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気候変動対応・環境保全

MUFGは、気候変動対応・環境保全への取り組みを経営の最重要課題の一つと認識しており、ビジネス機会とリスク管理の両面から対応しています。

気候変動対応にかかる世界のモメンタムは大きく加速し、MUFGにおいても、2021年5月には「MUFGカーボンニュートラル宣言」を公表し、新たな一歩を踏み出しました。この宣言のもと、MUFGは、投融資ポートフォリオのGHG(注)排出量の2050年ネットゼロ、当社自らのGHG排出量の2030年ネットゼロをめざし、グループ・グローバルで一体となり、さまざまな取り組みを進めています。

  1. 温室効果ガス
気候変動対応・環境保全

取り組み事例

カーボンニュートラル実現の取り組み

MUFGは、2050年までの投融資ポートフォリオのGHG排出量ネットゼロ、2030年までの当社自らのGHG排出量ネットゼロを掲げた「MUFGカーボンニュートラル宣言」を2021年5月に発表しました。

2022年4月には、その進捗を報告する「MUFG Progress Report」を発行しました。

カーボンニュートラル宣言以降の主な取り組み

投融資ポートフォリオのネットゼロ ファイナンスを通じた脱炭素化 自社排出のネットゼロ

「電力」、「石油・ガス」セクターの中間目標を設定

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  • ・2セクターを優先セクターとして選定し、実績の計測(2019年)および2030年の中間目標を設定
  • ・その他のセクターも順次設定予定
  • お客さまニーズ起点での脱炭素化支援に向けたソリューション提供を推進
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  • 石炭火力発電所向けコーポレートファイナンス残高目標を設定

 

・2040年度にゼロとする目標を設定

銀行・信託・証券・ニコス・アコムの国内自社契約電力100%再生可能エネルギー化を2022年6月に完了

責任投資を通じた脱炭素化 イニシアティブへの参画 その他の取り組み

Net Zero Asset Managers initiative(NZAM)に加盟

 

  • ・投資先とのエンゲージメントを推進
  • ・2022年10月までに、2030年の中間目標を設定予定

グローバルベースの枠組み作りにおいて議論を牽引

 

・Net-Zero Banking Allianceで、トランジション・ファイナンスの枠組み作りを担う作業部会の議長に就任

  • タイのクルンシィ(アユタヤ銀行)がカーボンニュートラルビジョンを宣言
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  • MUFG環境・社会ポリシーフレームワークを改定

カーボンニュートラル実現に向けたロードマップ ~脱炭素社会に向けた移行計画~

カーボンニュートラル実現に向け、投融資ポートフォリオのネットゼロ、ファイナンスを通じた脱炭素化、自社排出のネットゼロへの取り組みを進め、2030年・2040年・2050年の各目標の達成に向けて対応しています。

カーボンニュートラル実現に向けたロードマップ

グローバルベースでのサステナブルビジネスの推進体制

MUFGは、環境・社会課題解決起点で、お客さまの事業構造変化やイノベーションに対しソリューションを提供しています。

環境· 社会課題解決に向けたビジネスをグループ全体でより一層推進するために、2021年7月にサステナブルビジネス部を設立しました。また、国内だけではなく、欧州、米州、アジアに配置したESG 推進責任者とともに開催する「Global ESG Conference」等を通じて、インテリジェンスや事業機会を集約する体制を構築し、それらを踏まえた国内外のお客さまへのソリューション提供やエンゲージメントを推進しています。更に、国際イニシアティブ等を通じて多角的に情報収集をしながら、将来の事業機会獲得に向けて、ルールメイキングや事業化·マーケット創出への取り組みをグローバルに推進しています。

エネルギートランスフォーメーション戦略プロジェクトチーム
2020年12月、コーポレートバンキング事業本部が中心となり、エネルギートランスフォーメーション戦略プロジェクトチーム(EX戦略PT)を立ち上げました。お客さまのエネルギートランスフォーメーションを支援するため、金融セクター全体でどのような貢献ができるか、お客さま、業界団体・官公庁と対話を行いながら検討を進めています。
エネルギートランスフォーメーション戦略プロジェクトチーム

