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第4期MUFG Digital アクセラレータ 準グランプリを受賞した初の海外企業Moxtra社に聞く、MUFGとの協業がもたらす価値

第4期MUFG Digital アクセラレータ 準グランプリを受賞した初の海外企業Moxtra社に聞く、MUFGとの協業がもたらす価値

2019年に開催された第4期「MUFG Digital アクセラレータ」において、海外企業としてはじめて採択されたMoxtra, Inc.(以下、Moxtra社)が準グランプリを受賞した。ビデオ会議などのコミュニケーション機能、会議の音声やチャットの履歴管理、電子署名機能など多くの機能を備える双方向コミュニケーションプラットフォーム「Moxtra」を提供する同社は、プログラムの参加後も三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)との協業に向けたさまざまな取り組みを進めている。今回は、Moxtra社 Head of Strategic Business DevelopmentのNikhita Iyar氏に、MUFG Digital アクセラレータに参加した経緯や、MUFGとの協業におけるビジョンについて話を伺った。

Moxtra, Inc. logo

Moxtra, Inc.

設立:2012年
本社所在地:アメリカ シリコンバレー
事業内容:ビジネスプラットフォーム「Moxtra」の提供
対顧客・パートナー・組織内でのコミュニケーション機能を搭載したスマートフォンアプリを提供。
https://moxtra.com/

Moxtra社について

モバイル時代のコミュニケーションプラットフォームが生み出す新たな顧客体験

—Moxtra社の事業について教えてください。

Iyar氏:弊社では、ビデオ会議やメッセージングなどの基本機能をはじめ、ビデオクリップの作成・電子署名など、多彩な機能を搭載したビジネスコミュニケーションプラットフォーム「Moxtra」を提供しています。モバイル時代における双方向コミュニケーションをコンセプトとしており、ビデオクリップ機能では、例えば担当者がポインターやアノテーション(矢印などの図形や吹き出しコメントの挿入)を使いながら画面上の資料を説明した録画をお客さまと共有することで、お客さまはわざわざ担当者と時間を合わせて面談することなく、実際に対面で聞いているようなプレゼンを自分の好きなタイミングで見ることができます。

この他にも、会議の音声やチャット履歴の保存により、担当者が複数いたり交代したりした場合にも一貫性のある提案を実現し、さらに電子署名やワークフロー機能の実装、APIによる業務システムとのシームレスな連携も可能です。これまで面談・電話・メールなどに依存し、煩雑になっていたビジネス上のコミュニケーションを、より一層パーソナルでインタラクティブな体験としてお客さまに提供します。

また、Moxtraは世界の大手金融機関との協働を経て、厳格なコンプライアンス、情報セキュリティ、可監査性などの基準を満たしており、すでにシティバンクで導入されるなどの実績があります。クライアント企業のサーバー内に配備することができるため、金融機関の高いセキュリティ要件も満たすことができ、ロゴやカラーはクライアント企業に合わせてブランディングすることができます。金融機関以外でも、不動産、ヘルスケア、教育、ファッション、サービス業、流通、会計、法律、イベント企画、コンサル、農業など多くの業種において導入されています。

ビジネスコミュニケーションプラットフォーム「Moxtra」イメージ

プログラム参加の経緯

海外のスタートアップにも門戸が開かれたMUFG Digitalアクセラレータ

—MUFG Digitalアクセラレータに参加されたきっかけについて教えてください。

Iyar氏:MUFGとは、2018年にアメリカでデジタル企画部のグローバルイノベーションチームと接点を持ちました。その後、日本にも訪問し、MoxtraがMUFGのデジタルトランスフォーメーションにどのように貢献できるかなどディスカッションを重ねる中で、海外のスタートアップにも門戸が開かれたMUFG Digitalアクセラレータの存在を知り、応募に至りました。

