皆さまには、平素より格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。
2025年10月、MUFGは設立20周年を迎えました。私たちを取り巻く環境は日々変化しており、地政学や物価、そして政治情勢の動向など、グローバルで社会・経済の構造変化が速度を増して進んでいます。国内では社会全体のインフレ経済への順応が進むとともに、新政権が発足し、強い経済の実現に向けた取り組みが始動しようとしています。
このような中、親会社株主純利益は、前年同期比347億円増加の1兆2,929億円となり、中間期として最高益を3年連続で更新しました。昨年度は、アユタヤ銀行の決算期変更影響や政策保有株式での大口の売却益の計上がありましたが、今年度は、顧客部門の収益が引き続き力強く伸長したことに加え、昨年度に実施した債券ポートフォリオの組替え効果による資金利益の増加や、Morgan Stanleyを中心とした持分法投資利益の増加がこれを上回りました。足元の業績の進捗や目標設定時からの経営環境の変化を踏まえ、通期目標を2兆1,000億円に引き上げました。過去最高益を記録した昨年度から、10%を超える成長となる水準です。
この利益目標の上方修正に伴い、年間配当予想を昨年度比で10円増配の74円に引き上げるとともに、2,500億円を上限とする自己株式取得を決議しました。今年度累計では5,000億円になります。
「成長を取りに行く3年間」と掲げた、現在の中期経営計画を支える施策の3本柱は着実に進捗しています。
「成長戦略の進化」は、国内預貸ビジネスが順調に拡大していることに加え、海外ではプロジェクトファイナンスの積み上げやO&D(注)の強化など、ROE向上に資する案件の獲得が増加し、第二のマザーマーケットであるアジアでは、更なる収益向上をめざす取り組みに注力しています。その結果、営業純益は23年度比で約1,500億円の増益となりました。
また、リテールビジネスでは6月に新しいサービスブランド、「エムット」を発表しました。この発表に合わせて開始したカードのポイントアッププログラムやグループ横断でのキャンペーンも展開することで、カードの発行枚数や銀行の新規口座開設数に加えて、オンライン証券やロボアドなどグループ各社の実績も大きく向上しています。
「社会課題の解決」は、サステナブル投資についてグローバルでは異なるベクトルの動きもある中においても、再生可能エネルギー向けのファイナンスやグリーンローンなどを中心にファイナンス実績を堅調に積み上げています。
また、「企業変革の加速」では、MUFGのポテンシャルを最大限覚醒させるために、カルチャー改革の継続に加え、新事業への挑戦や人的資本への投資、AIやデータ等の基盤強化をグループ一体で推進しています。
これまでも私たちは多くの困難や変化を乗り越え、皆さまに支えていただきながら20年の歴史を築いてきました。これからも、「世界が進むチカラになる。」というパーパスの下、急速に変化する外部環境の中でも挑戦を続けることで、企業価値の更なる向上をめざします。
皆さまにおかれましては、今後とも一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
(注)Origination & Distribution 貸出を組成し投資家に販売すること
2025年11月
取締役
代表執行役社長 グループCEO
亀澤 宏規

