CFOメッセージ



1.財務運営
「持続的な成長」と「生産性の向上」を重視した財務目標の設定
業績の振り返り
2014年度業績
業務粗利益は、海外貸出や投資銀行業務が牽引し前年度比で増加しました。業務純益は、業務粗利益の増加が営業費の増加を上回り、1兆6,449億円と前年度より1,808億円増加しました。新規連結対象となったアユタヤ銀行は、業務純益の増加に1,078億円寄与しました。
また、与信関係費用が増加、株式等関係損益が減少した一方、持分法投資損益の増加や特別損益が改善したことから、当期純利益は前年度比489億円増益の1兆337億円となりました。公表目標9,500億円を超過達成し、MUFGとして過去最高の利益水準となりました。
前中期経営計画の財務目標の達成状況
前中期経営計画の財務目標は、「連結経費率」を除く全項目を達成することができました。経費は、今後成長が見込まれる海外事業への積極的な資源投入や規制対応により、計画比上振れしました。(「CEOメッセージページ-前中期経営計画達成状況」は>こちら)
新中期経営計画における財務目標
成長性指標と生産性指標
MUFGでは、新中期経営計画において、「持続的なグループの成長に向けた進化・変革」をスローガンに、生産性の向上に取り組んでいきます。このため、成長性と生産性を表す複数の指標を財務目標として掲げ、その達成をめざします。それぞれの財務指標の中期経営計画最終年度における目標数値は、右表のとおりです。

サステナブル・グロース
新中期経営計画では、利益水準を持続的に成長させる、という経営としての意志を表す指標として、「1株当たり当期純利益(EPS)」の成長率を新たに財務目標とします。具体的には、EPSを今後3年間で15%以上成長させることが目標です。日本の経済成長率を大きく上回るこの成長を実現するため、グローバル展開を含む中期経営計画の戦略を着実に遂行していくとともに、資本政策にも意を用いていきます。
“ヒト・モノ・カネ”の生産性の向上
前中期経営計画からの課題である「生産性の向上」を実現するため、「カネ」(資本)の生産性を表す「ROE」と、「ヒト・モノ」(人件費・物件費)の生産性を表す「経費率」の両指標を財務目標に掲げ、その達成をめざします。
今後3年間、これらの目標の達成に向けた財務運営に注力していきます。
2.資本運営
健全性・成長投資・株主還元のバランスのとれた資本運営
MUFGは、日本に軸足を置き、グローバルに展開する、商業銀行業務を中心とする金融グループです。「経済の血流」という社会的な役割を担う金融機関として、健全性は経営の基礎です。
MUFGでは、資本の健全性、成長のための投資、株主還元の充実の3つの観点から、バランスの取れた資本運営を実践しています。

健全性
MUFGは、「グローバルにシステム上重要な金融機関(G-SIFI)」に認定されており、それ以外の金融機関を上回る高い自己資本比率が求められています。質の高い自己資本の充実に前倒しで取り組んだ結果、2014年度末時点で、2019年3月末に求められるバーゼルⅢの所要自己資本比率をクリアしています。
成長投資
持続的な成長を実現するためには、既存の顧客基盤や業務をベースとしたオーガニックな成長と、M&Aなどにより新規顧客基盤やビジネスを獲得するノンオーガニックな発展の双方が重要です。長期的な企業価値の向上に資するM&A等の戦略的な投資の機会に際しては、資本をタイムリーかつ効率的に活用していく方針です。
株主還元
配当については、利益成長を通じた1株当たり配当金の安定的、持続的な増加をめざすことを基本方針としています。
また、自己株式取得についても、資本規制対応を勘案しても十分な財務基盤があることを前提に、成長投資の機会も考慮した上で、継続的に検討していきます。

資本のベストミックスの追求
自己資本比率規制については、バーゼルⅢが段階的な導入の途上にあり、また、各国当局間で新たな資本規制の導入も議論されています。これらの資本規制を充足しつつ、資本の生産性(ROE)を高めていくため、「普通株式等Tier1資本」(資本金・資本剰余金等)、「その他Tier1資本」(永久劣後債等)および「Tier2資本」(期限付劣後債等)の最適ミックスを追求します。
この一環として、2014年度には、日本の銀行として初めて、新規制対応の負債性資本証券を国内市場で発行しました。

3.財務・資本運営を支える仕組み
成長を支える財務・資本運営と社内外コミュニケーションの拡充
成長を支える財務・資本運営
「成長を支える」という財務としてのミッションを果たすためのいくつかの取り組みについてご紹介します。
財務委員会
MUFGでは、経営会議傘下の「財務委員会」において資本の最適化や規制への対応などを巡る諸課題を討議することに加え、社外取締役やアドバイザリーボードの委員とも活発な議論を行っています。
リスク・アペタイト・フレームワーク
MUFGでは、経営上の意思決定において、リスク対比のリターンを重視しています。具体的には、経営目標達成のために適切なリスクを取り、リスクに見合った収益を確保するための枠組みである「リスク・アペタイト・フレームワーク」を導入・運用しています。
出資検討会
M&A等の戦略的な出資にあたっては、資本の生産性を重視し、投資後一定期間内に資本コストを上回ることを意思決定の目線としています。投資後も出資検討会を通じて定期的なモニタリングを行い、計画未達の場合の対応ルールを設けるなど、財務規律の徹底を図っています。
税務運営
MUFGでは、税務面でのグループ経営強化をめざして、2014年度から連結納税制度を採用しています。今後は、各国税務当局による経済活動地域での適正な課税確保を強化する動きも踏まえた上で、グローバルな業務展開を支える国際税務態勢の整備に努めていきます。
社内外コミュニケーション
株主・投資家との対話
株主や投資家をはじめとするステークホルダーの皆さまに、経営の意思や方向性が正確に伝わるよう、財務情報を公平かつ迅速に提供することも財務セクションの重要な使命です。
MUFGは、財務情報の適切な開示に加え、決算説明会やセミナーなどを通じて、株主や投資家の皆さまとの建設的な対話の実現に努めています。

