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共生社会の実現へ 障がい者活躍を支える新たな挑戦

共生社会の実現へ
障がい者活躍を支える新たな挑戦

三菱UFJ銀行では、一人ひとりの違いを認め合い、互いを尊重する「共生社会」の実現をめざし、2026年、障がい者活躍をさらに推進する2つの取り組みを本格始動した。障がいのある社員と配属予定部署に伴走し、業務の習得から安定した勤務までを支援する「インクルージョン・ハブ」を新設するとともに、障がい者雇用共創事業「チャレンジドバンク」を正式サービスとして開始、社内外の取り組みを一体的に進めていく方針だ。人事部ダイバーシティ推進室で障がい者活躍全般を担当する山泉博幹、インクルージョン・ハブ担当の高橋佐知、吉田早範、武若誠、チャレンジドバンク担当の森信一に、それぞれのプロジェクトの立ち上げ経緯から、現在の状況、今後の展望まで広く話を聞いた。

(写真左から)
人事部ダイバーシティ推進室 障がい者活躍全般担当
山泉 博幹
人事部ダイバーシティ推進室 インクルージョン・ハブ担当 三菱UFJビジネスパートナーから銀行へ出向中
武若 誠
人事部ダイバーシティ推進室 インクルージョン・ハブ担当
高橋 佐知
人事部ダイバーシティ推進室 チャレンジドバンク担当
森 信一
人事部ダイバーシティ推進室 インクルージョン・ハブ担当
吉田 早範

関連リンク
障がい者活躍の新たな取り組みについて

社会課題の解決に向けて

三菱UFJ銀行 人事部ダイバーシティ推進室 障がい者活躍全般担当 山泉 博幹
(三菱UFJ銀行 人事部ダイバーシティ推進室 障がい者活躍全般担当 山泉 博幹)

Q. 新たな取り組みを開始した、社会的な背景を教えてください。

山泉:主に3つあります。1つ目は、民間企業が達成するべき障がいのある社員の雇用率(法定雇用率)が2026年7月に2.5%から2.7% に引き上げられたこと。2つ目が、精神・発達障がい者の求職・就職数が身体障がい者の2~3倍にのぼっており、対応が急がれていること。3つ目が、雇用の人数、つまり「雇用の量」の拡大に加え、障がいのある方が働きがいを得て、安心して活躍できる「雇用の質」の向上も必要であることです。

Q. 三菱UFJ銀行はどのような状況だったのでしょうか?

山泉:当行では、障がいのある方が働きやすい環境を整備している特例子会社、三菱UFJビジネスパートナーに加えて、当行本体の幅広い営業店・本部で、障がいのある社員が業務を担っています。しかし、一人ひとりのスキルや障がいの特性を踏まえて、業務適性や必要な配慮を見極めることは容易ではありません。配属部署でOJTや勤務管理を行うことにも人員やノウハウの制約があり、これらの課題は当行だけでなく、多くの企業に共通しています。そこで、社内に向けてはインクルージョン・ハブ、社外に向けてはチャレンジドバンクを通じて、障がいのある社員と配属部署の双方に伴走し、障がいのある社員の活躍を支援する取り組みを始めました。

社内の相互理解を醸成するインクルージョン・ハブ

三菱UFJ銀行 人事部ダイバーシティ推進室 インクルージョン・ハブ担当 高橋佐知
(三菱UFJ銀行 人事部ダイバーシティ推進室 インクルージョン・ハブ担当 高橋佐知)

Q. インクルージョン・ハブの概要を教えてください。

山泉:入社した障がいのある社員と配属予定部署を支援し、1~3年後の各部署への正式配属をめざす仕組みです。入社した社員は、人事部内のインクルージョン・ハブに所属し、特例子会社の管理職経験を持つ人事部員などの支援を受けながら、配属予定部署の業務を習得します。配属予定部署に対しては、業務のマッチングやOJT、正式配属に向けた環境整備のサポートを行います。この試みはメガバンクでは初で、他の業種でも取り組んでいる企業は多くはありません。

