人材育成の考え方
成長と挑戦を促す人材戦略
グローバル一体の人材マネジメント
グループ全体で約88,000人(注)の海外採用社員に対しては、MUFGの一員の意識をもって働きやすいよう、日本をはじめMUFG海外拠点間での異動・研修プログラムを活性化させています。
MUFGグローバル一体の人材マネジメント強化のため、グローバル共通の人材マネジメントの枠組みを設定し、事業領域毎にグローバル横断の人材マネジメント会議を開催することで、グローバル目線での人材育成を行っています。
これらの取り組みを継続的に強化してきた結果、マネジメントとして活躍する海外採用社員が増加し、銀行では女性1名を含む海外採用社員の10名が執行役員に就任しています(2024年3月末時点)。このようなキャリアパスの拡大は、海外採用社員のモチベーション向上に資するとともに、国内採用社員への良い刺激にもなり、グローバル人材育成の好循環を生んでいます。
- 銀行、信託、証券、ニコスおよび各社の子会社
変革を支える人材の確保・育成
高度なスキル・専門性を持つプロフェッショナル人材
専門人材の確保・育成
経営人材の育成
MUFGでは変革と挑戦をリードし、価値創造を担う次世代の経営人材の育成を進めています。2018年度にライン管理職以上を対象としたMUFG Universityを開講し、これまで1,200人以上の社員が受講しています(2021年度:171人、2022年度:193人、2023年度:206人)。
MUFG Universityでは、受講者層別に「次世代リーダーコース」と「マネジメントコース」の2 コースを設けています。「次世代リーダーコース」では、部店長クラスを対象に、外部の経営者や学識者との双方向型の講義による研修プログラムなどを重層的に実施しています。「マネジメントコース」では、副部店長・次長クラスを対象に、経営人材に求められる人間力や大局観を養うリベラルアーツ研修などを実施しています。これらを通じて、組織マネジメントの理解、MUFGカルチャーの浸透、経営陣と社員のコミュニケーションを深め、幅広い分野で活躍できるグループ横断かつグローバルリーダーの長期的な育成を実現するとともに、グループの次世代経営人材の早期発掘、主要ポジションへの計画的な配置を実施し、MUFGの経営人材プールの着実な拡充に努めています。
グローバル人材の育成
MUFGは、世界40以上の国でビジネスを展開し、全社員の約63%が海外採用社員となっており、さまざまな国籍や文化背景を持つ多様な人材が活躍しています。(2024年3月末時点)。このような多様なプロフェッショナルを採用・育成するために、MUFGの職場の魅力向上に向けて国内外に対して企業ブランドの醸成を進めています。
今中計では、グローバルリーダーシップ研修をより充実させることで、国内外の社員へのMUFGカルチャーの浸透をめざしています。
Global Leaders ForumやGlobal LEADといったグローバルベースのマネジメント育成プログラムに加え、新たな取り組みとして開始したGlobal Executive Acceleration Programは、新規採用されたシニアポジションの海外採用社員がMUFGへの理解を早期に深め、即戦力として活躍することを目的に実施しています。マネジメント向けプログラム以外にも、海外拠点で活躍する実務者クラスを対象にしたThree-month Intensive Programを通じて、海外採用社員に東京本社での短期OJT機会を提供することで、グローバル・マインドセットをもった海外採用社員の拡充をめざしています。
デジタル人材の育成
デジタルトランスフォーメーションをリードする人材の育成は急務であり、銀行、信託、MUMSSではデジタル人材育成プログラムを実施しています。デジタル中核人材を育成するための実践的な選抜プログラムは、これまでに延べ約750人が受講しました。また、中核人材候補を発掘・育成する公募型研修プログラムは、延べ約750人が受講しています。
さらに、銀行ではITパスポート相当のeラーニングを必修とし、全社員のデジタルリテラシー向上を図っています。加えて、外部資格取得を促進する「デジタルスキル認定制度」を導入し、1,962人がゴールド認定(デジタルやIT領域で上級レベルの資格を保有)を取得しました。ITパスポート相当スキルについては、銀行のみならず、信託やMUMSSでも今中計中に全員取得必須化をめざしています。
これらの取り組みを通じて、デジタル中核人材の育成と全社員のデジタルリテラシー向上を図っています。
デジタル人材の育成プログラム(銀行)
その他の教育・研修制度
グループ各社は、社員が高いモチベーションと専門性を持ち、お客さまに付加価値の高いサービスを提供できるようさまざまな研修プログラムを展開しています。
銀行では、求める人材像を『人間力をベースに、プロとしてのスキル・専門性を活かして中長期的に高い成果・貢献を実現できる人材』と定義しています。「人間力」を伸ばす全行ベースの階層別研修、「スキル・専門性」の習得を目的とした部門ごとのスキル研修に加え、全世代・全行員を対象に節目毎にキャリアを振り返る研修プログラムを提供しています。自己啓発支援制度も豊富なメニューを用意し、それぞれの成長ステージに応じた自律的・自発的な学びの場も提供しています。
