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カルチャー改革

カルチャー改革

MUFGは、企業変革の1つに「カルチャー改革」を据えています。「挑戦・スピード」が行動パターンとしてMUFGに定着するよう、さまざまな施策を推進しています。

持続的成長に向けたカルチャー改革

変化が速く、人々の価値観が多様化する時代、MUFGは、社員の一人ひとりが自律的・自発的に考え、チームの役割を自分ごと化して行動・挑戦する組織をめざしています。そのような組織を実現するために、自由闊達でスピード感溢れる職場で、社員が日々の業務における成功体験を繰り返しながら仕事への誇りと将来への希望を持てる、「挑戦とスピード」のカルチャー醸成が必要だと考えています。

「挑戦とスピード」を社員の行動パターンとして根付かせるために、MUFGではカルチャーを形成する要素を、①コミュニケーションツールや人事制度などの「会社が提供する働く環境」、②MUFGのパーパスを自分ごと化して考える「社員のマインドセット」、そして③このマインドセットを行動に移す「実践する機会」と定義し、それぞれを連動させることによって、風通しがよく働きやすい職場、パーパス実現のための挑戦が評価される風土づくりに取り組んでいます。具体的には、役員タウンホールや社内SNSなど対話と共感形成の場づくり、公募型の人事異動、社員が自ら地域社会の課題解決に挑む社員参加型社会貢献プログラム「MUFG SOUL」等をこのフレームワークのもと立ち上げ、継続的に実施してきました。

2022年度は社員起点の取り組みをさらに強化するため、自分にとってのMUFG Wayを社員同士が語り合う「MUFG Way共鳴セッション」、MUFG Wayの体現者を社員が発掘しその姿を社内外に発信する「MUFG Way Boostプロジェクト」、新規事業創出プログラム「Spark X」等を新たに立ち上げました。

これらの取り組みの成果と課題は年次の「グループ意識調査」等の結果を通じて確認され、取締役会に報告されています。

カルチャー改革フレームワーク

  • 行動パターンの変革を下支えする土台として、働く環境を整備
  • パーパスの自分ごと化等により、社員のマインドセットへ働きかけ
  • 公募等の人事プログラムや“Spark X”で、実践する機会を提供
カルチャー改革フレームワーク

グループ意識調査の結果と2022年度の振り返り

2021年度の調査では、社員の「挑戦」意欲が非常に高い一方で、「スピード」は課題であることが確認されました。そのため、2022年度はデジタルツールの拡充、上司と部下の1対1の面談を増やすことにより意見交換しやすい職場の醸成などに取り組みました。また、先述の「Spark X」や「MUFG Way Boostプロジェクト」の他、業務体験型公募制度(注)など、自律的な挑戦を後押しする環境づくりも進めました。

2022年度の調査の結果、約9割の社員が「新しい挑戦を意識して業務に臨んでいる」と回答しました。また「職場の意思決定はスピーディだ」という設問のスコアが全設問中で最大の伸びを示しました。社員のコメントからは、各自の信念や価値観と「MUFG Way」との重なりについて部店のメンバー同士で語り合う「MUFG Way共鳴セッション」が心理的安全性を向上させ、コミュニケーション量の増加と意思決定の迅速化につながったものと評価しています。

一方で、「私の職場では、『シンプル&スピーディ』な運営がなされている」という設問のスコアが低く、その原因として、手続きやルールの分かりにくさ、複数部署と協働するときの意思決定の煩雑さなどが指摘されました。企業価値の向上につながる新しい挑戦を社員がするためには、業務効率化により時間を捻出することが必須であり、これらの「分かりにくさ」や「複雑さ」のシンプル化が急務です。そこで、2023年度は銀行・信託・証券を中心に意思決定プロセスの見直しやタブレット端末を活用した手続き・ルールの簡素化等に取り組んでいます。

