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Biz Forwardが新たなオンラインファクタリングサービスで中小企業の資金調達をサポート

Biz Forwardが新たなオンラインファクタリングサービスで
中小企業の資金調達をサポート

株式会社三菱UFJ銀行(以下、三菱UFJ銀行)と株式会社マネーフォワード(以下、マネーフォワード社)は2021年8月に合弁会社Biz Forward(以下、Biz Forward)を設立。従来、金融機関が展開に苦戦していた中小企業への支援を強化する目的で、クラウド型BtoB請求代行サービス『SEIKYU+』と中小企業向けオンラインファクタリングサービス『SHIKIN+』の提供を開始した。協業がいかにして実現したのか、その経緯や提供サービスの内容、今後の展望などについてBiz Forward 代表取締役社長の冨山直道氏と同社の副社長を務め、三菱UFJ銀行でこの取り組みを準備した林博之の二人に話を伺った。

(写真右から)
●株式会社Biz Forward 代表取締役社長 冨山 直道氏
●株式会社Biz Forward 取締役副社長 林 博之

株式会社Biz Forward
設立:2021年
本社所在地:東京都港区
事業内容:クラウド型BtoB請求代行サービス『SEIKYU+』及び中小企業向けオンライン型ファクタリングサービス『SHIKIN+』の提供
コーポレートサイト
株式会社Biz Forwardロゴ

協業の経緯

中小企業の資金需要にどう応えるか、共通していた問題意識

—マネーフォワード社と三菱UFJ銀行はどのような経緯で出会われたのでしょうか。

林:私はもともと三菱UFJ銀行の人間で、Biz Forwardの設立に参加する前は、デジタルデータを活用した新規事業の推進業務に就いていました。当時大きな課題のひとつとして考えていたのが、中小企業の資金需要に対してこれまで十分な対応ができていないということでした。そこで、多くの中堅中小企業に金融サービスを展開しているマネーフォワード社の取り組みについてお話を聞いてみたいと思い、当時同社の執行役員でマネーフォワードケッサイ株式会社の代表取締役社長でもあった冨山さんにお会いしました。

冨山氏:実は私もMUFGにコンタクトを取りたいと思っていたんです。マネーフォワードというと個人向けの家計簿・資産管理アプリがよく知られていると思いますが、メインの事業はBtoBで、主に中小企業向けのバックオフィス業務に関連するSaaSの提供です。お客さまの総数は約20万社にのぼります。また、その事業を通して把握した資金繰りに関するニーズにお応えするため、ファクタリング(企業が保有する売掛債権を買い取り、早期の資金化を支援するサービス)などのファイナンスサービスも展開しています。与信の問題などから銀行融資が受けられない中小企業では、ファクタリングのニーズは非常に大きなものがあります。事業をさらに伸ばしたいと思っていたのですが、そのためには当然資金が必要です。さらに、ファクタリングは貸金業法などの適用を受けないこともあって、一部に法外な手数料を請求する業者が存在します。そのため有力な資金調達手段でありながらイメージが悪く、ファクタリングは使いたくないとあらかじめ敬遠する企業経営者が多いのも事実です。事業を成長させるためにはこのイメージの払拭も必要であり、ブランド力のあるMUFGのような金融機関と組むことができればと思っていました。

株式会社Biz Forward 代表取締役社長 冨山 直道氏
(株式会社Biz Forward 代表取締役社長 冨山 直道氏)

提携事業の主な内容

MUFGの財務・顧客基盤とマネーフォワード社のノウハウをひとつに

—協業の話はスムーズに進んだのでしょうか。

林:そうですね。冨山さんから話を聞けば聞くほど、試行錯誤を重ねながらファクタリングビジネスを前に進めていらしたということがわかりましたし、工夫の積み重ねで圧倒的に低い手数料率も実現されていました。ファクタリングのイメージを変え、積極的に活用してもらえる環境をつくりたいという熱意も伝わってきて、私たちの方向感と完全に一致していることがわかりました。

冨山氏:MUFGはメガバンクのトップブランドであり、顧客基盤も非常に広いものがあります。協業できれば新しいファクタリングサービスの展開にとって有意義だということは明確でした。むしろMUFGのほうが行内の意思統一などで大変なのではないかと思っていました。

