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第4期「MUFG Digital アクセラレータ」 、8社激戦のDEMO DAY開催!

第4期「MUFG Digital アクセラレータ」 、8社激戦のDEMO DAY開催!

プログラムのキーメッセージは「本気と本気は、響き合う。」── 熱の入った7分間のピッチでグランプリを獲得したのは株式会社GINKANだった。同社は、オーディエンス賞とAWS賞も獲得しトリプル受賞となった。

「MUFG Digitalアクセラレータ」は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)が2015年に設立した邦銀初のスタートアップアクセラレータ・プログラム。MUFGが総力をあげて、事業プランのブラッシュアップ、プロトタイプの構築支援、事業プランの方向性に合わせたパートナー選定、アライアンスなどを通じて、ベンチャー、スタートアップを支援している。

そしてそのマイルストーンとなるイベントが、選出されたスタートアップ企業のピッチコンテスト「DEMO DAY」だ。4期目を迎える今回は100社以上の応募企業の中から、一次選考(書類)、二次選考(ピッチ)をかいくぐって選ばれた株式会社クラウドポート、FlyData株式会社、株式会社GINKAN、Moxtra, Inc.、ノバルス株式会社、Sagri株式会社、STOCK POINT株式会社、Wabi Project PTE. LTD.の8社が登壇。4ヶ月間のメンター、ファシリテーターによる支援プログラムを経た成果を、各社による7分間のピッチと3分間のQ&Aセッションで競い合った。

協業・提携を念頭にMUFG自身も登壇企業から学ぶ


写真:MUFG代表執行役副社長 グループCOO兼グループCDTO 亀澤宏規氏

各社の発表に先立ち、MUFG代表執行役副社長グループCOO兼グループCDTO・亀澤宏規氏が挨拶。「今回の選出企業は、金融、資産運用、SNS、農業、IoTなどこれまで以上に分野が広がった。スタートアップ各社の皆さんと共に、これまで4ヶ月間を共に活動し、われわれも十分に影響を受け、MUFG自体の学びにもなった」と今回のプログラムの意義を語った。

続いて、プログラム事務局として、MUFGデジタル企画部の桂寧志氏が、プログラムの目的や参加メンバーの役割、プロメンター/アドバイザーなどを紹介し、各賞の審査項目を説明した。


写真:MUFGデジタル企画部 桂寧志氏

グランプリが1社、準グランプリは2社に授与され、審査員による審査項目は、以下となる。

1.イノベーションの度合い:金融業界をどう変えるか、新規性
2.利用者ベネフィット:ユーザー目線の使いやすさ
3.事業性:ビジネスモデルの完成度
4.MUFGとのシナジー:MUFG各社との協業・提携などの可能性(プログラム終了後も含む)

その後は各社の代表が登壇、各社7分間の熱の入ったピッチが行われた。その内容を発表順にお伝えしよう。

STOCK POINT


写真:STOCK POINT株式会社 代表取締役社長 土屋清美氏

株価に連動するポイント運用サービスを行うSTOCK POINTの土屋清美社長は、10代の若者が、投資リテラシーを身につけることができる「moneyDash!」を紹介。ゲーム感覚で、株価に連動するポイントを運用することで、株式投資を疑似体験することができる。好きな企業の株主となり、企業はステージごとにサポーター優待サービスを提供するなど、10代の若者と企業のファンコミュニケーションを醸成する。同時に、金融や経済の仕組みの理解を深めることにもつながる。

「スタートから3年間で10億円を集めて運用し、20年後には60億円の収益につなげたい」と、土屋氏は熱意を語った。

ノバルス


写真:ノバルス株式会社 代表取締役社長 岡部顕宏氏

「高齢者人口は約3,500万人。4人に1人が認知症になると言われ、その医療費や介護費といった社会的費用は年間約15兆円。早期発見こそが解決の道です」と語る岡部氏。同社が提供するのは、TVリモコンに使用している乾電池を同社開発の「みまもり電池」に入れ変えることで独居老人の安否確認をおこなうサービスだ。さらに認知機能チェックのサービスを今年の夏から実証実験し、2020年にはサービスを開始するという。三菱UFJ信託銀行が運営する情報銀行のプラットフォーム「DPRIME」との連携も希望しており、サブスクリプションによる年間収入は最大で130億円の規模を想定している。