また、「当社を素晴らしい職場として推奨する」社員は約6割にとどまっていることも課題です。その理由として「仕事にわくわく感がない」が最も多く挙げられました。

大きな変化や変革が会社ひいては社員一人ひとりに求められる中、社員一人ひとりの変化を持続的成長につなげるためには社員が会社に共感し、魅力を感じ、経営に参画すること、つまりエンゲージメント向上が不可欠です。

社員が各自のパーパス実現に挑戦し、その挑戦が評価され成長実感を得られることで次の挑戦を生むという、好循環の拡大をめざします。

  1. 他の業務を短期間体験する制度。異動を伴わずに関心ある部の業務を体験し理解を深めることができる
グループ意識調査の結果と2022年度の振り返り

社員のマインドセット

「MUFG Way共鳴セッション」と「MUFG Way Boostプロジェクト」

社員一人ひとりが日々の業務とパーパスを結び付け、具体的な行動に繋げていくために、2021年度に実施した「MUFG Way浸透セッション」を深化させる取り組みを始めました。

まず、社員全員が自身の価値観・信念・志である「My Way」とMUFG Wayの重なりについて考え、MUFGで働くことで誰に対し、どのように貢献していくのかを具体的に言語化し、それを上司や後輩など周りの人と率直に語り合う「MUFG Way共鳴セッション」を実施しました。

また、MUFG Wayを体現する社員や取り組みを増やすプロジェクトとして「MUFG Way Boostプロジェクト」も始まりました。このプロジェクトには、亀澤社長の任命を受けた、海外拠点やグループ会社などさまざまな組織に所属する約70名のメンバーが参加し、毎週オンライン上で集まり熱く議論を交わしました。議論の結果、プロジェクトの第1弾として「この人こそはMUFG Wayを体現している」と思う社員を広く社内から募集し、推薦された社員一人ひとりに、プロジェクトメンバーが想いや活動をヒアリングし、まとめた「MUFG Way体現者ブック」を発行しました。他の社員の取り組みを知ることで、パーパスの自分ごと化が難しいと感じている社員に、少しでも気づきを得てもらうことを期待しています。他にも、体現者ブックを使った座談会やラジオ放送・動画配信などを実施しました。こうした取り組みを通じて、社員一人ひとりの内発的な動機に基づくMUFG Wayの体現を後押しし、組織全体でパーパスの実現をめざしていきます。

MUFG Way共鳴セッション

社員参加型のMUFG本館プロジェクト

MUFG・銀行・信託銀行・証券の本部機能を集約し、グループ一体運営のさらなる深化を実現するため、「MUFG本館」の建設を計画しています。

社員が自発的に挑戦する新たなカルチャーの創出や、社員同士がグループの壁を越えて協働する機会に繋げたいと考え、MUFG本館プロジェクトでは、銀行・信託銀行・証券の社員による「公募ワーキンググループ(以下、WG)」を発足しました。

第1期WGは、年次や役職などが異なる19名の多様なメンバーで構成し、リモートと対面を交えたワークを中心に、他社見学・外部有識者セッションにより幅広く知識を習得しました。社長・頭取とのディスカッションも実施し、最終的に、「Go Beyond with you ~ともに変わり続ける・超えていく~」というプロジェクトコンセプトを決定しました。このコンセプトは「MUFG本館」のめざす姿や新しい働き方の方向性を示しており、さらにはMUFG全社員の意識・行動の変化に繋がればとの想いも込めています。

WG参加者からは、「業態が異なる各社の立場を超え『MUFG社員』としての意識が芽生えた」「重要な意思決定を任せてもらえ、社内にチャレンジの場が広がっている」「所属部署等異なる属性であってもMUFGへの皆の想いは共通していることを実感した」等の声が寄せられました。

公募WGは、メンバーを入れ替えながら今後も活動していく予定です。本プロジェクトを通じ新たなカルチャー創出・グループ一体運営のさらなる深化を追求していきます。

社員参加型のMUFG本館プロジェクト
  • 社長とのディスカッション
社員参加型のMUFG本館プロジェクト
  • メンバー間での議論の様子
社員参加型のMUFG本館プロジェクト
  • 銀行本館周辺の丸の内エリア見学
社員参加型のMUFG本館プロジェクト
  • 社外取締役との意見交換

