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顧客起点でつくりあげた新たな資産形成プラットフォーム「Money Canvas」

第5期「MUFG Digitalアクセラレータ」グランプリ受賞、アルプ株式会社に聞く、MUFGとの協業による新たな価値提供

2021年に開催された第5期「MUFG Digitalアクセラレータ」では、継続収益ビジネス向けのクラウド販売・請求管理システム『Scalebase』を提供するアルプ株式会社(以下アルプ社)がグランプリを獲得した。国内SaaS市場は急成長を続けており、複雑な契約形態や請求業務を一元管理できる『Scalebase』の導入企業も増えている。アルプ社には顧客がエンドユーザーと交わす契約情報や販売情報に関するトランザクションデータが蓄積されており、同社はこのデータアセットの活用による新規事業の可能性をMUFGとともに探りたいとアクセラレータプログラムへ応募した。協業・事業創造に向けてどのような成果を得たのか、代表取締役CEOの伊藤浩樹氏に話を伺った。

アルプ株式会社

設立:2018年8月21日
本社所在地:東京都渋谷区
事業内容:企業におけるサブスクリプションビジネスの効率化・収益最大化を支援するクラウド販売管理請求管理プラットフォーム『Scalebase』を運営
https://thealp.co.jp/

アルプ社について

継続収益ビジネスの業務を一元管理し、
効率化・収益最大化を支援するプラットフォームを提供

—アルプ社の事業について教えてください。

伊藤氏:弊社はサブスクリプションをはじめとするあらゆる継続収益ビジネスを支えるクラウド販売・請求管理システム『Scalebase』を運営しています。継続収益ビジネスは、提供する商品やサービスの数ではなく、利用期間に対して対価が支払われるビジネスモデルです。収益拡大のためには、契約の継続や契約内容のグレードアップなどによる顧客単価・LTV (Life Time Value:顧客生涯価値)の向上などに注力する必要があり、キャンペーンの実施やオプションの追加など施策は多岐にわたります。

このような施策の結果、プロダクトやプランは多様化・複雑化し、契約状況の変化とともに顧客対応のオペレーションは煩雑化します。特に会計処理においては、顧客ごとに異なる契約状況や売上回収と計上のタイミングのずれなど、手作業による複雑な処理が多く、業務負担が大きくなり成⻑機会を逃してしまうケースも少なくありません。

これらの課題に対して『Scalebase』は、価格戦略や商品管理、顧客管理、契約管理、請求対応、会計業務などの複雑な業務を一元管理・自動化できるソフトウェアとして開発されました。オペレーションの負担を限りなく軽減することでビジネスの自由度を上げ、企業の収益最大化を支援しています。日本の商習慣に細かく対応し、きめ細かな運用サポートで多くの企業に導入していただいています。

プログラム参加の経緯

蓄積するデータを活用した次のビジネスの展望

—「MUFG Digitalアクセラレータ」に参加された理由を教えてください。

伊藤氏:『Scalebase』を多くのお客さまにご利用いただく中で、私たちのプラットフォームには、お客さまとその先のエンドユーザーとの間における契約情報や販売情報、請求の実績などのトランザクションデータが蓄積されてきました。このデータを活用することで新たなビジネスが創造できるのではないか、その可能性を検討したいと思ったことが応募の理由です。同時に、MUFGが展開するさまざまな事業領域において、私たちの事業との「掛け算」でどんな事業連携や事業創造につながるのか、を探ってみたいと思いました。


(アルプ株式会社 Co-Founder, 代表取締役CEO 伊藤 浩樹氏)

プログラムの成果

新たなファイナンスモデルの構築など事業創造に向け確実に前進

—プログラムを通してどんな成果がありましたか。

伊藤氏:もともと私たちは、運用中の『Scalebase』というプロダクトをどうしたいか、という視点ではなく、事業の進化の方向性や、積み上げられつつあるデータアセットの価値について「解像度」を上げていきたいという考えで参加しました。その点でフィードバックをいただける貴重な機会だと考えていたわけですが、期待以上の成果がありました。専属チームで伴走してくれた事務局の方々はもちろん、メンターの方々、MUFGグループ各社のさまざまな関係部署の方々と『Scalebase』のデータアセットを活かしてどういう事業連携が図れるか、という突っ込んだディスカッションができました。

サブスクリプションモデルやリカーリングレベニュー(継続収益)を軸とするビジネスが今後急速に拡大していくことは私たちもMUFGも共通の認識としてもっていました。当然私たちが所有するデータアセットも拡大していきますが、例えばそれを使って事業評価モデルやファイナンスモデルをつくり、新たなビジネスにしていくという方向性があることも確認できました。MUFGも私たちが保有するデータの価値について非常に高く評価してくださり、その上で、データのどの要素がどういう評価につながるのかという整理や、現在のプラットフォームでは足りない情報をどう補えばいいのかといったことがディスカッションの中でどんどん見えてきました。今すぐ協業する段階ではありませんが、確実にその入り口に立つことができたと思っています。プログラム中も手厚いフィードバックをもらえましたが、プログラム終了後も引き続き連携の機会を模索する場を設けていただいており、ありがたいと思っています。

—プログラムで特に印象に残ったことがありますか。

伊藤氏:それはMUFGの「本気度」です。弊社とMUFGでは、企業規模は比べようもありません。協業するとしたら売上100億円規模くらいはないとだめなんじゃないかという印象がありました(笑)。ところがいざ始まってみると、MUFG自身が新しい技術やトレンドを取り入れて自社の事業をどう非連続に成長させていくのか、非常に強い目的意識をもっていることがわかり、パートナーの事業規模に関する隔たりはないんだということが明確になりました。また、直接的なFinTechを扱う企業が多い中、採択いただいたこと自体も、MUFGが本気だからこその挑戦だったのではないかと感じています。

—第6期のエントリーが始まりましたが、プログラムの応募者が意識すべきことについてアドバイスをいただけますか。

伊藤氏:本気でコミットメントすることが大事だと思います。やるからにはプログラムをやりきる。半端な気持ちでは何も得られません。MUFGは本気ですからリソースも最優先で提供してくれます。コミットすればするほど大きな成果が引き出せます。協力関係・信頼関係はすばらしいものがあるので、全力疾走すれば確実にそれに打ち返してくれる人が周りにいて、いただけるフィードバックも大きくなります。

今後の展望

継続収益ビジネスを展開する企業への価値提供をさらに拡大していく

—これからのビジョンについて教えてください。

伊藤氏:今めざしている事業の方向は間違っていないこと、非常に大きな可能性があるということを、プログラムを通して改めて知ることができました。その方向でMUFGと協業できるということもリアリティをもって確認できました。4ヵ月という期間は、新規事業そのものを立ち上げるには短いのですが、今後何をどう検証していくかという道筋を立てることはできます。今後は『Scalebase』の提供マーケットを現在のSaaSベンチャー企業中心から、さらに継続収益ビジネスを展開する企業へと大きく拡大することを考えています。そしてトランザクションデータをさらに蓄積しながら、顧客への創造的な価値提供という私たちのミッションを進めていきたいと思っています。