文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
わが国は少子高齢化や人口減少等の課題を抱え、世界的にも低成長が常態化しつつあります。また、環境・社会課題への意識の高まりや、デジタル技術進展に伴う異業種の金融事業への新規参入の継続、足元では新型コロナウイルス感染症の影響や、インフレーション懸念等、当社を取り巻く経営環境は過去に例を見ない速さで大きく変化しています。
当社は、この変化を正しく読み解いたうえでそれを飛躍のチャンスに変え、新しい時代において社会をリードする存在でありたいと考えています。2021年4月に「世界が進むチカラになる。」を当社の存在意義(パーパス)として設定し、2021年度からの3年間を対象として中期経営計画では「企業変革」、「成長戦略」、「構造改革」を主要戦略の3本柱として掲げ、2021年度はこれら戦略を当社グループ一丸で推進し、成果を挙げることができました。
2022年度も、環境変化に応じたビジネスモデルを作り上げ、また、その結果として収益力向上及びROEの改善を実現することを通じて、お客さま・株主・社員をはじめとする全てのステークホルダーの期待に応えてまいります。
中期経営計画では、めざす姿として「金融とデジタルの力で未来を切り拓くNo.1ビジネスパートナー」を掲げています。そこには変化の激しい時代において、「全てのステークホルダーが次へ、前へ進むためのチカラになりたい」という思いを込めております。「デジタル」、「サステナビリティ経営」、「挑戦・スピード」をテーマに変革を進め、お客さまと社会の課題に徹底的に向き合い、課題解決に努めてまいります。
これらの取組みを通じた経営方針のキーワードは三つ、「デジタルトランスフォーメーション」、「強靭性」、「エンゲージメント」です。
一つ目は、「会社のあり方をデジタル化する」。実際にはリアルとのバランスではありますが、社会のデジタルシフトに対応するために、第一に掲げました。
二つ目は、「事業としての強靭性の重視」です。今回の危機で、MUFGはどんな環境においても信頼され続ける存在でなければならないと、改めて考えさせられました。金融機関としての健全性を確保して、経営資源を当社の有する強みのある領域へと重点配置いたします。
最後が、「エンゲージメント重視の経営」です。これは、大きな変化が会社ひいては社員一人ひとりに求められるなか、変革の方向性に対する共感性を大切にし、社員間や組織間、お客さまとの間、また社会とも共感できる、皆が参画意識を感じられる、魅力的な会社にしていきたいと考えるものです。
当連結会計年度の金融経済環境でありますが、世界経済は、数次に及ぶ新型コロナウイルス感染症拡大の波に直面しつつも、ワクチンの普及等を受けた経済活動正常化の動きや各国政府の対策等を背景に、総じて回復を続けました。一方で、コロナ禍の行動制限が残るなかでの需要回復は、各種の供給制約を通じて、世界的なインフレ圧力の高まりをもたらしました。第4四半期に入ると、ロシア・ウクライナ情勢の急転に起因して主要先進国中心に厳しい対露経済制裁措置が導入され、ロシアの生産シェアが高い原油や天然ガス、小麦等の資源・穀物価格急騰や経済の先行き不透明感の高まりにより企業や家計のマインドが世界的に悪化しました。わが国では、新型コロナウイルス感染症拡大時に緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用といった感染対策が講じられ、経済活動正常化との両立が模索されました。
金融情勢に目を転じますと、株価は、景気の回復基調等を背景に概ね高値圏で推移しましたが、期末にかけてはロシア・ウクライナ情勢を受け大きく値を下げる場面もみられました。金利については、景気回復やインフレ率の高まりを受け、米欧では金融政策正常化に向けた動きが明確化し、市中金利は上昇傾向で推移しました。わが国では日本銀行が大規模な金融緩和政策を維持しており、短期金利は低水準を続けましたが、米欧での金利上昇に連れ長期金利は期末にかけてやや上昇しました。ドル円相場は、日米金利差の拡大を背景に円が売られ易い展開が続き、年度末には一時1ドル125円台となるなど円安・ドル高の動きが大きく加速しました。
主たる戦略の柱として「企業変革」、「成長戦略」、「構造改革」を当社グループの各事業会社、事業本部、コーポレートセンターが一体で推進しています。
「企業変革」では、会社のありようを変える、変革を進めていくという観点から、「デジタルトランスフォーメーション」、「環境・社会課題への貢献」に取り組むとともに、スピードと挑戦をキーワードに「カルチャー改革」を推進します。
「成長戦略」では、収益力を強化すべく、「ウェルスマネジメント」、「経営課題解決型アプローチ」、「アジアビジネス」、「GCIB & Global Markets」、「グローバルAM(アセットマネジメント)/IS(インベスターサービス)」を推進します。
「構造改革」では、強靭性の確保に向け、「経費・RWAコントロール」、「基盤・プラットフォーム改革」及び低採算事業の見直しや新規ビジネスへの挑戦といった「事業ポートフォリオ見直し」を推進します。
なお、一部の施策では、足元の新型コロナウイルス感染症への対応の影響等により進捗に遅れが生じる可能性もございますが、今後影響については慎重に見極めてまいります。
当社グループは、お客さま、社員、株主等、ステークホルダーの安全確保を最優先とし、社会機能の維持に不可欠な金融インフラとして、事業者の資金繰り支援等の施策を通じ、お客さま・社員・株主をはじめとする全てのステークホルダーの皆さまの期待に応えてまいります。
(A) 企業変革(DX)
① デジタルトランスフォーメーション
あらゆるお客さまに対するデジタルサービス接点の強化、商品・サービスのデジタル化を推進します。デジタルを活用した業務量削減に取り組んでまいります。
② 環境・社会課題への貢献
「気候変動」、「少子・高齢化」、「インクルージョン&ダイバーシティ」を優先課題とし、事業戦略、リスク管理、社会貢献施策を展開します。
③ カルチャー改革(スピード・挑戦する文化)
存在意義(パーパス)起点での行動を促し、自由闊達な企業風土を醸成し、戦略のスピードアップや社員の自律的な挑戦を促進します。
(B) 成長戦略
④ ウェルスマネジメント
総合的な資産運用を支援するためのインフラ整備や人材投入、法人オーナーへのソリューション提供を通じてビジネスを強化してまいります。
⑤ 経営課題解決型アプローチ
法人のお客さまの経営課題に向き合い、リスクテイク力を強化し、グループ一体で課題解決に取り組んでまいります。
⑥ アジアビジネス
連結子会社のアユタヤ銀行(タイ)、ダナモン銀行(インドネシア)を中心に、アジアを面で捉え成長を取込みつつ、デジタル化を推進します。
⑦ GCIB & Global Markets
機関投資家との取引拡大を通じ、資産回転・フロービジネス(O&D/OtoD※、クロスセル)を強化してまいります。
※Origination & Distribution/Origination to Distributionの略称
ファイナンスを組成し、投資家に販売する業務施策。「O&D」は当該業務施策全般を指す総称であるのに対し、特に、投資家ニーズを起点に案件を組成する取り組みを「OtoD」という。
⑧ グローバルAM/IS
業界成長が望める海外資産運用・管理領域において、当社の強みを活かした受託ビジネスを推進します。
(C) 構造改革
⑨ 経費・RWAコントロール
成長に必要な投資は行いつつ、ベース経費の削減を徹底します。RWAは、高採算案件への張り返しにより、コントロールします。
⑩ 基盤・プラットフォーム改革
デジタルシフトに必要な投資を効率的・効果的に実施します。改革に必要な手続・ルールの簡素化、意思決定プロセスの見直しに取り組んでまいります。
⑪ 事業ポートフォリオ見直し
低採算事業の見直しによりROE向上に取り組んでまいります。異業種を含めた他社との連携により事業力を強化します。
本中期経営計画では、中期経営計画の最終年度である2023年度の財務目標の水準を以下の通り設定しております(2021年5月公表)。
〔ROE目標・資本運営のターゲット〕
〔ROE目標達成に向けての3つのドライバー〕
*1 バーゼルⅢ規制見直しの最終化によるリスク・アセット増加影響を反映させた試算値。その他有価証券評価
差額金を除く
*2 親会社株主に帰属する当期純利益
*3 中長期の経費率目標(60%程度)は不変
① 基本方針
MUFG Wayのもと、人事マネジメントの基本的な考え方を示した「MUFG人事プリンシパル」に基づき、
「信頼・信用」「プロフェッショナリズムとチームワーク」「成長と挑戦」を共有すべき価値観として、グルー
プ各社が人事運営方針を立案、遂行しています。
② 社員の挑戦を促すカルチャー改革
MUFGでは、今中期経営計画を「変革と挑戦」の3年間と位置づけ、カルチャー改革を進めています。人材
戦略においても、グループ内外で多様な経験に挑戦することができるキャリアチャレンジ制度の提供を通じ
て、社員の「成長と挑戦」を強く後押ししています。
③ 価値創造を担う人材の育成・確保
MUFGの持続的成長に向けて、さまざまな領域で活躍するプロフェッショナル人材を確保すべく、グルー
プ各社で、各種研修・OJT等を実施しています。また、新事業への進出・展開等にあたっては、新たな分野の
専門性を有する、即戦力となる人材が必要になることから、外部人材の積極的な採用も進めています。
④ インクルージョン&ダイバーシティ
MUFGは、サステナビリティ経営の優先10課題の一つに「インクルージョン&ダイバーシティ」を掲げ、
多様な価値観やバックグラウンド、就業意識を持つ社員が互いに尊重・切磋琢磨し、一人ひとりが成長・活躍
できる組織・カルチャーの醸成に取り組んでいます。経営トップのコミットメントのもと、2024年3月末の国内
の女性マネジメント(課長以上のラインマネジメント)比率を20%にするとの目標を設定しています(2022年度
に同目標値を18%から20%に引き上げ)。
⑤ 働き方改革及び健康経営の推進
MUFGは、社員が持てる力を最大限発揮するために、サステナビリティ経営の優先10課題の一つに「働き
方改革の推進」を掲げ、リモートワークやペーパーレス化等のインフラ整備を進めるなど、社員の自由で柔軟
な働き方を後押ししています。また、社員の人権の尊重や、明るく働きやすい職場環境づくりの一環として、
心身の健康促進に取り組んでいます。
MUFGでは、持続可能な社会の実現に貢献するため、優先的に取り組む環境・社会課題の一つに「気候変動
対応・環境保全」を掲げています。
MUFGは、PCAF(Partnership for Carbon Accounting Financials)、NZBA(Net Zero Banking
Alliance)及びGFANZ(Glasglow Financial Alliance for Net Zero)をはじめとする、気候変動に対処す
るためのさまざまなイニシアティブに参画しています。また、金融安定理事会(FSB)によって設立された、
気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures : TCFD)
