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ハイライト

ハイライト

MUFGは、2021年4月より「世界が進むチカラになる。」をパーパスに定め、環境・社会課題解決への貢献に従来以上に強くコミットし、中期経営計画を推進しています。当社は、持続可能な環境・社会の実現に貢献するため、優先的に取り組む10の環境・社会課題を選定し、その中の一つに「気候変動対応・環境保全」を掲げています。2021年5月には「MUFGカーボンニュートラル宣言」を公表し、新たな一歩を踏み出しました。この宣言のもと、MUFGは、投融資ポートフォリオのGHG(注)排出量の2050年ネットゼロ、当社自らのGHG排出量の2030年ネットゼロをめざし、グループ・グローバルで一体となり、さまざまな取り組みを進めています。

また、MUFGは、気候関連財務情報開示の重要性を認識し、金融安定理事会(FSB)によって設立された気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:TCFD)が策定した提言を支持するとともに、TCFDが開示を推奨する、気候変動に関するリスクおよび機会に係る「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に沿った情報開示を進めています。

  1. Green House Gas

TCFD提言への対応状況

ガバナンス

気候変動に関するリスクおよび機会に係る組織のガバナンスを開示する

 

a.気候変動に関するリスクおよび機会に関する取締役会の監督について説明する

b.気候変動に関するリスクおよび機会の評価・管理する上での経営陣の役割を説明する

● 気候変動に対応するガバナンスー取締役会が気候変動への取り組みを監督
  • 気候変動を含む環境・社会に係る機会およびリスクについて、経営会議傘下のサステナビリティ委員会で定期的に審議。テーマに応じて、同じく経営会議傘下の投融資委員会や与信委員会、リスク管理委員会においても審議。委員会での審議内容は、経営会議への報告後、取締役会に報告・審議
  • 投融資委員会およびリスク管理委員会での審議内容は、社外取締役を中心に構成されるリスク委員会で審議された後、取締役会に報告

環境配慮を実践するための行動指針である「MUFG環境方針」を制定(2018年5月)

  • 2021年5月より取締役会にて決定。気候変動を含む環境に係る積極的な開示を明示

気候変動を含む環境・社会課題への取り組みの推進強化と責任の明確化を目的に、2020年にグループChief Sustainability Officer(CSuO)を設置。2022年10月には、専任のグループCSuOを設置

● 2019年より、環境・社会分野の外部有識者2名を常設の社外アドバイザーとして招聘。2022年10月より3名体制に変更

● 役員報酬にESG要素を反映

  • サステナビリティ経営のさらなる進化のため、2021年度より役員報酬の業績連動指標の見直しを行い、ESG評価機関による外部評価の改善度を導入
  • 社長等の関係役員の賞与の職務遂行評価(定性評価)において、従来からの環境・社会課題解決への貢献、インクルージョン&ダイバーシティの浸透・推進、ガバナンス態勢の強化・高度化等に加え、2023年度より人権・生物多様性・人的資本に関する目標を追加

戦略

気候変動に関するリスクおよび機会が組織の事業、戦略、財務計画に及ぼす実際の影響および潜在的な影響について、その情報が重要(マテリアル)な場合は、開示する

 

