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2022年度受賞者が事業内容と想いを語る MUFG横断型の新規事業創出プログラム

2022年度受賞者が事業内容と想いを語る
MUFG横断型の新規事業創出プログラム

2022年度から始まったグループ横断型の新規事業創出プログラム「Spark X」は、MUFG社員が新規事業を考案し、自らが主体的にアイデアの実現に挑戦するというプログラムである。複数回の審査を経て最終審査を通過したチームは、次年度より実際に事業開発責任者として提案内容の実現に向けて取り組むこととなる。二期目となる今期も既に最終審査を終了し、金融業の枠組みに捉われない斬新なアイデアが数多く提案された。事業化への切符を手にした2チームが来年度より活動を開始する予定だ。(開催概要はこちら
今回は、現在本格的な事業化に挑んでいる第一期の3つのグループに、事業内容に込められた想い、今後の抱負などについて話を聞いた。

(写真左から)
三菱UFJフィナンシャル・グループ デジタルサービス企画部DX室 新事業Gr

 調査役水口 若菜

 上席調査役荻野 太陽

 上席調査役遊佐 典将

 調査役中野 花奈子

 上席調査役児山 高広

マタニティウェアのレンタルサブスク事業

働く女性にとって自分らしく過ごしやすい社会をめざして

左から デジタルサービス企画部DX室 新事業Gr 中野花奈子 遊佐典将
(左から デジタルサービス企画部DX室 新事業Gr 中野花奈子 遊佐典将)

Q.事業内容やビジネスモデルについて教えてください。

中野氏
働く妊婦の方を対象としたファッションサブスクリプションサービスです。仕事に使いやすいマタニティウェアを、体型や季節にあわせて毎月自由に選んでレンタルできます。
スーツスタイルに近いものから、オフィスカジュアルまで、幅広い洋服を取り揃えています。妊娠初期にはいつも通りのスタイルに近いもの、中期には仕事にも合うマタニティウェア、後期にはさらにゆったりとしたものといったように、妊婦の方のそれぞれのタイミングに適した洋服を、月額で任意の期間だけレンタルできるサービスです。
2024年1月頃から人数を絞って試験的にサービスをローンチし、事業化の道筋が明確に見えた段階で、子会社化等を行い、正式な事業開始を目指します。

遊佐氏
当プロジェクトはビジネスモデル(営業手法)が特徴的です。利用対象者に直接アプローチするのではなく、銀行でお取引のある法人の、総務部や人事部の方に向けて営業担当がサービスを紹介します。そして、それらの部門から社内にサービスを展開していただくという営業手法をとる予定です。銀行営業担当者のリソースを有効活用することで、本事業の営業コストを抑えられるメリットがあります。これはMUFGならではの営業手法であると考えています。

Q.Spark Xへのご応募のきっかけと事業への想いを教えてください。

中野氏
前部署ではチームマネジメントや管理業務を任されることが増えてきていたのですが、今後のキャリアを考えた際に、ゼロからビジネスを立ち上げる経験を積みたいと思い、応募しました。当初自身が応募したアイデアは落選してしまったのですが、現在育休中のもう一人のメンバーの案に共感して、当プロジェクトへ参加することになりました。
本事業案は、自身もスーツを着て働く女性である起案者の「女性が妊娠時に直面する服装の課題」を解決したいという想いのもと生まれたものです。

スーツに準ずるマタニティウェアを探すとなると、実店舗ではなかなか販売されていません。販売されていたとしても1セットで数万円もするなど、決して安くはない買い物です。また、それらを購入したとしても半年ほどしか着用しないうえに、体型や季節の変化により買い替えを必要とする方も少なくありません。そういった「働く妊婦さんの服装の悩み」を解決するサービスとして、起案者が応募し、私たち2名がチームに加わりました。そして最終審査を通過した後に、起案者自身の産休を機に事業の責任者を引き継ぎました。
妊娠以外にも、女性特有の体調の悩みやライフステージの変化の中で生きづらさを感じる場面は多々あります。それらを解消していくための最初のステップとして、まずはマタニティウェアの課題解決から始められればと想っています。

