道なきところに道をつくるおもしろさ

(三菱UFJ銀行 デジタル戦略統括部 データマネジメントGr 南 哲嗣)
Q. データスチュワードチームについて教えてください。
南:データスチュワードチームはデジタル戦略統括部データマネジメントGrの1チームで、OCEANと呼ばれるデータ基盤の品質を担保し、利活用を推進することをメインミッションとしています。メンバーは18名で、3つのラインで構成されています。1つ目はデータナビゲーションラインで、データ基盤OCEANにあるデータについて、ユーザーからの照会対応にあたっています。2つ目はデータアーキテクトラインで、データの品質管理と、利活用を目的とした保存方法の企画立案および実行を行っています。3つ目はデータコンサルティングラインで、行内業務のBPR(Business Process Re-engineering) で業務効率が向上するように、データを整理し、データ基盤に格納する役割を担っています。
Q. 現在、チームが取り組んでいるプロジェクトを教えてください。
南:重点的に取り組んでいるプロジェクトは、データアーキテクトラインで行っているデータマネジメントツールの導入です。データの上流から下流までのリネージ、つまりデータの源泉からOCEANを介した最終的な利用までの流れを把握するとともに、データのライフサイクルを管理、データが安全に利活用できている状態にすることが目標です。ほかには、データコンサルティングラインでもいくつかのプロジェクトを進めており、その中にはたとえば海外部門の管理会計を自動化、最終的にはデータ基盤に収めて分析に活用できるようにするタスクも含まれます。
Q. 入行から現在までのお仕事を教えてください。
南:2024年11月にキャリアで入行、2025年4月にデータスチュワードチームが独立したチームとして立ち上げられたときからリーダーとして全体の取りまとめを行っています。
松木:2024年1月にキャリアで入行しました。それ以来、データ高度化に携わり、データを安心安全に利活用するための企画の立案と実施を担当しています。現在は、先ほど南さんから説明があった、データマネジメントツールの導入に主に携わっています。データ基盤OCEANの開発、運用、ルールの整備も行っています。
田中:私は2021年4月、新卒のオープンコースで入行しました。営業職、システム開発職を経て、2025年4月からデータコンサルティングラインに所属しています。現在は行内業務のBPR支援として、従来はExcelで管理されていたような各部門のデータをデータ基盤OCEANに集め、自動化するプロジェクトに関わっています。また、データを集める際には、AIやBI活用を見据えた使いやすいデータマートの企画を行っています。
Q. 銀行でデータ基盤の整備・利活用の推進に関わる難しさや今の仕事のやりがいはどのようなところにありますか。
南:銀行に限らないのですが、前提として、データスチュワードが責任を担うデータマネジメントの概念を定着させることが重要だと思っています。データマネジメントは教科書的な役割は定義されているものの、それを実践的に取り入れている企業は多くないのが現状で、AIの活用が急速に進んだことなどで、データの正確性を管理運営することはより重要になってきております。データマネジメントを当行に定着させることは非常に大変な作業ですが、それだけおもしろさもあります。銀行での難しさとしては、顧客数も厳格管理情報も多様かつ膨大であるため、慎重なデータ管理が求められることが挙げられます。
松木:私も同じ考えです。データマネジメントには教科書がありません。試行錯誤しながら仮説を立てて、検証していく必要があります。すぐに成果が表れたり、誰かに直接的に感謝されたりするわけではないのですが、5年後、10年後の競争力を支えていると思うと、やりがいは大きいですね。
田中:私の場合は、入行してから支店で営業職を経験したので、今の仕事が最終的に銀行の日々の業務にどのように役立つかを想像すると、うれしくなります。また私の役割としては、支店を支える本部部署へのコンサルティングなので、直接関わっている皆さんがパッと顔を明るくして「こんなに便利になるんだ」と言ってくださったりすると、もっと頑張ろうという気持ちになります。
南:チームの中でも、田中さんのデータコンサルティングラインの仕事はより営業的な側面があって、いわゆるフロント、各部門と接点を持って、作業とデータの効率化を図ります。一方、松木さんのデータアーキテクトラインの仕事は、それより後方で、それらのデータを含めたデータ基盤OCEANの運用管理を確立する仕事ということができます。
経営層のバックアップ体制が心強い

