皆さまには、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
中期経営計画の2年目である2022年度の業績は、海外の金利上昇や貸出利鞘の改善により預貸金収益等が増加し、業務粗利益は過去最高となりました。また、営業費は円安の影響による増加等を除いた実質ベースでは減少しました。その結果、本業の利益を表す業務純益は、前年度比3,775億円増加の1兆5,942億円となり、マイナス金利導入前の水準に回復しました。親会社株主純利益は、MUFGユニオンバンクの売却に関連した一過性の損失・費用等を計上しましたが、業務純益の好調によって、過去最高益となった前年度並みの1兆1,164億円となり、中期経営計画で掲げた「安定的に1兆円以上の利益計上」という目標を2年連続で達成しました。
1株当たり年間配当金は、期末配当を公表通り16円とし、中間配当とあわせ、前年度比4円増配の32円とします。また、自己株式取得は過去最大となる4,500億円を実施しました。2023年度の配当予想は、中期経営計画で掲げた配当性向40%の実現に向けて、過去最大の引き上げ幅となる9円増配の年間41円としています。
今中期経営計画は「挑戦と変革の3年間」と位置付け、「金融とデジタルの力で未来を切り拓くNo.1ビジネスパートナー」をめざして、各種取り組みを着実に前進させています。2022年度は、拡大するアジアの金融ニーズを多角的に取り込むため、Home CreditやAkulaku、DMI Financeといったアジアのデジタル金融プレーヤーへの出資を決定しました。また、Mars Growth Capital、MUFG Ganesha Fund、MUIP Garuda Fundを通じたスタートアップ向けファイナンス支援も加速させています。
また、経営資源の最適配置の観点から、MUFGユニオンバンクをU.S. Bancorp社へ売却することを2021年9月に公表していましたが、昨年12月に売却を完了しました。今後は、MUFGの強みを活かせる法人取引に経営資源を集中するとともに、銀行・信託・証券の連携やモルガン・スタンレーとの提携の一層の強化などを通じて、米州事業の更なる成長をめざしていきます。
カーボンニュートラルの実現に向けては、投融資ポートフォリオや自社排出のGHG排出量ネットゼロの目標設定、実績開示等大きく進展しています。また、ファイナンスや各種サービスの提供を通じたお客さまの脱炭素化の支援に加え、国際的なルールメイキングへの参画や意見発信を積極的に行っています。
足元では、欧米の金利上昇や一部の海外金融機関の破綻による実体経済への波及懸念等、引き続き厳しいビジネス環境が続きますが、これまで取り組んできました構造改革等により、MUFGは国内外で強靭なビジネスモデルを構築できており、さまざまなお客さまのニーズにもお応えできると考えております。
2023年度は現在の中期経営計画の総仕上げとして、これまで進めてきた施策を確りと結果に結び付け、過去最高となる親会社株主純利益1兆3,000億円とROE7.5%の目標達成に向けて挑戦していきます。
今後とも皆さまのご理解と一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
2023年5月
取締役
代表執行役社長 グループCEO
亀澤 宏規