の提言を支持しています。
① ガバナンス
気候変動に関する課題は、取締役会の監督のもと、経営会議がその傘下に様々な委員会を設置して管理し
ています。サステナビリティ委員会は、経営会議傘下の委員会で、Chief Sustainability Officer が委員長
を務めています。同委員会では気候変動リスクや機械を含めた気候変動に関する課題への取り組み方針を定期的に審議するとともに、MUFGグループの取り組みの進捗状況をモニタリングしています。サステナビリティ委員会は、経営会議へ報告を行い、必要に応じて取締役会へも報告を行っています。
MUFGでは、気候変動に関するリスクをトップリスクと位置づけており、経営会議傘下の委員会である 投融資委員会、与信委員会、リスク管理委員会において、それぞれの専門性を踏まえた検討を行っています。これらの各委員会は、経営会議へ報告を行っています。
また、投融資委員会、リスク管理委員会は、取締役会傘下委員会であるリスク委員会に報告を行い、グループ全体のリスク管理に関する事項及びトップリスクに関する事項について審議・報告を行っています。
業務執行の意思決定機関として経営会議を設置し、取締役会の決定した基本方針に基づき、経営に関する全般的重要事項を協議決定しています。
取締役会は、事業戦略、リスク管理、財務監視に沿って、気候変動に関する事項の管理を監督します。監督は、PDCAサイクルに基づいて行われます。取締役会は、気候変動に関連する事項を最優先事項と位置づけ、年次計画に基づき定期的に、又は必要に応じて、議論・審議を行っています。
ガバナンス体制の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照してください。
② 戦略
MUFGは、地球温暖化問題に取り組むグローバル金融機関としての責任を認識し、お客さまに提供する商品・サービスや、事業活動に伴う環境負荷を低減するための施策を通じて、脱炭素社会への移行に向けた取り組みを支援していきます。
MUFGは、金融機関として、気候変動関連のリスクを二つのカテゴリーに分類し、取り組みを進めています。一つは、異常な暴風雨や洪水などの悪天候事象の深刻化や頻度の増加、気温や海面水位の上昇、降水量や 降水分布の変化などの気候パターンの長期的な変化などによる物理的損害から生じるリスクであり、「物理的リスク」と分類されます。もう一つは、脱炭素社会への移行に関連して生じるリスクであり、規制、市場の選好、技術の変化などから生じるリスクであり、「移行リスク」と分類されます。
MUFGは、お客さまの目標達成を支援し、脱炭素社会への移行に貢献するための、持続可能な金融ソリューションを提供する能力を高めるべく、気候変動に対応した商品・サービスの拡充に努めています。例えば、再生可能エネルギー事業や、プラスの環境影響が見込まれるスタートアップ企業などへの融資に取り組んでいます。
③ リスク管理
現在、気候変動に関するリスク管理は、上述のガバナンス体制のもと、グループ全体の視点から、気候変動
に関するリスクとその潜在的なポートフォリオ、事業、財務への影響をより的確に把握、測定、低減することを目的として、リスク管理枠組みの中に統合されています。MUFGのリスク管理フレームワークは、物理的リスクと移行リスクに対処することを意図しています。
また、ファイナンス※において、環境・社会に係るリスクを管理する枠組みとして、「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」を制定しています。石炭火力発電や鉱業(石炭)、石油・ガス等、気候変動を含む環境・社会への影響が懸念される特定のセクターについては、ファイナンスにおけるポリシーを定めるとともに、ファイナンスの対象となる事業の環境・社会に対するリスク又は影響を特定し、評価するためのデューデリジェンスのプロセスを導入しています。
※MUFGの主要子会社である銀行、信託及び三菱UFJ証券ホールディングスの法人のお客さま向けの与
信及び債権・株式引受を指します。
気候変動に関するリスクについては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」を、リスク管理フレームについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照してください。
④ 指標と目標
2021年5月、MUFGは、2050年末までに投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量をネットゼロに、2030年末までに当社自らの温室効果ガス排出量をネットゼロにするという目標を発表しました。これらの目標は、パリ協定の合意事項を支持するとともに、MUFGグループにとって気候変動に関連するリスクと機会を最優先課題として認識していることを示しています。
当社グループは、各種のリスクシナリオが顕在化した場合の影響度と蓋然性に基づき、その重要性を判定しており、今後約1年間で最も注意すべきリスク事象をトップリスクとして特定しています。2022年3月の当社リスク委員会において特定されたトップリスクのうち、主要なものは以下のとおりです。当社グループでは、トップリスクを特定することで、それに対しあらかじめ必要な対策を講じて可能な範囲でリスクを制御するとともに、リスクが顕在化した場合にも機動的な対応が可能となるように管理を行っています。また、経営層を交えてトップリスクに関し議論することで、リスク認識を共有した上で実効的対策を講じるように努めています。
主要なトップリスク
※リスク事象:2022年3月の当社リスク委員会での審議を経て、取締役会に報告されたものの一例です。一般的に起こり得る事象で、当社固有でない情報も含まれます。
当社及び当社グループの事業その他に関するリスクについて、上記トップリスクに係る分析を踏まえ、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項は、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
本邦及び世界の経済は、新型コロナウイルスの感染拡大とそれに対して各国で採られる渡航、店舗等の営業その他の経済活動の制限等の措置等から、悪化する可能性があります。一部では経済活動の正常化に向けた動きも見られますが、新型コロナウイルス感染拡大の収束時期は不透明であり、不確実性は残存しています。また、米国政権の動向、米中対立の懸念、世界的なインフレ懸念、世界的な地政学リスク、国際的な商品供給や貿易活動の停滞、世界各地域における政治的混乱、主要国における金融政策や財政政策の変更、為替レートの急速かつ大幅な変更等の要因も引き続き存在しており、先行き不透明な状況です。また、紛争(深刻な政情不安を含みます。)、テロ、国家間対立やこれに起因する経済制裁、地震・風水害・感染症の流行等の自然災害等の外的要因により、影響を受けた地域の経済の悪化や市場の混乱が引き起こされる可能性もあります。本邦及び世界経済が悪化した場合、当社グループには、保有する有価証券等の市場価格の下落による損失、取引先の業績悪化等による不良債権及び与信関係費用の増加、市場取引の相手先の信用力低下等による収益減少、外貨資金流動性の悪化、外貨資金調達コストの増加、リスクアセットの増加等が生じる可能性があります。また、各国の中央銀行の金融政策の変更による国内外の金利の低下等に伴う資金収益力の低下等により、当社グループの収益力が低下する可能性があります。さらに、経済活動の停滞による企業の新規投資や商取引の減少、個人消費の落ち込み、先行き不透明な金融市場での投資意欲減退、お客さまの預かり資産減少などが生じる可能性があります。
また、債券・株式市場や外国為替相場の大幅な変動により金融市場の混乱・低迷、世界的な金融危機が生じた場合等には、当社グループが保有する金融商品の価値が下落し、適切な価格を参照できない状況が生じ、又は金融市場の機能不全が生じ、当社グループが保有する金融商品において減損若しくは評価損が生じる可能性があります。
これらにより、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。
紛争(深刻な政情不安を含みます。)、テロ、国家間対立やこれに起因する経済制裁、地震・風水害・感染症の流行等の自然災害等の外的要因により、社会インフラに障害が発生し、当社グループの店舗、ATM、システムセンターその他の施設が被災し、又は業務の遂行に必要な人的資源の損失、又はその他正常な業務遂行を困難とする状況が発生することで、当社グループの業務の全部又は一部が停止又は遅延するおそれ、あるいは事業戦略上の施策や市場・規制環境の変化への対応が計画どおり実施できないおそれがあります。また、これらの事象に対応するため、予防的なものも含めた追加の費用等の発生などにより、当社グループの財政状態や経営成績に悪影響が生じる可能性があります。
例えば、新型コロナウイルスの感染拡大により、当社グループでは一部の拠点を休業したり、移動の制限により、当社グループ及び業務委託先の業務が一部縮小するなどの影響がありました。当社グループでは安全確保と業務継続の両立に向けて、社長を本部長とするグループ対策本部を設置し、リモートワークやオフピーク通勤の推進等各種対策を講じておりますが、当社グループ及び業務委託先の従業員が新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受けて当社グループの業務に支障をきたした場合やこれらの対策の結果としてサイバーセキュリティが脆弱になり、情報流出が生じた場合等には、更なる悪影響を受ける可能性があります。
また、当社グループは、自然災害のなかでも特に地震による災害リスクにさらされており、首都圏等当社グループの事業基盤が集中している地域において大規模な地震が発生した場合には、当社グループの財政状態や経営成績に悪影響が生じる可能性があります。当社グループでは、このような災害等のリスクに対し、各国当局の規制等を踏まえた業務継続態勢を整備し、訓練等を通じた検証を行うことにより、常にオペレーショナル・レジリエンス(紛争、テロ(含むサイバーテロ)、自然災害等の事象が発生しても、重要な業務を継続できる総合的な能力)の強化を図っておりますが、必ずしもあらゆる事態に対応できるとは限りません。
当社グループでは、デリバティブ、貸出、債券、証券化商品等、引き続き多数の取引においてロンドン銀行間取引金利(LIBOR)等の金利指標を参照しております。LIBOR運営機関であるICE Benchmark Administrationは、パネル行の呈示レートに基づき算出するLIBORについて、2021年12月末に日本円・英ポンド・ユーロ・スイスフランの全テナー並びに米ドル1週間物及び2ヶ月物の公表を停止しました。また、同運営機関は、2023年6月末に米ドルの残り全てのテナーの公表を停止予定です。
