文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当行が判断したものであります。
わが国は少子高齢化や人口減少等の構造的課題を抱える中、足元ではAIを始めとしたデジタル技術の発展と日常への浸透、データ利活用の高度化による社会・経済構造の転換、人々の働き方や価値観の多様化といったメガトレンドは加速しています。加えて、地政学リスクの高まりやグローバル化の揺り戻しといった「分断」の顕在化、円金利の上昇等、当行を取り巻く経営環境は大きく変化しています。こうした中、日本を含む世界各国における政策がマクロ経済や金融市場に与える影響を見極める必要があります。
当行は、こうした状況を正しく読み解いたうえで、MUFGの広範なネットワークや多様なソリューションが持つ「つなぐ」機能を最大限発揮し、新しい時代において社会をリードする存在でありたいと考えています。一昨年度からの3年間を対象とした今中期経営計画を、当行を取り巻く経営環境が大きく変わる機会を捉えて「成長」を取りにいく3年間と位置付け、その結果として収益力向上やROEの改善、そしてMUFGのパーパスである「世界が進むチカラになる。」を実現することを通じて、お客さま・行員を始めとする全てのステークホルダーの期待に応えてまいります。
今中期経営計画では、前中期経営計画における取り組みを発展させ、成長戦略を進化させながら、社会課題解決への貢献にも取り組み、それらを支える企業変革を加速させてまいります。
地政学リスクやグローバル化の揺り戻しといった分断が顕在化する時代において、MUFGの広範なネットワークや多様なソリューションが持つ「つなぐ」機能を最大限発揮することで、経済的価値のみならず社会的価値も追求し、パーパス(世界が進むチカラになる。)の実現をめざします。

当年度の金融経済環境でありますが、世界経済は、米国のトランプ政権の予測困難な政策運営が、関税政策等を通じて世界各国に様々な形で影響を与え続けたほか、ロシア・ウクライナ情勢やイランを巡る中東情勢などの地政学リスクが強く意識される展開となり、年度を通じて不確実性が高い状況が続きました。他方で、AI関連投資に象徴される世界の経済・社会構造の変化を促す経済活動が加速したほか、各国の政府・中央銀行が景気・物価の安定に向けて手を尽くしたことで、景気の極端な減速は避けられ、経済は全体として底堅さを保ちました。わが国では、様々な逆風を受けつつも、堅調な企業業績や人手不足等を背景に、賃上げの勢いが継続したほか、政府が「強い経済」の実現に向けた投資拡大を後押しする姿勢を見せる中、設備投資の増加も続き、景気は緩やかな回復基調を維持しました。
金融情勢に目を転じますと、株価は、年度初に米国の関税政策に起因する不透明感の高まりを受けて調整した後、振れを伴いつつも総じて堅調に推移しましたが、年度終盤の中東情勢の緊迫化等を受け、年度末にかけて軟調となりました。金利については、欧米では、中央銀行が昨年度に続き断続的な利下げを実施する中でも、各国政府の拡張的な財政政策への思惑などから、長期金利は全体として高水準で推移しました。わが国では、短期金利は、日本銀行による昨年12月の利上げに伴い上昇しました。長期金利は、日本銀行による漸進的な利上げと国債買入額の段階的な減額に加え、政府の財政政策を巡る市場の見方などを背景として、上昇基調で推移しました。ドル円相場は、日米金利差の縮小が進む中においても、わが国政府の積極財政が意識されたことなどから総じて円安基調で推移し、年度終盤には中東情勢の緊迫化に伴うドル買いの動きもあり、160円近傍まで円安が進みました。
今中期経営計画を「成長」を取りにいく3年間とするために、中期経営計画の3本柱のうち、「成長戦略の進化」と「企業変革の加速」において、7+4の主要戦略を策定いたしました。
「成長戦略の進化」は、国内ではリテール顧客基盤の強化によりLife Time Valueの最大化を図るとともに、法人×WMビジネスモデルを通じて承継ビジネスを強化いたします。海外では、GCIB・市場一体ビジネスモデルの進化による収益力向上、Partner Bankとの連携強化によるアジア成長の取り込みに取り組んでまいります。加えて、資産運用立国実現への貢献に向けた取り組みやGX起点でのバリューチェーン支援を通じて経済的価値・社会的価値の双方を追求するとともに、中長期的な成長に向けて新たな事業ポートフォリオ構築にも挑戦していきます。
「企業変革の加速」は、リスク管理やコンプライアンスの更なる向上に努めつつ、スピード改革を始めとするカルチャー改革の加速や、人的資本の拡充、システム開発リソースの増強、AI・データ基盤の強化といった経営基盤の強化に取り組んでまいります。
なお、中期経営計画の3本柱の残る「社会課題の解決」については、本有価証券報告書の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)戦略」をご参照下さい 。
MUFGグループは、お客さま、社員、株主等、ステークホルダーの安全確保を最優先とし、社会機能の維持に不可欠な金融インフラとして、事業者の資金繰り支援等の施策を通じ、お客さま・社員・株主をはじめとする全てのステークホルダーの皆さまの期待に応えてまいります。
(A) 成長戦略の進化
(B) 企業変革の加速
当行の親会社である三菱UFJフィナンシャル・グループの本中期経営計画では、中期経営計画の最終年度である2026年度の財務目標及び中長期ROE目標を以下のとおり設定しております(2026年5月公表)。

*1 MUFG定義ROE
*2 Morgan Stanleyの持分法適用決算期の変更影響額除き
*3 東証定義ROE。金融指標の前提は以下のとおり
本邦政策金利:1%程度、米国FF金利:3%台半ば、日経平均株価(2026年度末):5万円台半ば、
ドル円(2026年度末):150円台前半
*4 普通株式等Tier1比率。2029年3月末に適用される規制に基づく試算値。その他有価証券評価差額金を除く
*5 社内管理上の連結業務純益
*6 親会社株主に帰属する当期純利益
*7 リスク・アセット
*8 前提条件は以下のとおり
本邦政策金利:1%程度、政策保有株式の削減による売却益:無し
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当行が判断したものであります。
MUFGグループは、MUFGグループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会として、次のものを識別しています。
・ 気候関連のリスク及び機会
・ 人的資本関連の機会
・ サイバーセキュリティ関連のリスク
・ 企業倫理(コンプライアンス)関連のリスク
なお、MUFGグループの「サステナビリティに関する考え方及び取組」に関しては、
(1) ガバナンス
① サステナビリティ全般
MUFGグループでは、取締役会が、グループ全体のサステナビリティ関連のリスク及び機会について、監督する責任を負っています。
ガバナンス体制の詳細については、「
サステナビリティに関する課題は、取締役会の監督のもと、経営会議がその傘下に様々な委員会を設置し、議論しています。サステナビリティ委員会は、経営会議傘下の委員会で、Chief Sustainability Officerが委員長を務めています。サステナビリティ委員会では、サステナビリティに関するリスクや機会、課題への取り組み方針を定期的に審議するとともに、MUFGグループの取り組みの進捗状況をモニタリングしています。サステナビリティ委員会は、経営会議へ報告を行い、必要に応じて取締役会へも報告を行っています。
業務執行の意思決定機関として経営会議を設置し、取締役会の決定した基本方針に基づき、経営に関する全般的重要事項を協議決定しています。
取締役会は、事業戦略、リスク管理、財務監視に沿って、サステナビリティに関する事項の管理を監督します。監督は、PDCAサイクルに基づいて行われます。取締役会は、サステナビリティに関連する事項を最優先事項と位置づけ、年次計画に基づき定期的に、又は必要に応じて、議論・審議を行っています。
MUFGグループのサステナビリティへの幅広い取り組みを客観的に評価する観点から、役員の報酬等の評価項目にサステナビリティの要素を反映しています。詳細は、「
② 気候
気候関連の課題は、取締役会の監督のもと、経営会議がその傘下にサステナビリティ委員会を設置して管理しています。サステナビリティ委員会では気候関連のリスク及び機会を含めた気候関連の課題への取り組み方針を定期的に審議するとともに、MUFGグループの取り組みの進捗状況をモニタリングしています。サステナビリティ委員会は、経営会議へ報告を行い、必要に応じて取締役会へも報告を行っています。
グループ・グローバルベースでのプロジェクトチームであるカーボンニュートラル推進プロジェクトチームを立ち上げ、ステアリングコミッティや移行計画モニタリング会議などを開催し、戦略や方針について議論の上、迅速に意思決定を行っています。
③ 人的資本
人事に係る基本方針や重要戦略は、グループCEOやグループCHROをはじめとする主要なマネジメントが参加する人事運営会議やサステナビリティ委員会で審議しています。MUFGグループ各社においては、MUFGで決定された基本方針や重要戦略に基づき、各社の人事担当役員のもと、具体的な人事施策や取り組みの検討がなされています。また、各取り組みの進捗状況等については、取締役会による監督に基づき、人事運営会議、サステナビリティ委員会や経営会議等を通じて報告・審議・決議を実施しています。
④ サイバーセキュリティ
MUFGの取締役会は、主要な経営方針の決定と経営の監督に関する責任の一環として、主要なサイバーセキュリティリスク管理方針を決定し、グループ・グローバル全体でのサイバーセキュリティリスク管理プログラムの実行を監督します。
サイバーセキュリティに係る定期的な取締役会・経営会議、サイバーセキュリティ運営会議等を通じ、適切なタイミングでその取り組みを経営陣へ共有しています。また、サイバー攻撃の脅威動向やリスク認識など、サイバーセキュリティを取り巻く周辺環境に応じて、サイバーセキュリティ・ラウンド・テーブル等を活用しながら、経営陣とサイバーセキュリティについてのより深い議論を行う取り組みも実施しています。
⑤ 企業倫理(コンプライアンス)
MUFGグループでは、お客さまや社会から信頼され続ける存在であるために、経営活動の基本姿勢・活動指針であるMUFG Wayの下、役職員が日々いかに考え、判断し、行動すべきかの基準として行動規範を定めています。行動規範では、国内外のあらゆる法令を遵守し、公正・透明な企業活動を誠実に行い、社会からの信頼・信用を守り高めていくことを表明しています。MUFGにおいてはその取締役会において、行動規範を審議し、改定等を実施しています。MUFGの直接出資する主たる子会社は、「MUFG Way」、「行動規範」及びこれらに相当するものを制定又は採択しています。
なお、社員一人ひとりによる行動規範に沿った正しい行動の実践をめざし、全役職員を対象とした研修を毎年グループ一体で実施しているほか、役職員の階層やキャリア等に応じた研修体制を整備し、コンプライアンスの知識習得や行動規範の実践にも努めています。主要グループ会社の新任執行役員を対象とした研修や、当行では頭取以下役員も含め行動規範に係る研修を実施し、コンプライアンスカルチャーの醸成に注力しています。
(2) 戦略
① 気候
MUFGグループでは、企業の見通しに影響を与えると合理的に見込み得る気候関連のリスクについて、下表の4つを特定しています。
MUFGグループでは、企業の見通しに影響を与えると合理的に見込み得る気候関連の機会について、「ファイナンスを含む気候関連ビジネス」を識別しています。