GINKAN


写真:株式会社GINKAN 代表取締役 CEO 神谷知愛氏

レストランのレビュー投稿で暗号資産「シンクロコイン」がもらえるトークンエコノミー型グルメSNS「シンクロライフ」を運営するGINKAN。代表の神谷氏はかねてから、既存のグルメ評価サイトに不満と限界を感じ、トークン報酬型の飲食店レビューのプラットフォームを考案。ユーザーがレビューを投稿することで報酬として暗号資産が付与される仕組みだ。すでに東急プラザ銀座などレストラン21店舗で実証実験済みだが、このほど三菱UFJニコス社との提携で、クレジットカード利用により暗号資産が付与される実証実験を行った。これは日本初の試みとなる。「みんなが食事をすればするほど、価値が形成される仕組み。発行済のシンクロコインの評価額も上昇している」(神谷氏)

暗号資産+グルメSNS+ポイントサービスというビジネスモデルは、MUFGとの親和性も高く、グランプリを受賞。さらにオーディエンス賞及びAWS賞も獲得しトリプル受賞となった。

FlyData


写真:FlyData株式会社 財務・企画担当責任者 三野隆博氏

AIによるデータのクレンジング(重複・誤記・表記ゆれなどを検知し修正することで、データの品質を高めること)サービスを提供するのがFlyData。「データが企業価値を決める時代と言われるが、現実はデータサイエンティスト不足。さらにデータ分析作業の80%がクレンジングに奪われ、データサイエンティストもバラバラなデータの修正に時間を奪われている」(三野氏)

法人マスターデータの表記統一や表記漏れ修正を行うクレンジングのツールはこれまでも存在したが、無限のパターンが存在し、最終的には人の手によるルール策定を必要としていた。FlyDataはシリコンバレーを中心とした日米2拠点体制で、ディープラーニングによる自動クレンジング技術によってデータを正規化するサービスを構築。三菱UFJファクターとの協働により、国税庁のマスタに連携して法人マスタのクレンジングと法人マイナンバーの自動付与を実施するシステムを構築した。

クラウドポート


写真:株式会社クラウドポート 代表取締役社長 藤田雄一郎氏

貸付ファンドのマーケットプレイス「Funds(ファンズ)」を運営するクラウドポート。 藤田氏が初めに力を入れて語ったのは、個人向けの社債の可能性だ。

「社債は株式市場に左右されづらいため元本割れリスクが比較的低く、定期預金より金利が良いというメリットがあるにもかかわらず、日本では個人に広まっていない。これは国内の証券会社が投資適格の格付けを持たない企業の社債を個人向けに取り扱わないためだ。貸付ファンドの仕組みを活用することによって、資産形成したい個人と資金調達が必要な企業を結びつけることが出来る」(藤田氏)

現在、水面下で10社以上の上場企業との提携の話が進んでいる。カブドットコム証券との協業により、企業に一歩踏み込んだ資金提供が期待できるという。直近では三菱UFJキャピタルからの増資も決定している。「2026年までに運用残高1兆円をめざす」と自信を見せる藤田社長。その意気込みが通じ、今回、準グランプリの受賞となった。

MOXTRA


写真:MOXTRA, Inc. Co-Head of Solutions Nikhita Iyar氏

カスタマイズ可能なオンデマンドアプリケーションを提供する米・カリフォルニアのMOXTRA(モクストラ)。クラウド上で特定メンバーとの資料の共有や、取引をおこなうためのツールを提供するソフトウェア。同社はこれを「ビジネス・トランザクションツール」と名付けている。