お客さまの脱炭素化に向けたソリューション

各地域でのエンゲージメントを通じて、お客さまの課題・ニーズの把握に努めています。2021年度は、国内外約550社を対象として、サステナビリティ・脱炭素化への取り組みやMUFGからのソリューション提供に関して、継続的な対話を行いました。課題・ニーズに対して、GHG排出量の見える化、ファイナンス支援をはじめ、お客さまの脱炭素化に向けた多様なソリューション提供を開始しています。
お客さまの脱炭素化に向けたソリューション

再生可能エネルギー活用の推進と普及

再生可能エネルギーファンド創設に向けた会社(Zエナジー株式会社)設立

銀行では、2021年9月、自立した再生可能エネルギー市場の構築に向け、再エネ電力を「つくる」から「つかう」までをコンセプトに、パートナー企業8社とともにファンド運営会社として「Zエナジー株式会社」を設立しました(注1)

また、2022年3月にZエナジー株式会社が運営する第1号のカーボンニュートラルファンドを創設し、再エネ発電事業への投資を開始しています(注2)

なお、MUFGは、インパクト投資の実践として、Zエナジー株式会社と共にインパクト評価の体制を構築し、環境省の「令和3年度グリーンファイナンスモデル事例創出事業」に係るモデル事業として選定されました。

再生可能エネルギーファンド創設に向けた会社(Zエナジー株式会社)設立
再生可能エネルギープロジェクトファイナンス
再生可能エネルギープロジェクトファイナンス

MUFGは再生可能エネルギー事業に関連したファイナンスリードアレンジャーのリーグテーブル(右図)において、民間のグローバル金融部門で世界トップレベルの実績を上げています。

2021年5月には、再生可能エネルギー事業へのプロジェクトファイナンスによるCO2削減に関して、2019年度から2030年度の累計で7,000万トンを削減する目標を設定しました。これは、日本の約半分の世帯による年間CO2排出量に相当します。なお2021年度までの実績は2,683万トンです。

出所:Bloomberg New Energy Finance ASSET FINANCE /Lead Arrangers LEAGUE TABLE

自社排出のネットゼロ

銀行・信託・証券の国内自社契約電力について、2021年11月までに100%再生可能エネルギー化を完了しており、2021年5月のカーボンニュートラル宣言以降、国内排出量の約6割(グローバル排出量の約3割)の削減を完了しました。加えてグローバルにおいても、欧州・アジアの一部拠点にて再エネ電力への切り替えを完了しています。なお2022年6月にはニコス、アコムの100%再エネ化も完了したことに伴い、国内のMUFG連結子会社全社の自社契約電力100%再エネ化を前倒しで完了しました。

グローバル・イニシアティブでの貢献

グローバルな視点でMUFGの立ち位置を認識し、投融資ポートフォリオのGHG排出量目標設定に、標準的で透明性の高い手法を反映すべく、積極的にイニシアティブへ参画してきました。アジアを代表する金融機関として意見発信を行っています。
GFANZ(Glasgow Financial Alliance for Net-Zero)
MUFGは、GFANZの作業部会を通じて、金融業界横断的なネットゼロへの取り組みや金融業界から産業界への提言などの議論を行っています。GFANZではそうした議論をG20やCOP27への政策提言に繋げていく方針です。
Net-Zero Banking Alliance(NZBA)
2021年6月に邦銀として初めてNZBAに参画し、アジアを代表するステアリング・グループのメンバーとして運営をリードしてきました。同年12月には「Financing & Engagement」作業部会の議長に就任。MUFGは、トランジション・ファイナンスのグローバルな枠組み作りを牽引しています。
Net Zero Asset Managers initiative(NZAM)
気温上昇を1.5°Cに抑える国際的な取り組みに整合する、2050年までのGHG排出量ネットゼロをめざす、運用会社中心のイニシアティブです。MUFGは、2050年までのネットゼロ達成に整合する運用資産の割合について、2030年の中間目標を2022年10月までに設定します。
Asia Transition Finance Study Group(ATFSG)
Asia Energy Transition Initiative (AETI) のもとにASEAN諸国で活動する主要金融機関中心に立ち上げられました。MUFGは同グループを主導し、「アジアの現実的かつ段階的なエネルギー・トランジション」の実現に必要な共通原則や基準等の議論に貢献しています。