Q. 立ち上げの経緯を教えてください。

高橋:私は2007年に入行し、市場部門を経て人事部ダイバーシティ推進室に異動しました。そこで、すべての人たちにとって働きやすい環境づくりに取り組むようになりましたが、ダイバーシティ・マネジメントの経験がないことにもどかしさを感じていました。そのような中、特例子会社の三菱UFJビジネスパートナーでマネジメントポストの公募があると知り、応募しました。2023年から約2年半の出向期間中、障がいがある皆さんが、いかに活躍しているか、一方でどのような場面で支障や不安、やりにくさを感じているのかを知ることができ、自分の視野が広がりました。何より印象に残っているのは、メンバーがちょっとした関わりや工夫をきっかけに成長していく姿です。その成長の場面に立ち会うたびに、ありたい自分に向かって進むチカラに刺激を受け、人の可能性を強く感じました。もっとその可能性を広げたい──その思いが、このプロジェクトを提案する一番のきっかけになりました。

吉田:私は2007年にキャリア入行し、支店で営業を担当してきました。私も、誰もがそれぞれの能力を自然に発揮できる職場をつくりたいという気持ちから、三菱UFJビジネスパートナーのマネジメントポストの公募に応募しました。そこで、障がいのある方と一緒に働き、当行の業務を着実に担っている姿を見て、当行本体の他の業務領域でも活躍いただけるはずだと思い、このプロジェクトを提案しました。

Q. 導入はどのように進めてきたのでしょうか?現在の状況は?

山泉:私は2024年からダイバーシティ推進室で障がい者活躍を推進してきましたが、社会や当行の環境変化を受けて、これまでの当行の取り組みをアップデートする必要性を感じていました。精神・発達障がいのある方にも入社いただき、可能な方は、当行のさまざまな部署で一緒に活躍いただきたい。しかし、ダイバーシティ推進室や私自身に経験やノウハウが不足していることに悩んでいたところ、高橋さんと吉田さんからこのプロジェクトの提案があり、まさにこれだと思いました。

吉田:それから約1年間、社内副業の形で週1日の頻度で構想を具体化させ、インクルージョン・ハブの仕組みをつくりました。統合・移転した支店の空きスペースを拠点とすることも決まり、社内副業からダイバーシティ推進室に正式に異動してインクルージョン・ハブを始動。2025年10月に採用を開始し、2026年2月に最初の社員を迎えることができました。

高橋:現在は、精神・発達障がいのある社員10名が勤務しています。配属予定部署は、一人ひとりの適性を見ながら、業務ニーズを踏まえて、入社時に決めます。インクルージョン・ハブに在籍中、業務の説明や指示管理は配属予定部署の担当者が行い、私たちはビジネスマナーやパソコンスキルの習得、当行の仕組みやルールの理解、体調管理や困りごとへの対処などをサポートします。

吉田:一言で障がいがあると言っても、特性や必要な配慮は一人ひとり異なります。インクルージョン・ハブでは、在籍中に特性や働くうえでの課題と対応方法、スキルや得意な業務を明確にし、本人の同意も得ながら配属予定部署に情報を共有します。加えて、配属予定部署向けに障がいに関する基礎研修を行うなど、本人・配属予定部署ともに、正式配属に向けた準備を整えていきます。

山泉:現在在籍している10名は、人事部などへの正式配属をめざし、業務習得に取り組んでいます。人事部などの配属予定部署とは、リモートや配属予定部署のオフィスに訪問しての対面でコミュニケーションを取りながら、関係づくりや正式配属後の執務環境の確認を進めています。新たな取り組みで、在籍している皆さんや配属予定部署と一緒に試行錯誤しながらも、障がいの有無によらず誰もが力を発揮し、支え合いながら一緒に働く職場を実現できる手応えも感じています。当行本体で障がいがある方を10名規模で採用したのは2010年ぶり。当行本体での障がい者活躍を進める大きな一歩になりました。

