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赤道原則への対応

大規模プロジェクトによる環境・社会リスクと影響を特定、評価し、管理するための枠組みである赤道原則(Equator Principles)の採択と遵守を通じ、持続可能な環境・社会の実現に貢献しています。

赤道原則に基づく環境・社会配慮確認

大規模なインフラ整備や資源開発などのプロジェクトは、プロジェクトサイトおよびその周辺の自然環境や地域社会に対して、負の影響を及ぼす可能性があります。
こうした自然環境や地域社会が受ける負の影響に対処するため、銀行は2005年に赤道原則を採択し、プロジェクトを推進するお客さまに対して、同原則に基づく環境・社会配慮をお願いしています。

具体的には、プロジェクトへの融資決定に先立ち、お客さまと協力して環境・社会に対するリスクと影響を特定、評価し、それらを回避、最小化、緩和、またはオフセットする対策がとられていることを確認します。また、融資実行後も、環境・社会リスクが顕在化していないか継続的にモニタリングします。

このように、赤道原則に基づくプロジェクトの環境・社会配慮確認を通じ、お客さまの環境・社会リスク管理をサポートするとともに、持続可能な環境・社会の実現に貢献していきます。

⾚道原則は、プロジェクトに起因する環境・社会に対するリスクと影響を、資⾦の貸し⼿として、または資⾦調達に関するアドバイザーとして、お客さまと協⼒して体系的に特定、評価し、管理するため、⺠間⾦融機関が中⼼となり策定した枠組みです。2024年6⽉末現在、世界で130の⾦融機関が⾚道原則を採択しています。

⾚道原則は2019年11⽉に第四版が採択され、銀⾏は2020年7⽉1⽇以降にお客さまよりマンデートを取得したプロジェクトについては第四版を適⽤しています。適用対象プロダクツはプロジェクトファイナンスプロジェクトファイナンス・アドバイザリーサービスプロジェクト紐付きコーポレートローンブリッジローン(つなぎ融資)、プロジェクト紐付きリファイナンスとプロジェクト紐付き買収ファイナンスです。

赤道原則を採択した金融機関は、社内方針や手続きに赤道原則を組み入れており、赤道原則を遵守しない、または遵守できないプロジェクトに対しては融資を行いません。

銀行では、社会的責任を全うするため、環境・社会配慮確認およびカテゴリーに関する情報開示を行っています。

赤道原則本文については、赤道原則協会のウェブサイト(www.equator-principles.com)(英語原文、日本語訳)をご覧ください。
EQUATOR PRINCIPLES

銀行は、プロジェクトの環境・社会配慮確認を「赤道原則運用ガイドライン」に基づいて行なっています。

赤道原則運用ガイドライン(PDF / 404KB)

「経営企画部サステナビリティ企画室環境社会グループ」による環境・社会配慮確認

銀⾏では、プロジェクトの環境・社会配慮確認、およびその他の関連業務を経営企画部 サステナビリティ企画室 環境社会グループ(以下、環境社会グループ)が担っています。

環境・社会配慮確認のプロセス

  1. 環境・社会スクリーニング

営業部室店は、赤道原則適用可能性がある案件の採り上げを検討する際に、チェックシートを作成し、環境社会グループに提出します。

環境社会グループは、赤道原則の適用範囲に基づき、赤道原則適用の可否を決定します

  1. 環境・社会レビュー(赤道原則レビュー)