MUFGグループは、2021年5月に「カーボンニュートラル宣言」を公表し、2030年までのMUFG自らのGHG排出量ネットゼロ、2050年までの投融資ポートフォリオのGHG排出量ネットゼロを掲げています。1) 2050年カーボンニュートラル実現などを通じてパリ協定1.5℃目標達成に貢献すること、2) 事業を通じて脱炭素社会へのスムーズな移行を支援すること、3) 環境と経済の好循環による持続可能な社会の実現に積極的に貢献することは、今も変わらない3つのコミットメントであり、4つの戦略からなる移行計画を推進しています。

② 人的資本
人的資本関連の機会について、MUFGがかかげる人的資本経営の四つの重点課題を企業価値向上に繋がる「機会」と捉えています。
具体的には、四つの重点課題である① プロ度追求(=必要な人材の量・質の確保)、② エンゲージメント(働きがい)の向上、③ DEIの推進、④ 健康経営(=社員の心身の健康の維持・増進)を人的資本拡充の機会と捉え、それらの課題への取り組みを通じて社員のウェルビーイングを実現し、「事業競争力の強化」と「『挑戦とスピード』のカルチャー醸成」の人的資本経営の二つの柱を強化していきます。なお、これらの取り組みが十分でない場合、MUFGのめざす企業価値向上につながらないリスクがあると認識しています。
人的資本は経営戦略の実現に必要な基盤の一つであり、企業価値の向上に直結する将来の成長戦略に影響を与えます。必要な人材を適時に採用・育成・配置できる体制の有無は、必要な人的資本の確保の蓋然性の観点から、経営の意思決定に影響を与えます。
(ⅰ) 人材育成方針
MUFGでは、MUFG Wayに相応しい人的資本経営を実現するための基本的な考え方として「MUFG人事プリンシプル」を策定しています。
人材育成に関しては、「社員一人ひとりが知識や専門性のみならず、見識や倫理観を高められる教育機会を提供し、社員の自律的キャリア形成を支援すると同時に、MUFG Wayを体現できる多様なプロフェッショナル人材を育成すること」を基本理念としています。
社会やお客さまの期待を超える価値を提供するため、経営・事業戦略と人事戦略の同期を加速し、社員一人ひとりがスキル・専門性を高めることを促進していきます。
(ⅱ) 社内環境整備方針
MUFGのパーパスである「世界が進むチカラになる。」の実現に向けて、「人的資本重視の経営」をサステナビリティ経営において優先的に取り組む課題(優先課題)として取り組みを進めています。信頼のグローバル金融グループとして、その特徴を最大限活かし、社員一人ひとりが活き活きと活躍できる職場環境を提供します。また、心身の健康とDEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進を通じて社員が最大限の能力を発揮することを支援するとともに、全世界の社員がプロフェッショナルとして成長、活躍できる職場環境を提供することで、社員のウェルビーイング(幸せ)、即ち中長期な人生の充実を実現します。
人材を惹きつけ、社員が持てる力を最大限発揮するための人事制度を構築するとともに、他社比競争力のある処遇を提供しています。また、社員の人権を尊重するとともに、事業を展開する各国・地域の法令遵守、労働環境、労働時間の定期的なモニタリング及び改善、財産形成貯蓄制度、企業年金、持株会等を通じた社員の安定的な資産形成、Financial Wellnessの向上を通じて、社員の心身の健康促進・私生活の充実に取り組んでいます。
③ サイバーセキュリティ
MUFGグループは、世界的に活動する金融機関として、ランサムウェア、フィッシング、分散型サービス拒否攻撃など、さまざまなサイバーセキュリティリスクにさらされています。これらのリスクは、攻撃者による犯罪活動、国際的な紛争、その他の脅威環境等によってトレンドは変化しますが、ますます複雑で洗練されたものになってきており、対応がより困難になっています。私たちは、お客様からお預かりした資産をサイバーセキュリティの脅威から保護し、安全で安定した金融サービスを提供するという責任を負っています。そのため、サイバー攻撃やその他の関連する事象によるリスクと脅威を最重要リスクの一つとして認識し、経営陣の監督の下でグループ・グローバル横断でのサイバーセキュリティに係る戦略・方針を策定し、統一的な対策を実施しています。
私たちは、サイバーセキュリティリスクに対して常に警戒を怠らず、対応を検討し実施し続ける努力をしていますが、今後発生する可能性のあるサイバーセキュリティのインシデントを防ぐ、又は軽減することができないケースも想定されます。サイバーセキュリティインシデントを起因として、情報通信システムの不具合や不備が生じ、取引処理の誤りや遅延等の障害、情報の流出等が生じ、業務の停止及びそれに伴う損害賠償の負担その他の損失が発生する可能性、MUFGグループの信頼が損なわれ又は評判が低下する可能性、行政処分の対象となる可能性、並びにこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があります。
④ 企業倫理(コンプライアンス)
MUFGグループは、事業を行っている本邦及び海外における法令、規則、政策、自主規制等を遵守する必要があり、国内外の規制当局による検査、調査等の対象となっています。また、顧客やマーケット等からの信頼が重要であり、高い企業倫理(コンプライアンス)を維持することがMUFGの発展に不可欠です。MUFGグループが、企業倫理(コンプライアンス)を維持できず、マネー・ローンダリング、経済制裁への対応、贈収賄・汚職防止、金融犯罪その他の不公正・不適切な取引に関するものを含む、適用ある法令及び規則を遵守できない場合、あるいは、社会規範・市場慣行・商習慣に反するものとされ、顧客視点の欠如等があったものとされる場合には、顧客やマーケットからの信頼に大きな影響を与えるとともに、罰金、課徴金、懲戒、評価の低下、業務改善命令、業務停止命令、許認可の取消しを受ける可能性があり、MUFGグループの経営成績及び財政状況に悪影響が生じる可能性があります。将来、MUFGグループが戦略的な活動を実施する場面で当局の許認可を取得する際にも、悪影響を及ぼすおそれがあります。
MUFGグループでは、社員一人ひとりによる行動規範に沿った正しい行動の実践をめざし、全役職員を対象とした研修を毎年グループ一体で実施しているほか、役職員の階層やキャリア等に応じた研修体制を整備し、コンプライアンスの知識習得や行動規範の実践にも努めています。主要グループ会社の新任執行役員を対象とした研修や、当行では頭取以下役員も含め行動規範に係る研修を実施し、コンプライアンスカルチャーの醸成に注力しています。
(3) リスク管理
① サステナビリティ全般
MUFGグループではサステナビリティ関連のリスクを以下の全社的なリスク管理プロセスの中に含めて管理しており、「気候変動に関するリスク」、サイバーセキュリティを含む「ITリスク」をトップリスク(今後約1年間で最も注意すべきリスク事象)として特定しています。
[基本方針]
MUFGは取締役会の傘下委員会としてリスク委員会を設置しています。リスク委員会は社外取締役を委員長とし、サステナビリティ関連のリスクを含むグループ全体のリスク管理全般に関する重要事項、グループの経営に重大な影響を及ぼすリスク、新たに発生したリスク、及び高まりを見せるリスクに関する事項等について審議し、MUFGグループの有効なリスク管理の高度化に資するべく、取締役会に提言します。加えて、グループCROは定期的にリスクの状況、リスク領域の取り組みについて取締役会に報告しており、取締役会にてリスク管理の実効性や有効性をレビュー・モニタリングする体制としています。その他、オペレーショナルリスクのサブカテゴリーについては、グループCRO以外のC-Suitesも各所管領域のリスク関連事項を個別に取締役会に報告しています。

[リスクアペタイト・フレームワーク]
「リスクアペタイト・フレームワーク」とは、MUFGグループの事業戦略・財務計画を達成するための「リスクアペタイト」(進んで引き受けようとするリスクの種類と量)を明確化し、経営管理やリスク管理を行う枠組みです。「リスクアペタイト・フレームワーク」の導入によって、経営計画の透明性が向上し、より多くの収益機会を追求できると同時に、リスクをコントロールした経営が可能となります。

[リスクアペタイト・フレームワークの運営プロセス]
MUFGグループでは、事業戦略・財務計画を策定・実施するにあたり、必要なリスクアペタイトを適正に設定するとともに、リスク量のモニタリング・分析を行っています。リスクアペタイトの設定・管理プロセスは、以下のとおりです。リスクアペタイト・フレームワーク運営の実効性確保のために、経営計画策定プロセスの各段階で、割当資本制度、ストレステスト、トップリスク管理などのリスク評価・検証手法を活用します。さらに、計画策定後も、設定されたリスクアペタイトのモニタリングを通じ、有事に迅速なアクションを取ることが可能な態勢を整えています。

[統合的リスク管理の手法]
MUFGグループでは、業務遂行から生じるさまざまなリスクを可能な限り統一的な尺度で総合的に把握・認識し、経営の安全性を確保しつつ、株主価値の極大化を追求するために、統合的リスク管理・運営を行っています。統合的リスク管理とは、リスクに見合った収益の安定的計上、資源の適正配分などを実現するための能動的なリスク管理を推進することです。統合的リスク管理の主要な手法として、(1)割当資本制度、(2)ストレステスト、(3)トップリスク管理を採用しています。これらの手法のうち、サステナビリティ関連のリスクに対しては、トップリスク管理を用いています。
[トップリスク管理]
各種のリスクシナリオが顕在化した結果MUFGグループにもたらされる損失の内容をリスク事象と定め、その影響度と蓋然性に基づき、重要度を判定します。その上で、今後約1年間で最も注意すべきリスク事象をトップリスクとして特定し、トップリスクを網羅的に把握したリスクマップを作成することによって、フォワードルッキングなリスク管理に活用しています。
MUFG及び主要子会社においては、経営層を交えてトップリスクに関し議論することで、リスク認識を共有した上で実効的対策を講じています。
リスク管理体制の詳細については、「
② 気候
MUFGグループでは、企業の見通しに影響を与えると合理的に見込み得る気候関連リスクのそれぞれについて、既存の統合的リスク管理のフレームワークのリスク・カテゴリーに紐づけ、当該リスク・カテゴリーの下でモニタリング・管理しています。
MUFGグループでは、企業の見通しに影響を与えると合理的に見込み得る気候関連の機会として、「ファイナンスを含む気候関連ビジネス」を識別しています。サステナブルファイナンスに伴う信用リスク等のリスク管理は、全社的なリスク管理プロセスと統合されています。
気候変動に関するリスクについては、「
③ 人的資本
MUFGでは、人材リスクをオペレーショナルリスクの一つとして定義の上、管理しています。人材リスクを含む各種オペレーショナルリスクについては、それぞれリスク評価を実施し、リスク委員会やリスク管理委員会、経営会議において、報告・審議を行っています。
④ サイバーセキュリティ
MUFGグループでは、情報システムを保護するためのポリシーと基準を策定し、サイバーセキュリティリスク評価を行っています。
