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【キャリア採用者に聞く】MUFGでのBPR・データ基盤整備の取り組み|業務を改善・最適化していくために

【キャリア採用者に聞く】MUFGでのBPR・データ基盤整備の取り組み|業務を改善・最適化していくために

働き方改革や労働力不足が加速している今、生産性向上の一環としてBPR(※1)やデータドリブン経営(※2)が注目されている。業務プロセス全体の抜本的な見直しと再構築を行うBPRと、組織内のデータを活用して業務効率化や新規ビジネスを創出するためのデータ基盤整備を、MUFGではどのように実行しているのか。
今回は、デジタルサービス企画部DX室の業務改革グループでチームリーダーを務めている菅野優美子氏に話を聞いた。
菅野氏は、外資系銀行やコンサルティングファームを経て、2014年にMUFGへ入行。現在取り組んでいるBPR業務や、データ基盤整備の話に加えて、転職のきっかけや、今後の展望について語ってもらった。

※1…Business Process Re-engineering:業務の本来の目的に向かって、既存の組織や制度を抜本的に見直して、プロセスの視点で職務、業務フロー、管理機構、情報システム等をデザインし直すこと
※2…経験や勘に基づく行動ではなく、データを活用して、ビジネス上の意思決定を行う手法

外資系企業から日系企業の海外進出サポーターへ

Q.現在のお仕事の内容を教えてください。

デジタルサービス企画部DX室内の業務改革グループで、チームリーダーを務めています。
現在、大小あわせて10個程度のプロジェクトに携わっており、普段はチームメンバーの相談に乗ったり、メンバーが参加しているプロジェクトの方針を一緒に整理したりといった業務が中心です。現在は在宅勤務が多くなっていますが、リモート会議では認識のすり合わせや、伝えたい言葉・気持ちが合っているかきちんと確認することが難しいため、週に2回はオフィスに出社するようにしています。
関与しているプロジェクトは、様々な事業部門の方々と推進しています。例えば、BPR案件であれば、海外拠点や、事業本部、関連会社の方々と。データ基盤整備に関する案件は、経営基盤改革室の方々とのやり取りがあります。

Q.転職された経緯を教えてください。

最初の外資系銀行に6年程務めた後、ITに特化せず、様々な業務にチャレンジしてみたいと思い、コンサルティングファームに転職して8年ほど勤務しました。コンサルティングファームでは、現在も行なっているBPRやシステム導入のプロジェクトだけでなく、M&A(※3)関連の案件等、様々なお客さまを担当し、沢山の経験を積むことができました。そうした経験を通じて、プロジェクト管理能力や論理的な思考力、また物事を整理・アウトプットしていくスキルが培われて、自分自身の基盤ができ上がった時期でした。
そして10年前、自分のこれからのキャリア設計を考えた時に、これまで行ってきた外資系企業の日本進出を支援する仕事ではなく、逆に日系企業の海外進出を支援していくような仕事がしたいと思うようになりました。
その頃に、ちょうどMUFGで海外拠点向けのBPRができる人材を募集しており、入行しました。

※3…「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略称

Q.MUFGを選ばれた決め手は何でしょうか?

当行が日系企業であること、かつ募集ポジションが海外拠点のBPRに係る業務であり、自分のスキルを活かせると思ったからです。また、面接でお会いした方々の雰囲気がとても良く、一緒にお仕事をしてみたいと思ったことも決め手となりました。

BPRとデータ基盤整備から見える課題、MUFGの強みと弱み

三菱UFJ銀行 デジタルサービス企画部DX室 業務改革Gr 調査役 菅野 優美子

Q.入行してからこれまでのご経験を教えてください。

国際事務企画部 アジア6ヵ国に事務の統一プラットフォームを導入

最初は国際事務企画部で、アジア6ヵ国に標準化した1つのプラットフォームを入れていくプロジェクトに参加しました。リリース完了までに5年強かかった大変なプロジェクトではありましたが、フロント・ミドル・バック含めてアジアの各拠点の業務内容、規模に応じた特性等、様々なことを知ることができて、とても良い経験になりました。
しかし、そのプロジェクトは様々な事情により導入までに時間がかかったことや、拠点ユーザーのユーザビリティに十分に考慮したシステムにできなかったこと等、私としては心残りがありました。
そんな中、現在のDX室の前身となる部署が社内公募を出しており、応募して、プロジェクト終了と同時に異動となりました。

DX室 早く、安く、事務効率化に繋がるプラットフォームを導入

DX室に異動した4年前は、RPA(※4)を活用して手元の作業をどんどん自動化していこう、という動きがありました。しかし、少量多品種の本部業務へのRPA導入では投資対効果が出にくかったため、BPMS(※5)を取り入れて業務の最初から最後までを根本的に効率化していこう、という動きが始まったタイミングでした。
DX室で最初に携わった案件は、前部署での自分の経験が活かせる上に、前部署では達成できなかった更なる効率化を実現できるチャンスだと思いました。結果、以前のプロジェクトでは最初の拠点へシステムを導入するのに3年かかっていたのが、そのプロジェクトでは半年で導入が完了して、早く・安くシステムを導入することが実現できました。これは完全な自己満足ですが、以前心残りだったことにリベンジできたと感じた瞬間でした。