当社グループでは、2021年末以降のLIBOR公表停止に備え、LIBOR等の金利指標の改革や代替金利指標への移行対応を進めており、2021年末に公表停止となったLIBORの各テナーを参照する取引の対応には目途がつきました。しかし、2023年6月末に公表停止予定の米ドルLIBORの各テナーを参照する取引については引き続き代替金利指標への移行対応が必要です。LIBOR等からの代替金利指標への移行は、これらの代替金利指標に係る経済的な特性・成果、市場動向、また会計・規制上の取扱いを含め、複雑かつ不確実な要素があり、これによって、以下の事由を含め、当社の事業、財務状況及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
・ 当社グループの金融資産及び負債に含まれるLIBOR等を参照するローンやデリバティブを含む幅広い金融商品の価格、流動性、収益性及び取引可能性に悪影響を及ぼす可能性
・ 既存のLIBOR等を参照する契約の参照金利をLIBOR等から代替金利指標に変更するための契約修正等がLIBOR等の公表停止時期までに完了しない可能性
・ 顧客、取引相手方等との間で、金利指標の改革や代替金利指標への移行に伴う、契約の解釈、代替金利指標との価値調整等に係る紛争が生じる、あるいは顧客との取引における不適切な取引慣行及び優越的地位の濫用等に関する紛争に繋がる可能性
・ LIBOR等の改革や代替金利指標への移行に関する規制当局への対応が必要となる可能性
・ LIBOR等の改革や代替金利指標への移行に対応するための事務やリスク管理に係るシステムが十分に機能しない可能性
気候変動に伴う自然災害や異常気象の増加等によってもたらされる物理的な被害、並びに気候関連の規制強化及び脱炭素技術への対応といった脱炭素社会への移行により、当社グループの事業活動が直接的に影響を受け、又は、当社グループの取引先の事業や財務状況に影響を及ぼし、取引先への影響を通じて当社グループの与信ポートフォリオ管理・運営に影響を与える等により、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、TCFDが策定した気候変動関連財務情報開示に関する提言を支持するとともに、TCFDに沿ったリスクの把握・評価や情報開示の拡充に取り組んでおり、また、気候変動対策や脱炭素社会への移行をサポートする取り組みも進めておりますが、気候変動に関するリスクへの取り組みや情報開示が不十分であった場合、気候変動対策や脱炭素社会への移行をサポートするための当社グループの戦略が想定通り進捗しない場合、気候変動に関するリスク管理が想定通り機能しない場合、若しくは気候関連の規制強化に十分に対応できない場合、又はそのように見做され、社会に対する責任を十分に果たしていないと見做された場合などには、当社グループの企業価値の毀損に繋がるおそれがあり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
金融業界では、新たな技術の進展や規制緩和等に伴い、電子決済領域など、他業種から金融業界への参入が加速しており、今後も競争環境は益々厳しさを増す可能性があります。
また、当社グループは、収益力増強のためにグローバルベースで様々なビジネス戦略を実施しておりますが、競合相手である他のグローバル金融機関による統合・買収・戦略的提携の進展等に伴い、競争が激化してきております。
そうした中、以下に述べるものをはじめとする様々な要因が生じた場合には、これら戦略が功を奏しない、当初想定していた結果をもたらさない、又は変更を余儀なくされ、こうした競争的な事業環境において競争優位を得られない場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
・ 取引先への貸出ボリュームの維持・増大が想定通りに進まないこと。
・ 既存の貸出についての利鞘拡大が想定通りに進まないこと。
・ 本邦における長短金利操作付き量的・質的金融緩和の長期化、又はマイナス金利幅の更なる拡大により、貸出利鞘の縮小が進行すること。
・ 当社グループが目指している手数料収入の増大が想定通りに進まないこと。
・ デジタルトランスフォーメーション戦略の遅れ等により次世代の金融サービス提供が想定通りに進まないこと。
・ 効率化を図る戦略が想定通りに進まないこと。
・ 現在実施中又は今後実施する事業ポートフォリオの見直し、システム統合及び効率化戦略等が想定通り進捗せず、顧客やビジネスチャンスの逸失若しくは想定を上回る費用が生じること。
・ 必要な人材を確保・育成できないこと。
・ 必要な外貨流動性を確保できないこと。
・ 本邦及び諸外国の法規制により、金融機関以外の事業者への投資の機動性や積極性が制限されること。
当社グループは、業務範囲の拡大や海外事業の展開を行っており、これらに伴う新しくかつ複雑なリスクにさらされる場合があります。当社グループでは、かかるリスクに対応するために内部統制システム及びリスク管理システムや法規制対応体制の構築、必要な人材の確保・育成に努めておりますが、必ずしもあらゆる事態に対応できるとは限らず、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
また、当社グループは、世界に選ばれる、信頼のグローバル金融グループを目指し、その戦略的施策の一環として、グローバルベースで買収・出資・資本提携等を実施しており、今後も買収・出資・資本提携等を行う可能性があります。既存の重要な海外子会社としては、MUFG Americas Holdings Corporation(以下「MUFG Americas Holdings」)、Bank of Ayudhya Public Company Limited.及びPT Bank Danamon Indonesia, Tbk.があります。しかしながら、政治や社会情勢の不安定化、経済の停滞、金融市場の変動、監督当局の不承認、法令・会計基準の変更、当社グループの意図とは異なる相手先の戦略や財務状況の変化、相手先の属する地域特性・業界・経営環境の想定外の変化等により、買収・出資・資本提携等が当社グループの想定通り進展せず、若しくは変更・解消され、又は想定通りのシナジーその他の効果を得られない可能性や、買収・出資・資本提携等に際して取得した株式や買収・出資・資本提携等により生じたのれん等の無形固定資産の価値が毀損する可能性があります。これらの結果、当社グループの事業戦略、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。買収・出資に伴う当社グループののれん等の無形固定資産の状況については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」をご参照下さい。
更に業務範囲の拡大が予想通りに進展しない場合、当社グループの業務範囲拡大への取組みが奏功しないおそれがあります。
当社及び三菱UFJ銀行は、2021年9月21日付で、当社の米国子会社であるMUFG Americas Holdings Corporation(以下、「MUAH」といいます。)を通じて保有するMUFG Union Bank, N.A.(以下、「MUB」といいます。)の全株式をU.S. Bancorp(以下、「USB」といいます。)に譲渡することについてUSBと合意し、株式譲渡契約(以下、「本株式譲渡契約」といいます。)を締結しました。
本株式譲渡契約に基づく株式譲渡(以下、「本株式譲渡」といいます。)は、関係当局の承認等を条件として2022年1月~6月の実行を予定していましたが、足元進めている米国当局からの許認可取得プロセスは現在も継続していることから、実行予定時期を2022年7月~12月へと変更しました。関係当局の承認等の条件が満たされない場合又は条件の充足に想定外の時間を要した場合には、本株式譲渡が予定通りに完了しない可能性があります。
また、USBに対して本株式譲渡を通じて譲渡するMUBの事業には、MUBが現在営んでいるグローバルCIB(以下、「GCIB」といいます。)事業(一部預金等の例外を除く。)、GCIBに関連する市場業務(対顧客・投資家取引)、及び一部のミドル・バックオフィス機能等に関する資産・負債等は含まず、これらの事業及び資産・負債等(これらの事業に属するお客さまとの取引を含みます。)は、本株式譲渡に先立って三菱UFJ銀行の米国内支店又は関連会社に移管する予定です。更に、当社及びUSBの両社は、本株式譲渡の実行までの間に、現在MUBで行っているお客さまとの取引を、本株式譲渡後においてもMUB及び/又は三菱UFJ銀行にて円滑に継続し、さらに質の高い金融サービスを提供することができるよう、Transitional Service Agreement(TSA)及びReverse Transitional Service Agreement(RTSA)を締結します。これらの移管、及びTSA/RTSAに沿ったサービス提供に関しては、短期間のうちに複数の複雑な対応を求められるほか、特にシステム領域ではUSBとの一部システムに係る共有対応に加え、USBにおけるシステム統合への協力等が必要となり、いずれも当社グループにとっての負荷が高いものと想定しています。また、状況次第では、当社グループに当初の想定を上回る負担が生じる可能性があります。
上記のいずれかのように本株式譲渡が当社の想定通りに完了しない場合、又は本株式譲渡に伴う想定を上回る負担が生じた場合には、当社グループの事業戦略、財務状況及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、モルガン・スタンレーの普通株式(転換直後の当社保有議決権比率22.4%、2022年3月末時点では21.5%)及び償還型優先株式(無議決権)を保有するとともに、日本における証券業務について合弁会社を共同運営するほか、米州におけるコーポレートファイナンス業務において提携する等、モルガン・スタンレーと戦略的提携関係にあります。
当社は、今後も戦略的提携関係の深化を図っていく予定ですが、社会・経済・市場・金融環境の変化や人員、商品、サービスにおける協働又は合弁会社の運営・管理体制や事業戦略の構築・実施が想定通りにいかない場合等においては、期待したとおりのシナジーその他の効果を得られない可能性があります。
モルガン・スタンレーとの戦略的提携関係が解消された場合には、当社グループの事業戦略、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社はモルガン・スタンレーの支配株主ではないため、同社の事業等を支配し、また同社に関する決定をすることはできません。モルガン・スタンレーが当社グループの利益に合致しない決定を独自に行う場合、結果として当初想定した戦略的提携の目的が達成できない可能性があります。さらに、当社はモルガン・スタンレーに対して大規模な投資を行っているため、同社の財政状態又は経営成績が悪化した場合、当社グループは多額の投資損失を被る可能性があります。
当社は、モルガン・スタンレーの議決権の21.5%(2022年3月末時点)を保有するとともに、同社に取締役を2名派遣しております。これらにより、モルガン・スタンレーは当社の持分法適用関連会社となっております。そのため、当社は、モルガン・スタンレーの損益の持分比率相当割合を持分法投資損益として認識しています。また、モルガン・スタンレーの流通株式の増減に伴って当社の同社に対する持分比率が増減した場合には持分変動損益を認識する場合もあることから、当社グループの業績は、モルガン・スタンレーの業績動向及び同社に対する持分比率変動の影響を受けることになります。