サイバーセキュリティリスク管理は、3つの防衛ライン(3線構造)のアプローチを採用した包括的なリスク管理フレームワークに統合されています。最初の防衛ライン(1線)はサイバーセキュリティ推進部であり、リスクの特定と軽減、及びサイバーセキュリティリスクを管理するためのコントロールの検討と実行を主に担当しています。2つ目の防衛ライン(2線)は、グループCROに報告するリスク統括部であり、サイバーセキュリティリスクの評価と監視、及び最初の防衛ラインから独立してサイバーセキュリティリスクコントロールの実効性を確認する責任があります。3つ目の防衛ライン(3線)は監査部であり、1線(サイバーセキュリティ推進部)と2線(リスク統括部)のサイバーセキュリティリスク管理に係る有効性を監査します。
⑤ 企業倫理(コンプライアンス)
企業倫理(コンプライアンス)関連のリスクは、マネー・ローンダリング、経済制裁への対応、贈収賄・汚職防止、金融犯罪その他の不公正・不適切な取引に関するものを含む、適用ある法令及び規則を遵守できない場合、あるいは、社会規範・市場慣行・商習慣に反するものとされ、顧客視点の欠如等があったものとされる場合には、顧客やマーケットからの信頼に大きな影響を与えるとともに、罰金、課徴金、懲戒、評価の低下、業務改善命令、業務停止命令、許認可の取消しを受ける可能性があり、MUFGグループの経営成績及び財政状況に悪影響が生じる可能性として顕在化します。
(4) 指標と目標
① 気候
MUFGグループは、環境・社会課題の解決に向けた具体的な指標・目標を設定し、モニタリングしています。
サステナブルファイナンスについては、2019年度から2030年度までのサステナブルファイナンス累計実行額目標を100兆円に設定しており、2025年度までの累計実行額は56.5兆円です。
MUFGグループでは、2021年5月に「MUFGカーボンニュートラル宣言」を公表し、2050年末までに投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量をネットゼロに、2030年度末までにMUFGグループ自らの温室効果ガス排出量をネットゼロにするという目標を発表しました。投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量ネットゼロの実現のために、各セクターやMUFGのポートフォリオの特性も踏まえて、以下のように中間目標の設定を行っています。
<各セクターの中間目標、実績>
*1 目標の計測対象にFacilitated Emissionを含む
*2 不動産建物別・年度別係数のデータは、2023年度データを使用
*3 2024年度実績は、参照元の統計データの更新が隔年に変更され、排出原単位の速報値を得られなかったことから過年度の排出原単位から推計して算出
*4 船舶に関する投融資ポートフォリオ全体での要求水準との差分を示す整合度指標。ファイナンス提供をしている個々の船舶の気候変動整合度(VCA)を融資ポートフォリオ上の割合で加重平均して算出。2022年度からポセイドン原則により要求水準が引き上げられ、MinimumとStrivingの二つの新基準に変更。両方とも2050年ネットゼロをめざす基準だが、2030年と2040年時点の削減目安が異なる。Minimum基準は2008年比で2030年までに排出量を最低20%削減、2040年までに最低70%削減。Striving基準は2008年比で2030年までに排出量を30%削減、2040年までに80%削減
*5 RPK:Revenue Passenger Kilometers(有償旅客キロ)のことで、有償旅客数に輸送距離を乗じて算出した航空会社の旅客輸送実績を示す指標
*6 発電事業用の一般炭採掘を主たる事業とする事業者への法人融資額(含むコミットメント未使用額)を対象。ただし、脱炭素社会への移行に向けた取り組みに資する案件は除外
② 人的資本
MUFGでは、めざす姿の実現に向けて重点課題を定め、それぞれに対応する人的資本KPIを設定、目標を開示し、各種施策に取り組んでいます。特に、DEIや社員のウェルビーイングについて設定している目標に対する進捗は以下のとおりです。
(ⅰ) DEI
MUFGでは、多様な社員一人ひとりが持てる力を最大限に発揮できる職場づくりに取り組んでいます。特に、女性の管理職比率向上は喫緊の課題であるとの認識のもと、MUFGでは、中長期的な数値目標を設定し、トップのコミットメントのもと女性の育成・登用を推進しています。主要な子会社である三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行及び三菱UFJモルガン・スタンレー証券の3社は、2026年度末までに、女性マネジメント比率を27.0%(3社合算ベース)とする目標を設定しており、2025年度末時点の実績(※)は26.6%となっています。
※当事業年度に発令等確定した人事異動を反映しています。
(ⅱ) 社員のウェルビーイング
持続的な企業価値向上には、エンゲージメントの向上が必要不可欠という認識のもと、毎年「グループ意識調査」を通じて、社員エンゲージメントの状況(エンゲージメントスコア)を確認し、様々な施策の検討・実施に活用してきました。2024年度から始まった中期経営計画では、海外も含むMUFGグループのエンゲージメントスコア目標として「2023年度比改善(2023年度の実績(※)は73%)」を設定し、エンゲージメントの向上に、グループ一丸で取り組んでいます。社員が個人の信念・価値観とMUFG Wayの重なりについて対話する「MUFG Way共鳴セッション」や、有志社員がMUFG Wayを伝播する活動「MUFG Way Boostプロジェクト」、社員が自ら地域社会の課題解決に挑む社員参加型社会貢献プログラム「MUFG SOUL」や新規事業創出プログラム「Spark X」等、MUFGのパーパスを自分事化し実践する様々な機会を継続的に提供し、また社員が自らのキャリアやウェルビーイングについて考えるきっかけになるような研修や、上司の部下育成力を強化する研修等、社員の力を最大限に引き出すための取り組みも行っています。これらの取り組みも2025年度の実績(※)76%に繋がっています。
※エンゲージメントに関する5つの設問に対する好意的回答割合の平均です。
当行は、各種のリスクシナリオが顕在化した場合の影響度と蓋然性に基づき、その重要性を判定しており、今後約1年間で最も注意すべきリスク事象をトップリスクとして特定しています。2026年3月の当行リスク委員会において特定されたトップリスクのうち、主要なものは以下のとおりです。当行では、トップリスクを特定することで、それに対しあらかじめ必要な対策を講じて可能な範囲でリスクを制御するとともに、リスクが顕在化した場合にも機動的な対応が可能となるように管理を行っています。また、経営層を交えてトップリスクに関し議論することで、リスク認識を共有した上で実効的対策を講じるように努めています。
主要なトップリスク
当行の事業その他に関するリスクについて、上記トップリスクに係る分析を踏まえ、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項は、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当行は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
外部環境等に関するリスク
本邦及び世界の経済は、主要国における金融政策や財政政策の変更及び主要国の財政状態、主要な市場における産業や通商政策の変更、為替レートの急速かつ大幅な変動、世界的なインフレ、デフレやスタグフレーション、不動産市況の動向、銀行、ノンバンク、証券会社、保険会社及び投資ファンドその他の金融仲介機関等の金融機関に対する不安や懸念及び金融業界の動向、世界的な地政学リスク、国際的な商品供給や貿易活動の停滞や変化、市場環境、規制環境あるいは事業環境の急速かつ大幅な変化等の要因から先行き不透明な状況です。本邦及び世界経済が悪化した場合、当行には、保有する有価証券等の市場価格の下落による損失、取引先の業績悪化等による不良債権及び与信関係費用の増加、市場取引の相手先の信用力低下等による収益減少、外貨資金流動性の悪化、外貨資金調達コストの増加、リスクアセットの増加等が生じる可能性があります。また、各国の中央銀行の金融政策の変更によるグローバルな金利低下等に伴う資金収益力の低下等により、当行の収益力が低下する可能性があります。更に、経済活動の停滞による企業の新規投資や商取引の減少、個人消費の落ち込み、先行き不透明な金融市場での投資意欲減退、お客様の預かり資産減少などが生じる可能性があります。
また、債券・株式市場や外国為替相場の大幅な変動により金融市場の混乱・低迷、世界的な金融危機が生じた場合等には、当行が保有する金融商品の価値が下落し、適切な価格を参照できない状況が生じ、又は金融市場の機能不全が生じ、当行が保有する金融商品において減損若しくは評価損が生じる可能性があります。
これらにより、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。
紛争(深刻な政情不安を含みます。)、テロ、国家間対立やこれに起因する経済制裁、地震・風水害・感染症の流行等の自然災害等の外的要因により、社会インフラに障害が発生し、当行の店舗、ATM、システムセンターその他の施設が被災し、又は業務の遂行に必要な人的資源の損失、又はその他正常な業務遂行を困難とする状況が発生することで、当行の業務の全部又は一部が停止又は遅延するおそれ、あるいは事業戦略上の施策や市場・規制環境の変化への対応が計画どおり実施できないおそれがあります。また、これらの事象に対応するため、予防的なものも含めた追加の費用等が発生するおそれがあります。加えて、これらの事象により当行や取引先が事業を行っている市場に混乱が生じるおそれがあります。これらにより、当行の財政状態や経営成績に悪影響が生じる可能性があります。
また、当行は、自然災害のなかでも特に地震(津波を含みます。)による災害リスクにさらされており、首都圏等当行の事業基盤が集中している地域において大規模な地震が発生した場合には、当行の財政状態や経営成績に悪影響が生じる可能性があります。当行では、このような災害等のリスクに対し、各国当局の規制等を踏まえた業務継続態勢を整備し、訓練等を通じた検証を行うことにより、常にオペレーショナル・レジリエンス(紛争、テロ(含むサイバーテロ)、自然災害等の事象が発生しても、重要な業務を継続できる総合的な能力)の強化を図っておりますが、必ずしもあらゆる事態に対応できるとは限りません。
3. サステナビリティに関するリスク
昨今、環境・社会課題の顕在化や持続可能な環境・社会の実現に向けた取組みに対する認識の高まりに伴い、当行に対する社会的な期待は一層高まってきております。当行の法人のお客さま向け与信及び債券・株式引受において、「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」を適用し、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認しています。当行は、気候変動について、当行が採用した情報開示に関する基準や適用ある法令に沿ったリスクの把握・評価や情報開示の拡充、ガバナンスの強化に取り組んでおり、また、気候変動に関する取組み、持続可能な環境・社会の実現に向けた取組みを進めております。