※4…Robotic Process Automation:PC上で行う業務をロボットで自動化するテクノロジー
※5…Business Process Management Systems:業務プロセスの現状を可視化して、変更や改善を行うことで、本来あるべき業務プロセスにしていくことを実現するプラットフォーム

DX室 より高度なデータドリブン経営実現に向けたデータ基盤整備

「データドリブン経営」というキーワードをよく耳にしますが、MUFGでは今まさにそれらをより高度化する取り組みを行っています。
具体的には、MUFG内のデータの収集・可視化の高度化を実現することで、データに基づく判断・アクションをよりスムーズに行い、これまで以上に業務効率化や新規事業創出といった活動につなげていくというものです。本施策にはDX室も関わっており、現在はメンバーを中心にデータ基盤整備のためのBPRプロジェクトを進行してもらっていて、私はスポット的にアドバイスしたり、サポートしたりするという形で関わっています。

Q.BPRを進める上での課題と、その解決策を教えてください。

課題は大きく分けて二つあります。一つは「BPRを推進できる人材の不足」です。銀行は、大体3年ほどで異動する人が多いです。BPRプロジェクトの推進には時間がかかるものが多く、BPRプロジェクトを回せるようになるには、どんなに素晴らしい人でも基礎を身に付けるのに半年〜1年程度はかかります。3年で異動が発生すると、どうしてもBPRを推進できる人材の不足に陥ってしまうため、その点が大きな課題だと感じています。
もう一つは、「BPRに対する現場の理解」です。現場で長い間務めてこられた方からすると、BPRを進める事で「自分の仕事のやり方は間違っていたのか」「業務が自動化したら、自分は不要になるのか」等と不安に感じられる方も多く、物事を大きく変えることが難しくなる場合もあります。
これらの課題の解決策として、自分自身ができることから取り組んでいます。
まず、人材不足の面では、人材育成に力を入れています。私自身は、これまでの経験を活かしてプロジェクトの立ち上げ方・進め方の手順や、BPRのプロジェクトを進めるための方法を「可視化」したり、未経験メンバーをOJTのような形で支援したり、といった方法をとっています。現在は、チームメンバーとMUFG内のBPR推進者向けの研修プログラムの作成を進めています。
次に、BPRに対する現場の理解に関しては、この施策によって何を得たいのか、何の課題を解決したいのか、といった「施策のゴール」を明確にして、終始一貫して伝えていくことを大切にしています。
BPRは、限られた範囲に対して行うものではなく、様々な立場の人が関係しているものなので、全員が満足することは非常に難しいです。もしかしたら、誰かにとっては不満に終わってしまう部分もあるのかもしれません。そういった時に、全体最適の視点でゴールを見つめて、取捨選択をして、その結果をきちんと伝えてコミュニケーションをとっていくことが重要だと思っています。

Q.菅野さんが考えるMUFGの強み/弱みを教えてください。

強みは「人」です。上に立つ方々は責任感が強く、状況に応じて的確な方針を提示いただける方が多いため、学びが多いです。また、同僚も優秀な人材が多いと実感しています。今のチームメンバーをはじめとする同僚たちは、それぞれが異なるバックグラウンドを持っており、私が気づかないような視点を持っていることが沢山あります。メンバーから刺激を受けて、学びを得られて、成長できるのはMUFGの「人」が良いからこそだと感じています。

弱みは「スピード感」をもって仕事に取り組む部分です。特に部門・組織横断になると、時間がかかる傾向にあります。私が入行してからこれまでの10年間で、「スピード改革」はかなり進んでおり、物事がスピーディに決まる良い方向に変わってきていますが、大企業なので組織によってばらつきがあり、更なる「スピード改革」にはもう少し時間がかかるのではないでしょうか。

より良いサービスを提供し続けるための人材育成とマネジメント

三菱UFJ銀行 デジタルサービス企画部DX室 業務改革Gr 調査役 菅野 優美子

Q.今後の展望について教えてください。

銀行は、このままいくと人が減っていってしまいます。バブル世代の方々がご卒業されて、その後は私の「超氷河期」といわれている世代で、その頃から人の流出が始まっています。このような中でも、限られた人員でお客さまに向けて、より良いサービスを提供していかなければなりません。その部分に時間を充てるためにも、BPRは欠かせないものだと思っています。
BPRを実行していくには、BPRプロジェクトを推進できる人材の育成が必要なので、社内でそうした人材の育成に尽力していきたいと考えています。

また、これまではプレイヤー志向だったのですが、現在の部署でチームリーダーを務めていく中で、人を育てることやチームをまとめていくことの楽しさも感じています。今後はマネジメントの立場でもどんどんやっていきたいです。
DX室の一員としてこのまま続けていくのも勿論良いですし、まだまだBPRをやっていく余地がある海外拠点に行ってみるのも良いかなと思っています。

Profile

※所属・肩書は取材当時のものです。

三菱UFJ銀行 デジタルサービス企画部DX室 業務改革Gr 調査役 菅野 優美子

三菱UFJ銀行 デジタルサービス企画部DX室 業務改革Gr 調査役

菅野 優美子

外資系銀行・コンサルティングファームを経て2014年に入行後、国際事務企画部に所属し、海外拠点へ標準化されたプラットフォームを導入するプロジェクトに関与。現在はデジタルサービス企画部DX室にてBPR案件やデータ基盤整備に関する案件を推進中。