当社グループ及び銀行子会社には、バーゼルⅢに基づく自己資本比率及びレバレッジ比率に関する規制が適用されております。また、2022年4月28日に金融庁は、自己資本比率規制に関する告示の一部改正を公布し、最終化されたバーゼルⅢの国際統一基準行に対する実施時期を2024年3月末とすることを公表しております。加えて2023年より、レバレッジ比率の要求水準への上乗せが適用される予定です。
当社グループ又は銀行子会社の自己資本比率及びレバレッジ比率が各種資本バッファーを含め要求される水準を下回った場合、金融庁から社外流出額の制限、業務の停止等を含む様々な命令を受ける可能性があります。
また、当社グループ内の一部銀行子会社には、米国を含む諸外国において、現地における自己資本比率等の規制が適用されており、要求される水準を下回った場合には、現地当局から様々な命令を受けることになります。
当社グループ及び銀行子会社の自己資本比率及びレバレッジ比率に影響を与える要因には以下のものが含まれます。
・ 債務者及び株式・債券の発行体の信用力の悪化に際して生じうるポートフォリオの変動
・ 調達している資本調達手段の償還・満期等に際して、これらを同等の条件で借り換え又は発行することの困難性
・ 有価証券ポートフォリオの価値の低下
・ 為替レートの不利益な変動
・ 自己資本比率等の規制の不利益な改正
・ 繰延税金資産計上額の減額
・ その他の不利益な事象の発生
当社グループは、金融安定理事会(FSB)によりG-SIBに指定されており、他の金融機関より高い資本水準が求められていますが、今後更に高い資本水準を求められるおそれがあります。
FSBが2015年11月に公表した「グローバルなシステム上重要な銀行の破綻時の損失吸収及び資本再構築に係る原則」及び2017年7月に公表した「グローバルなシステム上重要な銀行の内部総損失吸収力に係る指導原則」を踏まえ、本邦では2019年3月期より当社グループを含むG-SIBsに対して一定比率以上の損失吸収力等を有すると認められる資本・負債(以下、「外部TLAC」といいます。)を確保することが求められ、また、確保した外部TLACはグループ内の主要な子会社に一定額以上を配賦すること(以下、「内部TLAC」といいます。)になっています。また、規制で要求される水準は2022年3月期から引き上げられました。当社グループ内では、株式会社三菱UFJ銀行(以下、「三菱UFJ銀行」といいます。)、三菱UFJ信託銀行株式会社(以下、三菱UFJ信託銀行といいます。)、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社及びMUFG Americas Holdingsが主要な子会社として指定されています。当社グループは、外部TLAC比率又は本邦における主要な子会社に係る内部TLAC額として要求される水準を下回った場合、金融庁から社外流出額の制限を含め、様々な命令を受ける可能性があります。外部TLAC比率及び内部TLAC額は、自己資本比率等の規制に係る上記(1)~(2)に記載する様々な要因により影響を受けます。当社グループは、要求されるTLACの確保のため、適格な調達手段の発行を進めておりますが、TLACとして適格な調達手段の発行及び借り換えができない場合には、外部TLAC比率及び内部TLAC額として要求される水準を満たせない可能性があります。
また、当社グループ内の米国の一部銀行子会社であるMUFG Americas Holdingsは、現地におけるTLAC規制が適用されており、要求される水準を下回った場合には、現地当局から様々な命令を受けることになります。
当社はグローバルにビジネスを展開しており、外貨建ての金融資産及び負債を保有しています。為替レートの変動により、それらの資産及び負債の円貨換算額も変動します。当社グループでは、通貨毎の資産と負債の額の調整やヘッジを行っておりますが、変動を相殺できない場合、当社グループの自己資本比率、財政状態及び経営成績は、為替レートの変動により、悪影響を受ける可能性があります。海外における保有資産及び負債の状況については、本有価証券報告書の「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご覧下さい。
貸出業務は当社グループの主要業務の一つとなっています。当社グループは、担保や保証、クレジットデリバティブ等を用いて信用リスクの削減に取り組んでおりますが、借り手が期待通りに返済できない場合、又は当社グループが借り手の返済能力の悪化に対して、又はその可能性を予測して講じた措置が不適切又は不十分である場合には、将来、追加的な与信関係費用が発生する可能性があります。その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼし、自己資本の減少につながる可能性があります。なお、与信関係費用、銀行法及び金融再生法に基づく開示債権の状況については、本有価証券報告書の「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」、クレジットデリバティブ取引については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (デリバティブ取引関係)」をご参照下さい。当社グループの与信関係費用及び不良債権は、新興国を含む国内外の景気の悪化、資源価格の変動、不動産価格や株価の下落、新興国通貨安、貸出先の業界内の競争激化等による業績不振等により増加する可能性があります。
当社グループは、貸出先の状況、担保の価値及び経済全体に関する前提及び見積りに基づいて、貸倒引当金を計上しておりますが、経済情勢全般の悪化や個別貸出先の業績悪化等により追加の貸倒引当金を計上せざるを得なくなったり、実際の貸倒れが貸倒引当金を上回ることにより、追加的な与信関係費用が発生したりする可能性があります。また、貸倒引当金の計上に関する規制や指針が変更され、貸倒引当金の計上の際に用いる評価方法に変更が生じた結果として、貸倒引当金を追加で計上しなければならなくなる可能性もあります。2022年3月末基準における当社の連結貸借対照表上の貸倒引当金額は1兆2,221億円でした。貸倒引当金の計上については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照下さい。
当社グループは、貸出その他の与信に際しては、特定の業種、特定の与信先への偏りを排除すべくポートフォリオ分散に努めておりますが、不動産業種向けの与信は、相対的に割合が高い状況にあり、これらの業種等の業績悪化の影響を受けやすい状況にあります。個々の与信先の状況や、業界特有の動向、新興国を含む各国の国情については継続的にモニタリング・管理を実施しておりますが、国内外の景気動向(気候変動や新型コロナウイルス感染症、ロシア・ウクライナ情勢が与える影響を含みます。)や不動産・資源価格・外国為替の動向等によっては、想定を上回る信用力の悪化が生じる可能性があります。
当社グループは、回収の効率・実効性その他の観点から、貸出先に債務不履行等が生じた場合においても、当社グループが債権者として有する法的な権利のすべてを必ずしも実行しない場合がありえます。
また、当社グループは、それが合理的と判断される場合には、貸出先に対して債権放棄又は追加貸出や追加出資を行って支援をすることもありえます。かかる貸出先に対する支援を行った場合は、当社グループの貸出残高が大きく増加し、与信関係費用が増加する可能性や追加出資に係る株価下落リスクが発生する可能性もあります。
国内外の金融機関(銀行、ノンバンク、証券会社及び保険会社等を含みます。)の中には、資産内容の劣化及びその他の財務上の問題が存在している可能性があり、今後悪化する可能性やこれらの問題が新たに発生する可能性もあります。こうした金融機関の財政的困難が継続、悪化又は発生すると、それらの金融機関の流動性及び支払能力に問題が生じるだけでなく、金融システムに問題が生じ金融業や経済全般へ波及するおそれもあり、以下の理由により当社グループに悪影響を及ぼす可能性があります。
・ 当社グループは、一部の金融機関へ信用を供与しております。
・ 当社グループは、一部の金融機関の株式を保有しております。
・ 問題の生じた金融機関が貸出先に対して財政支援を打ち切る又は減少させるかもしれません。その結果、当該貸出先の破綻や、当該貸出先に対して貸出をしている当社グループの不良債権の増加を招くかもしれません。
・ 経営破綻に陥った金融機関に対する支援に当社グループが参加を要請されるおそれがあります。
・ 政府が経営を支配する金融機関の資本増強や、収益拡大等のために、規制上、税務上、資金調達上又はその他の特典を当該金融機関に供与するような事態が生じた場合、当社グループは競争上の不利益を被るかもしれません。
・ 預金保険の基金が不十分であることが判明した場合、当社グループの支払うべき預金保険の保険料が引き上げられるおそれがあります。
・ 金融機関の破綻又は政府による金融機関の経営権取得により、金融機関に対する預金者の信任が全般的に低下する、又は金融機関を取巻く全般的環境に悪影響を及ぼすおそれがあります。
・ 金融業及び金融システムに対する否定的・懐疑的なマスコミ報道(内容の真偽、当否を問いません。)により当社グループの評判、信任等が低下するおそれがあります。
当社グループは政策投資目的で保有するものを含め市場性のある株式を大量に保有しており、2022年3月末基準の保有時価合計は約4.6兆円、その簿価は約1.8兆円となっています。当社グループでは、株価変動リスクの抑制の観点も踏まえ、「政策保有に関する方針」において、政策保有株式の削減を基本方針とし、保有意義・経済合理性を検証したうえで、保有の妥当性が認められない場合には、取引先の十分な理解を得た上で、売却を進めております。また、政策保有株式に対しては、トータル・リターン・スワップ等をヘッジ手段として部分的にヘッジを行うことで、株価変動リスクの削減に努めております。
しかしながら、株価が下落した場合には、保有株式に減損又は評価損が発生若しくは拡大する可能性があります。また、自己資本の算出にあたり、保有株式の含み損益を勘案していることから、株価が下落した場合には、自己資本比率等の低下を招くおそれがあります。その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
なお、当社グループが保有する政策投資株式の状況については、本有価証券報告書の「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (5) 株式の保有状況」をご参照下さい。