サステナビリティに関する各取組みや情報開示は、関連する規制や市場等の動向を踏まえて進めていく必要がありますが、これらの変化のタイミングと影響は予測が困難であり、実施した各取組みや情報開示が不十分又は不適切であると見做された場合、各取組みや情報開示が当行の想定どおり進捗しないあるいは批判の対象となった場合、規制の変更、政策の多様化や市場の変化に十分に対応できない場合、又はそのように見做され、社会に対する責任を十分に果たしていないと見做された場合などには、当行の企業価値の毀損に繋がるおそれがあり、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。とりわけ、気候変動については、脱炭素社会への移行に関する政策変更、技術革新、市場の嗜好変化等に起因する移行リスク、気候変動それ自体による資産に対する直接的な損傷や、サプライチェーンの寸断などに起因する物理的リスクが存在します。これらの気候変動に関するリスクにより、当行の事業活動が直接的に影響を受け、又は、当行のお客さまの事業や財務状況に影響を及ぼし、お客さまへの影響を通じて当行の与信ポートフォリオ管理・運営に影響を与える等により当行の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
戦略及び出資先に関するリスク
4.競争、ビジネス戦略等に関するリスク
金融業界では、新たな技術の進展や規制緩和等に伴い、電子決済領域など、他業種から金融業界への参入が加速しており、今後も競争環境は益々厳しさを増す可能性があります。
また、当行は、収益力増強のためにグローバルベースで様々なビジネス戦略を実施しておりますが、競合相手である他のグローバル金融機関による統合・買収・戦略的提携の進展等に伴い、競争が激化してきております。
そうした中、以下に述べるものをはじめとする様々な要因が生じた場合には、これら戦略が功を奏しない、当初想定していた結果をもたらさない、又は変更を余儀なくされ、こうした競争的な事業環境において競争優位を得られない場合、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
・ 預金残高の維持・成長が想定どおりに進まないこと。
・ 取引先への貸出ボリュームの維持・増大が想定どおりに進まないこと。
・ 貸出についての利鞘拡大が想定どおりに進まないこと。
・ 当行の保有する金融資産の価値が予想以上に大きく変動すること。
・ 当行が想定している手数料収入を維持できない、あるいは目指している手数料収入の増大が想定どおり
に進まないこと。
・ デジタルトランスフォーメーション戦略や新技術の採用の遅れ等により次世代の金融サービス提供が想定どおりに進まないこと。
・ 顧客や市場の新たな商品やサービスに対する需要が想定より急速に増加することにより、当行の金融商
品やサービスに対する需要が低下すること。
・ 効率化を図る戦略が想定どおりに進まないこと。
・ 現在実施中又は今後実施する事業ポートフォリオの見直し、システム統合及び効率化戦略等が想定どおり進捗せず、顧客やビジネスチャンスの逸失若しくは想定を上回る費用が生じること。
・ 必要な人材を確保・育成できないこと。
・ 必要な外貨流動性を確保できないこと。
・ 本邦及び諸外国の法規制により、金融機関以外の事業者への投資の機動性や積極性が制限されること。
・ 当行や、業界全体に対する信用不安の高まりによる預金流出で流動性が不足すること。
当行は、業務範囲の拡大や海外事業の展開、経営戦略や業務運営に関する施策をグローバルに実施しており、これらに伴う新しくかつ複雑なリスクにさらされる場合があります。当行では、かかるリスクに対応するために内部統制システム及びリスク管理システムや法規制対応体制構築、必要な人材の確保・育成に努めておりますが、必ずしもあらゆる事態に対応できるとは限らず、当行の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当行は、世界に選ばれる、信頼のグローバル金融グループを目指し、その戦略的施策の一環として、近年では主に米国、欧州やインドを含むアジア環太平洋地域で買収・出資・資本提携等を実施しており、今後もグローバルに買収・出資・資本提携等を行う可能性があります。(既存の重要な海外子会社としては、Bank of Ayudhya Public Company Limited及びPT Bank Danamon Indonesia Tbkがあります。また、近年実施した主な買収・出資には、アジア環太平洋地域における資産運用会社やインベスターサービス会社の買収やノンバンク金融機関への出資があります。)しかしながら、政治や社会情勢の不安定化、経済の停滞、金融市場の変動、監督当局の不承認、法令・会計基準の変更、当行の意図とは異なる相手先の戦略や財務状況の変化、相手先の属する地域特性・業界・経営環境の想定外の変化等により、買収・出資・資本提携等が当行の想定どおり進展せず、若しくは変更・解消され、又は想定どおりのシナジーその他の効果を得られない可能性や、買収・出資・資本提携等に際して取得した株式や買収・出資・資本提携等により生じたのれん等の無形固定資産の価値が毀損する可能性があります。これらの結果、当行の事業戦略、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。買収・出資に伴う当行ののれん等の無形固定資産の状況については、本有価証券報告書の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」をご参照下さい。
更に業務範囲の拡大が予想どおりに進展しない場合、当行の業務範囲拡大への取組みが奏功しないおそれがあります。
自己資本に関するリスク
6.自己資本比率等に関するリスク
当行には、バーゼルⅢに基づく自己資本比率及びレバレッジ比率に関する規制が適用されております。また、2022年4月28日に金融庁は、自己資本比率規制に関する告示の一部改正を公布し、当行には2024年3月末より最終化されたバーゼルⅢが適用されております。レバレッジ比率に関する規制について、2022年11月11日に金融庁は、日本銀行に対する預け金の額を総エクスポージャーの額から除外する現在の時限的措置を存置した上での要求水準の引き上げを公表し、2024年4月からその要求水準は引き上げられております。また、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、「三菱UFJフィナンシャル・グループ」という。)は、金融安定理事会(FSB)によりグローバルなシステム上重要な金融機関(G-SIB)に指定されており、2023年3月末より、三菱UFJフィナンシャル・グループを含むG-SIBsを対象に、レバレッジ比率の要求水準に対する上乗せ措置が導入されています。
当行の自己資本比率及びレバレッジ比率が各種資本バッファーを含め要求される水準を下回った場合、金融庁から社外流出額の制限、業務の停止等を含む様々な命令を受ける可能性があります。
また、当行には、米国を含む諸外国において、現地における自己資本比率等の規制が適用されており、要求される水準を下回った場合には、現地当局から様々な命令を受けることになります。
当行の自己資本比率及びレバレッジ比率に影響を与える要因には以下のものが含まれます。
・ 債務者及び株式・債券の発行体の信用力の悪化に際して生じうるポートフォリオの変動
・ 調達している資本調達手段の償還・満期等に際して、これらを同等の条件で借り換え又は発行することの困難性
・ 有価証券ポートフォリオの価値の低下
・ 為替レートの不利益な変動
・ 自己資本比率等の規制の不利益な改正
・ 繰延税金資産計上額の減額
・ その他の不利益な事象の発生
三菱UFJフィナンシャル・グループを含むG-SIBsは、他の金融機関より高い資本水準が求められていますが、今後更に高い資本水準を求められる可能性があります。
FSBが2015年11月に公表した「グローバルなシステム上重要な銀行の破綻時の損失吸収及び資本再構築に係る原則」及び2017年7月に公表した「グローバルなシステム上重要な銀行の内部総損失吸収力に係る指導原則」を踏まえ、本邦では2019年3月期より三菱UFJフィナンシャル・グループを含むG-SIBsに対して一定比率以上の損失吸収力等を有すると認められる資本・負債(以下、「外部TLAC」という。)を確保することが求められ、また、確保した外部TLACはグループ内の主要な子会社に一定額以上を配賦すること(以下、「内部TLAC」という。)になっています。また、規制で要求される水準は2022年3月期から引き上げられており、2024年4月1日より総エクスポージャーべースの外部TLAC比率に係る水準も引き上げられました。三菱UFJフィナンシャル・グループ内では、当行、三菱UFJ信託銀行株式会社及び三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社(以下、「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」という。)が主要な子会社として指定されています。三菱UFJフィナンシャル・グループは、外部TLAC比率又は本邦における主要な子会社に係る内部TLAC額として要求される水準を下回った場合、金融庁から社外流出額の制限を含め、様々な命令を受ける可能性があります。外部TLAC比率及び内部TLAC額は、自己資本比率等の規制に係る上記(1)~(2)に記載する様々な要因により影響を受けます。三菱UFJフィナンシャル・グループは、要求されるTLACの確保のため、適格な調達手段の発行を進めておりますが、TLACとして適格な調達手段の発行及び借り換えができない場合には、外部TLAC比率及び内部TLAC額として要求される水準を満たせない可能性があります。
当行はグローバルにビジネスを展開しており、外貨建ての金融資産及び負債を保有しています。為替レートの変動により、それらの資産及び負債の円貨換算額も変動します。当行では、通貨毎の資産と負債の額の調整やヘッジを行っておりますが、変動を相殺できない場合、当行の自己資本比率、財政状態及び経営成績は、為替レートの変動により、悪影響を受ける可能性があります。海外における保有資産及び負債の状況については、本有価証券報告書の「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご覧下さい。
貸出業務は当行の主要業務の一つとなっています。当行は、担保や保証、クレジットデリバティブ等を用いて信用リスクの削減に取り組んでおりますが、借り手が期待どおりに返済できない場合、又は当行が借り手の返済能力の悪化に対して、又はその可能性を予測して講じた措置が不適切又は不十分である場合には、将来、追加的な与信関係費用が発生する可能性があります。その結果、当行の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼし、自己資本の減少につながる可能性があります。なお、与信関係費用、銀行法及び金融再生法に基づく開示債権の状況については、本有価証券報告書の「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」、クレジットデリバティブ取引については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (デリバティブ取引関係)」をご参照下さい。当行の与信関係費用及び不良債権は、主要な市場における産業や通商政策の変更、新興国を含む国内外の景気の悪化、資源価格等の物価の変動(地政学的な状況の変化に起因するものを含みます)、不動産価格や株価の下落、新興国通貨安、金利上昇、貸出先の業界内の競争激化等による業績不振等により増加する可能性があります。
