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「MUFG Digitalアクセラレータ」第4期募集開始。大盛況の説明会vol.1レポート

「MUFG Digitalアクセラレータ」第4期募集開始。大盛況の説明会vol.1レポート

株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)が主催するスタートアップ支援プログラム「MUFG Digitalアクセラレータ」第4期プログラムの募集が開始された。2018年11月27日には第1回プログラム説明会を開催。プログラムの概要や選考のポイント、参加メリットなどが紹介された。また、歴代のグランプリ受賞者2人によるゲストピッチも行われ、多くの参加者が熱心に耳を傾けていた。

革新的なビジネスの立ち上げをめざすプログラム

MUFG Digitalアクセラレータは、世界に変革をもたらす熱意を持った起業家・ベンチャー企業と革新的なビジネスの立ち上げをめざすプログラムだ。2015年から開催されており、今期が4回目となる。

説明会ではまず、第4期プログラムのMUFG Digital アクセラレータチーフプロジェクトマネージャー桂 寧志氏がプログラムの概要を紹介した。桂は「クラウド、モバイル、人工知能(AI)、IoT、ブロックチェーン、量子コンピュータ、ビッグデータなどのデジタル技術の進化、テック大手企業による金融参入などを契機に、MUFGは “オープンイノベーションの必要性”を感じている」と説明した。


(MUFG Digital アクセラレータチーフプロジェクトマネージャー 桂 寧志氏)

これまでMUFGでは、インターネットバンキングやスマートフォンアプリに加え、じぶん銀行(ネット銀行)といった新たなチャネルを提供してきた。しかし、「顧客ニーズの多様化、製品・サービスのライフサイクル短縮化、グローバル化による競争構造の変化などにより、世の中で求められているレベル感と自社だけで構築できる水準のギャップが拡大している」(桂)という。

MUFG Digitalアクセラレータは、起業家やベンチャー企業、スタートアップが元々持っていたビジネスアイデアや技術を軸に、MUFGと一緒に新規事業の創出を図っていく狙いがある。

MUFG Digitalアクセラレータではフィンテックに留まらず、先端技術を用いた事業などを中心にデジタルに関連する幅広い領域が対象としている。採択企業数は3期までで累計18社を数え、その中の半数を超える参加企業との協業を発表してきた実績がある。一定の要件を満たした企業には出資の検討も行ってきた。

2019年1月13日まで公式Webサイトで応募を受け付けており、一次選考(書類)、二次選考(面接)を経て同年3月からプログラムがスタートする。2019年3月から7月までの4ヵ月間で「メンターによるメンタリングセッション(毎週1、2回)」「マーケターや弁護士などのアドバイザーによるコーチングセッション」「専門家による起業支援」などを受けた後、最終発表会(DEMO DAY)での審査によってグランプリが決定する。4ヵ月間の後にも、事業提携や顧客マッチング、出資機会などでMUFGとの関係を続くことになる。

審査においては「事業プラン」「企業/チーム」の2軸が評価基準になる。事業プランについては「新規性/革新性」「利用者ベネフィット」「実現性」などを、企業/チームについては「企業/チームとしての強み」「プログラム参加の熱意」などが評価基準となる。

「時間や手間などのリソースがかかるプログラムなので、必ず成し遂げたいという熱意があるかが重要なポイント」(桂)

グランプリ獲得までの道のりを紹介

次に、過去のプログラムに参加してグランプリを勝ち取ったスタートアップ企業2社の代表者がゲストピッチを行った。

一人目が、xenodata lab.の代表取締役社長、関 洋二郎氏だ。

同社は、機械学習と自然言語処理の技術を使った金融情報の分析を自動化する技術をベースにサービスを提供している企業。三菱UFJ銀行から資金調達を受けて事業を運営してきた。2018年にはブルームバーグとデータ連携を開始し、さらにダウ・ジョーンズとも業務提携契約を締結。国内で唯一、同社のコンテンツを解析してサービス化することを認められている。


(xenodata lab. 関 洋二郎氏)