当社グループは、デリバティブを含む様々な金融商品を取り扱う広範な市場業務を行っており、大量の金融商品を保有しています。これにより、例えば、国内外の金融政策の変更等により内外金利が低下した場合、当社グループが保有する国債等の再投資利回りが低下する可能性があります。また、長短金利差が縮小する場合、資金利益が減少する可能性があります。一方、内外金利が上昇した場合、当社グループの保有する大量の国債等に売却損や評価損が生じる可能性があります。また、円高となった場合は、当社グループの外貨建て投資の財務諸表上の価値が減少し、売却損や評価損が発生する可能性があります。加えて、株価が下落した場合、当社グループが保有する株式等の価値が減少し、売却損や評価損が発生する可能性があります。当社グループでは、このような内外金利、為替レート、有価証券等の様々な市場の変動により損失が発生するリスクを市場リスクとして管理しておりますが、計算された市場リスク量は、その性質上、実際のリスクを常に正確に反映できるわけではなく、またこのように示されたリスク量を上回る損失が実現する可能性もあります。
なお、当社グループが保有する有価証券残高の状況については、本有価証券報告書の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(有価証券関係)」をご参照下さい。
格付機関による当社グループの格下げにより、当社グループの市場業務及びその他の業務が悪影響を受けるおそれがあります。特に外貨調達においては、調達コストの増加、又は調達余力の減少により、当社グループの流動性や収益力が悪影響を受ける、また市場業務においては、担保拠出の追加が求められる、又は顧客からの信用低下等を起因に一定の取引を行うことができなくなる等の悪影響を受けるおそれがあります。例えば、2022年3月末時点のデリバティブ取引及び信用格付に基づいて、当社及びその主要3子会社(株式会社三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行株式会社及び三菱UFJ証券ホールディングス株式会社)の格付が全て1段階格下げされたと仮定した場合、合計で約1,492億円、全て2段階格下げされたと仮定した場合、合計で約1,794億円の追加担保をMUFG及びその主要3子会社が提供する必要があったと推定されます。
格付機関は、当社の財務体質や当社グループの関連子会社の評価、国内外の金融業界全体に影響を与える要因などに基づいて、当社を定期的に評価していますが、当社グループがコントロールできない要因も含まれており、また、格付評価機関の評価手法については当社がコントロールしうるものではありません。当社は、資金流動性リスク管理上の指標を設ける等、適正な資金流動性の確保に努めておりますが、上記要因などに基づく評価又は格付方法の変更の結果、当社の格付又は当社子会社の格付が引き下がる可能性があり、かかる事態が生じた場合には、当社グループの市場業務及び他の業務の収益性に悪影響を与えるおそれや、当社グループの財政状態及び経営成績にも悪影響を与えるおそれがあります。
当社グループは、事業を行っている本邦及び海外における法令、規則、政策、自主規制等を遵守する必要があり、国内外の規制当局による検査、調査等の対象となっております。当社グループはコンプライアンス・リスク管理態勢及びプログラムの強化に継続して取り組んでおりますが、かかる取組みが全ての法令等に抵触することを完全に防止する効果を持たない可能性があります。
当社グループが、マネー・ローンダリング、経済制裁への対応、贈収賄・汚職防止、金融犯罪その他の不公正・不適切な取引に関するものを含む、適用ある法令及び規則を遵守できない場合、あるいは、社会規範・市場慣行・商習慣に反するものとされ、顧客視点の欠如等があったものとされる場合には、罰金、課徴金、懲戒、評価の低下、業務改善命令、業務停止命令、許認可の取消しを受ける可能性があります。また、当社グループが顧客やマーケット等の信頼を失い、当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響が生じる可能性があります。将来、当社グループが戦略的な活動を実施する場面で当局の許認可を取得する際にも、悪影響を及ぼすおそれがあります。
2019年2月に、三菱UFJ銀行は、米国通貨監督庁(Office of the Comptroller of the Currency。以下「OCC」といいます。)との間で、同行のニューヨーク支店、ロスアンゼルス支店及びシカゴ支店において、米国の銀行秘密法に基づくマネー・ローンダリング防止に関する内部管理態勢等が不十分であるとのOCCからの指摘に関し、改善措置等を講じることで合意しました。三菱UFJ銀行は、上述の事象に関連する事項について、必要な対応を行っております。
また、当社グループは、当社の銀行子会社を含むパネル行が各種銀行間指標金利の算出機関に呈示した内容等を調査している各国の政府当局から、情報提供命令等を受けておりました。また為替業務に関しても、当局から同様の情報提供要請を受けており、一部の当局との間では制裁金の支払いに合意しました。当社グループは、これらの調査に対して協力を行い、独自の調査等を実施しております。上記に関連して、当社グループは、指標金利であれば他のパネル行、為替業務であればその他金融機関とともに、米国におけるクラスアクションを含む、複数の民事訴訟の被告となっております。
今後、関係当局より更なる制裁金支払の処分等を受け、又は関係当局との間で新たな和解金の支払合意を行うなどの可能性を含め、新たな展開又は類似の事象により、当社グループに重大な財務上その他の悪影響が生じる可能性があります。
当社グループは、国内外の法規制に基づき、顧客情報や個人情報を適切に取り扱うことが求められております。当社グループでは、顧客情報や個人情報を多く保有しており、当社グループは、情報の保管・取扱いに関する規程類の整備、システム整備を実施し、管理態勢高度化に取組んでおりますが、不適切な管理、外部からのサイバー攻撃その他の不正なアクセス、若しくはコンピュータウイルスへの感染等により、顧客情報や個人情報等の紛失・漏洩を完全には防止できない可能性があります。その場合、罰則や行政処分の対象となるほか、顧客に対する損害賠償等、直接的な損失が発生する可能性があります。加えて、顧客の信頼を失う等により当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性、並びにこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があります。
当社グループのシステム(業務委託先等の第三者のシステムを含みます。)は、事業を行う上で非常に重要な要素の一つであり、リモートワークや非対面チャネルを通じた業務の拡大やデジタル戦略を推進している中で特に重要性が高まっており、適切な設計やテストの実施等によりシステム障害等を未然に防止し、セキュリティ面に配慮したシステムの導入に努めていますが、システム障害やサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス感染、人為的ミス、機器の故障、通信事業者等の第三者の役務提供の瑕疵、新技術、新たなシステムや手段への不十分な対応等を完全には防止できない可能性があります。また、すべてのビジネス要件や金融機関に対する規制強化の高まりからくる規制要件に対応するシステムの機能強化への要請を十分に満たせない可能性や、市場や規制の要請に応えるために必要なシステム構築や更新がその作業自体の複雑性等から計画どおりに完了しない可能性があります。その場合、情報通信システムの不具合や不備が生じ、取引処理の誤りや遅延等の障害、情報の流出等が生じ、業務の停止及びそれに伴う損害賠償の負担その他の損失が発生する可能性、当社グループの信頼が損なわれ又は評判が低下する可能性、行政処分の対象となる可能性、並びにこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があります。
当社グループは、イラン・イスラム共和国(以下、「イラン」といいます。)等、米国国務省が「テロ支援国家」と指定している国における法主体又はこれらの国と関連する法主体との間の取引を実施しております。また、当社の銀行子会社はイランに駐在員事務所を設置しております。
米国法は、米国人が当該国家と取引を行うことを、一般的に禁止又は制限しております。更に、米国政府及び年金基金をはじめとする米国の機関投資家が、イラン等のテロ支援国家と事業を実施する者との間で取引や投資を行うことを規制する動きがあるものと認識しております。このような動きによって、当社グループが米国政府及び年金基金をはじめとする機関投資家、あるいは規制の対象となる者を、当社グループの顧客又は投資家として獲得、維持できない結果となる可能性があります。加えて、社会的・政治的な状況に照らして、上記国家との関係が存在することによって、当社グループの評判が低下することも考えられます。上記状況は、当社グループの財政状態、経営成績及び当社の株価に対して悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、米国政府による対イラン制裁措置により、米国人の関与するイランとの取引の禁止などが実施されています。更に、2018年5月の米国によるイランに関する包括的共同行動計画(Joint Comprehensive Plan of Action)からの離脱後に発令された大統領令により、広範なイラン関連取引や活動について、関与した非米国人に対して二次制裁を適用し得るものとされています。当社グループでは、二次制裁を含む米国による措置が適用されるリスクの増加を受けて、今後とも当該リスクのモニタリングと対応策を実施してまいります。
更に、米国証券取引所に登録している企業(米国外企業を含みます。)には、特定のイラン関連の取引の開示が引き続き義務づけられています。本邦においても、イランの拡散上機微な核活動・核兵器運搬手段開発に関与する者に対する資産凍結等の措置が実施されています。当社グループでは、これらの規制を遵守するための態勢の改善に努めています。しかしながら、かかる態勢が適用される規制に十分対応できていないと政府当局に判断された場合には、何らかの規制上の措置の対象となる可能性があります。なお、これに関連する処分等については、「16.不公正・不適切な取引その他の行為が存在したとの指摘や、これらに伴う処分等を受けるリスク」をご参照下さい。