遊佐氏
Spark X の起案者募集案内を見たとき、すぐに応募を決めました。
MUFGという大企業に身を置き、そのリソースを使いながら新規事業を立ち上げられる機会があるのであれば、チャレンジしない理由はないと思ったからです。

結局自分の事業案は落選してしまったのですが、マタニティウェアの事業案をきっかけに、実際に自分の部下も含めて女性の方が本当に困っている状況にあることを知りました。また、日本全体で働き手が少なくなってきている中で、女性がもっと活躍できる環境を作ることは将来の世代にとっても重要であると感じています。この事業がその一助になればと思い、取り組んでいます。

Q.事業化の中で感じたMUFGの強みはなんですか?

遊佐氏
改めて感じることは「MUFGは信頼・信用を世の中全体から寄せていただいている」ということです。有識者の方より、マタニティウェアの事業化ではメーカーとの仕入交渉が大きなハードルとなるだろうとご意見をいただいていました。ところが、実際に動きはじめると、メーカーのホームページから問い合わせを送った後、1回目の商談で社長とお話ができて、その場で話がまとまる、というケースが非常に多くありました。商談の場では、この事業は今後大きく成長する、という大きな期待を寄せていただいているとも感じました。本事業では上述の通りMUFGの顧客ネットワークを通じた営業を想定しています。国内に確固たる基盤を有し、さまざまな規模の法人と取引があることは、MUFGが培ってきたお客さまからの信頼の賜物であり、大きな強みだと感じています。

中野氏
新規事業を行うにあたり、初期段階でたくさんの働く妊婦さんにヒアリングする必要がありました。MUFG内に多くの妊娠経験者・妊婦さんがおり、多くの協力が得られること、そして外部の方からも、MUFGという名前の信頼感によってスムーズかつ丁寧にご協力いただけることはとてもありがたく、MUFGの強みを改めて実感しました。

Q.今後の展望についてお聞かせください。

中野氏
まずはマタニティウェアからスタートして、次のステップではストッキングやインナーなどのマタニティ関連の小物の展開を考えています。将来的には妊婦の方に限らず、働く女性の結婚前や妊娠前、出産後などさまざまなフェーズにおいて、本人やパートナーが働きやすく、過ごしやすい環境を作れるように、サービスを拡充したいと考えています。
また、近年働く女性や共働きの方々などを支援するサービスが多く生まれていますが、残念ながら埋もれてしまっているものもあります。それらと上手く協業して、さらに事業を展開していければと思っています。当行のお客さまやパートナー企業などとも協業させていただくことで、日本全体の事業発展にも貢献できたら嬉しいです。

遊佐氏
MUFGは「世界が進むチカラになる。」というパーパス(企業の社会的意義)を掲げています。本事業を推進することで、妊婦さんを含めたさまざまな立場の方が、自分らしく活躍できる社会の実現に貢献していきたいと考えています。
また、金融という既存領域に捉われない新規事業を展開することで、MUFGとお客さまが新たな形でつながる可能性も感じています。このチャレンジを通じて、金融の枠を超えてお客さまとつながり、お客さまとMUFGがともに進むチカラになっていきたいと思います。

マンション事業

お客さまの悩みと、業界の課題に寄り添う、社会課題解決型の事業を目指す

デジタルサービス企画部DX室 新事業Gr 児山高広
(デジタルサービス企画部DX室 新事業Gr 児山高広)

Q.事業内容について教えてください。

児山氏
現在、分譲マンションの第三者管理者ビジネスを計画しています。分譲マンションでは、区分所有者は必ず管理組合に参加しなければなりません。そこに理事会を作り、理事・会計・書記などのさまざまな役割を輪番制で担当していくことになります。
このビジネスでは、理事会を設置しない代わりに、管理者を設置し、その役割を法人としてMUFGが受託する、という仕組みを検討しています。理事会が行う業務を代行するサービス、と捉えていただければ分かりやすいと思います。

