MUFG Way 体現者特設サイト
Story02
商慣行を乗り越えて
グローバルスタンダードの
仕組みで
資産運用立国実現に
貢献
三菱UFJ信託銀行業界初の
「投資信託の基準価額一者計算」を実現
- 成長を
つかむ - 会社が
かわる
Story02
皆さんは投資信託の「基準価額」とは何かご存じでしょうか? 一言で言えば、投資信託の「時価」のことです。投資信託の購入や換金の際の基準となるもので、営業時間終了後に毎日計算し、公表されています。日本においては、投資判断を行う運用会社とお金を預かる信託銀行(受託銀行)が別々に基準価額を計算し照合しています。この長年の商慣行が外資系運用会社の日本への新規参入の障壁となっていました。今回紹介するのは、従来のやり方を変えるべく奮闘する社員たちの、5年以上にも及ぶ変革の物語です。
日本の独自の仕組みが参入障壁に
日本政府が掲げる「資産運用立国の実現」。そのためには、資産運用業の高度化の推進が不可欠です。業務運営の合理化や効率化、さらに資産運用ビジネスに参入しやすい環境づくりが求められる中で、そのネックの一つとなっていたのが、日本独自の商慣行である、運用会社と信託銀行の基準価額の二者計算でした。
諸外国においては、受託銀行側が基準価額を算出する「一者計算」がスタンダード。運用会社が日本に新規参入するとなると、新たに二者計算に対応するための人員やシステムを用意する必要があり、参入の大きな障壁となってきました。
「多くの外資系運用会社の担当者から、『日本はいつまで『Double NAV(二者計算)』を続けるんだろうね』と嘆かれていました」と語るのは、本プロジェクトで中心的な役割を果たしてきた寺島さんです。
投信業界でも長年にわたってその解消が話題に上ってきたものの、運用会社と受託銀行のシステムや事務フローを大きく変更する必要があり、その一歩をなかなか踏み出せずにいました。

三菱UFJ信託銀行株式会社
インベスターサービス事業部
国内インベスターサービス事業室推進グループ
課長
寺島 優介さん
2005年三菱UFJ信託銀行に入社し、日本マスタートラスト信託銀行に出向。10年以上前から一者計算の実現に向けた検討を進めてきた。2022年に帰任し、国内インベスターサービス事業の企画・推進に携わる。本案件では全体統括と関係団体との調整を担当。

日本マスタートラスト信託銀行株式会社
業務企画推進部
事務企画グループ
マネージャー
長谷部 早紀さん
2016年日本マスタートラスト信託銀行入社。投信ファンドの管理事務業務を経て、2021年より現職。投信ファンド領域における事務やシステムの企画立案・管理推進を担当。

三菱UFJ信託銀行株式会社
インベスターサービス営業部
調査役
佐々木 彩花さん
2017年三菱UFJ信託銀行に入社し、日本マスタートラスト信託銀行に出向。2018年に帰任。国内籍投信の受託営業が主な業務。本案件では、顧客窓口として運用会社のニーズを関係者に展開、案件を推進する役割を担う。

自分たちだから商慣行を変えられる
三菱UFJ信託銀行(MUTB)と日本マスタートラスト信託銀行(MTBJ)が、一者計算の実現に向けて動き始めたのは、資産運用の高度化への機運が高まり始めた2019年のことです。「当時、投資信託業界では、実務上の観点から、一者計算に移行するのであれば、運用会社が基準価額を一者で算出する方向で議論が進んでいました。しかし、私たちはその方法では、資産運用高度化の本来の目的は達成できないと考えました。そこで、一者計算を行うのであれば、信託銀行による一者計算が望ましいと考え、どのようなシステム、業務フローであれば信託銀行による一者計算が提供できるかの検討に着手しました」と寺島さんは取り組みのきっかけを説明します。
一方で、投信の実運用を担うMTBJにとって一者計算を推進することは、必ずしもプラスになるとは言えない事情がありました。「まさに多くの運用会社が参入をためらってきたのと同じ理由で、従来の二者計算の事務フローとは別の仕組みを新たに構築しなければならず、構築後、両方をきちんと回していけるのかという懸念がありました」と受託の事務業務を企画する長谷部さんは言います。
運用会社がお客さまである、営業担当の佐々木さんは、「私は異動前まで海外ファンドを担当していて、一者計算がグローバルスタンダードであることは理解していました。ですから取り組み自体には前向きでしたが、いざ当事者になってみると、社内外でいろいろな論点があって、整理しなければいけないことが山積みでした」と、実際に導入することの大変さを実感しています。