当行は、貸出先の状況、担保の価値及び経済全体に関する前提及び見積りに基づいて、貸倒引当金を計上しておりますが、経済情勢全般の悪化や個別貸出先の業績悪化等により追加の貸倒引当金を計上せざるを得なくなったり、担保の価値又は流動性が低下したり、実際の貸倒れが貸倒引当金を上回ることにより、追加的な与信関係費用が発生したりする可能性があります。また、貸倒引当金の計上に関する規制や指針が変更され、貸倒引当金の計上の際に用いる評価方法に変更が生じた結果として、貸倒引当金を追加で計上しなければならなくなる可能性もあります。2026年3月末基準における当行の連結貸借対照表上の貸倒引当金額は10,701億円でした。貸倒引当金の計上については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照下さい。
当行は、貸出その他の与信に際しては、特定の業種、特定の与信先への偏りを排除すべくポートフォリオ分散に努めておりますが、不動産業種及び金融業種向けの与信は、相対的に割合が高い状況にあり、これらの業種等の業績悪化の影響を受けやすい状況にあります。個々の与信先の状況や、業界特有の動向、新興国を含む各国の国情については継続的にモニタリング・管理を実施しておりますが、国内外の景気動向(気候変動や主要な市場における産業・通商政策の変更、地政学リスクによる影響を含みます。)や不動産・資源価格・外国為替等の金融市場の動向等によっては、想定を上回る信用力の悪化が生じる可能性があります。
当行は、回収の効率・実効性その他の観点から、貸出先に債務不履行等が生じた場合においても、当行が債権者として有する法的な権利の全てを必ずしも実行しない場合がありえます。
また、当行は、それが合理的と判断される場合には、貸出先に対して債権放棄又は追加貸出や追加出資を行って支援をすることもありえます。かかる貸出先に対する支援を行った場合は、当行の貸出残高が大きく増加し、与信関係費用が増加する可能性や追加出資に係る株価下落リスクが発生する可能性もあります。
国内外の金融機関(銀行、ノンバンク、証券会社、保険会社及び投資ファンドその他の金融仲介機関等を含みます。)の中には、資産内容の劣化及びその他の財務上の問題が存在している可能性があり、今後悪化する可能性やこれらの問題が新たに発生する可能性もあります。こうした金融機関の財政的困難が継続、悪化又は発生すると、それらの金融機関の流動性及び支払能力に問題が生じるだけでなく、金融システムに問題が生じ金融業や経済全般へ波及するおそれもあります。また、以下の理由により当行に悪影響を及ぼす可能性があります。
・ 当行は、一部の金融機関へ信用を供与しております。
・ 当行は、一部の金融機関の株式を保有しております。
・ 問題の生じた金融機関が貸出先に対して財政支援を打ち切る又は減少させるかもしれません。その結果、当該貸出先の破綻や、当該貸出先に対して貸出をしている当行の不良債権の増加を招くかもしれません。
・ 経営破綻に陥った金融機関に対する支援に当行が参加を要請されるおそれがあります。
・ 政府が経営を支配する金融機関の資本増強や、収益拡大等のために、規制上、税務上、資金調達上又はその他の特典を当該金融機関に供与するような事態が生じた場合、当行は競争上の不利益を被るかもしれません。
・ 預金保険の基金が不十分であることが判明した場合、当行の支払うべき預金保険の保険料が引き上げられるおそれがあります。
・ 金融機関の破綻又は政府による金融機関の経営権取得により、金融機関に対する預金者及び投資家の信任が全般的に低下する、又は金融機関を取巻く全般的環境に悪影響を及ぼすおそれがあります。
・ 金融業及び金融システムに対する否定的・懐疑的なマスコミ報道(内容の真偽、当否を問いません。)により当行の評判、信任等が低下するおそれがあります。
当行は政策投資目的で保有するものを含め市場性のある株式を大量に保有しており、2026年3月末基準の保有時価合計は約3.1兆円、その簿価は約0.8兆円となっています。株価変動リスクの抑制の観点も踏まえ、「政策保有に関する方針」において、政策保有株式の削減を基本方針としており、計画的に売却を進めております。なお、政策保有株式に対しては、トータル・リターン・スワップ等をヘッジ手段として部分的にヘッジを行うことで、株価変動リスクの削減に努めております。
しかしながら、株価が下落した場合には、保有株式に減損又は評価損が発生若しくは拡大する可能性があります。また、自己資本の算出にあたり、保有株式の含み損益を勘案していることから、株価が下落した場合には、自己資本比率等の低下を招くおそれがあります。その結果、当行の財政状態及び経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。
市場リスク(金利、有価証券の価格、為替などの変動により損失を被るリスク)
当行は、デリバティブを含む様々な金融商品を取り扱う広範な市場業務を行っており、大量の金融商品を保有しています。これにより、例えば、国内外の金融政策の変更等により内外金利が低下した場合、当行が保有する国債等の再投資利回りが低下する可能性があります。また、長短金利差が縮小する場合、資金利益が減少する可能性があります。一方、内外金利が上昇した場合、当行の保有する大量の国債等に売却損や評価損が発生したり、調達コストが増加したりする可能性があります。また、円高となった場合は、当行の外貨建て投資の財務諸表上の価値が減少し、売却損や評価損が発生する可能性があります。加えて、株価が下落した場合、当行が保有する株式等の価値が減少し、売却損や評価損が発生する可能性があります。当行では、このような内外金利、為替レート、有価証券等の様々な市場の変動により損失が発生するリスクを市場リスクとして管理しておりますが、計算された市場リスク量は、その性質上、実際のリスクを常に正確に反映できるわけではなく、またこのように示されたリスク量を上回る損失が実現する可能性もあります。
なお、当行が保有する有価証券残高の状況については、本有価証券報告書の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(有価証券関係)」をご参照下さい。
当行では、資金流動性リスク管理上の指標を設定する等、適正な資金流動性の確保に努めておりますが、格付機関による当行の格下げや金融システム不安、金融市場混乱等の外部要因により、調達コストの増加、調達余力の減少、担保の追加拠出、又は顧客からの信用低下等を起因に一定の取引を行うことができなくなる等の悪影響を受けるおそれがあり、その結果、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
例えば、2026年3月末時点のデリバティブ取引及び信用格付に基づいて、当行の格付が1段階格下げされたと仮定した場合約228億円、2段階格下げされたと仮定した場合約1,468億円のデリバティブ取引に関する追加担保を当行が提供する必要があったと推定されます。
オペレーショナルリスク(内部管理上の問題や外部要因により損失が発生するリスク)
13.不公正・不適切な取引その他の行為が存在したとの指摘や、これらに伴う処分等を受けるリスク
当行は、事業を行っている本邦及び海外における法令、規則、政策、自主規制等を遵守する必要があり、国内外の規制当局による検査、調査等の対象となっております。当行はコンプライアンス・リスク管理態勢及びプログラムの強化に継続して取り組んでおりますが、かかる取組みが全ての法令等に抵触することを完全に防止する効果を持たない可能性があります。
当行が、マネー・ローンダリング、経済制裁への対応、贈収賄・汚職防止、金融犯罪その他の不公正・不適切な取引に関するものを含む、適用ある法令及び規則を遵守できない場合、あるいは、社会規範・市場慣行・商習慣に反するものとされ、顧客視点の欠如等があったものとされる場合には、罰金、課徴金、懲戒、評価の低下、業務改善命令、業務停止命令、許認可の取消しを受ける可能性があります。また、当行が顧客やマーケット等の信頼を失い、当行の経営成績及び財政状況に悪影響が生じる可能性があります。将来、当行が戦略的な活動を実施する場面で当局の許認可を取得する際にも、悪影響を及ぼすおそれがあります。
また、当行は、為替業務に関して、当局から情報提供要請を受けており、同要請に協力するとともに、一部の当局との間では制裁金の支払いに合意しました。上記に関連して、当行は、他金融機関とともに、複数の民事訴訟の被告となっております。
今後、関係当局より更なる制裁金支払の処分等を受け、又は関係当局との間で新たな和解金の支払合意を行うなどの可能性を含め、新たな展開又は類似の事象により、当行に重大な財務上その他の悪影響が生じる可能性があります。
加えて、当行に対して、三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の三菱UFJモルガン・スタンレー証券等との銀証連携ビジネス、法人関係情報の管理等において、不適切な顧客情報の共有や登録金融機関による有価証券関連業の禁止に反する不適切な勧誘等があったとして、2024年6月14日、証券取引等監視委員会は内閣総理大臣及び金融庁長官に対して行政処分の勧告・公表を行いました。これらに関し、同年6月24日、当行及び三菱UFJモルガン・スタンレー証券等に対して、金融商品取引法第51条の2・第51条に基づく業務改善命令、当行に対して、銀行法第52条の31・第24条に基づく報告徴求が、金融庁より発せられました。同年7月19日、当行及び三菱UFJモルガン・スタンレー証券等は、業務改善命令及び報告徴求に基づき、業務改善計画等を含む報告書を金融庁に提出しました。当行及び三菱UFJモルガン・スタンレー証券等は、これらの行政処分等に基づく対応を継続中です。また、当行は、元行員による貸金庫からのお客さま資産の窃取事案に関し、2024年12月16日に金融庁より銀行法第24条に基づく報告徴求を受け、2025年1月16日に報告徴求に基づき、再発防止策等を含む報告書を金融庁に提出し、策定した再発防止策等の徹底を継続しております。
当行は、国内外の法規制に基づき、顧客情報や個人情報を適切に取り扱うことが求められております。当行では、顧客情報や個人情報を多く保有しており、情報の保管・取扱いに関する規程類の整備、システム整備を実施し、管理態勢高度化に取組んでおりますが、不適切な管理、外部からのサイバー攻撃その他の不正なアクセス、若しくはコンピュータウイルスへの感染等により、顧客情報や個人情報等の紛失・漏洩を完全には防止できない可能性があります。その場合、罰則や行政処分の対象となるほか、顧客に対する損害賠償等、直接的な損失が発生する可能性があります。加えて、顧客の信頼を失う等により当行の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性、並びにこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があります。