Q.Spark Xへのご応募のきっかけと事業への想いを教えてください。

児山氏
コロナ禍で、世の中全体でコミュニケーションが希薄化している、ということに問題意識を持っていました。その後コロナ禍が明けるくらいのタイミングでSpark Xの審査会があり、コミュニティを活性化させる取り組みをしたいと考え応募しました。
当初は町内会や自治体、学校のPTAなどのコミュニティをターゲットに考えていたのですが、マネタイズの観点からマンションの管理組合にターゲットを変更しました。実際に調べていくと、輪番制によって数年おきに担当が変わる環境の中で、場合によっては億単位の大きなお金を動かす必要があるほか、仕事やそれぞれの生活がある中で、土日や平日の夜に時間を削って理事会に参加することは大変だ、というお声をいただきました。「マンションの管理組合業務を誰かに代わりにやってほしい」というニーズがあると感じ、今回の事業に本格的に取り組むことになりました。

Q.業界に対して感じている課題はありますか?

児山氏
マンション管理会社は、人手不足に悩んでいます。更に、理事会は平日夜間や土日開催となることが多く、働き方改革の必要性も感じます。MUFGが管理者業務を担うことで、マンション管理会社は本来の建物管理に専念でき、資産価値を維持するための活動に軸足を移すことができるようになると考えています。また、理事会支援業務にあたる部分をMUFGが担うことで、マンション居住者とマンション管理会社の双方が満足できるサービスを実現したいと考えています。

Q.事業化の中で感じたMUFGの強みはありますか?

児山氏
まずは新築マンションから手掛けていきたいのですが、そのためには多くのマンション管理会社や、開発事業者の方々とお話をする必要があります。管理会社も開発事業者も、大手から中堅までさまざまな企業がありますが、既にMUFGと何らかのお取引があることが多く、その接点を活かしてスムーズにキーマンとお話しすることができています。

Q.今後の展望について教えてください。

児山氏
まずは、事業化をめざしていきます。また、この運営方法は日本だけでなく海外でも行われており、マンションの第三者管理ビジネスがメジャーに行われている国もあります。将来的には、MUFGのグローバル基盤を活かして、日本国内に留まらず海外にも目を向けていきたいです。

美術事業(美術業界補完計画)

MUFGのアセットを最大限に活かして美術作家の活動をサポート

左から デジタルサービス企画部DX室 新事業Gr 水口若菜 荻野太陽
(左から デジタルサービス企画部DX室 新事業Gr 水口若菜 荻野太陽)

Q.事業内容について教えてください。

水口氏
美術作家さまに 、MUFGの営業店舗内の展示場所を提供することで、ご来店されたお客さまと美術作家さまをマッチングする、という事業です。作家さまの作品は、営業店舗の応接室や廊下、あるいはロビースペースなどに展示しています。各営業店舗への協力要請や、作家さまの選定などを一から行っています。

Q.Spark Xへのご応募のきっかけと事業への想いを教えてください。

水口氏
私自身美術大学出身ということもあり、これまで作家志望の方々を多く身近に見てきました。その中で、卒業後作家活動を続けていくことが如何に大変かという現状を知り、企業側からビジネスとしてサポートできることがないかと、Spark Xに応募しました。実際に作家さまに話を聞いてみると、展示スペースの確保や、お客さまとの接点の獲得が課題であることが分かり、それらをMUFGの持つアセットでサポートする事業案を提案しました。

荻野氏
2023年3月まで、三菱UFJアセットマネジメントで投資信託の運用の仕事をしていました。Spark Xの募集を見て、当時の部下に「挑戦してみたら」と声をかけたところ、水口さんが起案者になってくれました。そのサポートをしたいと思い、プロジェクトに参加しました。
これまではファンドの運用というある意味狭い世界で働いていたので、自分の部下たちにはお客さまの生の声を聞く経験もしてもらいたい、と思っていました。今後はこれまで人が行っていた仕事がどんどんAIに任せられていくことが予想されるなかで、自分のアイデアに付加価値を付けて実現するという経験は更に大切になっていくと思います。
私自身、新しいことに挑戦したいという気持ちはありましたが、新規事業に繋がるような原体験などの強い材料がありませんでした。そのため、自分は強い想いでアイデアを持っている人たちのサポートの方が向いていると考え、今に至ります。私は美術に関しては素人ですが、水口さんの想いを尊重して事業に取り組んでいます。

Q.事業化の中で感じたMUFGの強みはありますか?

