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自然資本・生物多様性

自然資本・生物多様性とは

自然資本は、水の浄化や気候の調整をはじめとする生態系サービス等を通じて企業や社会に水、食料、鉱物等の便益をもたらすストックで、動物、植物、水、土壌、大気等から構成されています。

生物多様性は、自然資本の一部である動物、植物の多様性であり、洪水や干ばつといった自然災害からの回復、炭素循環と水循環、土壌形成を下支えることで自然資本を健全で安定な状態に保つ役割があります。

自然資本、生物多様性の損失は金融機関の投融資にとってリスクとなります。また、企業によるそれらの保全への対応は、金融機関のビジネス機会ともなり得ることから、リスクと機会を適切に評価することが重要と考えています。

自然資本・生物多様性とは
(出典:自然資本プロトコル 日本語版12ぺージ)

主な取り組み

MUFG環境方針、MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク

MUFGは、MUFG環境方針やMUFG環境・社会ポリシーフレームワークにおいて、以下のとおり方針を定めています。

MUFG環境方針

(抜粋)「私たちの社会は、豊かな生物多様性の恵みの上に成り立っており、その維持・保全は、持続可能な社会を実現するための基盤となるものです。MUFG は、商品・サービスの提供を通じて、生物多様性を保全する事業を支援するとともに、グループ各社の商品・サービスが生物多様性へ負の影響を及ぼすことが無いように適切に対応します。」

MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク

環境・社会に対するリスクまたは影響の性質や重大性に鑑み、ラムサール条約指定湿地へ負の影響を与える事業、ユネスコ世界遺産へ負の影響を与える事業、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)に違反する事業等を、「ファイナンスを禁止する事業」に定めています。また、「ファイナンスに際して特に留意する事業」として、保護価値の高い地域へ負の影響を与える事業や鉱業(石炭)、石油・ガス、大規模水力発電、森林、パーム油等のセクターを定めており、ファイナンスの実行を検討する際には生態系への影響とその対応をはじめ、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認します。

自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)への取り組み

TNFDは、国連環境計画・⾦融イニシアティブ(UNEP FI)、国連開発計画(UNDP)、世界⾃然保護基⾦(WWF)およびGlobal Canopyによって2021年 6⽉に発⾜された国際イニシアティブです。MUFGは、グループ⼀体で⾃然資本や⽣物多様性への取り組みを進めるために、2022年2⽉にTNFDフォーラムに参画しました。また、2022年6⽉に発⾜した⽇本協議会の会合にも参加しています。今後もフォーラムメンバーとして、議論へ積極的に参加することで、持続可能な環境・社会の実現に⼀層貢献していきます。
LEAPアプローチを活用した分析プロセス
LEAPアプローチを活用した分析プロセス
TNFDフレームワークベータ版で⽰されたLEAPアプローチを参照し、自然資本に関するリスクの分析に着⼿しています。具体的には、リスク分析ツールのひとつである「ENCORE」を用いて、自然への「依存度」と「影響」を分析しています。

イニシアティブへの参画

生物多様性のための30by30アライアンス

本アライアンスは、環境省にて策定された30by30ロードマップに盛り込まれた各種施策を実効的に進めていくための有志連合として、2022年4月に発足しました。アライアンス参加者は30by30目標達成に向けた直接的な保全地域の確保、または保全活動の支援に取り組み、その内容を発信します。

MUFGは本アライアンスの趣旨に賛同し、発足と同時に参画しました。

生物多様性のための30by30アライアンス

経団連生物多様性宣言

MUFGは、2018年10月に改定された「経団連生物多様性宣言・行動指針」に賛同しています。この宣言・行動指針は、「自然共生社会の構築を通じた持続可能な社会の実現」を目指すものであり、事業活動の中に、低炭素・脱炭素化、資源循環、生物多様性保全といった、幅広い環境活動を取り込む「事業活動と環境対策の統合」を求めています。MUFGはこのような考え方に基づく取り組みを推進します。

