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産業育成、イノベーション支援

MUFGは、成長産業やベンチャー企業へのさまざまなビジネス機会の提供を通じ、新たな産業・イノベーション創出に取り組んでいます。
MUFGの認識 機会・リスク 経済の牽引役である成長産業の勃興や活力あるベンチャー企業の育成を支援することは、経済の停滞を回避し、持続的成長を達成するうえで必要。そこではリスクマネーの供給をはじめとする金融機能の役割が重要

取り組み事例

あらゆるビジネスステージを支援

あらゆるビジネスステージを支援

2023年度はESGアクセラレータープログラム「MUFG ICJ ESGアクセラレーター」を東京で開催

ベンチャー領域においてESG投資を行うインクルージョン·ジャパン株式会社とともに、2023年5月にESGアクセラレータープログラム「MUFG ICJ ESGアクセラレーターin 東京」を開催しました。

本プログラムは、ベンチャー企業、事業会社、ベンチャー·キャピタルを含めた投資家の協働を生み出し、脱炭素やサーキュラーエコノミーの実現に向けた事業開発を加速させることを目的に2022年度に邦銀として大阪で初めて開催され、今回で2回目となります。2023年度は国内外81社のベンチャー企業から応募があり、ファイナリストとして選出された11社をはじめ、協賛企業との事業共創に向けた検討を行いました。

MUFGは、引き続き事業化に向けたステップを支援し、事業成長の足掛かりや新たな事業の立ち上げに向けてベンチャー企業とともに取り組んでいきます。

「第10回Rise Up Festa」を開催

2014年から開催しているRise Up Festaでは、新規性・独創性を有する事業に取り組んでいるベンチャー企業を、MUFGのネットワークや、経営支援などの豊富なノウハウを最大限活かして中長期的にサポートしています。

2023年の第10回Rise Up Festaでは、今後成長が見込まれる以下の4分野について広く事業提案を募りました。170を超えるビジネスプランが集まり、その中でも特に独創性・魅力溢れる8社を表彰しました。

  • ● サステナブルな環境の実現:Greentech、エネルギー、素材 等
  • ● 健康社会・グローバルヘルスへの貢献:バイオ、ライフサイエンス、Healthtech 等
  • ● 既存産業のDX、プラットフォームの創出:AI、ロボット、衛星データ利用 等
  • ● 都市・暮らしのアップデート:スマートシティ、well-being、地方創生、宇宙インフラ 等

エネルギースタートアップの株式会社パワーエックス(PowerX)の資金調達をサポート

2021年設立の株式会社パワーエックス(PowerX)は、独自の蓄電池設計製造技術を有し、蓄電・送電技術の進化において新規事業を展開するエネルギースタートアップです。定置用蓄電池や電池搭載型の超急速EV充電器等の開発販売、EV普及に不可欠な充電ステーションの全国展開や、蓄電池に電気を貯めて輸送する「電気運搬船」の製造に取り組んでいます。現在、安価で高性能な蓄電池を大量生産する、日本最大級の蓄電池組み立て工場を建設中です。

証券は、シリーズAおよびシリーズBの単独ファイナンシャルアドバイザーとしてプロジェクトの資金調達をサポートし、累計資金調達額は152.6億円(2023年8月)となりました。調達した資金は、工場の立ち上げおよび定置用蓄電池、電池搭載型の超急速EV充電器等の製品生産・出荷に投資します。EVチャージステーション事業を発表し、船舶用蓄電池の先行受注を開始するなど、順調にマイルストーンをクリアしており、2023年秋にはEV急速充電器や定置用蓄電池等製品の出荷開始を予定しています。

<PowerX Charge Station>
PowerX Charge Station
再生可能エネルギー100%の超急速EV充電ステーションを全国に幅広く展開しています。

Mars/AIテクノロジーを通じたスタートアップ企業支援

Mars Growth Capitalの取り組み

フィンテック企業Liquidity Capitalとの合弁会社であるMars Growth Capitalは、先進的なAI技術を活用し、アジアを中心としたスタートアップ企業に対しファイナンスを提供しています。事業開始以来、30社超に融資を行っており、事業は順調に拡大しています。

当社ではファンド形式で事業を行うことにより、従来の伝統的な銀行の審査手法にとらわれない、新たな融資の形に挑戦してきました。財務情報のみならず顧客の営業活動データを利用し、将来を予測してファイナンスを行うという手法により、従来は銀行融資が難しかったスタートアップ企業に新たな資金調達の選択肢を提供しています。当社が支援している企業の中にはオンライン教育サービスを提供する企業や医療サービスを提供する企業など、テクノロジーを活用して社会課題解決に取り組むスタートアップ企業も数多く含まれます。当社は金融の力でこうした企業の成長を後押ししていきます。

