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地球温暖化・気候変動への対応―TCFD提言を踏まえて― 地球温暖化・気候変動への対応―TCFD提言を踏まえて―

地球温暖化・気候変動への対応
―TCFD提言を踏まえて―

MUFGは、持続可能な社会の実現に貢献するため、国の目標と整合的な温暖化対策への取組みを推進し、自社のCO2排出量の削減とともに、再生可能エネルギーや、CO2排出削減につながる技術の支援等、金融機能を通じて、世界の温暖化対策の加速化に貢献します。

MUFGは、金融機関の使命として、長期的な視点でお客さまや社会と末永い関係を築き、共に持続的な成長を実現することを経営ビジョンに掲げ、その実現に向けて地球環境の保全や多様な人権の保護などに取り組んでいます。

2018年には、環境課題の解決に向けた基本方針として「MUFG環境方針」を制定し、事業活動を通じて地球環境に係る課題の解決に積極的に取り組むとともに、事業活動が環境に与えるリスクまたは負の影響について真摯に対応し、影響低減に取り組むことで、持続可能な社会の実現をめざすことを宣言しました。

さらに、持続可能な環境・社会がMUFGの持続的成長の大前提であるとの考えの下、SDGsがめざす「地球上の誰一人取り残さない世界」の実現、その理念を強く支持し、SDGsの達成に貢献するために、優先的に取り組むべき7つの「環境・社会課題」を特定しており、「地球温暖化・気候変動」への対応についても優先的に取り組むべき「環境・社会課題」の一つとしています。

また、MUFGは、気候関連財務情報開示の重要性を認識し、金融安定理事会(FSB)によって設立された気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:TCFD)が策定した気候関連財務情報開示に関する提言を支持するとともに、TCFDに沿った情報開示の拡充に取り組んでいます。

ガバナンス

気候変動に対応するガバナンス態勢

MUFGでは、気候変動を含む環境・社会にかかるビジネス機会およびリスクへの対応方針・取組状況を経営会議傘下のサステナビリティ委員会にて定期的に審議するとともに、テーマに応じてリスク管理委員会や投融資委員会、与信委員会においても審議・報告を行っています。各委員会の審議内容は経営会議、取締役会において報告・審議され、取締役会が気候変動への取組みを監督する態勢としています。

ガバナンス態勢高度化への取組み

チーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSuO)を設置しました。CSuOは、取締役会構成員のグループCSOが務めています。

また、環境・社会分野の外部有識者をMUFGの常設の社外アドバイザーとして招聘しました。取締役等との意見交換等により、社外アドバイザーの専門的な知見をサステナビリティの取組みに活用しています。

ガバナンス態勢高度化への取組み

戦略

TCFDの提言は、気候変動に関するリスクおよび機会について、事業戦略や財務に及ぼす影響を把握したうえで、開示することを推奨しています。

MUFGは、「地球温暖化・気候変動」への対応を優先的に取り組むべき「環境・社会課題」の一つとし、機会、リスクの両面から取り組みを進めています。

機会 -脱炭素社会への移行をサポート-

気候変動にかかる機会への取組みに関してMUFGは、2019年度から2030年度までに累計20兆円の実行をめざす、サステナブルファイナンス目標を設定しています。

気候変動への対応を含む環境分野で8兆円のファイナンス実施をめざしており、プロジェクトファイナンスなどにおける再生可能エネルギー等の推進、発行代わり金が適格グリーンプロジェクトへの融資に充当されるMUFGグリーンボンドの発行、さらに、環境負荷軽減を目的とした商品・サービスの提供、気候変動対策コンサルティングビジネスの推進等により脱炭素社会への移行をサポートします。

リスク -移行リスクおよび物理的リスク-

気候変動に関するリスクには、気候関連の規制強化や脱炭素技術移行への対応といった脱炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)と、気候変動に伴う自然災害や異常気象の増加等によってもたらされる物理的な被害に伴うリスク(物理的リスク)の2つがあります。

金融機関は、これらのリスクについて、自社の事業活動への直接的な影響と、投融資先が影響を受けることに伴う間接的な影響の両方に対応する必要があり、MUFGは、TCFDの提言を踏まえ、気候変動に関するリスクが与信ポートフォリオに及ぼす影響を把握するためのシナリオ分析を実施しました。

金融機関における気候変動に関するリスク

 