赤道原則適用対象案件は、環境社会グループが赤道原則に基づく環境・社会レビューを行います。

まず、⾚道原則の原則1に従い、プロジェクトの環境・社会に対する潜在的なリスクと影響の程度に応じてプロジェクトにカテゴリーを付与します。

次に、プロジェクトに対し、付与したカテゴリーに応じて要求される環境・社会配慮がお客さまによって実施されているかを環境社会グループが確認します。

環境・社会レビューの結果は、与信所管部に還元され、与信所管部は環境社会レビューの結果を考慮した上で与信判断を行います。

原則1 カテゴリーの定義
カテゴリーA 環境・社会に対して重大な負の潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響が多様、回復不能、または前例がないプロジェクト。
カテゴリーB 環境・社会に対して限定的な潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響の発生件数が少なく、概してその立地に限定され、多くの場合は回復可能であり、かつ、緩和策によって容易に対処可能なプロジェクト。
カテゴリーC 環境・社会に対しての負のリスク、または、影響が最小限、または全くないプロジェクト。
例えば、カテゴリーAを付与したプロジェクトについては、赤道原則の原則2から原則10までの各原則が求める環境・社会配慮が実施されていることを確認します。
例:カテゴリーAを付与したプロジェクトに求められる環境・社会配慮
原則2(注1) 環境・社会アセスメント(必要に応じて、人権に対する潜在的な負の影響と気候変動リスクに関する評価を含む)の実施
原則3(注2) 環境・社会アセスメントに適用される環境・社会基準の遵守状況の確認
原則4 環境・社会マネジメントシステムの構築
環境・社会マネジメントプランの作成(必要に応じて赤道原則アクションプランも作成)
原則5(注3) 影響を受ける地域社会、労働者などに対するステークホルダー・エンゲージメントの実施
原則6 影響を受ける地域社会などからの苦情を処理するメカニズムの構築
原則7 独立した環境・社会コンサルタントによるアセスメント文書のレビュー
原則8 誓約条項の融資契約書への織り込み
原則9 独立した環境・社会コンサルタントによるモニタリングと報告の検証
原則10 環境・社会影響評価書(少なくとも要約。必要と認められる場合は、⼈権と気候変動に係るリスクと影響の要約を含める)のオンライン上での開⽰

GHG排出量が⼆酸化炭素換算で年間10万トン超の場合、プロジェクト操業期間中のGHG排出量(スコープ1とスコープ2の合計。必要と認められる場合には、GHG排出効率値)の公表

機密情報に該当しないプロジェクト固有の⽣物多様性データの、地球規模⽣物多様性情報機構(GBIF)や国内および国際的なデータリポジトリとの共有(推奨)

(注1)

原則2では、人権に関するリスクと影響を評価する際には、国連ビジネスと人権に関する指導原則(United Nations Guiding Principles on Business and Human Rights :UNGPs)を参照することと定めています。また、気候変動リスクアセスメントは、気候変動関連財務情報開示タスクフォース(The FSB Task Force on Climate-related Financial Disclosures:TCFD)の物理的リスク移行リスクに沿って行われることと定めております。気候変動リスクアセスメントでは以下の対応が求められています。

  • 全てのカテゴリーAと、カテゴリーBのうち必要とされるプロジェクトについては、該当する物理的リスクの検討
  • 全てのプロジェクトについて、スコープ1とスコープ2合計のGHG排出量が CO2換算で年間 10万トン超になると見込まれる場合は、該当する移行リスクの検討、および排出量が少ない他の選択肢と比較した代替案分析の実施

(注2)

原則3では、プロジェクトが実施される国(プロジェクト所在国)が「指定国」か「指定国以外の国」かにより、プロジェクトが遵守しなければならない環境・社会基準を以下のように定めています。

  • 「指定国」︓プロジェクト所在国の環境・社会関連法規制、許認可。(左記の適⽤基準に加えて、プロジェクト固有のリスクに対し国際⾦融公社(IFC)パフォーマンススタンダード("IFC Performance Standards on Environmental and Social Sustainability")のいずれか、または複数の条項をガイダンスとして適⽤する場合があります)
  • 「指定国以外の国」︓プロジェクト所在国の環境・社会関連法規制、許認可に加えて、IFCパフォーマンススタンダードおよび世界銀⾏グループ環境・衛⽣・安全(EHS)ガイドライン("World Bank Group Environmental, Health, and Safety Guidelines")。

ただし、上記の基準はお客さまに遵守をお願いする最低限の水準を示したものであり、銀行としてお客さまに追加的な基準の遵守をお願いさせていただく場合があります。

(注3)

原則5では、IFCパフォーマンススタンダード第7項の13~17節に記載されているような特別な状況下にあるプロジェクトについては、適格な独立したコンサルタントにより、先住民族とのコンサルテーションプロセスとその結果を、所在国の法律およびIFCパフォーマンススタンダード第7項の要求事項に照らして評価することと定めています。

