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デジタル戦略担当役員が語る、「Money Canvas」で変える資産運用の文化

デジタル戦略担当役員が語る、「Money Canvas」で変える資産運用の文化

株式会社三菱UFJ銀行(以下、三菱UFJ銀行)は、個人のお客さまの中長期的な資産形成を総合的に支援するプラットフォームとして、2021年12月に「Money Canvas」をリリースした。三菱UFJ銀行のデジタルサービス部門長を務める大澤正和に、Money Canvas開発の背景や狙い、今後の展望について話を聞いた。

サービス内容について

キャンバスに絵を描くように自分に合った資産形成プランを実現

—Money Canvasとはどのようなサービスなのか、教えてください。

Money Canvas は“キャンバス”という名前にもあるとおり、個人のお客さまが自分に合った資産形成プランを自由に描き実現するための資産運用プラットフォームです。スマートフォン上で完結する形で、株式や投資信託、クラウドファンディング、保険、ポイント運用など、幅広い金融商品・サービスの中から自分に合ったものを選んで組み合わせることができます。加えてニュースやコラムの配信、一人ひとりのリスク許容度に応じた運用スタイルの診断サービスなど、資産形成に役立つ情報提供も行っています。リリース後も新たな金融商品やサービスを順次追加し、機能の充実・高度化を図っていく予定です。

—資産運用に関するサービスは他社にもありますが、どのような点でMoney Canvasは違いがあるのか、教えて下さい

MUFGグループだけでなく、パートナー企業が提供する商品・サービスも含めた幅広いラインアップを取り揃えている点が、Money Canvasの大きな特徴です。これは、徹底的にお客さま起点で考えたときに、お客さまがめざす資産形成にメリットがあれば、自社や他社といった区別なく扱うべきだという結論に至ったためです。

そして、ラインアップの豊富さだけでなく、お客さまの属性や興味関心に応じて、適切な情報をご提案します。長く使っていただくほど、お客さま一人ひとりのことを理解し、より精度の高いご提案が可能になります。

将来的には、各商品・サービスを購入する際に逐一他社のサイトに移動する必要がなく、一度Money Canvasに入っていただいたら、改めてメールアドレス・ID・パスワードなどを入力する手間なしに、サイト内をスムーズに回遊でき、取引ができる。そして、購入した商品の状況が常に見えて、ポートフォリオに反映されるサービスを目指しています。

サービス開発の経緯

三菱UFJ銀行 取締役常務執行役員 デジタルサービス部門長 大澤 正和
三菱UFJ銀行 取締役常務執行役員 デジタルサービス部門長 大澤 正和

お客さまのお金の不安を解消する

—Money Canvasを開発した背景を教えてください。

ご承知のように、日本では人口減少と少子高齢化が急速に進み、先進国でありながら、多くの人が将来に不安を感じざるを得ない状況にあります。私は東南アジアの事業案件に何度か携わった経験がありますが、現地では誰もが未来を信じて、希望を持っていました。たとえ今不足しているものがあっても、今日よりは明日、今年よりは来年と、必ず良くなっていくと信じて、自分と家族の幸せのために頑張っていこうという強い思いがあるのです。
ところが日本はどうか。年金は本当にもらえるのか、長生きすると毎日の生活費にも困るのではないかと、将来に対して不安に思うことが多いです。金融庁が「老後20~30年間で約1,300万円~2,000万円が不足する」という試算を発表して大きな話題になったこともありました。

2021年4月、MUFGは当社のパーパス(存在意義)を「世界が進むチカラになる」と定義し、すべてのステークホルダーに対して具体的にどのようなチカラになるかを考え、新たな中期経営計画としてまとめました。デジタルサービス部門でも、個人のお客さまに対して何ができるかを考え、つくりあげたのがMoney Canvasです。