  主な内容
移行リスク 間接的
  • 規制強化や政策変更が与信先の事業や財務状況にネガティブな影響を与えることにより与信ポートフォリオが影響を受けるリスク
  • 脱炭素社会へ向けた技術転換への対応や消費者の嗜好の変化に伴う需要減少が与信先の事業や財務状況にネガティブな影響を与えることにより与信ポートフォリオが影響を受けるリスク
直接的
  • 規制強化や政策変更への対応コストや負荷が増加するリスク
  • ESG課題・SDGsへの対応が競合比劣後することに伴いレピュテーションが悪化するリスク、更には、レピュテーション悪化により株価下落や格付が低下するリスク
物理的リスク 間接的
  • 風水害等に被災した顧客の事業活動の停止、不動産担保の被災による担保価値の毀損により与信ポートフォリオが影響を受けるリスク
直接的
  • 社員や保有資産が風水害等に被災し、事業継続に影響を受けるリスク

シナリオ分析の実施

MUFGは、国連環境計画金融イニシアティブ(以下、UNEP FI)が主導し、気候関連財務情報開示に関する方法論等の検討・開発を目的に実施しているパイロット・プロジェクトに2019年夏より参画し、パイロット・プロジェクトによる検討の結果も踏まえ、移行リスクおよび物理的リスクについて2020年から2050年を対象として分析を実施しました。

1.分析結果

今回の分析対象および適用したシナリオや前提の下で、移行リスク(エネルギーおよびユーティリティセクターの合計)に関して単年度ベース10~90億円程度、物理的リスク(水害)に関して累計380億円程度の結果となり、移行リスク、物理的リスクのいずれも今回のシナリオ分析の対象においては与信ポートフォリオへの影響は限定的であるとの結果となりました。

2.分析手法

移行リスク

TCFDの提言において炭素関連資産と定義されるエネルギーおよびユーティリティの2セクターを分析対象とし、計測手法には、UNEP FIのパイロット・プロジェクトでの検討結果を踏まえ、個社レベルのボトムアップ手法とセクターレベルのトップダウン手法を組み合わせて影響を評価する統合的アプローチを採用しました。

シナリオは、様々な評価において広く使用されている国際エネルギー機関(International Energy Agency:IEA)により公表されている「持続可能な開発シナリオ(2℃(未満)シナリオ)」、「新政策シナリオ(4℃シナリオ)」を前提とし、主に2℃(未満)シナリオについて、各シナリオにおける信用格付への影響を分析するとともに、当該セクターの与信ポートフォリオ全体の財務インパクトの影響について分析を実施しました。財務インパクトの計算においては、UNEP FIのパイロット・プロジェクトでも議論中にて、現時点で画一的な計算手法が無いという課題点も認識しながら、MUFGがめざす脱炭素社会に向けた取り組みを反映し、2℃未満の世界を実現するために必要な再エネへの投資や炭素税といったコスト等を反映しています。引き続き、対象セクターの拡大や、反映方法の改善に向けて取り組んで参ります。

物理的リスク

気候変動による物理的な被害に伴うリスクのうち、日本はじめ、近年特に発生頻度、被害状況とも顕著である水害を対象に、その発生が与信先に与えるデフォルト確率の変化を用いて与信ポートフォリオ全体への影響を計測するアプローチを採用しました。

気候シナリオは、気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change:IPCC)によるシナリオRCP2.6・8.5シナリオを前提とし、主にRCP8.5シナリオについて、水害発生時の被害推定には、様々な機関より提供を受けた分析を実施しました。

財務インパクトの計算においては、UNEP FIパイロット・プロジェクトでの議論を踏まえ、業務停止期間や保有資産の毀損等を反映しております。

今回採用した手法では、IPCCのシナリオを災害の発生確率の計算においてのみ反映させていますが、足元ではIPCCシナリオを災害データそのものに反映できるようなシミュレーション手法の導入検討を進めるなど、分析手法の改善に引き続き取り組んで参ります。

リスク管理

気候変動に関するリスクの統合的リスク管理における位置付け

MUFGは、気候変動に関するリスクの把握・評価や、情報開示の重要性を認識していることから、統合的リスク管理の主要な手法として採用する「トップリスク管理」において、気候変動に起因するリスクをトップリスクと位置付けています。

MUFGおよび主要子会社においては、経営層を交えてトップリスクに関し議論することで、リスク認識を共有したうえでリスクコントロール策を講じています。

ファイナンスにおける環境・社会に係るリスクの管理

ファイナンスにおいて、環境・社会にかかるリスクを管理する枠組みとして、「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」を制定しています。石炭火力発電や鉱業(石炭)、石油・ガス等、気候変動を含む環境・社会への影響が懸念される特定のセクターについては、ファイナンスにおけるポリシーを定めるとともに、ファイナンスの対象となる事業の環境・社会に対するリスクまたは影響を特定し、評価するためのデューデリジェンスのプロセスを導入しています。