水口氏
やはりMUFGが持っている実店舗や、お客さまとのコネクションなど、既存のアセットは大きな武器です。MUFGの規模だからこその好立地店舗が多くあり、これまで長い期間をかけて営業の方々が築いてきたお客さまとの強固な関係性も実感しています。現場の社員と連携を取りつつ、店舗運営と本事業、相互に良い影響が与えられるように活動しています。

荻野氏
顧客基盤がとても大きいので、購入者になっていただきたいターゲット層の方々にもアクセスしやすい、というのは大きなメリットだと感じています。他の企業で一から立ち上げた場合には苦労するであろう点を難なくクリアできるのは、非常に助かります。ただ、まだその顧客基盤のごく一部しか活用できていないので、今後は存分に活用していきたいですね。

Q.今後の展望について教えてください。

水口氏
私自身の理想としては、身近なさまざまな場所で美術作品に触れられるような世界が実現できたら、と思っています。そのために、少しずつ展示をしている店舗を増やしていき、MUFGの店舗に行くと美術作品の展示があるのが当たり前、という世界を作れたら嬉しいです。

荻野氏
まずは富裕層の方々をターゲットに基盤を作って、ゆくゆくはマス層の方々にも届けられるようなサービスにしていきたいと考えています。最終的な理想としては銀行に作品が飾ってあるということが世の中に認知されて、作家さま側も積極的に作品の展示を希望してくれる、といった世界が作れると良いな、と思っています。

Profile

※所属・肩書は取材当時のものです。

三菱UFJフィナンシャル・グループ MUFGデジタルサービス企画部DX室 新事業Gr 上席調査役 遊佐 典将

三菱UFJフィナンシャル・グループ MUFGデジタルサービス企画部DX室 新事業Gr 上席調査役

遊佐 典将

大学卒業後、三菱UFJ銀行に入行。法人営業・M&Aファイナンス・拠点マネジメントを経て、2022年にSpark Xに応募。現在はマタニティウェアのレンタルサブスクの事業化を推進中。

三菱UFJフィナンシャル・グループ MUFGデジタルサービス企画部DX室 新事業Gr 調査役 中野 花奈子

三菱UFJフィナンシャル・グループ MUFGデジタルサービス企画部DX室 新事業Gr 調査役

中野 花奈子

大学卒業後、三菱UFJ銀行に入行。法人営業・BPR推進・決済商品開発・AI/データ分析の企画業務を経て、2022年にSpark Xに応募。現在はマタニティウェアのレンタルサブスクの事業化を推進中。

三菱UFJフィナンシャル・グループ MUFGデジタルサービス企画部DX室 新事業Gr 上席調査役 児山 高広

三菱UFJフィナンシャル・グループ MUFGデジタルサービス企画部DX室 新事業Gr 上席調査役

児山 高広

金融機関での法人営業を経て、2018年に三菱UFJ信託銀行に入社。企業型確定拠出年金(DC)の新規提案業務を経て、2022年にSpark Xに応募。現在は分譲マンション第三者管理者プロジェクトの事業化を推進中。

三菱UFJフィナンシャル・グループ MUFGデジタルサービス企画部DX室 新事業Gr 上席調査役 荻野 太陽

三菱UFJフィナンシャル・グループ MUFGデジタルサービス企画部DX室 新事業Gr 上席調査役

荻野 太陽

SE・株式ディーラーを経て2007年に三菱UFJアセットマネジメントに入社。株式のトレーディング業務やファンドマネジメント業務を経て2022年にSpark Xに応募。現在は美術プロジェクトの事業化を推進中。

三菱UFJフィナンシャル・グループ MUFGデジタルサービス企画部DX室 新事業Gr 調査役 水口 若菜

三菱UFJフィナンシャル・グループ MUFGデジタルサービス企画部DX室 新事業Gr 調査役

水口 若菜

大学卒業後、三菱UFJアセットマネジメントに入社。投資信託運用・運用企画業務などを経て、2022年にSpark Xに応募。現在は美術プロジェクトの事業化を推進中。