経団連生物多様性宣言

自然資本・生物多様性保全の取り組み

閉鎖循環式陸上養殖システムを営むスタートアップへの出資

MUFGは、持続可能な水産物生産手段の確立と美味しい魚が手軽に食べられる世界をめざすスタートアップ企業である株式会社FRDジャパンに出資しました。同社が独自に開発した閉鎖循環式陸上養殖システムは、水資源・海洋生態系保護に資することに加え、飼育水を閉鎖循環させながら水質を維持することで、取水時の水温調節費用や、魚病の侵入リスクを大幅に減少させることが可能となります。MUFGは、本出資を通じて、サステナブルな水産物の生産手法確立と食料自給率改善、水資源保護・海洋汚染抑制並びに海洋生態系保護の取り組みを支援します。

森林の循環利用サイクル促進に向けた支援

近年、木材生産のために育成された人工林の放置が深刻な社会課題の一つとなっており、樹を「植える」だけでなく、「育てる」「収穫する」「使う」という循環利用サイクルを広げていく必要性が高まっています。MUFGは、これまで行ってきた多数の植樹プロジェクトに加え、森林の循環サイクルを推進する特定非営利活動法人 森のライフスタイル研究所(注)への支援を通じて、今後も森の豊かな恵みを次の世代に残せるよう取り組んでいます。
  1. 2003年に任意団体としてスタートした特定非営利活動法人。市民や企業による「森づくり活動」、「企業の木づかい活動(社員参加型環境・社会貢献活動プログラムの提供)」、「母と子の野外体験活動」の3つを事業の柱として活動。
森林の循環利用サイクル促進に向けた支援
森林の循環利用サイクル促進に向けた支援
森林の循環利用サイクル促進に向けた支援

ピーターラビット™未来へつなぐ森

信託は2022年3月、山梨県富士河口湖町、小立財産区管理会、富士北麓森林組合と森林整備協定を締結、山梨県南都留郡富士河口湖町小立にある1.67haの山林を「ピーターラビット™未来へつなぐ森」と名付け、新たに森林・水源保全を通じた生物多様性保全に向けた取り組みを開始しました。

これまで、2009年5月に同様の協定を結び埼玉県長瀞町で森林保全活動を実施してきましたが、新たな森林を育む活動に取り組みます。

森林は国土の保全、生態系の保全、地球温暖化の防止などさまざまな働きを持っています。とりわけ水源地域の森林は水資源の貯留、水質の浄化などいわゆる水源かん養機能を発揮することにより、安全で良質な水の安定的な供給に重要な役割を果たしています。

これからも役職員一同、森を慈しみ健全な森林を整備していくことが大切だと考えています。


事業外活動を通じた社会課題解決

ピーターラビット™未来へつなぐ森

アコムの森

アコムはコンタクトセンターが所在する神奈川県および大阪府において従業員参画型の森林保全活動を実施することで、環境保全に貢献するとともに、従業員の社会貢献への参画意識や環境への関心の醸成を企図しています。
アコムの森

マングローブ植林活動の推進

マングローブは、海洋および沿岸の生態系の貴重な資源であり、経済、社会、および環境の持続可能性の観点で不可欠な存在です。マングローブの木を植えることは、土壌侵食に対する自然の障壁構築に役立つだけでなく、保護価値が高く研究対象となるような生物多様性に富んだ自然環境の創出にも貢献します。

クルンシィ(アユタヤ銀行)では、2012年より政府機関や自治体と協働し、マングローブ植林活動に継続的に取り組んできました。また、ダナモン銀行でも地場企業や当局と協働し、インドネシアのさまざまな地域でマングローブ植林活動に取り組んでいます。

 

クルンシィ:Mangrove Reforestation Activity(英語)

ダナモン銀行:2022 Danamon Peduli Environmental Care activity(英語)

