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勇者よ、資産形成の旅に出よ!3万回以上プレイされている投資教育ゲーム「信託クエスト」

(写真=プレイ画面/スマートアイデア提供)

勇者よ、資産形成の旅に出よ!3万回以上プレイされている投資教育ゲーム「信託クエスト」

現在、「信託クエスト」という異色のゲームが、マスコミやSNSで大きな反響を呼んでいる。

三菱UFJ信託銀行株式会社(以下、三菱UFJ信託銀行)がスマートアイデア株式会社(以下、スマートアイデア)と共同で提供しているこのゲームは、すでに3万回以上プレイされており、投資教育を目的としたゲームとしては異例のプレイ回数を誇っている。

2018年1月10日に第2章をリリースし、物語がさらに進んだ信託クエスト。その制作背景には、どのような想いが込められているのか。今回は、信託クエストを提供している三菱UFJ信託銀行の木本英司氏と、スマートアイデアの江尻尚平氏に話を聞いた。

「1駅で1シナリオ」の手軽さ 楽しくプレイしながら資産形成の要点を学べる

まずは信託クエストについて紹介しよう。

信託クエストは、パソコンやスマートフォンのブラウザでプレイすることができ、アプリをインストールすることなく、気軽にはじめられるのが特徴だ。また、操作も誰でもプレイできるよう、チャット形式で会話が進められ、選択式のシンプルなシステムになっている。ゲームデザインは、往年のテレビゲームを思い出させる懐かしい画面だが、会話などのスピードは現代風に速いテンポで進んでいく。

2017年9月にリリースされた第1章「信託クエスト?剣と魔法とお金の物語?旅立ち編」は、資産形成に興味や関心を持ってもらうことをテーマにしていたが、リリースされたばかりの第2章は、第1章のテーマに加えて「仲間」をストーリーの中心に据えている。RPGでは特徴のある「仲間」と助け合いながら物語を進めていくことが多いが、信託クエストではどのような仲間との出会いがあり、また資産形成にどのように絡んでくるのだろうか。

肝心のストーリーは、勇者が次の目的地に向かうところからはじまり、城を出たところでさっそくモンスターと遭遇。戦うか否かの選択を迫られ、「戦う」を選ぶと「遺言信託」をする間もなくバッドエンドを迎えてしまうという、驚きの展開が用意されている。そのほか、酒場へたどり着くが、マスターからお酒を飲むかどうか聞かれて本能的に「飲む」を選択すると……酔いからさめたときには、またまたバッドエンドを迎えてしまうなど、「酒は飲んでも飲まれるな」ではないが、投資教育だけでなく人生教育もしてくれるようだ。

今回の第2章は、グッドシナリオが3種類、バッドシナリオは紹介したものを含めて全部で15種類用意されている。スピード感を持ってプレイできるため、1シナリオ5分程度で終了するだろう。会社の行き帰りの電車やバスの中でプレイするにはうってつけだ。ただ時間を潰すだけでなく、資産形成について学ぶことができるのもうれしい。

シナリオ制作はゲーム会社・タイトーやハドソンでらつ腕を振るったシナリオライター・平川らいあん氏が担当。またどこか愛らしいキャラクターデザインは「女性のデザイナーが描いている(江尻氏)」という。シナリオやキャラクターにも並々ならぬ想いを込めたゲームとなっている。


「信託クエスト」の開発背景を語る三菱UFJ信託銀行・木本英司氏(左)とスマートアイデアの江尻尚平氏(右)。

「多くの人にプレイしてもらいたい 」信託クエストへのこだわりとは

「シンプル」
「軽快」

言葉で書けば簡単だが、これを実現するには高い技術力が必要となる。「ブラウザで軽快にゲームが進むように、当社の技術をフル活用しています。もともと培ってきたクラウドを用いた開発技術を使って、ユーザーが快適にゲームをできるだけでなく、同時に1万人がプレイしても問題ないように設計しています(江尻氏)。」というように、信託クエストがテンポ良くプレイできるのはスマートアイデアの高い技術力があってこそだ。

ゲームとしてプレイする以上、軽快に進むだけでなく、「面白さ」も当然必要だ。実は、そのシナリオについても大きなポイントがある。複数のシナリオを用意することで、何度も楽しんでもらえるよう工夫しているのだ。

