皆さまには、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
2024年は、インフレと賃金上昇の好循環を受けて日銀が17年ぶりとなる利上げを行うなど、日本経済はデフレからの完全脱却に向けて大きく前進しました。一方で、海外では主要各国の政権与党が選挙で苦戦するなど転換点を迎えていることに加え、足元では米国の新政権による関税政策や自国主義が強まる中で地政学リスクが高まるなど、私たちを取り巻く環境は大きく変化しており、マクロ経済や金融市場の変化を見極めることが重要な状況です。
このような中、2024年度の親会社株主純利益は、2年連続で過去最高益を更新し、前年度比3,721億円増加の1兆8,629億円となり、通期目標の1兆7,500億円を達成しました。ROEは9.9%となり、中期経営計画の目標である「9%程度」を前倒しで達成するとともに、「9~10%」としていた中長期目標にも到達しました。
業務純益は、政策保有株式の株式売却益や、海外における大口の与信費用の戻入等の業務純益には含まれない一時的な利益を見合いに、将来の収益性改善に向けた債券ポートフォリオの組み替えに伴う売却損を計上した影響により、前年度比2,525億円減少の1兆5,911億円となりましたが、顧客部門の業績は大幅な増益となり、力強い成長が続いています。
1株当たり年間配当金は、期末配当を39円とし、中間配当とあわせ、前年度比23円増配の64円とします。また、自己株式取得は4,000億円を実施しました。2025年度の配当予想は、前年度比6円の増配となる70円としています。配当性向は40%程度となります。加えて上期において上限2,500億円の自己株式取得を決議しました。
今中期経営計画は、「成長を取りに行く3年間」と位置付けています。戦略の3本柱として掲げた「成長戦略の進化」・「社会課題の解決」・「企業変革の加速」は、着実に前進しています。
「成長戦略の進化」では、7つの成長戦略を通じて、この1年で約2,000億円の実績を積み上げました。国内外の環境変化に柔軟に対応しながら事業ポートフォリオの多様化を進めるなど私たちの稼ぐ力は着実に向上しており、各戦略は順調に推移しています。
「社会課題の解決」においては、カーボンニュートラル社会の実現に向けた道筋とMUFGの取り組みがもたらすインパクトや定量的な目標を示したレポートを開示するとともに、ソリューション提供の拡大、産業育成への貢献を果たすスタートアップ支援、グループ一体での金融経済教育などの取り組みを強化しています。
また、「企業変革の加速」は、カルチャー改革の継続に加え、人的資本への投資、AIやデータ等の基盤強化を推進しています。カルチャー改革ではスピード向上策として、環境変化へ迅速に対応可能な組織運営の実現に向け、アジャイル運営を牽引するチームを新設し、適用領域を拡大・加速することも通じ、変革を実現していきます。
2024年度に発生した不祥事案について、お客さまをはじめとする関係者の皆さまにご迷惑・ご心配をおかけしましたことを改めてお詫び申し上げます。
再発防止に向けた改善対応策の徹底に加え、今後もガバナンスの向上に向けた取り組みを不断に継続していくことで、お客さまや社会からの信頼・信用の回復に努めてまいります。
私たちMUFGは、不確実性がより一層高まった中においても、「世界が進むチカラになる。」ために、引き続きグループ一丸となって取り組み、2025年度はMUFG発足以来初となる親会社株主純利益2兆円をめざしていきます。今後とも皆さまのご理解と一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
2025年5月
取締役
代表執行役社長 グループCEO
亀澤 宏規