a.組織が識別した、短期・中期・長期の気候変動に関するリスクおよび機会を説明する

b.気候変動に関するリスクおよび機会が組織の事業、戦略、財務計画に及ぼす影響を説明する

c.2°C以下のシナリオを含むさまざまな気候関連シナリオに基づく検討を踏まえて、組織の戦略のレジリエンスを説明する

● MUFGカーボンニュートラル宣言

  • 2050年までの投融資ポートフォリオのGHG排出量ネットゼロ、2030年までの自社のGHG排出量ネットゼロを宣言(2021年5月)
● 2022年11月に公表された、GFANZガイダンスのフレームワークに沿った移行計画を2023年度中に策定
● 投融資ポートフォリオネットゼロに向けた取り組み
  • 電力セクターは、排出原単位を328gCO2e/kWh(2019年)から156-192gCO2e/kWhに削減する2030年中間目標を設定。2021年実績は299gCO2e/kWhと2019年度から約9%減少
  • 石油・ガスセクターは、絶対排出量を84MtCO2e(2019年)から15%-28%削減する2030年中間目標を設定。2021年実績は76MtCO2eと2019年度から約9%減少
  • 不動産セクターのうち、商業用不動産は排出原単位を65kgCO2e/㎡(2020年)から44-47kgCO2e/㎡、居住用不動産は27kgCO2e/㎡(2020年)から23kgCO2e/㎡に削減する2030年中間目標を設定
  • 鉄鋼セクターは、絶対排出量を22MtCO2e(2019年)から22%削減する2030年中間目標を設定
  • 船舶セクターは、PCA(注)スコアを2030年に0%以下にする2030年中間目標を設定
  1. 船舶に関する投融資ポートフォリオ全体での要求水準との差分を示す整合度指標。ファイナンス提供をしている個々の船舶の気候変動整合度(VCA)を融資ポートフォリオ上の割合で加重平均して算出
● 気候変動に関する機会
  • カーボンニュートラル実現に向けたアプローチ
  1. 産業界・政府機関と連携した政策提言
  • Net-Zero Banking Alliance(NZBA)やAsia Transition Finance Study Group(ATFSG)においてトランジション・ファイナンスに関するガイドライン策定の議論を牽引
  • Glasgow Financial Alliance for Net Zero(GFANZ)の5つの作業部会に参加
    2023年6月には、三菱UFJ銀行顧問で前OECD事務次長の河野正道氏が、GFANZ Japanのアドバイザーに就任
  • MUFG アセットマネジメント(以下、MUFG AM)として、2021年11月にNet Zero Asset Managers initiative(NZAM)に参画。2022年10月には、運用資産の55%を対象とし、その経済的原単位あたりのGHG排出量(絶対排出量(tCO2e)/運用資産残高)を2019年対比で50%削減する2030年中間目標を設定
  • 2022年10月に「MUFGトランジション白書2022」を発行し、日本のカーボンニュートラル達成に向けて、地域特性、産業連関、再生可能エネルギー(再エネ)導入最大化に向けた取り組みの重要性を発信
    次フェーズとして、日本の「電気と熱」のカーボンニュートラルを進めていく上で、重要な技術、サプライチェーンを含む循環型社会の高度化に向けた取り組みを纏めた「MUFGトランジション白書2023」を、2023年9月に発行
  1. 政府の政策や戦略に沿ったお客さまの脱炭素化を支えるソリューション提供力の強化
  • 2019年度から2030年度までの累計実行額を35兆円(うち環境分野18兆円)とするサステナブルファイナンス目標を設定。2022年度までの累計実行額は24.6兆円(うち、環境分野で9.1兆円)と順調に推移
  • トランジション・ボンドやローンを中心としたトランジション・ファイナンスを積極的に支援
  • GHG排出量可視化支援やTCFDコンサルサービス、カーボンクレジットなど、お客さまニーズを起点とするカーボンニュートラルに向けたソリューションの開発・提供
  1. お客さまや自治体・業界団体とのリレーションも活用し、新たなニーズや課題を把握
  • 北海道や大阪といった地域との連携を通じたカーボンニュートラル化の推進
  • アジア・ゼロエミッション共同体を念頭に、気候変動問題に取り組むべく、NEXIと協働でブレンデッドファイナンスのスキーム構築を検討
  • 関係役員以下で知識の集約・共有を定期的に実施し、具体的な事業創出とGX投融資促進に資する情報発信の場としてGX戦略PTを立上げ
  • 現場の知見向上、エンゲージメント力向上を目的に、銀行国内の各法人営業拠点に「サステナブルビジネス推進リーダー」を設置
  • 2021年に各地域 (欧州、米州、アジア) にESG Heads、ESG専担者を配置し、各地域でのESGチームを強化。加えて、各地域のトップマネジメントを集めた「Global ESG Conference」等の開催を通じて、インテリジェンスや事業機会を集約する体制を構築
  • パートナーバンク(クルンシィ・ダナモン銀行)でも、サステナブルファイナンス等を通じ、持続可能な環境・社会の実現に向けた取り組みを推進
  • サステナブル投資戦略に基づき、環境・社会課題の解決に資するファンドへ出資。2023年5月には、三菱商事株式会社と、Pavilion Private Equity Co., Ltd.とともに、カーボンニュートラルに資するクライメートテック関連企業を主たる対象として成長投資を行う「Marunouchi Climate Tech Growth Fund L.P.」を設立

