リスク管理
リスクアペタイト・フレームワークへの反映
リスクアペタイト・フレームワークの概要
「リスクアペタイト・フレームワーク」とは、MUFGの事業戦略・財務計画を達成するための「リスクアペタイト」(引き受けようとするリスクの種類と量)を明確化し、経営管理やリスク管理を行う枠組みです。
本枠組みの導入によって、経営計画の透明性が向上し、より多くの収益機会を追求できると同時に、リスクをコントロールした経営が可能となります。

統合的リスク管理における位置付け -トップリスク管理-
トップリスク管理
気候変動に関するリスクの概要
リスクシナリオ(例) | リスク対応策(例) |
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・気候変動に関するリスクへの対応や開示が不十分であると見做されることによる当社グループの企業価値の毀損 ・取引先への影響を通じた当社与信ポートフォリオ管理・運営への影響 |
・カーボンニュートラル宣言に基づく各種施策の推進、TCFD提言に沿った情報開示、シナリオ分析の拡充 ・パリ協定に整合的なGHG排出量の中間目標設定や環境・社会フレームワーク改定、取引先とのエンゲージメントの強化 |
グループ・グローバルベースでの管理枠組み構築
気候変動に関するリスクについての管理枠組みを検討するため、グループCRO(Chief Risk Officer)を長とし、持株・銀行・信託・証券のCRO、および持株・銀行の地域CROが参加するプロジェクトチームを設置 |
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主な検討・対応事項
● 気候変動に関するリスクの分類や分析手法、リスクアペタイトの設定、リスクの与信プロセスへの反映方法として顧客のトランジションを支援する枠組みを構築 ● 移行リスク・物理的リスクに係るリスク認識に関し事例を通じた整理を実施 |
ファイナンスにおける環境・社会に係るリスクの管理
- MUFGの主要子会社である銀行、信託および三菱UFJ証券ホールディングスの法人のお客さま向けの与信および債券・株式引受を指します。
MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク

ファイナンス対象事業の環境・社会に対するリスクまたは影響を特定・評価するプロセス

気候変動を含む環境関連セクターに係るポリシー
MUFG環境・社会ポリシーフレームワークは、2018年5月の制定以降、事業活動の変化やビジネス環境の変化に応じて定期的に見直しを行っています。
2022年4月に実施した直近の改定では、気候関連セクター(パーム油、鉱業(石炭)、石油・ガス)のポリシーを厳格化、改定しました。
MUFG環境・社会ポリシーフレームワークに定める環境関連ポリシー

赤道原則に基づく気候変動リスクへの対応
赤道原則は、インフラ・資源開発などの大規模プロジェクトが環境・社会に与える潜在的なリスクや影響を特定、評価、管理する国際的な枠組みです。銀行は、融資決定に先立ち、同原則に基づく環境社会リスク評価を実施しています。
気候変動リスクについては、GHG排出削減に資する技術的・採算的に実現可能な選択肢の検討等に加え、TCFD提言に沿った物理的リスクおよび移行リスクの特定と管理手法について事業者の対応状況を評価しています。
赤道原則で求められる気候変動関連対応
対象となるプロジェクト | 赤道原則で求められる対応 |
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赤道原則で用いられるリスクカテゴリーのうち、全てのカテゴリーAと、カテゴリーB(注)のうち必要とされるプロジェクト |
・物理的リスクの特定と対応策 |
GHG排出量(Scope1とScope2)が二酸化炭素換算で年間10万トンを超えるプロジェクト | ・代替案分析の実施 ・移行リスクの特定と対応策 ・GHG排出量の公開(毎年) |
- カテゴリーAは「環境・社会に対して重大な負の潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響が多様、回復不能、または前例がないプロジェクト」、カテゴリーBは「環境・社会に対して限定的な潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響の発生件数が少なく、概してその立地に限定され、多くの場合は回復可能であり、かつ、緩和策によって容易に対処可能なプロジェクト」を指します。
気候変動リスク評価の事例
物理的リスク(洋上風力発電プロジェクト)
特定された物理的リスク
・急性リスク:台風による強風、洪水および高潮 ・慢性リスク:海面上昇に伴う浸水および海岸浸食 |
事業者による主な対応策
・強風に耐えうる設計のタービンを採用 ・高潮・浸水対策として、陸域の施設(変電所など)はかさ上げを実施 ・海岸浸食対策として、陸域の施設は海岸線から離れた場所に建設 |
移行リスク(ガス・ディーゼル複合火力発電プロジェクト)
特定された移行リスク
・政策・法規制リスク ・カーボンプライシング導入およびGHG排出量開示に伴うオペレーションコストの増加 |
事業者による主な対応策
・最新の低炭素排出型技術の採用 ・オペレーションコスト増加を見込んだキャッシュフロー計画 |