グローバルな金融サービス提供者として、当社グループの事業は国内外の法律、規則、政策、会計基準、実務慣行及び解釈、並びに国際的な金融規制等の継続的な変更のリスクにさらされております。主要な金融機関は、新技術、地政学上の変化、環境・社会・ガバナンス上の懸念、及び国際金融セクターに関するその他の懸念事項を背景とする、より厳しい法律、規制及び基準等への対応を迫られています。また、金融業界における不祥事やリスク管理の不備に関する事案を受け、社内のコンプライアンス・リスク管理体制の強化を求める動きも強まっています。当社グループに適用される法律、規制及び基準等は複雑で、多くの場合、これらを当社グループのビジネスに適用するに際しては、解釈を伴う決定が必要となります。法律、規則、政策、会計基準、実務慣行、解釈の変更及びその影響は、より多くの経営資源の投入のみならず、経営にも影響を与え、場合によっては経営戦略を変更せざるを得なくなるおそれがあります。第三者への委託により実施するものを含むコンプライアンスのプログラムやシステムについては、必要な強化を計画通りに実施できなくなる可能性も出てきます。また、当社グループに適用される法律や規制への対応が不十分な場合、罰金、警告、レピュテーションの悪化、業務改善及びその他の行政命令、営業の強制的停止、将来の戦略的イニシアチブに規制当局から承認が得られないこと、深刻な場合としては営業認可の取消を受ける場合等、当社グループの財政状況及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループは、消費者金融業に従事する子会社や関連会社を有すると同時に消費者金融業者に対する貸出金を保有しており、消費者金融業における事業環境や規制環境の変化により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。消費者金融業に関しては、いわゆるみなし弁済を厳格に解するものを含め、過払利息の返還請求をより容易にする一連の判例が出され、これらに伴い過払利息の返還を求める訴訟が引き続き発生しております。当社グループでは、消費者金融業に従事する子会社や関連会社における過払利息の返還による費用負担のほか、当社グループが貸出金を保有する消費者金融業者の業績悪化による追加的な与信費用が発生する可能性があり、消費者金融業に不利な新たな司法上の判断や規制強化がある場合には追加的な費用負担が発生する可能性もあります。利息返還損失引当金の計上については、本有価証券報告書の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照下さい。
当社グループは、本邦及び国際金融市場においてG-SIBに指定されており、世界に選ばれる、信頼のグローバル金融グループを目指しております。当社グループのビジネスはお客さまのみならず、地域社会、国際社会等からの信頼と信用の下に成り立っています。そのため、当社グループの評判は、お客さま、投資家、監督官庁、及び社会との関係を維持する上で極めて重要です。MUFG Wayや行動規範等を踏まえ、評判リスクの適切な管理に努めておりますが、特に、人権、環境、健康、安全等の社会的責任への懸念が生じる取引や各種法令等(アンチマネー・ローンダリング、経済制裁、競争法、暴力団排除条例等)の趣旨に反するおそれのある取引などを防止できず、又はこれらに適切に対処することができなかった場合で、大規模な報道に繋がり得るなど世論の注目が高いときや規制当局の関心が高いときなどにおいて、当社グループは、現在又は将来のお客さま及び投資家を失うこととなり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があり、企業価値を毀損する可能性があります。
当連結会計年度の業績につきましては、以下のとおりとなりました。
資産の部につきましては、当連結会計年度中142,583億円増加して、当連結会計年度末残高は3,737,319億円となりました。主な内訳は、現金預け金1,107,632億円、貸出金1,104,262億円、有価証券795,605億円となっております。負債の部につきましては、当連結会計年度中139,864億円増加して、当連結会計年度末残高は3,557,436億円となりました。主な内訳は、預金・譲渡性預金2,263,661億円となっております。
損益の状況につきましては、経常収益は前連結会計年度比505億円増加して、60,758億円となりました。主な内訳は、資金運用収益が25,874億円、役務取引等収益が17,291億円となっております。また、経常費用は前連結会計年度比4,334億円減少して、45,382億円となりました。主な内訳は、資金調達費用が5,439億円、営業経費が27,468億円となっております。
この結果、経常利益は前連結会計年度比4,840億円増加して、15,376億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比3,538億円増加して、11,308億円となりました。
(セグメント別の状況)
当連結会計年度における主な報告セグメントの営業純益は、デジタルサービス事業本部で前連結会計年度比9億円増加して1,723億円、法人・リテール事業本部で前連結会計年度比374億円増加して1,046億円、コーポレートバンキング事業本部で前連結会計年度比613億円増加して3,014億円、グローバルコマーシャルバンキング事業本部で前連結会計年度比327億円減少して2,434億円、受託財産事業本部で前連結会計年度比269億円増加して1,075億円、グローバルCIB事業本部で前連結会計年度比767億円増加して2,383億円、市場事業本部で前連結会計年度比2,231億円減少して1,770億円となりました。
なお、当連結会計年度において、これまでの報告セグメントである事業本部を再編しており、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後のセグメントの区分方法に基づいております。
また、当連結会計年度において、事業本部間の粗利益・経費の配賦方法を変更しており、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の算定方法に基づいた数値で比較をしております。
加えて、「(表示方法の変更)」に記載のとおり、従来営業経費として計上していたクレジットカード関連費用等を役務取引等費用として組替えており、前連結会計年度のセグメント情報については組替後の数値を記載しております。
キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、預金の減少及びコールローン等の増加などにより、前連結会計年度比250,650億円収入が減少して、98,398億円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出が減少したことなどにより、前連結会計年度比79,376億円支出が減少して、22,027億円の支出となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、劣後特約付社債の償還による支出が増加したことなどにより、前連結会計年度比6,443億円支出が増加して、10,804億円の支出となりました。
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末比77,824億円増加して1,107,632億円となりました。
当連結会計年度末の連結自己資本比率(バーゼルⅢ:国際統一基準)は、普通株式等Tier1比率11.06%、Tier1比率12.38%、総自己資本比率14.29%となりました。
国内・海外別収支の内訳は次のとおりであります。
当連結会計年度の資金運用収支・信託報酬・役務取引等収支・特定取引収支・その他業務収支の合計は国内が29,201億円で前年度比2,183億円の増益、海外が20,491億円で前年度比1,150億円の増益となり、合計では39,640億円で前年度比430億円の増益となりました。
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内に本店を有する連結子会社(海外店を除く。以下、「国内連結子会社」という。)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外に本店を有する連結子会社(以下、「海外連結子会社」という。)であります。
2 「資金調達費用」は金銭の信託運用見合費用を控除して表示しております。
3 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
4 従来営業経費として計上していたクレジットカード関連費用等を役務取引等費用として組替えており、前連結会計年度については組替後の数値を記載しております。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (表示方法の変更)」をご参照ください。
国内における資金運用/調達の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度の国内の資金運用勘定平均残高は前年度比74,263億円増加して2,136,732億円となりました。利回りは0.14ポイント上昇し0.97%となり、受取利息合計は20,935億円で前年度比3,669億円増加となりました。資金調達勘定平均残高は前年度比165,011億円増加して2,476,481億円となりました。利回りは0.01ポイント低下し0.17%となり、支払利息合計は4,376億円で前年度比57億円減少となりました。
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の連結子会社については、月末毎の残高等に基づく平均残高を利用しております。
2 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。
海外における資金運用/調達の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度の海外の資金運用勘定平均残高は前年度比20,100億円増加して867,555億円となりました。利回りは0.27ポイント低下し1.70%となり、受取利息合計は14,753億円で前年度比1,975億円減少となりました。資金調達勘定平均残高は前年度比18,663億円増加して885,152億円となりました。利回りは0.28ポイント低下し0.38%となり、支払利息合計は3,368億円で前年度比2,379億円減少となりました。
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、一部の連結子会社については、月末毎の残高等に基づく平均残高を利用しております。
2 「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息を、それぞれ控除して表示しております。
(注) 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
国内及び海外の役務取引等収支の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度の国内の役務取引は、役務取引等収益が13,293億円で前年度比422億円の増収、役務取引等費用が3,413億円で前年度比154億円減少した結果、役務取引等収支では、前年度比576億円増加して9,880億円となりました。海外の役務取引は、役務取引等収益が8,197億円で前年度比1,456億円の増収、役務取引等費用が1,308億円で前年度比126億円増加した結果、役務取引等収支では、前年度比1,329億円増加して6,889億円となりました。
この結果、役務取引等収支合計では前年度比1,728億円増加して14,306億円となりました。
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2 「その他商業銀行業務」には、預金・貸出業務、代理業務、保護預り・貸金庫業務等を含んでおります。
3 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
