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リスク管理

リスク管理

リスクアペタイト・フレームワークへの反映

2021年度より、リスクアペタイト・ステートメントに、気候変動に関するリスクを新たに追記しました。気候変動に関するリスクを適切に管理する態勢を確立・維持し、さらに発展させていくことをめざします。

リスクアペタイト・フレームワークの概要

「リスクアペタイト・フレームワーク」とは、MUFGの事業戦略・財務計画を達成するための「リスクアペタイト」(引き受けようとするリスクの種類と量)を明確化し、経営管理やリスク管理を行う枠組みです。

本枠組みの導入によって、経営計画の透明性が向上し、より多くの収益機会を追求できると同時に、リスクをコントロールした経営が可能となります。

リスクアペタイト・フレームワークの概要

統合的リスク管理における位置付け -トップリスク管理-

MUFGは、気候変動に関するリスクの把握・評価や、情報開示の重要性を認識し、統合的リスク管理の主要な手法として採用する「トップリスク管理」において、気候変動に起因するリスクをトップリスクと位置付けています。また、気候変動に関するリスクは、中長期的に顕在化、深刻化する可能性が高いという性質も認識しています。MUFGおよび主要子会社においては、経営層を交えてトップリスクに関し議論することで、リスク認識を共有した上でリスクコントロール策を講じています。

トップリスク管理

MUFGは、各種のリスクシナリオが顕在化した結果、当グループにもたらされる損失の内容をリスク事象と定め、その影響度と蓋然性に基づき、重要度の判定を行っています。その上で、今後約1年間で最も注意すべきリスク事象をトップリスクとして特定しています。
気候変動に関するリスクの概要
リスクシナリオ(例) リスク対応策(例)

・気候変動に関するリスクへの対応や開示が不十分であると見做されることによる当社グループの企業価値の毀損

・取引先への影響を通じた当社与信ポートフォリオ管理・運営への影響

・カーボンニュートラル宣言に基づく各種施策の推進、TCFD提言に沿った情報開示、シナリオ分析の拡充

・パリ協定に整合的なGHG排出量の中間目標設定や環境・社会フレームワーク改定、取引先とのエンゲージメントの強化

グループ・グローバルベースでの管理枠組み構築

MUFGは、気候変動に関するリスクへの対応の強化に向けて、グループ・グローバルでのプロジェクトチームを設置しました。規制動向等の把握・共有やリスク管理の枠組みをグループ・グローバルで構築することを通じて、適切な対応を進めていきます。
気候変動に関するリスクについての管理枠組みを検討するため、グループCRO(Chief Risk Officer)を長とし、持株・銀行・信託・証券のCRO、および持株・銀行の地域CROが参加するプロジェクトチームを設置
矢印

主な検討・対応事項

 

● 気候変動に関するリスクの分類や分析手法、リスクアペタイトの設定、リスクの与信プロセスへの反映方法として顧客のトランジションを支援する枠組みを構築

● 移行リスク・物理的リスクに係るリスク認識に関し事例を通じた整理を実施

ファイナンスにおける環境・社会に係るリスクの管理

ファイナンス(注)において、環境・社会に係るリスクを管理する枠組みとして、「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」を制定しています。石炭火力発電や鉱業(石炭)、石油・ガス等、気候変動を含む環境・社会への影響が懸念される特定のセクターについては、ファイナンスにおけるポリシーを定めるとともに、ファイナンスの対象となる事業の環境・社会に対するリスクまたは影響を特定し、評価するためのデューデリジェンスのプロセスを導入しています。
  1. MUFGの主要子会社である銀行、信託および三菱UFJ証券ホールディングスの法人のお客さま向けの与信および債券・株式引受を指します。

MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク

MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク

ファイナンス対象事業の環境・社会に対するリスクまたは影響を特定・評価するプロセス

ファイナンス対象事業の環境・社会に対するリスクまたは影響を特定・評価するプロセス
気候変動を含む環境関連セクターに係るポリシー

MUFG環境・社会ポリシーフレームワークは、2018年5月の制定以降、事業活動の変化やビジネス環境の変化に応じて定期的に見直しを行っています。

2022年4月に実施した直近の改定では、気候関連セクター(パーム油、鉱業(石炭)、石油・ガス)のポリシーを厳格化、改定しました。

MUFG環境・社会ポリシーフレームワークに定める環境関連ポリシー
MUFG環境・社会ポリシーフレームワークに定める環境関連ポリシー

赤道原則に基づく気候変動リスクへの対応

赤道原則は、インフラ・資源開発などの大規模プロジェクトが環境・社会に与える潜在的なリスクや影響を特定、評価、管理する国際的な枠組みです。銀行は、融資決定に先立ち、同原則に基づく環境社会リスク評価を実施しています。

気候変動リスクについては、GHG排出削減に資する技術的・採算的に実現可能な選択肢の検討等に加え、TCFD提言に沿った物理的リスクおよび移行リスクの特定と管理手法について事業者の対応状況を評価しています。

赤道原則で求められる気候変動関連対応
対象となるプロジェクト 赤道原則で求められる対応

赤道原則で用いられるリスクカテゴリーのうち、全てのカテゴリーAと、カテゴリーB(注)のうち必要とされるプロジェクト

・物理的リスクの特定と対応策

GHG排出量(Scope1とScope2)が二酸化炭素換算で年間10万トンを超えるプロジェクト

・代替案分析の実施

・移行リスクの特定と対応策

・GHG排出量の公開(毎年)

  1. カテゴリーAは「環境・社会に対して重大な負の潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響が多様、回復不能、または前例がないプロジェクト」、カテゴリーBは「環境・社会に対して限定的な潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響の発生件数が少なく、概してその立地に限定され、多くの場合は回復可能であり、かつ、緩和策によって容易に対処可能なプロジェクト」を指します。

気候変動リスク評価の事例

銀行では、融資決定に先立つ環境社会リスク評価において、事業者の気候変動対策を評価し、赤道原則に基づく気候変動リスク評価の要求事項の充足を確認しています。ここでは、銀行で環境社会リスク評価を行った個別案件の物理的リスクと移行リスクの各評価事例を紹介します。
物理的リスク(洋上風力発電プロジェクト)
本プロジェクトでは、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)公表の気候変動予測シナリオを用いた評価が行われました。台風による強風、海面上昇に伴う浸水などが主な物理的リスクとして特定され、これらのリスクに対応するための施設設計が講じられていることを確認しました。

特定された物理的リスク

 

・急性リスク:台風による強風、洪水および高潮

・慢性リスク:海面上昇に伴う浸水および海岸浸食

事業者による主な対応策

 

・強風に耐えうる設計のタービンを採用

・高潮・浸水対策として、陸域の施設(変電所など)はかさ上げを実施

・海岸浸食対策として、陸域の施設は海岸線から離れた場所に建設

移行リスク(ガス・ディーゼル複合火力発電プロジェクト)
本プロジェクトは、離島の電力需要を支えるため、老朽化した発電所に代わり、最新技術の火力発電所を建設するものです。政策・法規制リスクが主な移行リスクとして特定されましたが、本プロジェクトが所在国のカーボンニュートラル目標と整合し、またエネルギー・トランジションにも寄与することを確認しました。

特定された移行リスク

 

・政策・法規制リスク

・カーボンプライシング導入およびGHG排出量開示に伴うオペレーションコストの増加

事業者による主な対応策

 

・最新の低炭素排出型技術の採用

・オペレーションコスト増加を見込んだキャッシュフロー計画

(2022年9月現在)