当行のシステム(業務委託先等の第三者のシステムを含みます。)は、事業を行う上で非常に重要な要素の一つであり、リモートワークや非対面チャネルを通じた業務の拡大やデジタル戦略を推進している中で特に重要性が高まっており、適切な設計やテストの実施等によりシステム障害等を未然に防止し、セキュリティ面に配慮したシステムの導入に努めています。しかしながら、システム障害や日々高度化が進む種々のサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス感染、人為的ミス、機器の故障、通信事業者やクラウドサービス事業者・業務委託先その他の第三者の役務提供の瑕疵、オープンソースソフトウェア・外部ライブラリその他のソフトウェア供給網に起因する脆弱性又は障害、AIや量子技術等の新技術の進展への不十分な対応等を完全には防止できない可能性があります。加えて、AIや量子技術等の新技術を悪用したサイバー攻撃その他のセキュリティ上の脅威、詐欺、なりすましその他の不正行為等が発生する可能性があります。また、すべてのビジネス要件や金融機関に対する規制強化の高まりからくる規制要件に対応するシステムの機能強化への要請を十分に満たせない可能性や、市場や規制の要請に応えるために又は当行のシステムに接続している第三者のシステムの変更に伴い必要なシステム構築や更新がその作業自体の複雑性、新技術(AI、量子技術、デジタル資産、その他のブロックチェーン技術を利用した製品やサービスなど)に関する規制の不確実性等から計画どおりに完了しない可能性があります。そのほか、インシデント報告や第三者のサービスやシステムの使用に関連するリスク等を始めとする事象についての規制強化や市場の期待の高まりを受けて、当行のサイバーセキュリティリスクの管理に係るフレームワークやその実践が不十分であると見做される可能性もあります。これらの事由により、情報通信システムの不具合や不備が生じ、取引処理の誤りや遅延等の障害、情報の流出等が生じ、業務の停止及びそれに伴う損害賠償の負担その他の損失が発生する可能性、当行の信頼が損なわれ又は評判が低下する可能性、行政処分の対象となる可能性、並びにこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があります。
当行は、イラン・イスラム共和国(以下、「イラン」という。)等、米国国務省が「テロ支援国家」と指定している国における法主体又はこれらの国と関連する法主体との間の取引を実施しております。また、当行はイランに駐在員事務所を設置しております。
米国法は、米国人が当該国家と取引を行うことを、一般的に禁止又は制限しております。更に、米国政府及び年金基金をはじめとする米国の機関投資家が、イラン等のテロ支援国家と事業を実施する者との間で取引や投資を行うことを規制する動きがあるものと認識しております。このような動きによって、当行が米国政府及び年金基金をはじめとする機関投資家、あるいは規制の対象となる者を、当行の顧客又は投資家として獲得、維持できない結果となる可能性があります。加えて、社会的・政治的な状況に照らして、上記国家との関係が存在することによって、当行の評判が低下することも考えられます。上記状況は、当行の財政状態、経営成績に対して悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、米国政府による対イラン制裁措置により、米国人の関与するイランとの取引の禁止などが実施されています。更に、2018年5月の米国によるイランに関する包括的共同行動計画(Joint Comprehensive Plan of Action)からの離脱後に発令された大統領令により、広範なイラン関連取引や活動について、関与した非米国人に対して二次制裁を適用し得るものとされています。当行では、二次制裁を含む米国による措置が適用されるリスクの増加を受けて、今後とも当該リスクのモニタリングと対応策を実施してまいります。
更に、米国証券取引所に登録している企業(米国外企業を含みます。)には、特定のイラン関連の取引の開示が引き続き義務づけられています。本邦においても、イランの拡散上機微な核活動・核兵器運搬手段開発に関与する者に対する資産凍結等の措置が実施されています。当行では、これらの規制を遵守するための態勢の改善に努めています。しかしながら、かかる態勢が適用される規制に十分対応できていないと政府当局に判断された場合には、何らかの規制上の措置の対象となる可能性があります。なお、これに関連する処分等については、「13.不公正・不適切な取引その他の行為が存在したとの指摘や、これらに伴う処分等を受けるリスク」をご参照下さい。
グローバルな金融サービス提供者として、当行の事業は国内外の法律、規則、政策、会計基準、実務慣行及び解釈、並びに国際的な金融規制等の継続的な変更のリスクにさらされております。主要な金融機関は、新技術、地政学上の変化、環境・社会・ガバナンス上の懸念、巧妙化する犯罪活動への対策の必要性、システムのセキュリティ確保の必要性、及び国際金融セクターに関するその他の懸念事項を背景とする、より厳しい法律、規制及び基準等への対応を迫られています。また、金融業界における不祥事やリスク管理の不備、金融機関の破綻に関する事案を受け、社内のコンプライアンス・リスク管理体制の強化を求める動きも強まっています。当行に適用される法律、規制及び基準等は複雑で、多くの場合、これらを当行のビジネスに適用するに際しては、解釈を伴う決定が必要となります。法律、規則、政策、会計基準、実務慣行、解釈の変更及びその影響は、より多くの経営資源の投入のみならず、経営にも影響を与え、場合によっては経営戦略を変更せざるを得なくなるおそれがあります。第三者への委託により実施するものを含むコンプライアンスのプログラムやシステムについては、必要な強化を計画どおりに実施できなくなる可能性も出てきます。また、当行に適用される法律や規制への対応が不十分な場合、罰金、警告、レピュテーションの悪化、業務改善及びその他の行政命令、営業の強制的停止、将来の戦略的イニシアチブに規制当局から承認が得られないこと、深刻な場合としては営業認可の取消を受ける場合等、当行の財政状況及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
当行は、消費者金融業に従事する子会社や関連会社を有すると同時に消費者金融業者に対する貸出金を保有しており、消費者金融業における事業環境や規制環境の変化により、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。消費者金融業に関しては、いわゆるみなし弁済を厳格に解するものを含め、過払利息の返還請求をより容易にする一連の判例が出され、これらに伴い過払利息の返還を求める訴訟が引き続き発生しております。当行では、消費者金融業に従事する子会社や関連会社における過払利息の返還による費用負担のほか、当行が貸出金を保有する消費者金融業者の業績悪化による追加的な与信費用が発生する可能性があり、消費者金融業に不利な新たな司法上の判断や規制強化がある場合には追加的な費用負担が発生する可能性もあります。
三菱UFJフィナンシャル・グループは、本邦及び国際金融市場においてG-SIBに指定されており、世界に選ばれる、信頼のグローバル金融を目指しております。当行のビジネスはお客さまのみならず、地域社会、国際社会等からの信頼と信用の下に成り立っています。そのため、当行の評判は、お客さま、投資家、監督官庁、及び社会との関係を維持する上で極めて重要です。MUFG Wayや行動規範等を踏まえ、評判リスクの適切な管理に努めておりますが、規制及び市場環境が急速に変化し、多様化する中で、各種法令等の趣旨に反するおそれのある取引や事業活動などを防止できず、又はこれらに適切に対処することができなかった場合で、大規模な報道に繋がり得るなど世論の注目が高いときや規制当局の関心が高いときなどにおいて、当行は、現在又は将来のお客さま及び投資家を失うこととなり、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があり、企業価値を毀損する可能性があります。
当行は、国内外において様々な金融業務やその付随業務を行っており、各種金融サービスの提供、システムの構築、メンテナンス、その他の業務の一部について、外部事業者やサービス提供者(サードパーティ)のサービスやシステムを使用し、また業務の一部をサードパーティに委託しております。急速なデジタル化の進展を背景に、サードパーティへの依存度が高まる中、当行は、サードパーティリスク管理規程等に沿って、サードパーティのリスク評価やモニタリングを実施し、サードパーティに係るリスクの適切な管理に努めております。しかし、これらの対策にもかかわらず、サードパーティへのサイバー攻撃、サードパーティによる情報漏洩やデータの不正利用や法令等への抵触の問題、不正行為などにより、結果として当行の信頼が損なわれる可能性、当行が行政処分の対象となる可能性、並びにこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があるほか、サードパーティのシステム障害や自然災害等に起因するサービスの停止や遅延により、当行の業務に支障が生じる可能性があります。
当行は、業務効率化、お客さまへのサービス提供価値の向上、高度なリスク管理その他の目的のため、AIの開発・提供・利用を進めております。AIの適切かつ安心・安全な活用に向け、方針・規程類の整備や管理態勢の高度化等に取り組んでおりますが、AIの活用に際し、不正確若しくは不適切な出力又は偏りを含む結果が生じる可能性、利用方法の不備その他の事由により意図しない判断又は処理が行われる可能性があります。また、学習データ・入力情報・出力情報又は外部事業者が提供するモデル・システム若しくはサービスに起因した情報漏洩、権利侵害、AIを悪用したサイバー攻撃等が生じる可能性があります。
更に、特定の外部事業者・クラウド基盤・モデル等への依存が高まることにより、外部の事案発生時に当行の業務やシステムの運営が困難になる可能性があります。加えて、国又は地域で異なるAI関連法規制の整備・変更等のような規制環境の不確実性への対応が十分に行えない可能性があります。これらの事由により、意図しない判断、情報紛失・漏洩、権利侵害、システム不具合やサイバー攻撃、外部への依存・集中及び規制変更等に関する既存のリスクが増幅され、当行の事業、財政状態又は経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(財政状態及び経営成績の状況)
当連結会計年度の業績につきましては、以下のとおりとなりました。
資産の部につきましては、当連結会計年度中217,805億円増加して、当連結会計年度末残高は3,533,869億円となりました。主な内訳は、貸出金1,311,645億円、現金預け金745,231億円、有価証券678,549億円となっております。負債の部につきましては、当連結会計年度中203,746億円増加して、当連結会計年度末残高は3,377,450億円となりました。主な内訳は、預金・譲渡性預金2,372,504億円となっております。
損益につきましては、経常収益は前連結会計年度比6,942億円増加して104,016億円となり、経常費用は前連結会計年度比2,758億円増加して82,267億円となりました。以上の結果、経常利益は前連結会計年度比4,183億円増加して21,748億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比3,043億円増加して15,362億円となりました。
なお、報告セグメントの業績は次のとおりであります。
営業純益は前年同期比31億円増加して832億円となりました。
営業純益は前年同期比942億円増加して3,034億円となりました。
営業純益は前年同期比540億円増加して6,111億円となりました。
営業純益は前年同期比504億円減少して3,875億円となりました。
営業純益は前年同期比1,240億円増加して5,718億円となりました。
営業純益は前年同期比5,141億円増加して△784億円となりました。
営業純益は前年同期比794億円減少して△200億円となりました。
なお、当連結会計年度より、部門間の粗利益・経費の配賦方法の変更に伴い報告セグメントの利益の算定方法を変更しております。
変更後の算定方法に基づき作成した前連結会計年度のセグメント情報については、「第5 経理の状況」中、1「連結財務諸表等」(1)「連結財務諸表」「注記事項」(セグメント情報等)に記載しております。
(キャッシュ・フローの状況)