林:もちろん銀行内には「MUFGがなぜファクタリングをやるのか」とか「リスクに見合ったビジネスなのか」という声がありました。しかし現状のままでは中小企業が期待する金融サービスができません。デジタルの力を駆使し、「世界が進むチカラになる。」ことがわれわれのパーパスです。フィンテックのトップとメガバンクトップのタッグで、中小企業に対するファイナンス支援に乗りだすことは大きな価値のあることだと思いましたし、それは経営層の強い期待も感じていました。

—現在Biz Forward社が提供するサービスはどのようなものですか。

冨山氏:大きく2つあります。1つはクラウド型のBtoB請求代行サービス『SEIKYU+』です。企業間決済に必要な与信や請求業務をすべて代行し、売掛金の入金保証も行うもので、「入金遅延」や「貸し倒れ」のリスクを回避することができます。また業務はすべてデジタルで完結するのでリモートワークでも利用可能で、請求業務の大幅な効率化ができます。早期振込が可能ですからキャッシュフローの安定化にも貢献できます。決済手数料は0.5~3.5%と業界最安水準を実現しています。

もう1つのサービスは中小企業向けのオンライン型ファクタリング『SHIKIN+』です。非対面・オンライン型の2者間(売掛債権を保有している中小企業と当社)のファクタリングですから売掛先への通知は不要で、さらに独自のデータを活用した審査モデルにより、審査書類を提出いただいてから最短2営業日で振込を行っています。手数料水準も1〜10%程度で低く抑えています。

日本の商習慣では代金回収までの期間が長く、また、中小企業は金融機関からの借り入れが難しい場合もあることから、短期の資金需要に対しては有効な解決策がないのが現状です。『SHIKIN+』は融資では間に合わない場合など、今必要な資金を融資以外ですぐに調達できるという選択肢をご提供するものになっています。

株式会社Biz Forward 取締役副社長 林 博之
(株式会社Biz Forward 取締役副社長 林 博之)

協業の成果と今後の展望

顧客対象が拡大。営業店RMもファクタリングを提案して資金ニーズに応える

—どのような成果が出ていますか。

冨山氏:『SEIKYU+』も『SHIKIN+』もサービスの仕組みとしては従来のマネーフォワードケッサイのものと大きく変わってはいません。しかし、MUFGとの合弁会社であるBiz Forwardの信用力は非常に高いものがあり、今までファクタリングに関心を持たなかった企業が積極的に検討されたり、実際に活用いただいています。顧客層の幅も大きく広がり、数万円から数億円という幅広い資金ニーズに応えることができるようになりました。

林:『SHIKIN+』のサービスを知った銀行の営業店のRM(Relationship Manager)が、担当先の中小企業にぜひ提案してほしいとBiz Forwardに話を連携してくれることが増えてきました。今まで資金支援が十分に届かなかった銀行のお客さまにもサービスが届けられるようになっている点は大きな成果だと思います。

—今後の展望について教えてください。

冨山氏:金融サービス提供にあたっての中小企業の審査モデルは、金融機関で過去数十年にわたってトライされながら、必ずしもうまくいかなかった領域です。しかし現在は、これまで決算書のみだった審査指標が、日々の入出金明細はじめ、ECサイト上の売上のデータなどクラウド会計サービスなどを通してさまざまな経営数値がリアルタイムで取れるようになりました。また、データの分析手法も高度化しているので、データを駆使した新たな審査モデルの構築が可能になっており、まさに今、われわれもトライしているところです。一朝一夕にできるものではありませんが、より早く、より低い手数料率で資金提供を行うことで、中小企業の資金繰り支援を強化していきたいと思っています。

林:Biz Forwardとしてサービス展開を進めてきたこの8ヵ月を銀行の視点でみると、私たちが今までできていなかったことがあらためて浮き彫りになったという思いがあります。数多くもっている中小企業との接点がいったいどういうものであるのか、銀行の顧客基盤は確かに大きいのですが、本当にそれぞれの企業に必要なファイナンスサービスが届いていたのかということは今後も継続して考えなければなりません。ともすれば銀行はリスクの過大視、プロセスの緻密化に目が行きがちです。だからこそ信頼を勝ち得ているという面は大切にしつつも、結果を求めて果敢にチャレンジしていくことも必要だと思います。Biz Forwardができなければどこもできないという自負を持って、中小企業に対する今までにない金融サービスの提供を行っていきたいと思います。

左から:株式会社Biz Forward 取締役副社長 林 博之、株式会社Biz Forward 代表取締役社長 冨山 直道氏