IFCパフォーマンススタンダード第7項が定める「特別な状況」

  • 先住民族が伝統的に占有、または、慣習的に使用している土地と自然資源に対する影響があるプロジェクト
  • 伝統的に占有、または、慣習的に使用している土地と自然資源からの先住民族の移転を必要とするプロジェクト
  • 先住民族のアイデンティティにとって不可欠な重要な文化遺産に著しい影響があるプロジェクト
  • 商業的な目的で彼らの文化遺産を使用するプロジェクト
IFCパフォーマンススタンダードおよびEHSガイドラインについては、国際金融公社(IFC)公式ウェブサイト(英語)をご覧ください。
環境・社会レビューの一環として、環境社会グループは、必要に応じて、現地実査を実施し、世界各地のプロジェクトサイトにおけるお客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認しています。
サイト実査の様子‐1
(現地実査の様子‐1)
サイト実査の様子‐2
(現地実査の様子‐2)
  1. 環境・社会モニタリング
環境・社会レビュー後、環境社会グループと営業部室店は、お客さまの環境・社会配慮の実施状況をモニタリングしており、必要に応じて、現地実査を行います。
<環境・社会配慮確認の体制/仕組み>
環境・社会配慮確認の体制/仕組み

ファイナンシャル・アドバイザリーサービスのサポート

プロジェクトファイナンスによる資⾦調達をご検討されているお客さまへのアドバイザリーサービスにおいても、必要に応じて開発の早い段階から経営企画部サステナビリティ企画室環境社会グループが関与し、⾚道原則への対応をお⼿伝いしています。

研修の実施

従業員の環境・社会配慮確認に対する理解を深め、赤道原則の考え方や手続きを浸透させることを目的として研修を実施しています。
この研修は、主に国内外のプロジェクトファイナンスや審査担当者を対象に実施し、それ以外の従業員についても環境・社会配慮確認に対する理解が深まるように、社内広報等を通じて全社的な浸透を図っています。その他、新規着任者について、赤道原則の行内手続き内容の研修および過去の環境・社会配慮のケース・スタディーを行っています。

また、お客さま等への研修も、ご要望に応じて随時実施しています。

研修の様子
(研修の様子‐1)
研修の様子
(研修の様子‐2)

環境・社会配慮確認・カテゴリーに関する情報開示

銀⾏は、毎年フィナンシャル・クローズしたプロジェクトファイナンス案件およびプロジェクト紐付きコーポレートローン案件、同期間にマンデートを取得したプロジェクトファイナンスアドバイザリーサービスについて、⾚道原則および銀⾏の「⾚道原則運⽤ガイドライン」に基づき、「環境社会配慮確認・カテゴリーに関する情報開⽰」を更新しています。

なお、銀⾏は、各プロジェクトの環境・社会に対する潜在的なリスクと影響の程度に応じて、「⾚道原則運⽤ガイドライン」に基づき、国際⾦融公社(IFC)のパフォーマンススタンダード、世界銀⾏の環境・衛⽣・安全(EHS)ガイドラインを参照しながら、カテゴリーを付与しています。特にカテゴリーAを付与する場合は、OECD コモンアプローチや公的機関のガイドライン等も参照し、⾚道原則のカテゴリー定義に従い判断しています。

マークのある2020年度実績は、デロイト トーマツ サステナビリティ株式会社による第三者保証を取得しています。

マークのある2021年度実績は、デロイト トーマツ サステナビリティ株式会社による第三者保証を取得しています。

マークのある2022年度実績は、デロイト トーマツ サステナビリティ株式会社による第三者保証を取得しています。

マークのある2023年(注)実績は、デロイト トーマツ サステナビリティ株式会社による第三者保証を取得しています。
  1. 2024年より、赤道原則に基づく報告は1月から12月の暦年で行う必要があります。従来、当行は4月から翌年3月までの会計年度で報告/開示を行っておりましたが、新規定に合わせるため、2023年の実績については、移行措置として9ヶ月間(4月から12月まで)で報告/開示いたします。
(2024年11月現在)