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リスク管理

リスク管理

気候変動に関するリスクについて、組織がどのように識別・評価・管理しているかについて開示する

 

a.組織が気候変動に関するリスクを識別・評価するプロセスを説明する

b.組織が気候変動に関するリスクを管理するプロセスを説明する

c.組織が気候変動に関するリスクを識別・評価・管理するプロセスが、組織の統合的リスク管理にどのように統合されているかについて説明する

気候変動リスク管理

MUFGは、気候変動に関するリスクの把握・評価や情報開示の重要性を認識し、「トップリスク管理」において気候変動に関するリスクをトップリスクと位置づけています。気候変動リスクに起因する移行リスクと物理的リスクがそれぞれの波及経路をたどり、主要なリスクのカテゴリーに中長期的な影響を与えうるリスクドライバーとなるものと認識しています。気候変動リスクの特色を踏まえ、リスク管理枠組みのもとで与信ポートフォリオ全体・セクター・顧客・案件レベルでのリスク管理を行っています。
気候変動リスク管理

ファイナンスにおける環境・社会に係るリスクの管理

ファイナンス(注)において、環境・社会に係るリスクを管理する枠組みとして、「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」を制定しています。石炭火力発電や鉱業(石炭)、石油・ガス等、気候変動を含む環境・社会への影響が懸念される特定のセクターについては、ファイナンスにおけるポリシーを定めるとともに、ファイナンスの対象となる事業の環境・社会に対するリスクまたは影響を特定し、評価するためのデューデリジェンスのプロセスを導入しています。
  1. MUFGの主要子会社である銀行、信託および三菱UFJ 証券ホールディングスの法人のお客さま向けの与信および債券・株式引受を指します。

MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク

MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク

ファイナンス対象事業の環境・社会に対するリスクまたは影響を特定・評価するプロセス

ファイナンス対象事業の環境・社会に対するリスクまたは影響を特定・評価するプロセス
気候変動を含む環境関連セクターに係るポリシー
MUFG環境・社会ポリシーフレームワークは、2018年5月の制定以降、事業活動の変化やビジネス環境の変化に応じて定期的に見直しを行っています。2025年4月には、MUFG環境・社会ポリシーフレームワークを改定し、新たに「漁業・養殖」を留意事業に追加し、「鉱業(全般)」、「森林」、「バイオマス発電」を改定しました。なお、本フレームワークは、各地の法令遵守のもとで適用されます。

赤道原則に基づく気候変動リスクへの対応

赤道原則は、インフラ・資源開発などの大規模プロジェクトが環境・社会に与える潜在的なリスクや影響を特定、評価、管理する国際的な枠組みです。銀行は、融資決定に先立ち、同原則に基づく環境社会リスク評価を実施しています。

気候変動リスクについては、GHG排出削減に資する技術的・採算的に実現可能な選択肢の検討等に加え、TCFD提言に沿った物理的リスクおよび移行リスクの特定と管理手法について事業者の対応状況を評価しています。

2025年4月に、赤道原則に関する銀行の取り組みや活動内容を纏めた赤道原則プログレスレポートを発行しました。

詳細は赤道原則プログレスレポート 初版をご覧ください。

赤道原則で求められる気候変動関連対応
対象となるプロジェクト 赤道原則で求められる対応

赤道原則で用いられるリスクカテゴリーのうち、全てのカテゴリーAと、カテゴリーB(注)のうち必要とされるプロジェクト

・物理的リスクの特定と対応策

GHG排出量(Scope1とScope2)が二酸化炭素換算で年間10万トンを超えるプロジェクト

・代替案分析の実施

・移行リスクの特定と対応策

・GHG排出量の公開(毎年)

  1. カテゴリーAは「環境・社会に対して重大な負の潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響が多様、回復不能、または前例がないプロジェクト」、カテゴリーBは「環境・社会に対して限定的な潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響の発生件数が少なく、概してその立地に限定され、多くの場合は回復可能であり、かつ、緩和策によって容易に対処可能なプロジェクト」を指します。

気候変動リスク評価の事例

銀行では、融資決定に先立つ環境社会リスク評価において、事業者の気候変動対策を評価し、赤道原則に基づく気候変動リスク評価の要求事項の充足を確認しています。ここでは、銀行で環境社会リスク評価を行った個別案件の物理的リスクと移行リスクの各評価事例を紹介します。
物理的リスク(幹線道路拡張プロジェクト)
都市部の幹線道路を拡張する本プロジェクトでは、所在国の環境当局に提出された環境アセス書において物理的リスクが評価されました。異常降雨に伴う洪水の増加、山火事発生の増加などが主な物理的リスクとして特定され、これらのリスクを踏まえた事業者による対応策を確認しました。

特定された物理的リスク

 

・異常降雨に伴う洪水や土砂災害の増加、道路設備へのダメージ

・(平均気温上昇に伴う)山火事発生の増加による道路設備への影響

事業者による主な対応策

 

・建設業者に対する、異常気象に関する情報提供、建設計画への反映

・豪雨や洪水に耐えうる排水システムの導入

・道路設備の定期点検強化

移行リスク(製油所拡張プロジェクト)
本プロジェクトは、市場の需要に応えるため、処理能力増強を目的とした製油所の拡張案件です。移行リスクの評価を含む、TCFD提言に沿った気候変動リスク評価レポートが作成され、政策・法規制リスク、市場リスクなどが主な移行リスクとして特定されました。

特定された移行リスク

 

・炭素税の導入、排出権取引価格の上昇に伴うコストの増加

・GHG排出量の測定および情報開示に係る義務拡大

・製油サービスに対する需要の減少

事業者による主な対応策

 

・炭素税導入による経済性の評価

・ビジネスへの影響と対応策、脱炭素の取組状況に係る開示

・セクターにおけるグローバル課題と新たな課題についての定期的なモニタリング

(2025年10月現在)