今回のピッチで紹介したのは、MUFGのクライアントポータルを構築し、お客さまとの取引を行うユースケース。MUFGの各種サービスを連携させることで、マーケット情報のリクエストやサポート依頼などをスムーズに行い、金融関連サービスの取引までを一気通貫で行うことができるというもの。さらにMUFG内においても、各種レポートや契約関連資料の共有など、コラボレーションを促進する面も強調された。

審査員から挙がった金融サービス利用面でのセキュリティ、データガバナンスの質問に対しては、グローバルな金融機関での導入実績があることや、アプリケーションレイヤーごとの強固なデータ保護が施されていることが説明された。MUFGとの連携性の強さが評価され、準グランプリの受賞となった。

WABI PROJECT


写真:WABI PROJECT PTE. LTD. 日本ビジネス開発責任者 高山靖弘氏

「2008年、中国では、偽物の粉ミルクが流通したことで、数十万人の赤ちゃんが腎臓結石を発症するなどの健康被害を受けた。10年経った現在でも、人体に害を及ぼすような偽物商品が出回っている。」(高山氏)

同社は、ブロックチェーンとRFID(電波などを用いてRFタグのデータを非接触で読み書きするシステム)による「100%ホンモノ保証」のサービスを提供する。商品にRFIDチップが組み込まれたラベルを貼り、スキャンされたデータがすべて偽造・改ざんが不可能なブロックチェーン上に記録される。消費者がスマホアプリでラベルを読み込むことで、ホンモノかどうかを確認できる。現在、インバウンドマーケティング等での課題を解決するものとして、大手印刷会社との共同開発、日本酒のホンモノ保証などのプロジェクトが進んでいる。審査員からはRFIDの単価などの課題を問われたが「ホンモノ保証の安心を付与することで価格の問題は解決できる」と高山氏は自信をのぞかせた。

Sagri


写真:Sagri株式会社 代表取締役社長 坪井俊輔氏

衛星データと農業データを用いて、独自の技術で農学的に農業を最適化するアプリケーションを提供するSagri。「微生物量などのミクロな土壌診断データと腐植含有量などのマクロな人工衛星データを合わせることで、農地をスコアリングすることができます」(坪井氏)

このデータを途上国の金融機関等に提供することで、農家への融資を促進する。金融機関には農家の信用スコアを提供し、融資額に対する手数料を受け取る。農家へは農地データや営農指導を提供し、手数料を得るというビジネスモデル。すでに日本国内でも、11回のベンチャー関連の受賞や、経済産業省や茨城県からの補助金も得るなど、評価の実績がある。2019年4月からはインド・バンガロールに拠点を設立。

「5年後のKPIとして、インドを中心に支援する農家数1,000万、融資額2,000億円を目標にしたい」と語った。

今回も8社のプレゼンは非常に熱の入ったものだった。準グランプリを受賞したクラウドポートの藤田氏が「グランプリを狙っていたのに、準グランプリだったことは非常に悔しい」と述べていたことが印象的だった。各社とも、本プログラムで受賞することを、事業を進める上での重要な目標と位置づけている。単に賞金やサービスの授受、話題性だけに留まらず、世界的金融グループであるMUFGのネットワークを活用し、業務提携や出資の可能性を探るという側面もあるだけに、スタートアップ各社、MUFG関係者共に「本気と本気は、響き合う。」というキーメッセージ通り、真剣そのものだった。

第4期アクセラレータプログラム各賞は以下企業が受賞

●グランプリ
株式会社GINKAN

●準グランプリ
株式会社クラウドポート
Moxtra, Inc.

●オーディエンス賞
株式会社GINKAN

●パートナー賞
・AWS賞:株式会社GINKAN
・Microsoft Award:ノバルス株式会社
・DEJIMA賞:ノバルス株式会社
・PR TIMES賞:全スタートアップ8社
・Amazon賞:全スタートアップ8社