● 気候変動に関するリスク

  • 気候変動から生じる移行リスクおよび物理的リスクについて、主要なリスクの分類ごとの影響事例(潜在的なリスクの事例)を整理
  • 移行リスクについて2050年まで、物理的リスクについて2100年までを対象としたシナリオ分析を実施
【移行リスク】
エネルギー、ユーティリティ、自動車、鉄鋼、空運、海運セクターについて、国際エネルギー機関(IEA)のシナリオとNGFS(注)シナリオも含めた分析を実施
シナリオ

・IEAによる「持続可能な開発シナリオ(2°C(未満)シナリオ)」、NGFS が公表した1.5°Cシナリオを含む複数のシナリオ


分析手法
・個社レベルのボトムアップ手法とセクターレベルのトップダウン手法を組み合わせて影響を評価する統合的アプローチを採用し、各シナリオにおける信用格付への影響を分析するとともに、当該セクターの与信ポートフォリオ全体の財務インパクトの影響について分析
対象セクター ・エネルギー、ユーティリティ、自動車、鉄鋼、空運および海運セクター
対象期間 ・2022年3月末を基準とし、2050年まで
分析結果 ・単年度ベース15億~285億円程度
  1. 気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク(Network for Greening the Financial System)
【物理的リスク】
発生頻度、被害状況とも顕著である水害を対象に、2100年までの分析を実施
シナリオ

・気候変動に関する政府間パネル(IPCC)にて公表されているRCP2.6(2°Cシナリオ)、同8.5(4°Cシナリオ)


分析手法

・水害発生時の被害推定の分析を実施し、水害の発生が与信先に与えるデフォルト確率の変化を用いて与信ポートフォリオ全体への影響を計測するアプローチを採用

・財務インパクトの計算においては、与信先の業務停止期間や保有資産の毀損等を反映

分析対象 ・水害
対象期間 ・2022年3月末を基準とし、2100年まで
分析結果 ・累計1,155億円程度

 

● 自社排出のネットゼロ

  • 2030年ネットゼロに向けたロードマップを策定し、2025年度に国内GHG排出量を2020年度比で3分の2削減、2026年度にグループ・グローバルのGHG排出量を2020年度比で50%削減する中間目標を設定
  • MUFGおよび銀行、信託、証券、ニコス、アコムの主要6社(国内)のScope3(カテゴリー1~14)のGHG排出量を初めて算定

リスク管理

気候変動に関するリスクについて、組織がどのように識別・評価・管理しているかについて開示する

 

