米国西海岸で地域に密着し築き上げてきたリテール、
中堅・中小企業向けビジネス
他の日本の金融機関にはない、MUFGの米国ビジネスの特徴の一つ、それは西海岸において地元に密着したリテールビジネスを展開していることです。その歴史はMUFGユニオンバンクの前身となるThe Bank of California(1864年)、Union Bank(1918年)および加州東京銀行(1952年)の設立にさかのぼります。加州東京銀行は、東京銀行と現地の日系人社会からの資本参加を得て設立されたこともあり、当初は日系企業・個人との取引が主流でしたが、1975年のSouthern California First National Bankの買収および1988年のUnion Bankの買収を経て、非日系社会との取引も拡大し、より地域に密着した銀行として成長を遂げてきました。そして、1996年の三菱銀行と東京銀行の合併に伴い、三菱銀行の傘下に入っていたThe Bank of Californiaと統合し、現在のMUFGユニオンバンクの原型となるUnion Bank of Californiaが誕生しました。2008年三菱東京UFJ銀行の100%子会社となった後は、米国ビジネスの業務統合に向けた取り組みを進め、2014年7月三菱東京UFJ銀行の支店業務を統合し、MUFGユニオンバンクが誕生しました。
お客さまのグローバルな金融ニーズにお応えする大企業向けビジネス
東海岸を中心とするMUFGの大企業ビジネスは、1880年に横浜正金銀行がニューヨーク駐在員事務所を開設したことに始まります。以降、三菱東京UFJ銀行の米州ビジネスは、日系企業やグローバル企業のお客さま向けビジネスを中心に成長してきました。特に、シンジケートローンやプロジェクトファイナンスなど銀行による投資銀行業務においてリーグテーブルで上位となるなど、高い存在感を発揮しています。
さらに、銀行による貸出業務だけでなく、社債の引受などの証券業務も強化するため、2016年4月より、三菱東京UFJ銀行とMUFGユニオンバンク、MUFG Securities Americasは、一部の商品部門で銀行業務と証券業務の一体運営を開始しました。貸出と社債を切り離して取り扱うのではなく、一体的に取り扱うことで、お客さまのニーズに合った商品やサービスを提供し、「総合デットハウス」としてお客さまから頼りにされる金融機関をめざしています。
全米トップ10バンクをめざして
米国ビジネスの一体運営開始
2014年7月、米国西海岸を中心にリテールや中堅・中小企業ビジネスを展開するユニオンバンクの業務と、大企業向けに高度な金融サービスを提供する三菱東京UFJ銀行の支店業務を統合し、一体運営を開始しました。2015年10月には、お客さまのご商売の内容やビジネス規模などに合ったよりよいサービスの提供と、より効率性の高い組織体制の実現をめざし、米国西海岸を中心に中堅・中小企業取引を担うコマーシャルバンキング部門を再編し、リージョナルバンキング部門と米国ホールセールバンキング部門に再編・統合しました。今後、より一層お客さまのニーズに合った金融サービスを提供し、また、金融規制やリスク管理、コンプライアンスなどにより適切に対応していきます。
プロフェッショナルな人材の登用
米国でリテールから大企業向けを含む総合的な金融サービスを成長させるには、米国での金融経験のあるリーダーが鍵を握ります。また、高まる米国での金融規制やリスク管理に対応できる経験豊かな人材も欠かせません。
MUFGは、2015年5月の新CEOの就任をはじめ、リスク管理やITなどのさまざまな分野でプロフェッショナルな人材をチームに迎えています。米州本部の執行を担う経営陣は、16人のうち11人が現地採用メンバーで構成されており、そのうち7人は三菱東京UFJ銀行の執行役員を兼務しています(2016年7月1日現在)。
組織再編~米国業務統合およびセグメント戦略の強化
成長戦略
USトップ10バンクへ成長するには、収益力の多様化や預金の獲得が重要なポイントとなります。その一つとして、リージョナルバンキング部門では、ダイレクトバンキングおよび軽量店舗の全国展開やクレジットカード発行事業への再参入を計画しています。また、M&A(買収・合併)などのノンオーガニックな手段も有効です。ノンオーガニックな成長を検討する際は、流動性の強化、手数料収益の増強、貸出ビジネスの多様化、規模の利益の追求といった戦略との適合性や、収益やコスト面でのシナジーなどをしっかりと検証しています。
米国金融規制に的確に対応
2008年のリーマンショックをきっかけとする金融危機の教訓から、アメリカの金融当局は、いわゆるプルデンシャル規制といわれる金融の安定性を確保するためのさまざまなルールを制定しました。この規制により、連結総資産および米国内の総資産がいずれも500億米ドル以上である外国金融機関は、2016年7月1日までに、全ての在米子会社を傘下に置く中間持株会社を設置することになりました。MUFGは、早くからプロジェクトチームを立ち上げ、中間持株会社や米国におけるリスク管理全般を監督する米国リスク委員会の設置準備などを進め、必要な対応が完了しました。今後は、中間持株会社となったMUFG Americas Holdings Corporationが各業務の特性に応じてグローバルに連携しながら在米子会社を管轄し、自己資本計画の提出や流動性管理など、さまざまな規制を充足して健全な運営を行っていきます。