「受益者を守らないといけない」
一者計算を実現するためには、運用会社の協力が不可欠です。運用会社側の事務上の課題として、基準価額を計算するための計理システムを、顧客レポートや販売会社あてのデータ提供にも使用しているため、基準価額の計算を止めるとそうしたサービスが提供できなくなってしまいます。そこで、MTBJでは、こうしたサービスのための仕組みも併せて構築し、運用会社からBPO(アウトソース)していただくことで、基準価額計算とワンパッケージで提供することに。さらに、基準価額の正確さを担保するための仕組みとして、MTBJが基準価額を算出後、運用会社に検証レポートを提供することで、運用会社に確認いただく仕組みを構築しました。
実現をめざしてミーティングを進める中で、常に参加者から出てきたフレーズがあります。それは「受益者保護に資する仕組みでなければならない」。「一者計算が実現すれば、運用会社のコストが減るメリットが即時的に発生しますが、目標はあくまで、投資商品が増え、受益者である投資家の皆さんの選択肢が増えることです。受益者に不利益を与えない仕組みを一番に考えないといけない。そんな発言が頻繁に出てくるところにMUFGらしさを感じました」とMTBJの足立さんは振り返ります。

三菱UFJ信託銀行株式会社
インベスターサービス営業部
調査役
佐々木 彩花さん
2017年三菱UFJ信託銀行に入社し、日本マスタートラスト信託銀行に出向。2018年に帰任。国内籍投信の受託営業が主な業務。本案件では、顧客窓口として運用会社のニーズを関係者に展開、案件を推進する役割を担う。

日本マスタートラスト信託銀行株式会社
業務企画推進部 事務企画グループ
主任調査役
足立 悠貴子さん
2010年三菱UFJ信託銀行に入社し、日本マスタートラスト信託銀行に出向。外国資産の管理事務業務を経て帰任後、人事部で人材育成・採用に携わる。現在は再度出向し、投信受任領域の事務企画ラインを取りまとめる。




お客さまに貢献する長い旅は続く
2022年12月、MUTBはJAMPファンド・マネジメントと協働し、同社が設定・運用する投資信託について、一者計算を導入することを発表しました。
日本初のスキームが稼働を開始してから2年。導入後は大きな混乱もなく、追随する動きも出始めていて、グローバルスタンダード化への動きは今後加速していきそうです。「特に国内に新規参入を検討されている運用会社や担当する外資系運用会社に、はじめにMUTBを思い浮かべていただけるよう、営業担当として付加価値を提供していきたいです」と佐々木さん。足立さんは「私たちが提供する金融インフラは続けられることが使命です。業務を担う皆さんにとっても持続可能な業務であるような仕組みを考えていきます」と気を引き締めます。
また、長谷部さんは「運用会社、ひいては受益者にとって役立つ仕組みと業務構築をスピード感を持って対応すると同時に、業務として本当にあるべき姿であるか、そのバランスを保って行動していきます」と話します。
お客さまのため、自社のため、金融業界のため、ひいては資産運用立国の実現のために。これからも長い旅路が続きます。寺島さんは、「資産運用業界のために、自分たちは何をすべきかを常に一生懸命考え続けてきたからこそ、社内外の関係者の協力が得られたのだと実感しています。今後は、一者計算を切り口にBPOを加えたモデルを展開することで、BPO残高100兆円の実現をめざします」と未来を見据えています。

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