このプログラムへの参加は、MUFGの多くの方々にMoxtraについて知ってもらうまたとない機会になりました。このことは、MoxtraとMUFGのパートナーシップを前進させる上でも大きな意味があります。また、日本の文化やデジタルへの向き合い方を学ぶこともでき、APAC(アジア太平洋)市場の技術や日本でのニーズの理解にも繋がりました。

第4期MUFG Digital アクセラレータ 準グランプリを受賞した初の海外企業Moxtra社

プログラムの成果

さまざまな課題をMUFGとOne Teamで乗り越え、協業を前進

—MUFGとの協業はどのように進んだのでしょうか。その中で苦労した点などはありましたか。

Iyar氏:プログラム終了後、MUFGとの協業においてはさまざまな可能性を模索して来ました。MUFGチームから一貫してサポートと理解を得られたお陰で、個別のユースケースを念頭に置いた議論へと移行しており、今はMUFGの国内外での拠点におけるMoxtraの活用を検討しています。ブラジルのMUFGバンクではPoCを実施、日本でも大企業法人取引においてテスト運用を計画しています。

一番大変だったのは、伝統的な大手企業の多くが悩まされる組織のサイロ化の問題を乗り越えて行くことでした。多くの規制に準拠しなければならない金融業界では、リスク管理の観点から、スピーディな変化を起こすことは容易ではありません。特に新しいことを進める場合、多くの部署の承認を得なければ前に進められないなど、さまざまな困難がありました。

しかし、MUFGのマネジメントを含むチームの方々は、改革を起こそうと努力を惜しまず行内調整などに動いてくれました。事業部門の方々との接点構築に向け、デジタル企画部の方々が親身になってサポートしてくださいましたし、全てのMUFG関係者の方々が、大変好意的に接してくださり、このパートナーシップが成功するよう伴走してくださったことに、本当に感謝しかありません。

シリコンバレーと東京という地理的な距離や文化的な違いも避けては通れない課題でしたが、MUFGの方々にMoxtraのプラットフォームを体験してもらい、有用性を理解していただきながら、遠く離れた場所でもMoxtra上で継続的にコミュニケーションし、関係を深めていくことができました。こうしてMUFGと友好な関係を築き、将来のビジョンを共有できた点が、パートナーシップを上手く進められた大きな要因のひとつだと考えています。

世界をリードする金融機関であるMUFGと共に「信頼あるグローバル金融機関であり続ける」というビジョンを共有し、共に歩むことができることを大変光栄に思っています。

—プログラムの応募者が協業を進める上で、意識するべき点を教えてください。

Iyar氏:コンサルテーションを交えた質の高いサービスによって、「最大限の価値を提供し続けること」が何よりも大切だと思います。大企業との協業においては、新しいことを進める際にスタートアップよりも時間を要したり、他社のソリューションと比較されたりと、想定外の事態が発生する可能性がありますが、そうしたことも新たな成長のきっかけになるはずです。困難な状況を「新たな経験の場」として受け入れて前に進んでいく、オープンなマインドと忍耐を意識するべきだと思います。

今後の展望

ビジネスコラボレーションの新たな領域のリーダーに

—これからのビジョンについて教えてください。

Iyar氏:MUFGとは長期的なパートナーシップを視野に、今後も高い成果を生み出せるように連携を強化していきたいと考えています。新たなサービスのリリースに際しては、MUFGにも大きな成果をもたらすことができると確信していますし、海外拠点とのコミュニケーションを効率化することもできるでしょう。

Moxtraは、世界中に150名を超えるメンバーがおり、クライアントからのフィードバックを活かして、継続的に新たな機能を提供しています。これからの20年でどのようにビジネスを推進していくべきか、私たちが世の中に示していくことで、ビジネスコラボレーションの新たな領域を生み出し、そのリーダーになっていきたいと考えています。

Moxtra社 Head of Strategic Business Development Nikhita Iyar氏
(Moxtra社 Head of Strategic Business Development Nikhita Iyar氏)