Q. 三菱UFJビジネスパートナーから参画している武若さんは、どのような思いでプロジェクトに取り組んでいますか?

三菱UFJ銀行 人事部ダイバーシティ推進室 インクルージョン・ハブ担当 三菱UFJビジネスパートナーより出向中 武若 誠
(三菱UFJ銀行 人事部ダイバーシティ推進室 インクルージョン・ハブ担当 三菱UFJビジネスパートナーより出向中 武若 誠)

武若:私は、三菱UFJ 銀行のバックオフィス業務を担う三菱UFJビジネスパートナーでグループリーダーを担っていました。インクルージョン・ハブの運営をサポートしてほしいと声をかけていただいて、経験が活かせるならと、お引き受けしました。現在はメンバー全体の様子を見ながら、気になったことがあれば高橋さんや吉田さんと共有し、どう対応していくかを話し合っています。運営者という立場ではありますが、身近な存在として、メンバーもいろいろなことを相談してくれます。周囲にはちょっとしたことのように見えても、本人にとっては重大なことって結構あるのです。その伝え方をアドバイスしたりしています。

Spark Xから生まれたチャレンジドバンクの挑戦

三菱UFJ銀行 人事部ダイバーシティ推進室 チャレンジドバンク担当 森 信一
(三菱UFJ銀行 人事部ダイバーシティ推進室 チャレンジドバンク担当 森 信一 )

Q. チャレンジドバンクの概要を教えてください。

森:チャレンジドバンクは、新規事業創出プログラム「Spark X 2023」でグランプリを受賞した後、実証を進めてきた社外向けのサポートサービスです。事業の柱は、障がい者雇用を始めようとしている、または取り組みを強化しようとしている企業へのコンサルティングと、それらの企業に勤務する、障がいのある社員の活躍サポートです。企業の管理者には障がいの特性や必要な配慮について学んでいただき、社員の方には業務に必要な知識やスキル、ご自身の特性に対する自己理解や自己対処力、つまり安定的に勤務できる力を身につけていただきます。

Q. これまでの実績を教えてください。

森:これまで約1年半で6社にご利用いただき、活躍サポートでは約20名の障がいのある社員の安定的な就労と業務習得を利用企業と一体で支援してきました。また、コンサルティングを通して約30名の新規採用の支援も行ってきました。利用企業のご担当者から「会社だけでなく、採用した障がいのある社員の活躍もサポートしてくれるため、しっかりと障がい者雇用を進めることができた」といった声をいただいています。
(関連リンク)新規事業創出プログラム「Spark X」に後押しされ障がい者雇用サポート事業の立ち上げに挑む

山泉:コンサルティングでは、利用企業の担当者にアドバイスをして終わってしまうこともあるかもしれません。しかし森さんは、利用企業の担当者と一緒に、配属候補の部署まで入り込み、どのような業務を担えるだろうか、どのような人がマッチするだろうか、と一緒に考え、採用や入社後に活躍いただく環境づくりを進めています。その伴走力は、当行自体の障がい者活躍を推進するうえでも大変心強く、助かっています。

積極的な取り組みで共生社会の実現へ

三菱UFJ銀行 人事部ダイバーシティ推進室 インクルージョン・ハブ担当 吉田 早範
(三菱UFJ銀行 人事部ダイバーシティ推進室 インクルージョン・ハブ担当 吉田 早範)

Q. インクルージョン・ハブとチャレンジドバンクが合流する意義はなんでしょうか?

森:「Spark X」で採択された事業案の実証期間は3年。実証を終え、事業化する際のオーナー部署を探していたとき、人事部ダイバーシティ推進室がインクルージョン・ハブのプロジェクトを進めていると知り、これは親和性が高いのではないかと思いました。

山泉:社外向けのチャレンジドバンクと社内向けのインクルージョン・ハブは、サポート対象は異なりますが、障がいのある方の活躍を支え、インクルーシブな職場・社会をめざすというコンセプトは同じです。知見や学びを共有することで、より良い支援につながり、社会全体にもそのノウハウを還元できると考えました。

森:現在、チャレンジドバンク、インクルージョン・ハブは同じ拠点で活動しています。当行の社員や障がい者活躍に関心のある他社の方が訪れ、理解を深めていただく場所になりつつあり、今後もその役割が広がっていけばよいと思っています。