Mars Growth Capitalの取り組み
Mars Japanの立ち上げ

日本では他国に比べて、ミドルステージ以降にあるプレユニコーンの資金調達ニーズに対する、大口デットの有力な資金の出し手がおらず、調達手段がエクイティに偏る傾向があります。その結果として、成長機会が限られたまま上場を迎えてしまうケースが多く存在しています。

MUFGは、このような課題に応えるべく、アジアで培った「AI融資審査モデル」を日本へ逆輸入し、Mars Japanを立ち上げます。Mars Japanを通じて、将来有望な日本のプレユニコーン・ユニコーンへの成長資金を融資することで、日本発・世界水準のユニコーン企業の創出と成長支援への貢献をめざします。

また、成長資金の融資を契機として、グループベースでの総合的なサポートにより、IPOをはじめとしたお客さまのニーズに応えていきます。

Mars Japanの立ち上げ
Mars Japanの立ち上げ

これまで海外で培った知見、ノウハウをより広く活用すべくLiquidity Capitalへ出資を行ったことに加え、Mars Growth Capitalのさらなる事業展開として、今後欧州ファンドやNEXIの保険スキームを活用したファンドの新設を予定しています。今後ともグローバル規模でスタートアップ企業支援を展開していきます。

Mars Japanの立ち上げ

宇宙産業の発展と課題解決に貢献

宇宙産業の市場規模は、2023年の56兆円から、2030年には90兆円に達する見通し(注)であり、世界で最も成長する市場の一つです。

今後、人工衛星を通じた通信や測位、地球観測データの利活用はさらに幅広い分野で拡大していくことが想定され、さまざまな社会課題の解決に貢献することが期待されています。

銀行では新たな事業の創出や、宇宙の持続可能性の実現に貢献するため事業共創投資を行っています。銀行の有する幅広いネットワークや、総合金融サービスの知見・ノウハウの提供等により、宇宙産業の発展を支援していきます。

  1. 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社による試算
小型ロケットによる人工衛生打ち上げ事業を支援:スペースワン社との協働

宇宙領域における事業共創投資の第一弾として、2022年12月に小型ロケットによる人工衛生打ち上げ事業に取り組むスペースワン社に出資しました。

日本国内においては、宇宙産業の根底を支える人工衛星等の輸送事業(地球から宇宙への輸送)について、低コストかつ高頻度で打ち上げ可能なロケットや射場が存在しないという、産業構造上の課題を抱えています。

スペースワンは、人工衛星を搭載する小型ロケットの開発から打ち上げまでを一貫して担い、自社運営のロケット打ち上げ射場を有しています。

銀行は、上述の課題を補うとともに、本出資を起点として宇宙関連企業の他、さまざまな民間事業者との連携を進め、新たな産業クラスターの創出をめざします。

スペースワン社
  • スペースワン株式会社のロケットと打ち上げ射場「スペースポート紀伊」
宇宙デブリ(ごみ)除去をはじめとする軌道上サービス事業を支援:アストロスケールホールディングス社との協働

銀行は、2023年2月に宇宙領域における事業共創投資の第二弾として、宇宙デブリ除去をはじめとした軌道上サービス事業に取り組むアストロスケールホールディングス社に出資しました。

人工衛星は宇宙開発に不可欠な要素であり、今後も数万機の打ち上げが計画されている一方で、過去に打ち上げた衛星をはじめデブリが急増しており、宇宙の持続可能な開発に深刻な影響を与えています。

「宇宙の持続可能性(スペースサステナビリティ)」を実現すべく、宇宙空間のインフラとして本事業の商用化をめざすアストロスケールホールディングスと、宇宙産業の発展、課題解決に貢献します。

アストロスケールホールディングス
  • 株式会社アストロスケールホールディングスの商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J」

地方創生に向けた取り組み

「MUIC Kansai」

MUFGでは、観光産業の課題解決および関西経済活性化をめざす取り組みとして、2021年2月に会員制イノベーション創出拠点「MUIC Kansai」を大阪に開設しました。

「MUIC Kansai」では、イノベーション創出に向けた課題解決プログラムを中核機能に位置づけ、解決すべき社会課題の発掘、ソリューションの実証実験、社会実装を一貫して行えるプラットフォームを提供しています。また、施設内には、コワーキングスペースやシェアオフィスを完備しており、関連する各種イベントを企画・開催し、共創に向けた新しいビジネスマッチングの機会をハード・ソフト両面から提供しています。

2022年度には、地図のオンラインプラットフォームを運営する株式会社Strolyおよび一般財団法人関西観光本部との協働プロジェクトである「関西広域デジタルマップ」において、β版(注1)をリリースしました。