リスク管理

リスクアペタイト・ステートメントへの追加
2021年度より、リスクアペタイト・ステートメントに、気候変動に関するリスクを新たに追加しました。気候変動に関するリスクを適切に管理する態勢を確立・維持し、さらに発展させていくことをめざします。
統合的リスク管理における位置付け
MUFGは、気候変動に起因するリスクを、今後約1年間で最も注意すべきリスク事象(トップリスク)の一つとして位置付けています。
ファイナンスにおける環境・社会にかかるリスクの管理

「MUFG環境方針」、「MUFG人権方針」のもと、ファイナンスにおける環境・社会へのリスクを適切に把握・管理するために「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」を制定しています。

また、赤道原則に基づいたデュー・デリジェンスを実施し、持続可能な環境・社会の実現に取り組んでいます。

気候変動を含む環境関連セクターに係るポリシーの厳格化

MUFG環境・社会ポリシーフレームワークは、2018年5月の制定以降、事業活動の変化やビジネス環境の変化に応じて定期的に見直しを行っています。

2022年4月に実施した直近の改定では、気候関連セクター(石炭火力発電、森林、パーム油)のポリシーを厳格化しました。

MUFG環境・社会ポリシーフレームワークに定める環境関連ポリシー
MUFG環境・社会ポリシーフレームワークに定める環境関連ポリシー

自然資本・生物多様性

MUFG環境方針、MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク

MUFGは、MUFG環境方針やMUFG環境・社会ポリシーフレームワークにおいて、以下のとおり方針を示しています。
MUFG環境方針

(抜粋)「私たちの社会は、豊かな生物多様性の恵みの上に成り立っており、その維持・保全は、持続可能な社会を実現するための基盤となるものです。MUFG は、商品・サービスの提供を通じて、生物多様性を保全する事業を支援するとともに、グループ各社の商品・サービスが生物多様性へ負の影響を及ぼすことが無いように適切に対応します。」

MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク
環境・社会に対するリスクまたは影響の性質や重大性に鑑み、ラムサール条約指定湿地へ負の影響を与える事業、ユネスコ世界遺産へ負の影響を与える事業、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)に違反する事業等を、「ファイナンスを禁止する事業」に定めています。また、「ファイナンスに際して特に留意する事業」として、保護価値の高い地域へ負の影響を与える事業や鉱業(石炭)、石油・ガス、大規模水力発電、森林、パーム油等のセクターを定めており、ファイナンスの実行を検討する際には生態系への影響とその対応をはじめ、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認します。

自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)フォーラムへの参画

TNFDは、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)、国連開発計画(UNDP)、世界自然保護基金(WWF)およびGlobal Canopyによって2021年 6月に発足された国際イニシアティブです。企業が自然に関連した情報開示を行うことにより、資金の流れを「ネイチャー・ポジティブ」(自然に対して良い影響へ転換させること)をめざしています。TNFDフォーラムは、TNFDの議論をサポートするステークホルダーの集合体であり、TNFDに関連する情報の共有や枠組みの策定に向けた技術的支援などを行う組織です。

MUFGは、グループ一体で自然資本や生物多様性への取り組みを進めるために、2022年2月にTNFDフォーラムに参画しました。また、2022年6月に発足した日本協議会の会合にも参加しています。また、フレームワークベータ版で示されたLEAPアプローチ(注)を参照し、フォーラムメンバーであるMURCとともに自然資本に関するリスクの分析に着手しています。今後もフォーラムメンバーとして、議論へ積極的に参加することで、持続可能な環境・社会の実現に一層貢献していきます。

  1. 自然資本に関する実践的なリスク評価手法として提唱されたアプローチであり、企業が自社と自然との接点を発見(Locate)し、自然への影響と依存度を評価(Evaluate)、更に自然に関するリスクと機会を査定(Assess)した上で、それらのリスクと機会に応じた事業戦略の策定と開示を準備(Prepare)するという、4つのステップで構成される。
自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)フォーラムへの参画
「気候変動対応・環境保全」の取り組み詳細は、環境をご覧ください。
(2022年9月現在)