a.組織が気候変動に関するリスクを識別・評価するプロセスを説明する

b.組織が気候変動に関するリスクを管理するプロセスを説明する

c.組織が気候変動に関するリスクを識別・評価・管理するプロセスが、組織の統合的リスク管理にどのように統合されているかについて説明する

● 気候変動に対応するリスク管理態勢
  • 気候変動に関するリスクを最も注意すべきリスクの一つと認識しており、経営会議傘下の投融資委員会や与信委員会、リスク管理委員会において審議。投融資委員会およびリスク管理委員会での審議内容は、社外取締役を中心に構成されるリスク委員会で審議された後、取締役会に報告
● リスクアペタイト・ステートメントへの反映
  • 2021年度より、リスクアペタイト・ステートメントに、気候変動に関するリスクを追加
● トップリスク管理への反映
  • 気候変動に起因するリスクを、トップリスクの一つに位置付け
● 気候変動に関するリスクに係るグループ・グローバルベースでの管理枠組みを構築
  • 気候変動に関するリスクへの対応の強化に向けて、グループCROを長とした、グループ・グローバルでのプロジェクトチームを設置。規制動向等の把握・共有や、リスク管理の枠組みをグループ・グローバルで構築することを通じて、適切な対応を推進
● お客さまのトランジションを評価するための定性的な枠組みを策定し、2022年度から試行
● 「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」に基づくファイナンスに係る環境・社会配慮の実施
  • 気候変動関連セクターの森林、パーム油、鉱業(石炭)のポリシーを改定(2023年)

指標と目標

気候変動に関するリスクおよび機会を評価・管理する際に使用する指標と目標を、そのような情報が重要(マテリアル)な場合は、開示する

 

a.組織が、自らの戦略とリスク管理プロセスに即して、気候変動に関するリスクおよび機会を評価する際に用いる指標を開示する

b.Scope 1、Scope 2、および該当する場合はScope 3 の温室効果ガス排出量と、その関連リスクについて開示する

c.組織が、気候変動に関するリスクと機会を管理するために用いる目標、および目標に対する実績について説明する

● 投融資ポートフォリオからのGHG排出削減目標(MUFGのScope3)
セクター 2030年中間目標 目標設定時 実績
電力セクター

156-192gCO2e/kwh

(排出原単位)

328gCO2e/kwh

(2019年)

299gCO2e/kwh

(2021年実績)

石油・ガスセクター

2019年15-28%減

(排出量削減率)

84MtCO2e

(2019年)

76MtCO2e

(2021年実績)

不動産セクター

商業用:44-47kgCO2e/㎡

住居用:23kgCO2e/㎡

(排出原単位)

商業用:65kgCO2e/㎡

住居用:27kgCO2e/㎡

(2020年)

鉄鋼セクター

2019年比22%減

(排出量削減率)

22MtCO2e

(2019年)

船舶セクター PCA≦0%

PCA+0.6%

(2021年)

● 自社排出ネットゼロ(MUFGのScope1,2)

  • 2022年度のグループ・グローバルベースでの自社GHG排出量を集計。2022年度実績は、Scope1+2合計で189千tCO2
  • 2022年6月までに国内のMUFG連結子会社全社の自社契約電力100%再エネ化を完了
● サステナブルファイナンス
  • 2019年度から2030年度までに累計35兆円の実行をめざすサステナブルファイナンス目標を設定(うち環境分野18兆円)。2022年度末までの累計実績は24.5兆円(うち環境分野8.9兆円)と順調に推移しており、目標の見直しも検討

● 再生可能エネルギープロジェクトファイナンスによるCO2­削減目標

  • 2019年度から2030年度までの累計で、7,000万トンとするCO2削減目標を設定・進捗状況を開示。2022年度までの実績は3,663万トン
● 石炭火力発電関連与信(プロジェクトファイナンス)
  • 2030年度に2019年度比50%削減、2040年度を目途にゼロとする貸出金残高削減目標を設定・開示(2020年10月)。2022年度末実績は2,581百万米ドル
● 石炭火力発電関連与信(コーポレートファイナンス)
  • 2040年度を目途にゼロとする与信残高削減目標を設定・開示(2022年4月)。2022年度末実績は約800億円

● TCFD提言における開示推奨セクター別に、Scope 1~3までのFinanced Emissionを計測

● 炭素関連資産(与信残高)
  • 2021年10月のTCFD提言の改訂を受けて、エネルギー・ユーティリティセクターに加えて、炭素関連資産として示されているその他(運輸、素材・建築物、農業・食料・林産物)セクターの内訳を2021年度末実績より開示
(2023年11月現在)