Q. 今後の展望についてお聞かせください。

高橋・吉田:まずは、障がいのある社員が1~3年でインクルージョン・ハブを卒業し、それぞれの配属先で安定して働ける流れを確立することです。その先で、多くの社員にとって障がいのある方との接点が当たり前になり、ともに学び合い成長していける──そんな当行を見てみたいです。

武若:障がいの有無にかかわらず、一緒に働いていけるという認識がもっと広がってほしいです。今も、障がいという言葉だけで先入観を持たれてしまうことがあります。ですが、一緒に働けば、自然にコミュニケーションが取れることがわかります。そういう経験を積み重ねていくことが、一番大切なのではないかと思っています。

森:チャレンジドバンクは、当行やMUFGグループでの障がい者活躍をさらに後押ししつつ、その経験を活かして、他の企業や社会全体の障がい者活躍の推進に貢献していきたいと考えています。

山泉:インクルージョン・ハブでは、今後も年間10名以上の採用を続け、業務や配属部署を広げていく方針です。チャレンジドバンクについては、法定雇用率への対応にとどまらない、障がい者活躍支援のあり方として大きな可能性を感じています。一緒にプロジェクトの運営に携わる仲間や、障がいの有無にかかわらず共に活躍できる環境づくりの力になっていただける方々の輪も広げていきたいです。また、この2つのプロジェクトは、社内公募や新業務提案制度「Position Maker」、新規事業創出プログラム「Spark X」を活用した、高橋さん・吉田さん・森さんの挑戦から生まれました。人事部としては、社員一人ひとりの気づきや想いを、社会課題の解決やMUFGのパーパス「世界が進むチカラになる。」の実践につなげられる環境づくりを続けていきます。

※インクルージョン・ハブ執務室の様子
※インクルージョン・ハブ執務室の様子

Profile

※所属・肩書は取材当時のものです。

三菱UFJ銀行 人事部ダイバーシティ推進室 チャレンジドバンク担当 森 信一

三菱UFJ銀行 人事部ダイバーシティ推進室 チャレンジドバンク担当

森 信一

2009年入行。錦糸町、銀座、浜松、青山の各支店で法人営業を担当した後、財務開発室で大企業を中心にM&Aアドバイザリー業務を経験。2024年にチャレンジドバンクの実証を開始。2026年から現職。

三菱UFJ銀行 人事部ダイバーシティ推進室 障がい者活躍全般担当 山泉 博幹

三菱UFJ銀行 人事部ダイバーシティ推進室 障がい者活躍全般担当

山泉 博幹

2015年入行。大阪の阿倍野橋支店に配属される。2018年から営業本部、2020年からコーポレートバンキング企画部に在籍。2022年人事部に異動。2024年から現職。

三菱UFJ銀行 人事部ダイバーシティ推進室 インクルージョン・ハブ担当 高橋 佐知

三菱UFJ銀行 人事部ダイバーシティ推進室 インクルージョン・ハブ担当

高橋 佐知

2007年入行、市場部門に勤務。2017年、人事部ダイバーシティ推進室に異動。2023年、三菱UFJビジネスパートナーに2年半の出向を経て、現職。

三菱UFJ銀行 人事部ダイバーシティ推進室 インクルージョン・ハブ担当 吉田 早範

三菱UFJ銀行 人事部ダイバーシティ推進室 インクルージョン・ハブ担当

吉田 早範

広告代理店と保険会社を経て、2007年に入行。営業店で営業職に従事した後、2023年、三菱UFJビジネスパートナーに出向。2026年1月から現職。

三菱UFJ銀行 人事部ダイバーシティ推進室 インクルージョン・ハブ担当 三菱UFJビジネスパートナーより出向中 武若 誠

三菱UFJ銀行 人事部ダイバーシティ推進室 インクルージョン・ハブ担当 三菱UFJビジネスパートナーより出向中

武若 誠

2017年、三菱UFJビジネスパートナーに入社、銀行のバックオフィス業務を担当、グループリーダーを務める。三菱UFJ銀行人事部に、2023年に続き、2026年より2回目の出向中。