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実力均衡の大接戦!第5期「MUFG Digital アクセラレータ」DEMO DAY開催

実力均衡の大接戦!第5期「MUFG Digital アクセラレータ」DEMO DAY開催

2021年4月16日、第5期「MUFG Digital アクセラレータ」の採択企業によるピッチコンテスト「DEMO DAY」が開催された。審査員による厳正な審査を経て、以下の企業が各賞を受賞した。今回は、各社の代表のピッチ内容を紹介する。

第5期「MUFG Digital アクセラレータ」結果

●グランプリ:アルプ株式会社
●準グランプリ:株式会社トーラス
●パートナー賞:
・AWS賞:Crezit株式会社
・Microsoft Award:サステナブル・ラボ株式会社
・DEJIMA賞:yup株式会社
・PR TIMES賞:全スタートアップ5社

第5期「MUFG Digital アクセラレータ」DEMO DAYとは

過去最多のエントリーの中から選ばれた企業が13分間で競い合う

MUFG Digital アクセラレータは、2015年に三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)が設立した邦銀初のアクセラレータ・プログラムだ。これまで参加した26社中7社に対して、MUFG各社が出資した実績がある。フィンテック領域(決済、融資、資産運用など)と先端技術領域(AI、ブロックチェーン、IoTなど)を主な対象として、起業家やスタートアップの事業プランのブラッシュアップ、プロトタイプの構築支援、パートナー選定、アライアンスなどの事業化に向けたステップを、MUFGが4ヶ月にわたって支援する。

第5期は過去最多のエントリーがあり、多くのスタートアップが興味を示していることが伺えた。DEMO DAYには、一次選考(書類)、二次選考(ピッチ)を経て選出されたアルプ株式会社、Crezit株式会社、サステナブル・ラボ株式会社、株式会社トーラス、yup株式会社の5社が登壇し、各社8分間のピッチと5分間のQ&Aセッションで、短期集中支援プログラムの成果を競い合った。

今回のDEMO DAYは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、同イベント初の試みとしてオンラインとオフラインのハイブリッド形式の開催となった。MUFGが運営するイノベーション施設「MUFG SPARK」(東京・日本橋)を会場としながら、オンラインで審査が行われた。

結果発表

グランプリ:アルプ株式会社
「スタートアップ向け融資に大きな一石を投じたい」

アルプ株式会社は、SaaSやサブスクリプションビジネスにおける契約・請求管理を中心とした販売管理プラットフォーム「Scalebase」を展開している。商品、契約、請求管理オペレーションの複雑性を解消し、精度の高い情報に基づいた正しい経営判断を支援するサービスだ。

同社のCo-Founder, 代表取締役 伊藤 浩樹 氏は、自社の事業について次のようにコメントした。 「Scalebaseの顧客状況、国内スタートアップ資金調達額・関連社数推移、海外市況を鑑みると、今後スタートアップ向けの融資のチャンスは大きい反面、既存の枠組みでは実行は難しいという印象を持った。成長企業に対する融資の裾野を拡げるため、メガバンクでは手の届かない部分をScalebaseの事業価値で補完できないかと考えている」


(アルプ株式会社 Co-Founder, 代表取締役 伊藤 浩樹 氏)

準グランプリ:株式会社トーラス
「不動産の情報格差を解消して顧客により良いサービスを提供する」

株式会社トーラスは、日本トップクラスとなる1,000万世帯の登記簿データベースを構築・保持する。登記簿へのアクセスが便利になれば、不動産の情報格差が解消され、自由な市場競争が促されると考えている。

同社のビジネスディベロップメントマネージャー 前田 有香 氏は「金融機関から既存顧客への提案は、情報格差解消に不可欠である一方、金融機関からの情報提供は難しい現実がある。顧客へのより良いサービス提供のために金融機関とタッグを組みたいと思い、本プログラムに参画した。不動産だけではなく総合的な金融資産を基にした提案を行う銀行との共創によって、顧客への多角的な提案につながる」と語った。