キャッシュ・フローにつきましては、営業活動においては、前連結会計年度比250,496億円支出が増加して、213,408億円の支出となる一方、投資活動においては、前連結会計年度比58,995億円収入が増加して51,396億円の収入となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度比27,853億円収入が増加して、438億円の収入となりました。
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末比159,307億円減少して745,231億円となりました。
国際統一基準による連結総自己資本比率は18.02%となりました。
国内・海外別収支の内訳は次のとおりであります。
当連結会計年度の資金運用収支・役務取引等収支・特定取引収支・その他業務収支の合計は42,374億円で前年度比8,743億円の増益となりました。国内・海外の別では国内が16,326億円で前年度比5,728億円の増益、海外が28,541億円で前年度比3,609億円の増益となりました。
(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内に本店を有する連結子会社(以下、「国内連結子会社」という。)であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外に本店を有する連結子会社(以下、「海外連結子会社」という。)であります。
2 資金調達費用は金銭の信託運用見合費用を控除して表示しております。
3 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
国内における資金運用/調達の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度の資金運用勘定平均残高は前年度比126,410億円減少して2,013,923億円となりました。利回りは0.29ポイント上昇して1.34%となり、受取利息合計は27,137億円で前年度比4,540億円の増加となりました。資金調達勘定平均残高は前年度比104,194億円減少して1,952,463億円となりました。利回りは0.28ポイント上昇して0.81%となり、支払利息合計は15,952億円で前年度比5,027億円の増加となりました。
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の連結子会社については、月末毎の残高等に基づく平均残高を利用しております。
2 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。
海外における資金運用/調達の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度の資金運用勘定平均残高は前年度比123,672億円増加して941,949億円となりました。利回りは0.72ポイント低下して4.98%となり、受取利息合計は46,989億円で前年度比213億円の増加となりました。資金調達勘定平均残高は前年度比111,160億円増加して961,390億円となりました。利回りは0.59ポイント低下して3.19%となり、支払利息合計は30,740億円で前年度比1,495億円の減少となりました。
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の連結子会社については、月末毎の残高等に基づく平均残高を利用しております。
2 「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。
(注) 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
国内及び海外の役務取引等収支の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度の国内の役務取引は、役務取引等収益が6,912億円で前年度比787億円増収、役務取引等費用が1,770億円で前年度比40億円増加した結果、役務取引等収支では前年度比747億円増加して5,141億円となりました。海外の役務取引は、役務取引等収益が9,430億円で前年度比1,310億円増収、役務取引等費用が1,299億円で前年度比95億円増加した結果、役務取引等収支では前年度比1,215億円増加して8,130億円となりました。
この結果、役務取引等収支合計では、前年度比1,784億円増加して12,165億円となりました。
(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。
2 「その他商業銀行業務」には、預金・貸出業務、代理業務、保護預り・貸金庫業務、信託関連業務等を含んでおります。
3 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
国内及び海外の特定取引収支の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度の国内の特定取引収益は552億円で前年度比325億円増収、特定取引費用は61億円で前年度比20億円増加した結果、特定取引収支では前年度比305億円増加して491億円となりました。海外の特定取引収益は3,515億円で前年度比1,186億円増収、特定取引費用は917億円で前年度比20億円増加した結果、特定取引収支では前年度比1,165億円増加して2,598億円となりました。
この結果、特定取引収支合計では前年度比1,429億円増加して3,072億円となりました。
(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。
2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
国内及び海外の特定取引の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度末の国内の特定取引資産は前年度比3,750億円増加して48,183億円、特定取引負債は前年度比14,014億円増加して29,492億円となりました。海外の特定取引資産は前年度比76,685億円増加して114,944億円、特定取引負債は前年度比46,271億円増加して68,378億円となりました。
(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。
2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。
2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
3 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
4 定期性預金=定期預金+定期積金
(注) 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。
(注) 特定海外債権等は、当行の特定海外債権引当勘定の引当対象とされる債権、並びに当該引当勘定の引当対象国に対する海外子会社の債権のうち、当該引当勘定の引当対象に準ずる債権であります。
(注) 1 「国内」とは、当行(海外店を除く)及び国内連結子会社であります。「海外」とは、当行の海外店及び海外連結子会社であります。
2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
3 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国際統一基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては先進的内部格付手法、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては標準的計測手法を採用するとともに、マーケット・リスク相当額の算出においては標準的方式と簡易的方式を採用しております。
また、自己資本比率の補完的指標であるレバレッジ比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準(平成31年金融庁告示第11号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2.危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3.要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4.正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
「生産、受注及び販売の実績」は、銀行業における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループ(当行及び連結子会社)が判断したものであり、リスクと不確実性を内包しているため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性がありますので、ご留意ください。
当連結会計年度の連結業務粗利益は、前連結会計年度比8,743億円増収の42,374億円となりました。海外における買収案件の収益貢献に加えて、円金利上昇影響の取り込みや利ざや改善、前年の債券ポートフォリオ組替えによる収益改善効果も含めた資金利益の増加や、国内外の手数料収入の増加による役務取引等利益の増加、また前年の債券ポートフォリオの組替えによる売却損計上の反動によりその他業務利益が増加したことによるものです。営業費は、海外における買収の影響に加えて、成長に向けた資源投入やインフレ影響等もあり、前連結会計年度比2,475億円増加の23,804億円となりました。この結果、連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前)は、前連結会計年度比6,267億円増益の18,570億円となりました。
与信関係費用総額は、前年に計上した海外での大口の貸倒引当金戻入の反動を主因に、前連結会計年度比2,455億円増加しました。また株式等関係損益は、前年の政策保有株式の大口売却益の反動を主因に、前連結会計年度比542億円減少しました。以上の結果、経常利益は同4,183億円の増益となり、親会社株主に帰属する当期純利益は同3,043億円増益の15,362億円となりました。
当行の親会社である三菱UFJフィナンシャル・グループは、総合金融グループの強みを発揮するため、グループ各社が緊密な連携のもと、一元的に戦略を定め事業を推進する事業本部制を導入しています。各事業本部は、お客さまの幅広いニーズにお応えするため、グループ各社それぞれの強みを融合させた戦略の立案や施策の運営を行っています。
当連結会計年度における事業本部別の事業の取組みは次のとおりです。
(リテール・デジタル事業本部)
新サービスブランド「エムット」のリリースに伴い、口座・カード等の顧客基盤は着実に拡大。将来成長に向けた基盤強化等の投資により経費が増加したものの、円金利上昇やコンシューマーファイナンス領域の業容拡大等により収益が増加し、営業純益はほぼ横ばいとなりました。
(法人・ウェルスマネジメント事業本部)
円金利の上昇による資金収益や好調な株式市況を捉えた資産運用収益の増加に加え、資本戦略課題を捉えたイベントファイナンスの取り込み等により、ソリューション収益も増加し、営業純益は増益となりました。
(コーポレートバンキング事業本部)