—「将来の不安を払拭するチカラになる」ということですね。

老後の生活資金に対する備えや、将来に向けた計画的な資産形成は非常に重要です。また、お客さまの家族構成やライフスタイルは多様化し、ニーズはさまざまです。そのような中で、私たちは、一人ひとりのニーズに合わせた中長期的な視点での資産形成のサポートをしたいと考えました。個別株などを短期的に売買するようなサイトはすでにありますが、Money Canvasは、「将来に向けて何かしないといけないと思うが何をしたらいいのかわからない、運用は怖い」と考えていらっしゃる方に、お金の不安を解消し、将来に自信を持っていただく後押しをするものです。
お客さまがめざす資産形成にメリットがあれば、競合上の懸念がない限り、たとえ他社の商品であっても扱います。また、資産形成においては不測の事態や親の介護への備えといったことも重要ですから、今後保険商品も扱います。そのため、アライアンスパートナーのさまざまな商品・サービスも取り扱うという開かれたマーケットプレイスである点がMoney Canvasの大きな特徴です。

—MUFGだからこそ幅広いパートナー企業とのアライアンスが可能になったということでしょうか。

MUFGは国内外に非常に多くのお取引先があり、さまざまなパートナー企業と連携することができます。パートナー企業の方々にとっても、信頼・信用を大切にしてきたMUFGのプラットフォームを活用することで、お客さまに安心して使っていただけるというメリットがあると思います。

また、MUFGには長年の経験と知識から、お客さまのニーズを適切に把握し、グループ総合力を結集してそれに合わせた金融商品を組成する力があります。約80兆円もの預金をお預かりするMUFGこそ、資産運用のプラットフォーマーとしての役割を果たすべき存在であると自負しています。

今後の展望

商品もサービスもお客さまとともに進化させていく

—Money Canvas は、今後どのようなロードマップを描いていますか。

リリースに先駆けて、2021年10月からポイント運用とポイントの株式交換サービスの提供をスタートしました。ポイント運用は、STOCK POINT株式会社が提供する「STOCKPOINT for MUFG」で、お持ちの提携ポイントを毎日の株価などに連動させて運用することで、資産運用の疑似体験ができるサービスです。ポイントの株式交換は、大和証券グループが100%出資する株式会社CONNECTのアプリ証券「CONNECT」を通じて、たまったポイントを株式に交換することができるサービスです。今後も商品やサービスの追加、情報コンテンツの充実を図り、2022年4月には、東京海上日動、損害保険ジャパンと連携して保険商品も追加する予定です。

—商品・サービスの拡充以外ではどのような構想がありますか。

リリース当初はインターネットサイトでのやりとりが主ですが、もう少し深い相談がしたいというお客さま向けに、ビデオチャットなどのコミュニケーションチャネルを増やすことを考えています。また、主に30代、40代のお客さまを想定してスタートしていますが、定年退職を前にした世代や、逆に20代の若い世代のニーズに合ったコンテンツや商品・サービスもつくっていきたいと思います。また、自分の趣味や嗜好、リスク許容度が近い人がどんな運用をしているのかを見ることができ、「じゃあ自分はこうしてみよう!」と考えていけるような機能も追加したいと思っています。

—アライアンスパートナーの皆さんにメッセージをお願いします。

End to Endでお客さまの資産形成をサポートする、そのチカラになるというパーパスに共感していただけるパートナーの方と一緒にこのMoney Canvasをつくりあげることで、今までにない顧客体験を提供していきたいと思っています。日本には資産運用をギャンブルのようなものとしてネガティブに見る風潮も一部にはあるかと思いますが、リスクを抑えた運用方法はたくさんあります。Money Canvasのようなプラットフォームが身近なものになり、多様な選択肢から自分に合った運用が気軽にできて、その成果が見えるようになれば、もっとオープンに資産運用が楽しめると思います。新しい資産運用の文化をつくることもMoney Canvasの目標とするところです。
Money Canvasは完成品ではなく、今後もさらに進化させていくプラットフォームです。アライアンスパートナーの皆さんの力をお借りして、よりよいものに育てていきたいと思っています。

三菱UFJ銀行 取締役常務執行役員 デジタルサービス部門長 大澤 正和