesiaの概要

(ⅰ) 名称             PT Home Credit Indonesia

(ⅱ) 所在地            Plaza Oleos 8th Floor, Jl. T.B Simatupang No. 53A, Pasar Minggu,
Jakarta Selatan, Indonesia

(ⅲ) 代表者の役職・氏名      Animesh Narang, CEO

(ⅳ) 事業内容           耐久財購入時の個人向けPOSローン*

(ⅴ) 資本金            600,925,476,000ルピア(2024年3月31日現在)

(ⅵ) 設立年月日          2012年1月30日

 

HCフィリピン及びHCインドネシアは、POSローン*やキャッシュローン等の金融サービスを提供するコンシューマーファイナンスカンパニーです。当行は、上記の株式取得により、HCフィリピンを2023年6月に連結子会社化いたしました。 

 

* Point of Saleローンの略。耐久財(自動車や家電施肥品等)の販売店等での商品購入時に提供する割賦ローン

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。