金利環境の変化を捉えたプライシング運営に加え、活況な市況を背景にM&A等のコーポレートアクションの捕捉により、ファイナンス機会を取り込み、資金収益が伸長しました。また、グループ総合力を発揮したソリューション機能の提供やリスクテイク力の深化を通じ非金利収益も増加、営業純益は増益となりました。
(グローバルコマーシャルバンキング事業本部)
Bank of Ayudhya Public Company Limited(以下、「クルンシィ(アユタヤ銀行)」という。)は、利下げ影響による粗利減少をTIDLOR Holdings Public Company Limitedの連結化や非金利収益増加でカバー。PT Bank Danamon Indonesia Tbk(以下、「ダナモン銀行」という。)は、貸出・預金の積み上げに加え、PT Mandala Multifinance Tbkとの合併による業績取り込みにより増益。事業本部全体の営業純益は減益ながら、クルンシィ(アユタヤ銀行)決算期変更影響*1除きでは増益となりました。
*1 2024年度よりクルンシィ(アユタヤ銀行)の決算期間を1-12月から4-3月へ変更したことに伴い、2024年度は15か月分の営業純益を計上
(受託財産事業本部)
資産運用事業では、オルタナティブ運用収益が伸長したほか、国内投信への資金純流入が継続し増収となりました。また、資産管理事業では、国内外での高付加価値サービスの複合提供が進展し、年金においても確定拠出年金ビジネスが伸長したことから、営業純益は増益となりました。
(グローバルCIB事業本部)
資産回転型モデルの進化を進展させながら、実需に紐付くデジタルインフラやエネルギー案件等の戦略領域に経営資源を投入。結果、貸出の量・質の双方の改善と、手数料収益の大幅な伸長、及び効率的な経費運営を同時に達成し、営業純益は増益となりました。
(市場事業本部)
セールス&トレーディング業務では、為替・株式・金利市場の変動が拡大する中、その動きを的確に捉え、お客さまとの取引を着実に拡大し、高水準の収益を確保しました。トレジャリー業務では、前年度に将来の利回り改善を目的として含み損のある債券を売却した反動もあり、営業純益は大幅な増益となりました。
当連結会計年度における主な項目は、以下のとおりであります。
連結業務粗利益は、前連結会計年度比8,743億円増加して42,374億円となりました。
資金運用収支は、円金利上昇影響の取り込みや利ざや改善、前年の債券ポートフォリオ組替えによる収益改善効果も含めた資金利益の増加を主因に、同916億円増加しました。役務取引等収支は、国内外のソリューション、融資関連手数料の増加により、同1,784億円増加しました。その他業務収支は前年の債券ポートフォリオ組替えに伴う売却損の反動により、同4,612億円増加しました。
営業経費(臨時費用控除後)は、国内外における買収影響や成長に向けた資源投入、インフレ影響等を主因に同2,475億円増加しました。この結果、連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前)は、同6,267億円増加し、18,570億円となりました。
与信関係費用総額は、前年に計上した海外での大口の貸倒引当金の戻入の反動を主因に、前連結会計年度比2,455億円増加し、2,428億円となりました。
株式等関係損益は、前年の政策保有株式の大口売却益の反動を主因に、前連結会計年度比542億円減少し、3,859億円となりました。
貸出金は、海外店での増加を主因に、前連結会計年度末比119,433億円増加し、1,311,645億円となりました。
当行グループの銀行法及び再生法に基づく債権は、前連結会計年度末比1,040億円減少し、12,259億円となりました。
不良債権の比率は、同0.17ポイント低下し、0.83%となりました。
債権区分別では、破綻更生債権及びこれらに準ずる債権が同16億円増加、危険債権が同72億円減少、要管理債権が983億円減少しました。
銀行法及び再生法に基づく債権の状況 部分直接償却後
[連結]
地域別セグメント情報
[連結]
(注) 「国内」「海外」は債務者の所在地により区分しております。
業種別セグメント情報
[連結]
(注) 「国内」「海外」は債務者の所在地により区分しております。
有価証券は、前連結会計年度末比18,966億円減少して678,549億円となりました。国債が58,563億円、社債が178億円減少し、地方債が1,581億円、株式が2,960億円、その他の証券が35,233億円増加しました。
(注) 「その他の証券」は、外国債券及び外国株式を含んでおります。
繰延税金資産の純額は、前連結会計年度末比1,455億円増加し、266億円の資産となりました。
(注) 連結財務諸表上の繰延税金資産から繰延税金負債を差し引いたものです。
発生原因別内訳(単体)
預金は、国内の個人預金、法人預金、海外預金いずれも増加した結果、前連結会計年度末比99,868億円増加して2,246,936億円となりました。
(注) 「国内個人預金[単体]」及び「国内法人預金その他[単体]」は、特別国際金融取引勘定分を除いております。
純資産の部合計は、資本剰余金が前連結会計年度末比2,684億円、利益剰余金が6,540億円、その他有価証券評価差額金が2,846億円増加した結果、同14,059億円増加の156,418億円となりました。
総自己資本比率は、前連結会計年度末比1.60ポイント低下し18.02%となりました。また、Tier1比率は、同1.25ポイント低下し16.42%、普通株式等Tier1比率は、同1.22ポイント低下し13.87%となりました。
(注) 総自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づく平成18年金融庁告示第19号に定められた算式に基づいて、国際統一基準を適用のうえ算出しております。
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要(キャッシュ・フローの状況)」に記載しております。
当連結会計年度の内部管理上の区分けを基準とした事業部門別収益状況は、次のとおりです。
[各事業部門の主な担当業務]
(注) 1. 連結業務純益の内部取引消去等連結調整前の計数(子会社からの配当収入のみ消去)です。
行内管理のために算出した損益であり、財務会計上の損益とは一致しません。
2. その他部門の業務粗利益では、子会社からの配当収入、及び株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ宛貸出収益を控除しております。
円金利上昇を捉えた資金収益の増加等が基盤強化費用等の経費増加を打ち返し、営業純益は前年を上回りました。
(ⅱ) 法人・ウェルスマネジメント部門
円金利上昇を捉えた資金収益の増加やイベント案件の獲得によるソリューション収益の増加等により、営業純益は前年を上回りました。
活況な市況を背景にしたM&A等のファイナンス機会の取込等により資金収益・非金利収益ともに伸長し、営業純益は前年を上回りました。
クルンシィ(アユタヤ銀行)での前年度の決算期変更影響の反動や市況悪化に伴う貸出金収益の苦戦により、営業純益は前年を下回りました。
貸出金収益の増加や、プロジェクトファイナンス・引受ビジネス等による手数料収益の伸長等により、営業純益は前年を上回りました。
前年度の債券ポートフォリオ組替えによる売却損の反動や、それに伴う資金収益の増加もあり、営業純益は前年を上回りました。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当行が連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものに
ついては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(1) Shriram Finance Limitedへの出資に係る契約
当行は、2025年12月19日、インド大手のノンバンクであるShriram Finance Limited(以下、「Shriram Finance」という。)の第三者割当増資を引き受け、同社株式20%を取得すること(以下、「本出資」という。)について、Shriram Finance、主要株主であるShriram Ownership Trust及びShriram Capital Private Limitedとの間で投資契約を締結いたしました。
また、当行は、Shriram Financeとの間で、戦略的提携(以下、「本提携」という。)に関する覚書も締結いたしました。その後、2026年4月8日、当行は当該契約に基づき株式を取得し、Shriram Financeは当行の持分法適用関連会社となりました。
① 取得株式等の概要
② 本出資及び本提携の目的
本出資は、MUFGが重要な市場として位置付けるインドで、中小零細企業・リテール領域の事業基盤を確立し、同国の成長する内需を取り込むための戦略出資です。Shriram Financeに成長資金を提供し、新車商用車向け及び中小零細企業向け領域での事業拡大を後押しするとともに、信用力の向上を通じ資金調達力の改善を図ります。
更に、本提携を通じて、MUFGの幅広い顧客ネットワークやパートナーバンク経営で培ったノウハウと、Shriram Financeの強力な地場プレゼンスと顧客との長期的・強固な関係という両グループの強みを結集し、インドの成長に不可欠な陸運インフラや物流バリューチェーンの発展を支援すると共に、同国の政策アジェンダである金融包摂の進展にも貢献してまいります。
③ Shriram Financeの概要
(2) 会社分割によるMUデジタル資産形成サービス設立準備株式会社の設立
当行は、2026年3月23日、連結子会社である三菱UFJ eスマート証券株式会社(以下、「三菱UFJ eスマート証券」という。)及びウェルスナビ株式会社(以下、「ウェルスナビ」という。)を傘下に置く中間持株会社を、会社分割(以下、「本新設分割」という。)の手法により設立することを決定いたしました。
本新設分割の概要は、以下のとおりです。
① 本新設分割の目的
MUFGは、幅広いお客さまにAIネイティブでデジタルベースの資産形成サービスを提供することを目的に、2027年度中に三菱UFJ eスマート証券とウェルスナビの経営統合による、新エンティティ(新会社)の立ち上げを予定しております。
本統合に向けた準備を円滑・安定的に行うことを目的として、当行は、両社を傘下に置く中間持株会社を設立し、ガバナンスを担保しつつ、統合に向けた意思決定の迅速化を図ることといたしました。
② 本新設分割の日程
(注) 当行は、会社法第805条の規定に基づき、本新設分割につき、会社法第804条第1項の株主総会決議による承認を得ることなく行うものとします
③ 本新設分割の方式
当行を分割会社とし、中間持株会社を設立会社とする新設分割であり、設立会社は当行の100%子会社となります。
④ 本新設分割に係る株式の数
本新設分割に際し、設立会社は普通株式1,000株を発行し、その全てを承継対象権利義務の対価として、当行に交付します。
⑤ 本新設分割による資本金及び準備金
設立会社の成立の日における資本金及び準備金の額は、会社計算規則第49条又は第50条に定めるところに従い当行が定めるものとします。
⑥ 本新設分割により承継する権利義務
設立会社は、本新設分割により、当行が保有する三菱UFJ eスマート証券及びウェルスナビの普通株式の全てを承継し、その他の権利義務は一切継承いたしません。
⑦ 設立会社が承継する資産・負債の項目及び金額(2026年3月31日現在)
⑧ 本新設分割の当事会社の概要
⑨ 分割する事業の概要
三菱UFJ eスマート証券及びウェルスナビに係る経営管理事業
該当事項はありません。