Power to Inspire Story

世界中から集まったカメラマンたちが休むことなくフラッシュを浴びせ続ける。レッドカーペットに次々と登場するスーパースターたち。マラソンのエリウド・キプチョゲや陸上のマイケル・ジョンソン、サッカー界からはアレッサンドロ・デル・ピエロ、カフー、ルート・フリット。名将として知られるアーセン・ベンゲルやファビオ・カペッロの姿も見える。ラグビー日本代表を躍進にみちびいたジェイミー・ジョセフは妻をエスコート。F1のルイス・ハミルトンやワールドカップを制したラグビー南アフリカ代表の面々、棒高跳びのセルゲイ・ブブカ、フィギュアスケートのカタリナ・ビット、さらには、車いすマラソンのマニュエラ・シャー、パラ水泳のアリス・タイらも登場した。

タキシードやスーツ、華やかなドレスに身を包んだアスリートやレジェンドたちには、ユニフォーム姿のときとはちがった魅力がある。その颯爽とした姿が本家のアカデミー賞と異なるのは、みな足元がスニーカーであること。そこに「スポーツ界のアカデミー賞」らしさがあるし、スタイリッシュな雰囲気も漂う。

「スポーツには世界を変える力がある」という故ネルソン・マンデラ南アフリカ大統領の言葉を理念に持つローレウス。スポーツが世界を変え、よりよい方向に導く。この場に参加できるのは、単にすばらしい成績をあげただけでなく、そのスピリットを共有するアスリートたちだけなのだ。

まったく無名の“アスリート”も受賞した。それはニューヨークのサッカーチーム「サウス・ブロンクス・ユナイテッド」。

彼らが受賞したのは、スポーツ・フォー・グッド賞。このチームは、サッカーを通じて貧困地域の若者が学校やキャリア、地域社会で成果をあげられるよう支援プログラムを実践している。そこにリオネル・メッシはいない。彼らのサッカーを私たちが見られるわけでもない。「スポーツが世界を変える」という、その大きな目的のなかでは小さな一歩かもしれない。それでも紹介VTRに映る若者たちの笑顔は、そのプロジェクトの意義、そしてそれを讃えるローレウスの意図をじゅうぶんに伝えてくれた。