4 「(表示方法の変更)」に記載のとおり、従来営業経費として計上していたクレジットカード関連費用等を役務取引等費用として組替えており、前連結会計年度については組替後の数値を記載しております。
国内及び海外の特定取引収支の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度の国内の特定取引は、特定取引収益が1,401億円で前年度比347億円の減収、特定取引費用が301億円で前年度比153億円増加した結果、特定取引収支では、前年度比500億円減少して1,099億円となりました。海外の特定取引は、特定取引収益が1,941億円で前年度比130億円の減収、特定取引費用が797億円で前年度比431億円増加した結果、特定取引収支では、前年度比562億円減少して1,143億円となりました。
この結果、特定取引収支合計では前年度比1,175億円減少して2,324億円となりました。
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
国内及び海外の特定取引の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度末の国内の特定取引資産は、前年度比9,137億円減少して132,099億円、特定取引負債は、前年度比14,289億円減少して89,617億円となりました。海外の特定取引資産は、前年度比17,991億円減少して61,950億円、特定取引負債は、前年度比623億円減少して49,964億円となりました。
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
3 定期性預金=定期預金+定期積金
4 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
(注) 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
(注) 特定海外債権等は、国内銀行連結子会社の特定海外債権引当勘定の引当対象とされる債権、並びに当該引当勘定の引当対象国に対する海外連結子会社の債権のうち、当該引当勘定の引当対象に準ずる債権であります。
(注) 1 「国内」とは、当社及び国内連結子会社(海外店を除く)であります。「海外」とは、国内連結子会社の海外店及び海外連結子会社であります。
2 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
3 「相殺消去額」とは、連結会社間の内部取引等に係る消去額合計であります。
(自己資本比率等の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
当社は、国際統一基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては先進的内部格付手法、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては先進的計測手法を採用するとともに、マーケット・リスク規制を導入しております。
また、自己資本比率の補完的指標であるレバレッジ比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準(平成31年金融庁告示第12号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
連結自己資本比率(国際統一基準)
(単位:億円、%)
(注) 当社のモルガン・スタンレーに対する出資のうち、3,729億円(2022年3月末基準)は、ダブルギアリングによる自己資本控除額を算出する際の対象資産から除外しています。この取り扱いは、金融庁長官の承認を受けたものであり、2013年3月31日から2023年3月30日の期間(ただし、2019年3月31日以降は対象金額が毎年20%ずつ逓減)に限る取り扱いです。
持株レバレッジ比率(国際統一基準)
(単位:%)
「生産、受注及び販売の実績」は、銀行持株会社としての業務の性格上、該当する情報がないため記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであり、リスクと不確実性を内包しているため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性がありますので、ご留意ください。
当連結会計年度の連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前)は、貸出金の利ざや改善や、国内の資産運用ビジネスおよび海外のアセットマネジメント事業などで手数料収益の増加があったものの、金利上昇局面におけるポートフォリオ組替えに起因した市場関連収益の減少や、為替影響による営業経費の増加により、前連結会計年度比316億円減少して12,167億円となりました。
また、与信関係費用総額は、ロシア関連引当を計上したものの、ポートフォリオの改善や米国の経済環境見通し改善に伴う引当金の戻りに加え、MUFGユニオンバンク株式の売却決定に伴う貸倒引当金の戻入れもあり、前連結会計年度比1,840億円改善しました。さらに、保有株式の売却を主因に株式等関係損益が増加したことや、モルガン・スタンレーの貢献利益増加を主因とする持分法による投資損益の増加もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は同3,538億円増加して11,308億円となりました。
当社グループは、総合金融グループの強みを発揮するため、グループ各社が緊密な連携のもと、一元的に戦略を定め事業を推進する事業本部制を導入しています。各事業本部は、お客さまの幅広いニーズにお応えするため、グループ各社それぞれの強みを融合させた戦略の立案や施策の運営を行っています。
当連結会計年度における事業本部別の事業の取組みは次のとおりです。
(デジタルサービス事業本部)
口座開設や住所変更手続き等のスマートフォンアプリの利用率増加や、インターネットバンキングの利用者数増加など、お客さま接点のデジタルシフトが進展しました。また、米Ripcord社の技術を活用した紙帳票の電子化や、監査法人の残高確認の電子化など、業務のデジタルトランスフォーメーションに取り組みました。
新たなデジタル金融サービスとして、個人のお客さま向けの資産運用プラットフォーム「Money Canvas」の提供を開始したほか、マネーフォワード社と合弁でBiz Forward社を設立し、中小企業のお客さま向けのオンラインファクタリング事業等を開始しました。
(法人・リテール事業本部)
お客さまの資産に関する多様な課題に対応するため、銀行・信託・証券のグループ一体でのビジネスモデルを推進するとともに、お客さま接点の変化を捉え、チャネル再編を主軸とした組織構造改革を継続しました。
特に、ウェルスマネジメント(WM)ビジネスでは、グループ一体でお客さまの資産やニーズを把握するデジタルツール「WMデジタルプラットフォーム」の運用を全拠点で開始しました。これにより、お客さまが抱えるさまざまな課題に対し、グループ一体で包括的なソリューションを提供する体制を整備しました。
(コーポレートバンキング事業本部)
ROE重視のビジネスモデル確立に向けて、低採算貸出の削減に取り組むとともに、高採算が見込める案件のリスクテイクを進めたことで、貸出利ざやが着実に改善しました。また、政策保有株式の削減を加速させ、中期経営計画の削減目標の達成に向けて大きく進捗しました。
環境・社会課題や複雑化・多様化するお客さまの経営課題解決に向けて、お客さまとのエンゲージメント(対話)を深め、事業リスクをともにする取り組みを強化しています。新たに立ち上げたサステナブルビジネス部では脱炭素化に向けた対話に取り組むとともに、将来の社会課題解決に資する複数の事業に対して、お客さまとともに投資を実行しました。
(グローバルコマーシャルバンキング事業本部)
MUFGユニオンバンクは、U.S. Bancorp社への売却に向けた対応を進めつつ、中堅中小法人向け取引の強化等に取り組みました。クルンシィ(アユタヤ銀行)は、営業基盤の拡大に向けベトナムのエスエイチビーファイナンスの買収を発表したほか、カーボンニュートラルビジョンを宣言するなど脱炭素化への取り組みを進めました。ダナモン銀行は、低コスト預金の積み上げ等、調達コストの削減を進めたほか、MUFGグループの機能や顧客基盤を活用した法人向けビジネスの拡大を実現しました。
Grab社との協働では、ダナモン銀行が共同ブランドのクレジットカードの提供を開始しました。パートナーバンク間の協働では、リスク管理等の知見共有により業務運営基盤を強化しました。
(受託財産事業本部)
資産運用事業は、海外ではFirst Sentier Investorsで旗艦ファンドを中心とした資産運用残高が増加しました。国内では顧客ニーズに沿った機動的な商品提供により、法人向け運用商品販売額が増加したほか、三菱UFJ国際投信の公募株式投信残高が業界4位から2位に浮上しました。
資産管理事業は、国内外でのファンドに対する貸出や為替などの複合サービスの提供により、国内外の資産管理残高が増加しました。
年金事業は、人事コンサルティングを起点としたソリューション提案やお客さまのニーズに応じた運用商品提供などにより、確定給付年金残高と確定拠出年金の加入者数が増加しました。
(グローバルCIB事業本部)
市場事業本部と一体で進めている機関投資家ビジネスでは、セキュアードファイナンスや非投資適格企業向け貸出・債券引受業務を中心に、収益性の高い案件を着実に積み上げました。
既存ポートフォリオにおいては、低採算資産の削減や新規貸出の厳格なスクリーニングによるバランスシート運営効率化の取り組みを継続・強化しました。この結果、ROEや外貨貸出利ざやなどの収益性指標が大幅に改善しました。
新規事業への取り組みでは、イスラエルのフィンテック企業との合弁会社であるMars Growth Capital社によるアジアのスタートアップ企業向け融資事業が順調に拡大しました。
(市場事業本部)
セールス&トレーディング業務は、市場参加者の活動量が低下し収益機会が減少しましたが、グローバルCIB事業本部との一体運営や、国内顧客への商品提供力向上などの取り組みが進展しました。
トレジャリー業務は、インフレ懸念に伴い欧米の金融政策が緩和から正常化・引き締め方針へ転換し市場の不確実性が高まるなか、ポートフォリオの組み換えを行いながら、外貨中長期調達の削減などで収益性向上に取り組みました。
また、金融商品取引の電子化やAIを活用した相場予測、バランスシート管理の高度化など、業務のデジタル化を進めたほか、ESG投資を拡充するとともに、長期分散型ポートフォリオの構築を開始しました。
主要な財務指標の推移は、以下のとおりであります。
当連結会計年度における主な項目は、以下のとおりであります。
(注) 当連結会計年度より、従来営業経費として計上していたクレジットカード関連費用等を役務取引等費用として計上しており、前連結会計年度については、組替後の数値を記載しております。
① 経営成績の分析
連結業務粗利益は前連結会計年度比430億円増加して39,640億円となりました。