実践する機会

新規ビジネス創出プログラム「Spark X」

Spark X発足の背景・狙い

世の中が大きく変化していく中、新たな時代における金融の役割と立ち位置を再定義する必要があります。価値観が多様化する時代において、従来のトップダウン型での仕事の進め方、業態に閉じた議論や画一的な考え方には限界があります。当社のめざす姿である「主体的に変革へ挑戦できる『真のダイバーシティ経営』の実践」を実現するためには、グループの全社員が多様な価値観と自由な発想に基づいて、闊達に意見を出し合うことが求められます。社員の挑戦と変革を促すカルチャーの醸成に向けた取り組みの一環として、MUFGでは、2022年にSpark Xを立ち上げました。

Spark Xは、社員が普段お客さまとの接点や生活の中で感じる「社会の“不”(=不便、不満、不利など)」を起点に、MUFGの既存領域にとらわれない自由な発想と自身のWill(やりたい、変えたいという意思)をもとに新規事業の創出に挑戦するボトムアップ型のプロジェクトです。Spark Xの名称には、「予測不能な未来(X)に向けて、果敢に挑戦し、新しい時代をリードする火付け役(Spark)となる」という意味が込められています。応募社員の思いが火種となり、変革の連鎖となるようなプログラムをめざしています。

グループ全社員が参加できるようプログラム設計を工夫

Spark Xは、知識や経験のある特定の社員だけが参加するものではなく、誰もがチャレンジできる開かれた取り組みです。第1回目となる2022年のSpark Xでは、社員からのアイデア応募を受付するまでに、社内外の有識者による講演会を開催したほか、個別相談会を定期的に開催し、新規ビジネスの立ち上げに必要な考え方やスキルについて学ぶ機会を提供しました。書類審査の通過後は、起案されたアイデアに関連する領域で働くMUFG社員や、外部コンサルタント等の社内外のメンターが応募者のビジネスモデルを磨き上げるサポートをしました。一方で、審査の結果、見送りとなったアイデアに対しても、個別のフィードバックや社長等とのタウンホールを実施し、挑戦したことを評価することで社員が次の挑戦へ繋げられるよう工夫しました。

その結果、延べ2,500人が参加し、「世の中を変えたい!」という熱い思いを持ってビジネスモデルに練り上げた社員から650件を超える応募がありました。最終審査会では、厳正な審査によりグランプリ、特別賞、会場参加者・オンライン視聴者による投票によりオーディエンス賞を決定しました。グランプリと特別賞に選ばれたビジネスアイデアに対しては、MUFGとして予算を付与します。また、パートナーとなる外部企業・社外有識者との協働も模索しながら2023年4月より本格的に事業立ち上げに取り組んでいます。

社外有識者によるアイデア創造ワークショップの様子
  • 社外有識者のよるアイデア創造ワークショップの様子
Spark Xによるカルチャー改革と社会価値の創造

審査の結果、見送りとなった社員からも、「Spark Xに参加したことで、自分自身のMy Wayを実践することの楽しさやワクワク感を体感した。日々の業務でも、前向きに挑戦するようになった。」というコメントもあり、「世界が進むチカラになる。」ために社員一人ひとりが挑戦する文化は、着実に根付き始めています。

今後もSpark Xを通じて、挑戦する文化をMUFG全体に浸透させます。カルチャー改革により、変化の激しい時代に対応できる強靭でイノベーティブな組織を構築し、社会課題を解決しながら、企業価値の向上をめざしていきます。

最終審査プレゼンターと亀澤社長
  • 最終審査プレゼンターと亀澤社長
最終審査会グランプリ表彰式の様子
  • 最終審査会グランプリ表彰式の様子
(2023年8月現在)