また、職場での業務経験の成長への反映の実効性を向上させていくことも重要です。この点、職場内での人材育成環境整備(=育成する場作り)にも注力しています。例えば、上司・部下間のコミュニケーションを質・量の両面で活性化させるための1on1ミーティングをサポートする「1on1ガイドブック」・「キャリア面談ガイドブック」の展開、新任のみならず現マネジメント向けのコーチングプログラム、若手育成のための指導担当者制度およびメンタリング制度の拡充など、「人を育てる風土」作り、組織強化を行っています。
①人間力を伸ばす部門横断的な階層別研修
社会人としてのマインドセットを目的とした新人導入研修から始まり、以降、節目で人間力向上に資する研修を実施しています。例えば、新任次課長研修や新任拠点長研修では、自己理解の促進や部下育成(含むリーダーシップ)、組織運営力強化に資する基礎知識をインプットするとともに、他の参加者との議論を通じ、自身のありたいマネジメント像を言語化しています。
②スキル・専門性の習得を目的とした部門ごとのスキル研修
各職種について、求められるスキル・将来像を定義し、特に新規着任者に対しては、OJTのみならず、適切なタイミングでのOff-JTによる早期育成・戦力化のための支援を実施し、社員のプロ度を高めています。例えば、営業店で個人のお客さま向けの営業を担当するLPC(ライフプラン・コンサルタント)では、第一線で活躍しているプロ度の高い方が研修講師として登壇し、担当者の資産運用・保証、相続、不動産関連業務といった専門スキル習得を支援しています。2023年度では延べ約3,200人がLPC向けの研修に参加しています。
③自己啓発・キャリア支援制度
人生100年時代の中、社員一人ひとりの「自律的キャリア形成」に向けては、これまでの経験の棚卸に加え、自身の強みや課題を定期的に振り返り、これからの「志」を言語化することが重要です。銀行では、入社2年目のキャリア研修を皮切りに、30歳・40歳・50歳と、節目毎にキャリアを振り返る参加必須プログラムを実施しています。
また、キャリアを後押しする制度面では、各種キャリア支援制度(社内公募制度等)も用意されている他、多岐に亘る有償・無償の自己啓発プログラム制度や、資格取得支援制度も充実しています。資格取得支援制度については、2023年度では4,757人が利用しており、FP技能士や証券アナリスト、中小企業診断士、IT関連など計47種類の資格を対象としておりましたが、2024年度は対象資格を見直し、MBA、国家資格キャリアコンサルタント、サステナ経営検定などを新たに追加し、60種類に拡充しました。他にも自身の目標に挑戦し、実現していくためのさまざまな制度を整えています。
④成長を支えるメンタリングプログラム
社員がともに学び合うメンター制度を多くの場面で拡充しています。若手やキャリア採用者の定着支援を目的としたメンタリングのほか、次世代経営人材育成のための役員メンタリング、女性マネジメント向けメンタリングなどを実施しています。多様な価値観を持つ社員が互いに学び合う環境の中で、一人ひとりのキャリア形成を相互に支え合う組織風土を作っています。メンター制度には、人事部主催の制度のほか、事業部門独自の制度もあり、学びあう文化が浸透しています。
⑤外部派遣プログラム
外部の教育機関等と提携し、10を超える外部派遣プログラムがあり、その内容もリベラルアーツやMBAスキル、イノベーション等、多岐に亘ります。外部派遣プログラムに参加する社員は、さまざまな価値観や経験を持つ他社の社員との議論や交流を通じて、自分自身を見つめ直し、自己成長を実現しています。また、こうした多種多様な「他流試合」の機会を提供することで、参加した社員のネットワーキング拡大、ひいてはMUFGのプレゼンス向上にも繋がっています。
人材の評価方法
MUFGの人事評価では、「MUFGグループのめざす姿」の実現に向け、社員一人ひとりが「求められる人材像」で定義された高い人間力とスキル・専門性を有するプロフェッショナルとして、変化を先取りし、変革に挑戦することを通じ、中長期的に高い成果・貢献を実現できる人材への成長が期待されています。
銀行の人事評価制度では、「求められる人材像」をめざす上で鍵となる「プロフェッショナリズムの追求」、「変革とスピード」および「自律的キャリア形成」を支えるフレームワークから構築しています。具体的には、「能力評定」、「業績評定」の2つの評定と、「360°フィードバック」、「キャリア開発プログラム」の2つの能力開発ツールにより構成されます。
■能力評定
■業績評定
全社員が年度初に目標を設定し、年度末に、評定期間中の目標達成度やプロセスを定量面・定性面から評価します。
変革・挑戦の取り組み、MUFG Wayやコンプライアンス等の行動規範の実践、設定目標以外の組織への貢献も評価に加味し、この評価結果に基づき、賞与額が決定されます。
また、業績評定のプロセスにおいて、上司との1on1ミーティングを少なくとも年3回(目標設定時/中間面談/フィードバック時)実施し、本人に期待する行動や評定結果をフィードバックすることで、中長期的な成果・貢献やさらなる変革・挑戦への取り組みの後押しにつなげています。
■360°フィードバック
■キャリア開発プログラム
将来のキャリアプランをテーマに上司・部下間で活発な双方向コミュニケーションを行う「キャリア面談」を実施します。
同時に、能力評定結果を踏まえて、能力開発に資する強みや課題のフィードバックを実施し、その中で得た気づきやアドバイスに基づき、その後1年間の能力開発計画の策定もおこない、今後のキャリア形成につなげていくプログラムです。