ゲームの面白さについては、木本氏からも発言があった。「シナリオについては、原則として制作者側にお任せする方針としました。私たちはプロのゲームクリエイターが考えたシナリオをできるだけ活かしてプレイヤーに思う存分楽しんでもらうことをめざしました。その体験を通じて、結果として資産形成の足がかりとなればと考えました。」

「すべてをお任せしますとは言われたものの、ここまで自由度を持って取り組みさせていただけるとは思いませんでした。」と江尻氏も感じたという。

どうしたら資産形成について考えてもらえるか

そもそも、信託クエストを提供しようとした背景にはどのようなものがあったのだろうか。その理由について木本氏にうかがってみた。

「30代から50代、特に社会人の男性向けの投資教育コンテンツを模索していました。そこで、どのようなものが良いかスマートアイデアさんと一緒に考えていたところ、その世代の男性が思わず懐かしさを感じるRPGを下敷きにしたコンテンツ、という着想に至った次第です。」

これが信託クエスト開発のきっかけとなったという。三菱UFJ信託銀行には、投資教育や資産形成の重要性を伝えるうえで大きな問題意識があった。「多くの人は資産形成について学ぶ機会が少ないと考えています。書店に行けばたくさん関連書籍がありますが、すべての人が手に取るわけではありません。資産形成を自ら進んで考えていただくためには、我々はこれを解決する必要があります。資産形成の重要性をどのように伝えたらいいか、そこでスマートアイデアさんに協力してもらったわけです。」

三菱UFJ信託銀行の投資教育に対する姿勢には、協業を通して江尻氏も大きな刺激を受けたという。「三菱UFJ信託銀行のセミナーに参加させていただきましたが、資産形成の重要性を理解してもらいたいという想いが伝わってくるような内容でした。とても丁寧なセミナーだと思いました。」と語る。

この2社のコラボが生まれたきっかけは、三菱UFJフィナンシャル・グループが主催するMUFG Fintech アクセラレータプログラム(現MUFG Digital アクセラレータプログラム)だ。「当時、知人からすすめられて参加することにしました。そのとき、メンタリングしていただいた方の一人が三菱UFJ信託銀行さんで、いろいろとアドバイスをいただきました。」

MUFG Fintechアクセラレータプログラムでは、チャットボットのプロトタイプを開発してDEMO DAYで発表。プログラムが終了した直後の2016年8月5日には20?30代向けの金融教育アプリ「おカネNavi」と、お金に関するロボアドバイザーアプリ「Robo Financial Adviser」をリリースした。その技術は、今回の信託クエストのUI開発にも活かされているという。
(新サービス開発の詳細はこちらから「スマートアイデア社がMUFGアクセラレータプログラムで新サービスを開発」)


「クリエイターの作り出す魅力を最大限活かしたゲームをお届けしたかった」と語った木本氏(左)。シナリオを活かすために、行内ではその調整に奔走したという。一方、想いを託された江尻氏(右)は、三菱UFJ信託銀行の投資教育に対する姿勢をいかにゲームに乗せるか、システム開発とシナリオ構築の両面から取り組んだそうだ。

「投資教育の促進」「日本の金融リテラシー向上」両社の冒険はこれからも続く

第2章に突入した信託クエスト。最後に、両社がこの冒険に込めた想いを語っていただいた。

「信託クエストによって、投資教育の促進、資産形成に対する理解の向上につながってほしいと思っています。気軽に楽しみながら資産形成の重要性を肌で感じてもらいたいです(木本氏)」

「ゲームを通じて、日本の金融リテラシー向上を実現したいです。当社が提供している家計簿アプリを通じて資産形成の大切さを知って欲しいと強く思うようになり、そのような想いを信託クエストにも込めています。シナリオをレトロ絵と会話のスピード感が更に引き立て、ユーザーの皆さまに楽しんでいいただける自信作ですので、ぜひプレイしてみてください(江尻氏)。」

第2章がリリースされたばかりの信託クエスト。より多くの人が信託クエストを通じて資産形成への興味関心のきっかけを掴むことになれば、日本の金融リテラシーはおのずと向上するのではないだろうか。信託クエストは第3章のリリースも予定されている。両社の冒険はまだ始まったばかりだ。「我こそは!」という勇者は、ぜひプレイしてほしい。

三菱UFJ信託銀行「信託クエスト