公認会計士だった関氏は、監査法人で5年ほど働き、ITを使ったデータ/システム監査を経験してきた。その後、株式会社ユーザベースで「SPEEDA」事業開発の責任者として財務データの設計に従事。その際、ユーザーが本当に求めているのは「データだけではなく分析的なインサイトではないか」と考えて自分で会社を設立した。

xenodata lab.が提供しているサービスは「XENO BRAIN」。ニュース自動分析、決算自動分析などを可能にする。最新技術で様々なシーンの企業分析を自動化できる「企業自動分析統合プラットフォーム」だ。画面上にリアルタイムに表示されたニュースをクリックすると、そのニュースが「どの企業の」「どの会計科目に」「どういったインパクトを及ぼしうるのか」を瞬時に表示する。

関氏は「個別のニュースが世の中にどのような影響を及ぼすのか、例えばそのニュースに関わる企業が自動車産業にどの程度売り上げを依存しているかといった産業の構造から分析することで、業績などへの影響度を予測し、ユーザーに示唆を与えることができる」と自社のサービスの特徴を説明する。

起業当初は、決算短信の解析を事業化したが、同サービスは業績をその背景を含めて説明できるという。例えば、決算分析では数値情報を使うだけだが、定性的な分析も瞬時に行える自然言語処理の技術がサービスの特徴だと語った。

2人目は、クレジットエンジンの代表取締役である内山 誓一郎氏。第3期の優勝企業だ。

同社は、オンラインレンディングサービス「LENDY」の企画から開発、運営を手掛ける。中小事業者の資金調達の時間や手間を解決するためのサービスで、Webだけで完結することが特徴である。2017年のリリースから1600件を超える利用実績を持っている。


(クレジットエンジン 内山 誓一郎氏)

内山氏によると、日本のオンラインレンディング市場はすごく小さく、中国や米国と比べて未発達な状況にあるという。この分野で事業を行っている企業は2、3社しかいないため、さらに市場規模を拡大させるためには金融機関との連携が課題と考えていた。金融機関の強みである「資金力」「顧客基盤」と、クレジットエンジンのテクノロジーやUI/UXを連携できれば上手くいくと考え、MUFG Digitalアクセラレータに参加したという。

その成果として、金融機関向けオンラインレンディングプラットフォームを開発した。このプラットフォームは、金融機関がオンラインレンディングを実施する上で必要なフロント側サービスや裏側の管理者側のサービス、与信モデルや債権回収などがワンストップでできるという。「当初は、金融機関で求められる高いセキュリティや当局対応などの課題があった。そこを一つ一つ改善していった」と振り返る。

内山氏は「アクセラレータに何を求めるのか?」という問いに関して私見を紹介。「金融機関と新しいプロダクトを作りたい」「金融機関向けサービスを作りたい」「金融機関をマーケティングチャネルとして使いたい」という人は合っていると説明する。その一方で「サービスをグロースさせるビジネスプランを構築したい」「自社サービスをMUFGに売り込みたい」「MUFGブランドで箔をつけたい」といった動機は不向きであるという。明確な目的がないとプログラムは成功しないのではと語った。

その後の質疑応答では、シード期のフィンテックのスタートアップや、一人で活動している人などからの質問が多く出てきて、参加者のプログラムへの関心の高さをうかがうことができた。

個別相談会・懇親会で直接相談も

また、説明会の最後には個別相談できる時間も設けられていた。おのおのの事業がアクセラレータとマッチするのか、このプログラムに参加することでどういったメリットがあるのかなどを事務局メンバーに直接聞いて知ることができる。後々になって、自分たちの期待と実際のプログラム内容にギャップを感じないよう、ぜひこちらは利用してほしい。また、説明会後の懇親会には参加者のほとんどが参加し、登壇した二人の起業家やMUFGのメンバーと熱心に情報交換が行われていた。説明会参加者同士のネットワーキングもでき、有益だったという声が多数聞かれた。

今後の説明会・ミートアップ開催予定

説明会スケジュール

第3回説明会 2018年12月17日@Freee社

東京都品川区西五反田2-8-1 五反田ファーストビル 9F
18:30~20:30(18:00受付開始)
第3回説明会の参加登録はこちら

ミートアップも開催

①2018年12月11日(火) @The Garage

東京都中央区日本橋兜町9-1 1階
18:00~19:30(17:45受付開始)

②2018年1月8日(火) @The Garage

東京都中央区日本橋兜町9-1 1階
18:00~19:30(17:45受付開始)
第2回ミートアップの参加登録はこちら