2019年5月には、同ポリシーフレームワークにおいて、新設の石炭火力発電所へのファイナンスは原則として実行しないことを公表しています。

また、三菱UFJ銀行は、インフラ整備や資源開発向けファイナンス等における環境・社会配慮のための国際的枠組みである赤道原則を2005年に採択しており、その遵守を通じて、気候変動対応を含む持続可能な環境・社会の実現に取り組んでいます。

ファイナンスにおける案件評価プロセス
標準デューデリジェンス お客さまを担当する法人担当部署が、ファイナンスの対象事業が「ファイナンスを禁止する事業」または「ファイナンスに際して特に留意する事業」に該当しないか、お客さまからご提供頂く情報等に基づき判断
強化デューデリジェンス 「ファイナンスに際して特に留意する事業」に該当する場合、必要に応じて環境・社会に対するリスクを管理する部署等が強化デューデリジェンスを実施
経営階層による協議 MUFG の企業価値を大きく毀損する可能性があると判断される場合、経営階層のマネジメントが参加して対応を協議

指標と目標

サステナブルファイナンス目標の進捗

●指標:サステナブルファイナンス取り組み実績

●目標:2030年度までに累計20兆円(うち、環境分野で8兆円)

2019年度~2030年度累計20兆円(うち、環境分野で8兆円)のサステナブルファイナンス目標に対する実績
〔単位:兆円〕
    2019年度実績 2030年度目標
環境 再生可能エネルギー事業向け融資・プロジェクトファイナンスの組成 等 0.9 8.0
グリーンボンドの引受 0.5
その他 0.8
社会 公共インフラ設備・地域振興等に資する融資 等 0.9 12.0
その他 環境・社会に跨る分野 0.6
合計 3.7 20.0

石炭火力発電向け融資

●指標:石炭火力発電向けプロジェクトファイナンス貸出金残高

●目標:2030年度に2019年度比50%削減、2040年度目途にゼロ(*)

MUFGは、MUFG環境・社会ポリシーフレームワークにおいて、新設の石炭火力発電所へのファイナンスは、原則として実行しないことを定めています。

2019年度末時点で3,580百万米ドルの石炭火力発電向けプロジェクトファイナンスの貸出金残高を、2030年度に2019年度比50%削減、2040年度を目途にゼロとします(*)

*但し、MUFG環境・社会ポリシーフレームワークに基づき、脱炭素社会への移行に向けた取り組みに資する案件は除外します。

電力使用量原単位

●指標:電力使用量原単位(電力使用量/延べ床面積)

●目標:2020年度に2009年度比で10.5%削減、2030年度に同19.0%削減

三菱UFJ銀行における環境負荷軽減目標として、電力使用量原単位について2020年度および2030年度の削減目標を定めており、足元で目標を上回る削減実績を達成しています(2019年度削減実績:2009年度比27.9%削減)。

事業活動におけるCO2排出削減への取り組み

●指標:国内5社(*)のCO2排出量(Scope1~3)、CO2排出原単位、電力使用量原単位

*三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱UFJ銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、三菱UFJニコスの5社です。三菱UFJモルガン・スタンレー証券については、一部を除き三菱UFJ証券ホールディングスを含みます。

 

自社の事業活動における環境負荷軽減のため、温室効果ガスをはじめとする環境負荷の把握と軽減に取り組んでいます。直近の削減実績については以下をご参照下さい。

発電事業(*1)へのプロジェクトファイナンスにおけるCO2排出量原単位

●指標:発電事業へのプロジェクトファイナンスにおけるCO2排出量原単位
化石燃料(石炭・石油・ガス)火力発電、および再生可能エネルギー発電事業を対象として、
環境へのインパクトを計測することを目的として算定しています。
  • *1 化石燃料(石炭・石油・ガス)火力発電、および再生可能エネルギー発電事業を対象
〔単位:t-CO2/MWh〕
2017年度 2018年度 2019年度(4月~12月)
0.410 0.368 0.394

炭素関連資産(*2)の状況

●指標:貸出ポートフォリオに占める炭素関連資産の割合
TCFDの提言を踏まえ、貸出ポートフォリオに占める炭素関連資産を把握しています。
  • *2 TCFDの提言を踏まえ、エネルギーおよびユーティリティセクターに属する貸出から再生可能発電向けの 貸出等を除外した貸出を炭素関連資産と定義しています。
貸出ポートフォリオに占める炭素関連資産割合
  2019/3末 2020/3末
エネルギー 3.0% 2.8%
ユーティリティ 3.6% 3.4%
合計 6.6% 6.2%
(2020年10月現在)