マングローブ植林活動の推進
マングローブ植林活動の推進
マングローブ植林活動の推進
マングローブ植林活動の推進

都心部における貴重な自然価値の保全・継承への貢献

西東京市に位置するMUFG PARKは、豊かな自然とテニスコートなどの運動施設、コミュニティライブラリーを備えた施設です(2023年オープン)。

総面積約6 ヘクタールを誇るMUFG PARKは、都心部における貴重な自然価値の保全・継承にも貢献しています。

 

MUFG PARK

MUFG PARK

環境に配慮した「三菱UFJカード」の発行

ニコスではカード入会から発券、ご利用明細書、ポイントの還元まで、一貫して環境に配慮した「三菱UFJカード」を発行(一部を除く)しています。焼却時に塩素ガスを出さないPET-G素材を採用したカード本体や、森林保全に配慮した紙を利用した申込書等に加え、国内の森林整備・植林事業を行う環境保全団体への寄付プログラムをポイント商品としてご用意しています。

 

地球環境への取り組み

国の天然記念物「タンチョウ」を絶滅から守る活動

MUFG SOUL(注)における活動として国の特別天然記念物であり絶滅危惧種でもある北海道のタンチョウ保護活動に取り組みました。

現地での保護活動に参加するとともに、道内の学校・地域への啓発で使用する動画発信設備の寄付や、活動の様子のポスター掲示を通じた所属支店内での啓発活動を行いました。

  1. MUFG SOUL~熱い想いを社会のチカラに~
    MUFGでは、役職員一人ひとりが企画した社会課題解決のアイデアに対し、活動資金を拠出しています。2022年度には、子ども食堂や児童養護施設の活動支援、地域活性化への貢献など、役職員から集まった企画・アイデアは250件以上に上り、合計3,000人超が社会貢献活動に参加しました。(総額約92百万円)
    役職員の課題起点で取り組むことで、より多岐にわたる社会課題の解決に貢献していきます。
国の天然記念物「タンチョウ」を絶滅から守る活動
国の天然記念物「タンチョウ」を絶滅から守る活動

里山環境保全プロジェクト

MUFG SOULにおける活動として、里山環境保全活動などを行うNGO富田林の自然を守る会へ里山整備機材購入費用などを寄付するとともに、以下の活動を行いました。

<主な活動内容>

・自然観察会(地元市民、子どもたちが参加)

・里山環境保全活動(間伐、遊歩道整備等)

・SDGs、環境問題などに関するワークショップ

里山環境保全プロジェクト
里山環境保全プロジェクト

サーキュラーエコノミー

MUFGでは、資源循環への国際的な意識の高まり、ごみ問題の深刻化、資源の保全といった観点から、持続可能な形で資源を利用する「循環経済(サーキュラーエコノミー)」への移行に向けて、さまざまな取り組みを実施しています。

イニシアティブへの参画

循環経済パートナーシップ

MUFGは、環境省、経済産業省および日本経済団体連合会が、国内企業を含めた幅広い関係者における循環経済へのさらなる理解醸成と取り組みの促進をめざして、2021年3月に立ち上げた「循環経済パートナーシップ(J4CE:Japan Partnership for Circular Economy)」に参画しています。
循環経済パートナーシップ

ファイナンスを通じた支援

資源を循環させる製造工場「守山サーキュラーファクトリー®」の建設

銀行は、グンゼ㈱のプラスチックフィルム事業の基幹である守山工場のサーキュラーファクトリー®(資源循環型工場)への転換に必要な資金をグリーンローンを通じて支援しました。

サーキュラーファクトリーは、プラスチック廃材を出さないゼロ・エミッションを実現する工場であり、従来の「Take(資源を採掘して)」「Make(作って)」「Waste(捨てる)」という直線型システムのなかで活用されることなく廃棄されていた製品や原材料などを新たな資源と捉え、廃棄物を出すことなく資源を循環させる製造の仕組みを取り入れた最先端の施設です。

また、太陽エネルギーや地下水の冷熱エネルギー等の再生可能エネルギーも利用する設備を備えており、CO2の削減にも貢献します。

資源を循環させる製造工場「守山サーキュラーファクトリー®」の建設

自社の取り組み

(2023年8月現在)