資金運用収支は、貸出利ざやの改善により、同1,385億円増加しました。役務取引等収支は、国内資産運用ビジネスや海外アセットマネジメント事業の伸長により、同1,728億円増加しました。また、特定取引収支は同1,175億円減少し、その他業務収支も国債等債券関係損益の減少により同1,544億円減少しました。
営業経費(臨時費用控除後)は、国内外において抑制的な運営を継続しましたが、為替影響による海外経費の増加を主因に同746億円増加して27,472億円となり、連結業務純益(一般貸倒引当金繰入前・信託勘定償却前)は同316億円減少し、12,167億円となりました。
(注) 当連結会計年度より、従来営業経費として計上していたクレジットカード関連費用等を役務取引等費用として計上しており、前連結会計年度については、組替後の数値を記載しております。
与信関係費用総額は、ロシア関連引当として、特定海外債権引当勘定繰入額352億円とロシア・ウクライナ情勢を踏まえたより広範な影響に備えた特定ポートフォリオに対する引当996億円(コミットメントライン未使用残に対する偶発損失引当金を含む)の合計1,349億円を計上したものの、ポートフォリオの改善や米国の経済環境見通し改善に伴う引当金の戻りに加え、MUFGユニオンバンク株式の売却決定に伴う貸倒引当金の戻入れもあり、前連結会計年度比1,840億円改善し、3,314億円の費用計上となりました。
株式等関係損益は、保有株式の売却を主因に、前連結会計年度比2,023億円増加し、3,326億円となりました。
② 財政状態の分析
貸出金は、海外店や海外子会社での増加により、前連結会計年度末比39,501億円増加して1,115,466億円となりました。
* 2行間の貸出金及び持株会社、MUAH、並びにアユタヤ銀行向け貸出金を除いております。
○銀行法及び再生法に基づく債権
当社グループの銀行法及び再生法に基づく債権(正常債権除く)は、前連結会計年度末比1,078億円増加して14,718億円となりました。
不良債権比率は、同0.03ポイント上昇して1.18%となりました。
債権区分別では、破産更生債権及びこれらに準ずる債権が同374億円減少、危険債権が同1,714億円増加、要管理債権が同260億円減少しました。
銀行法及び再生法に基づく債権の状況 部分直接償却後
※ 当連結会計年度末より、従来開示していた「リスク管理債権」および「金融再生法開示債権」の定義が同一となり、「銀行法及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律に基づく債権(銀行法及び再生法に基づく債権)」として開示しております。 なお、前連結会計年度末についても、変更後の定義で集計した数値を記載しております。
○銀行法及び再生法に基づく債権のセグメント情報(正常債権を除く)
地域別セグメント情報
(注) 「国内」「海外」は債務者の所在地により区分しております。
業種別セグメント情報
(注) 「国内」「海外」は債務者の所在地により区分しております。
その他有価証券は、国債が前連結会計年度末比9,328億円減少した一方、その他の証券が同17,389億円増加したことなどにより、同10,176億円増加して、749,096億円となりました。
(注) 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
繰延税金資産の純額は、前連結会計年度末比5,921億円増加して△2,785億円となりました。
2行合算の発生原因別では、繰延税金資産は貸倒引当金や繰延ヘッジ損益などが増加し、同1,685億円増加して7,487億円となりました。また、繰延税金負債は、その他有価証券評価差額金が減少し、同3,970億円減少して9,123億円となりました。
(注) 連結財務諸表上の繰延税金資産から繰延税金負債を差引いたものです。
(注) 「2行合算」とは、株式会社三菱UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行株式会社の単体数値の単純合計を示しております。
預金(2行合算)は、海外店が前連結会計年度末比13,329億円減少した一方、国内個人預金が同34,203億円、国内法人預金その他が同2,462億円それぞれ増加した結果、同23,370億円増加して1,942,427億円となりました。
(注) 1 「2行合算」とは、株式会社三菱UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行株式会社の単体数値の単純合計を示しております。
2 譲渡性預金、特別国際金融取引勘定分、並びに2行間の一部預金を除いております。
純資産の部合計は、その他の包括利益累計額合計が前連結会計年度末比4,213億円減少した一方、利益剰余金が同7,980億円、非支配株主持分が同507億円それぞれ増加した結果、同2,719億円増加の179,882億円となりました。
③ セグメント別の状況
「(1) 経営成績等の状況の概要 (セグメント別の状況)」に記載しております。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
「(1) 経営成績等の状況の概要 (キャッシュ・フローの状況)」に記載しております。
総自己資本比率は、前連結会計年度末比2.02ポイント低下し14.29%となりました。また、Tier1比率は同1.57ポイント低下し12.38%、普通株式等Tier1比率は同1.26ポイント低下して11.06%となりました。
(注) 自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づく平成18年金融庁告示第20号に定められた算式に基づき算出しております。
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
貸倒引当金の算定
固定資産の減損処理
買収・出資に伴うのれんの評価
デリバティブ取引の時価評価
偶発損失引当金(利息返還損失引当金)の算定
これらの詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
新型コロナウイルス感染症の長期化影響及びロシア・ウクライナ情勢の急転に関連し、当社が会計上の見積りを行う上で用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。なお、他の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定には、重要な影響を与えないものと判断しております。
当社は、当社グループの経営目標の達成並びに業務の健全かつ適切な運営の確保のため、主たる子会社である株式会社三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行株式会社、三菱UFJ証券ホールディングス株式会社、三菱UFJニコス株式会社、アコム株式会社との間で、経営管理に関する契約を締結しております。
(2) MUFG Union Bank株式の譲渡契約締結及びU.S. Bancorp株式の取得
当社及び株式会社三菱UFJ銀行(以下、「三菱UFJ銀行」という。)の連結子会社であるMUFG Americas Holdings Corporation(以下、「MUAH」という。)は、2021年9月21日、同社が保有するMUFG Union Bank, N.A. (以下、「MUB」という。)の全株式をU.S. Bancorp(以下、「USB」という。)に譲渡する株式譲渡(以下、「本株式譲渡」という。)契約を締結いたしました。本株式譲渡は関係当局の承認等を条件として2022年1月~6月の実行を予定しておりましたが、足元進めている米国当局からの許認可取得プロセスは現在も継続していることから、本株式譲渡の実行予定時期を2022年7月~12月へと変更いたしました。
また、当社及び三菱UFJ銀行は、本株式譲渡の対価として、金銭に加えUSBの発行済株式の約2.9%を受領するとともに、USBとの間で業務提携の議論をしてまいります。
当社及び三菱UFJ銀行は、かねてより米国におけるリージョナルバンク事業をグループ戦略における重要な事業と位置付けてまいりました。一方で、MUBを取り巻く事業環境は、デジタル化対応によるIT投資の必要性などにより、競争力の維持・強化には一定のスケールが求められる状況です。
こうした状況に鑑み、当社及び三菱UFJ銀行は、MUBをより強固な事業基盤を有する米国大手銀行USBに譲渡することが、お客さま及びコミュニティーに対してより質の高い金融サービスを提供することに繋がり、MUBの潜在的なフランチャイズ・バリューを実現するために最適な選択肢であると判断しました。また、当社及び三菱UFJ銀行にとって現中期経営計画で掲げている経営資源の最適配置の観点から、米国においては、MUBを売却し、法人取引を中心とした事業ポートフォリオへシフトすることが、資本効率を高め株主価値の最大化に資するとの結論にいたりました。
② 本株式譲渡に伴うお客さまとの取引の移管
当社及び三菱UFJ銀行がUSBに対して本株式譲渡を通じて譲渡するMUBの事業には、MUBが現在営んでいるグローバルCIB(以下、「GCIB」という。)事業(一部預金等の例外を除く。)、GCIBに関連する市場業務(対顧客・投資家取引)、及び一部のミドル・バックオフィス機能等に関する資産・負債等は含まず、これらの事業及び資産・負債等(これらの事業に属するお客さまとの取引を含みます)は、本株式譲渡に先立って、三菱UFJ銀行の米国内支店又は関連会社に移管する予定です(本株式譲渡に加えて、これらの事業及び資産・負債等の三菱UFJ銀行の米国内支店又は関連会社への移管を含めた一連の取引を以下、「本取引」という。)。
③ U.S. Bancorpの概要
(ⅰ) 名称 U.S. Bancorp
(ⅱ) 所在地 800 Nicollet Mall
Minneapolis, Minnesota
(ⅲ) 代表者の役職・氏名 Andrew Cecere, Chairman, President & Chief Executive Officer
(ⅳ) 事業内容 銀行持株会社
(ⅴ) 資本金 21百万米ドル(2022年3月31日現在)
(ⅵ) 設立年月日 1929年4月2日
④ 譲渡株式数、譲渡前後の所有株式数及び議決権所有割合の状況
⑤ 本取引の概要
(ⅰ) 本取引の対象となる事業の概要
(イ) 対象となる事業:MUBにおけるリテール及びコマーシャル・バンキング事業
(ロ) 対象とならない事業及び資産・負債:GCIB事業(一部預金等の例外を除く。)、GCIBに関連する市場業務(対顧客・投資家取引)、及び一部のミドル・バックオフィス機能等に関する資産・負債等
(ⅱ) 取引対価
(イ) 本株式譲渡においてUSBが支払う取引対価は、MUBの本株式譲渡実行時の有形純資産簿価に、17.5億米ドルを加えた額で決まり、金銭とUSB株式(44,374,155株)を組み合わせて支払われます*。
(ロ) また、本株式譲渡実行前にMUBは配当又は自己株式取得を予定しています。
* 取引対価は譲渡実行時の有形純資産額、USB株式の株価によって変動します。
該当事項はありません。