(株式会社トーラス ビジネスディベロップメントマネージャー 前田 有香 氏)

AWS賞:Crezit株式会社
「与信事業に進出する事業者の参入障壁を払拭したい」

Crezit株式会社は、融資申請や審査、回収などの金融事業への参入を加速させる与信プラットフォーム「X Crezit」を展開している。同社は「信用を最適化して、人の可能性を解き放つこと」をミッションに掲げ、長期にわたって大きな変化がなかった日本の消費者信用市場に、テクノロジーやデザインによって変革を起こすことをめざしている。

同社のCOO村井 亮太 氏は「与信事業への参入を検討する新しい事業者がいても、必要な対応が膨大で参入障壁となっている。そうした事業者にX Crezitを提供することで、新事業拡大に必要なシステムを一括で提供し、与信事業の参入障壁の高さを払拭したい」と語った。


(Crezit株式会社 COO 村井 亮太 氏)

Microsoft Award:サステナブル・ラボ株式会社
「SDGsとESGの費用対効果を分析して人類の未来を照らす」

サステナブル・ラボ株式会社は、非財務価値の財務インパクトを測ることができるデータプラットフォーム「ESGテラスト」を展開する。SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)やESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)の推進には、新たなリソースを投入する必要があるものの、費用対効果が不透明という課題がある。同社のサービスは、独自のデータ設計とデータ抽出技術、機械学習による解析によって、企業のサステナビリティ推進を支援する。

同社の代表取締役 CEOの平瀬 錬司 氏は「超長期戦略としてSDGsの取り組みが重要になってきているが、非財務価値は本当にお金になるのか?という問いに真っ向から答えられる企業は少ないのではないか。非財務ビッグデータの科学で人類の未来をともに照らしませんか?」とアピールした。


(サステナブル・ラボ株式会社 代表取締役 CEO 平瀬 錬司 氏)

DEJIMA賞:yup株式会社
「スモールビジネスの経営者のため、新たな請求管理サービスの実現をめざす」

yup株式会社は、スモールビジネスの経営者向けに「メンドウな請求書の支払作業をなくす」というコンセプトのクラウドサービス「billbill(ビルビル)」を開発・提供する。

同社の代表取締役社長 阪井 優 氏は、新規事業の立ち上げに際し50件を超えるヒアリングを実施したと語った。その結果、多くの企業が請求業務に課題を感じていること、税理士事務所が請け負う伝票入力作業をbillbillで軽減化できることが明らかになり、「billbill for 税理士」という新しい事業モデルの構想に至った。MUFGの決済システムとのコラボレーションにより、銀行の決済システムを活用した新しい請求管理サービスをめざすという。


(yup株式会社 代表取締役社長 阪井 優 氏)

MUFGからのメッセージ

かつてないほどの接戦。スタートアップのアイデアを新しいビジネス創出へ

DEMO DAYの最後に、審査員を代表して三菱UFJフィナンシャル・グループ執行役常務 デジタルサービス事業本部長 兼 グループCDTO 大澤 正和 氏が総評を述べた。「5社それぞれの魅力が伝わる素晴らしいプレゼンテーションだった。5人の審査員が持つ点数を集計したところ結果はほぼ横一線。ここまで接戦だったことは未だかつてなかった。すべてのビジネスが個性的で甲乙付け難いものだったと思う。

今回発表された内容はいずれもスタートアップならではの視点から生まれたアイデアがベースで、発想そのものに特異性・優位性がある。それらをブラッシュアップさせていくことで、中小企業のデジタル化や金融機関における新しいビジネス創出につながるであろう。MUFGでの活用機会の創出はもちろん、その他の金融機関や産業も含めて、日本のデジタルトランスフォーメーションに貢献することは間違いないと確信している」


(三菱UFJフィナンシャル・グループ 執行役常務 デジタルサービス事業本部長 兼 グループCDTO 大澤 正和 氏)