「関西広域デジタルマップ」β版は、関西エリア2府8県の魅力や観光情報を直感的に理解できるデザイン性の高いイラストマップで、利用者がWEB上で簡単にアクセスできるプラットフォームです。マップ上のエリアピンをタップすることで、魅力あふれるイラストマップを旅マエから旅アトのさまざまな場面で見ることができ、各地域の観光マップにしか載っていない観光情報も掲載され、広域かつ効果的に観光情報を取得することが可能です。

本件は、インバウンド観光需要の取込みによる地方創生とグローバル人材・企業の誘引に資する取り組みを表彰する『第6回はなやか KANSAI魅力アップアワード(注2)』にて、関西インバウンド大賞を受賞しました。

今後の取り組みとして、広域デジタルマップによる目的地以外への地域間周遊の促進や、閲覧データ、行動データを活用した各地域の観光促進施策の立案、公式情報の海外発信による訪日観光客(インバウンド)向けのPR強化等も実施予定です。

  1. 正式版をリリースする前にユーザーに試用してもらうためのサンプルのソフトウェア
  2. はなやか KANSAI魅力アップアワードとは関西経済連合会、近畿経済産業局が主催の「はなやかKANSAI魅力アップフォーラム」の主要事業として2016 年に創設された、インバウンド観光需要の取込みによる地方創生とグローバル人材・企業の誘引に資することを目的としている取り組みへの表彰です。
MUIC Kansai

エスコンフィールド北海道とパートナーシップ契約を締結

銀行と株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント(以下、ファイターズ)は金融とスポーツを掛け合わせた事業共創をめざしてパートナーシップ契約を締結しました。

ファイターズは、2023年3月に開業した新球場「ES CON FIELD HOKKAIDO」(以下、エスコンフィールド)を核にした「HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE」の開発・事業運営を行う企業です。エスコンフィールドを中核に、宿泊施設や商空間、農業学習施設、認定こども園、レジデンスなどを設けた持続可能な街づくりを進めています。

銀行はエスコンフィールドにおけるスポーツを中心とした新しい街づくり・事業づくりに参画しています。その象徴としてインタビュールームのネーミングライツを取得し、「MUFG Co-Creation Room」と命名。地域の皆さまや、さまざまなステークホルダーとのハブ機能担いつつ、MUFGのめざすスポーツを通じたイノベーションの社会実装・社会課題解決を推進しています。

エスコンフィールド
エスコンフィールド

ファンドを活用した投融資ALL-JAPAN観光立国ファンド

観光は、「地方創生の切り札」「GDP600兆円に向けた成長戦略の柱」とされる日本の最重要施策の一つであり、また、訪日外国人観光客の増加等を受け、新たなマーケットが創出される成長産業です。一方で、観光産業は、観光資源発掘、宿泊施設の不足や老朽化・多様化するニーズへの対応、施設運営者の高齢化・事業承継等、多くの課題を抱えています。

銀行は、このような課題の解決に向け、2018年4月に、さまざまな業界のリーディングカンパニーと地域金融機関が連携し、地域の枠を超えて47都道府県全てを投資対象とした、民間では日本初かつ最大規模の観光立国ファンド「ALL-JAPAN観光立国ファンド」を組成しました。本ファンドを通じて、観光の活性化や地方創生に向けた取り組みを推進し、日本の産業・経済の発展に貢献しています。

1号ファンドの投資実績は計37件(不動産投資15件、ベンチャー投資22件)となっており、投資案件の事例は以下の通りです。

また、2023年6月に2号ファンドを設立しました。2号ファンドには新スポンサーとして株式会社JTBを招聘し、ファンドのソリューション機能を強化しました。今後も観光産業や地方創生のプラットフォームとして活動していきます。

地域再生支援利子補給金制度

地域再生支援利子補給金制度とは、地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出や、地域の活力の再生を総合的かつ効果的に推進するため、地域が行う自主的かつ自立的な取り組みを内閣府が支援する制度です。事業者が、各地域における「地域再生計画」に資する事業に必要な資金の借入を行う場合、内閣府より最大0.7%の利子補給金を受給できます。

総合特区支援利子補給金制度

総合特区支援利子補給金制度は、産業構造及び国際的な競争条件の変化や、急速な少子高齢化の進展等の経済社会情勢の変化に対応して、産業の国際競争力の強化や、地域の活性化に関する施策を総合的かつ集中的に推進することにより、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展を図る制度です。総合特区計画の推進に資する事業を実施する事業者が資金の借入を行う場合、内閣府より最大0.7%の利子補給金を受給できます。
(2023年8月現在)