(三菱UFJ銀行 デジタル戦略統括部 データマネジメントGr 田中 若奈)
Q. 入行を決めた理由を教えてください。
南:私は2001年の大学卒業以来、数社転職をしておりますが、一貫して金融業界で統計解析業務を行ってきました。分析者の最終目的はデータを活用することですが、それに先立って必要な、データの探索・収集・加工のプロセスには、非常に時間を要し、品質担保も苦労していました。また、当行に入行する前に約3年間、データ利活用を目的としたデータベース構築に携わり、正確な分析にはデータの正確性が非常に重要であることを再認識しました。当行に入行を決めたのは、データ基盤OCEANが、こういった経験のいわば発展形に思えたからです。データの分析とデータベースの構築は両輪のようなもの。グローバル金融グループのデータマネジメント部門でその両方に関われるのは、スケールの大きさも相まって、非常に魅力的でした。
松木:2004年に経済学部を卒業してから、システムエンジニアとして3社に勤務しました。当行に入行する前は、メーカーでデータ基盤のシステムをつくる仕事をしていました。そのときに思ったのが、システムは箱でしかなく、最も重要なのは、その中のデータと利活用の方法であること。そこで今後は、システムではなく、データ中心でキャリアを積んでいこうと考えました。MUFGについては、データマネジメントの意義を十分に認識して、人員と予算をしっかりつけている点、言ってみれば本気度が印象的でした。ここなら思う存分、仕事ができると思いました。
田中:大学時代の専攻は制御工学でしたが、直接的にその知識を仕事に活かしたいというこだわりはなく、就職活動ではいろいろな業界を幅広く見ていました。グローバルな仕事とITの仕事に興味があり、MUFGに惹かれたのは、その両方に強みを持っていたからです。システム・デジタルコースとグローバルコースのどちらかを選ぶことも考えたのですが、絞りきれず、会社説明会で聞いた「自分のキャリアは自分で築ける」という言葉を信じて、まずは飛び込んでみようとオープンコースを選びました。
Q. 入行してからイメージのギャップはありましたか。入行してから感じたMUFGの魅力を教えてください。
南:イメージのギャップというのはなかったですね。良い意味で驚いたのは、データマネジメントの専門部署が設置されているだけでも入行前から感心していたのに、そこからさらにスチュワードチームを独立させたこと。松木さんが「本気度」と言っていた通り、MUFGの経営層のバックアップ体制は本当に心強いです。
松木:銀行というと、プロパーの社員が中心なのではないかと思っていましたが、デジタル関連部署ではキャリア採用の行員が半数以上で、プロパーとキャリアの区別はありません。フラットな雰囲気で、一人ひとりがのびのび活躍しています。
田中:私は入行後、法人営業をしていましたが、2年目のときに社内公募に応募し、2年間三菱UFJインフォメーションテクノロジーに出向してシステム開発の基礎を学んでから、現在のチームに参加しました。銀行はキャリアの築き方にしても、与えられた役割をこなして、決められた道を歩いていくイメージですが、MUFGでは、自分でキャリアを選択し、チャレンジできます。社内公募に応募するときも、支店の上司や先輩が協力してくれて、とても心強かったです。
試行錯誤を通して成長を実感できる環境

(三菱UFJ銀行 デジタル戦略統括部 データマネジメントGr 松木 秀雄)
Q. 今後の目標や将来の夢を教えてください。
南:AI活用などでデータの重要性は高まる一方ではありますが、データマネジメント領域に対して実践的に組み入れている企業は多くないと聞いています。繰り返しになりますが、その中でもMUFGは経営陣のバックアップやデータ重要性の理解もあり、データマネジメントにこれだけ力を入れています。データマネジメントの業務を浸透させるため今後も優秀なメンバーとともに、力を尽くしていきたいですね。
松木:私は自分の仕事を説明するとき、よく自動車の運転を引き合いに出します。どういうことかというと、多くの人が自動車を運転しますが、なぜそれが可能なのかを意識することはないでしょう。でも、道路交通法、それに基づく標識、信号、教育、自動車自体の性能などで、安全に運転ができる仕組みができている。それと同じように、誰もがデータを安心安全に利活用できる環境をつくりたいと思っています。
田中:個人的には、データコンサルタントとして仕事を始めて、まだ日が浅いので、まずは知識と経験を積むことが、当面の目標です。いずれは「田中さんに相談すれば大丈夫」と言ってもらえるようになりたいと思っています。
Profile
※所属・肩書は取材当時のものです。

三菱UFJ銀行 デジタル戦略統括部 データマネジメントGr
南 哲嗣
2001年に卒業後、金融業界で統計解析のスペシャリストとしてキャリアを積む。データベースの統合に関わった経験からデータの重要性に目覚め、2024年11月に三菱UFJ銀行に入行。2025年4月から現チームのリーダーを務める。

三菱UFJ銀行 デジタル戦略統括部 データマネジメントGr
松木 秀雄
2004年に卒業後、システムエンジニアとしてキャリアを築く。データ基盤のシステム構築に関わった経験から、データの価値に気づき、システムからデータに重点を移す。2024年1月に三菱UFJ銀行に入行。現在、データアーキテクトのラインヘッドを務める。

三菱UFJ銀行 デジタル戦略統括部 データマネジメントGr
田中 若奈
2021年にオープンコースで新卒入行。入行後は支店での法人営業を経て、社内公募により三菱UFJインフォメーションテクノロジーへ出向。2025年4月から現チームに参加、データコンサルティングラインに所属し、行内業務のBPR支援に従事。



